ふと鏡を見たときに、目の下が茶色くくすんで見える「茶クマ」。
コンシーラーで隠しても時間が経つと浮き出てきてしまい、疲れた印象や老けた印象を与えてしまうため、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この茶クマの主な原因は、実は「色素沈着」です。毎日のメイクやクレンジング時の摩擦、紫外線ダメージなどが積み重なり、シミやくすみとなって現れます。
この記事では、そんな頑固な茶クマの正しい治し方について、これ以上濃くしないための予防法から、今あるシミを消すための美白ケア、さらに美容クリニックでの専門的な治療法まで、あなたの悩みに寄り添いながら詳しく解説します。
正しい知識を身につけ、透明感のある明るい目元を取り戻しましょう。
あなたを悩ませる茶クマの正体とは?
目の下のクマにはいくつかの種類があり、それぞれ原因や対処法が異なります。まずは、あなたのクマが本当に「茶クマ」なのかを正しく見極めることが、改善への第一歩です。
ここでは、茶クマの見分け方や他のクマとの違いについて解説します。
茶クマの見分け方
茶クマの最も大きな特徴は、その名の通り「茶色くくすんだ色味」です。皮膚を軽く引っ張っても、上を向いてもクマの色が薄くならない場合、それは茶クマである可能性が高いでしょう。
このクマは、皮膚そのものに色が沈着している状態なので、体調や血行不良で現れる他のクマとは異なり、一度できると消えにくいという性質を持ちます。
他のクマ(青クマ・黒クマ)との違い
目の下のクマには、茶クマの他に「青クマ」と「黒クマ」が存在します。青クマは、血行不良によって目元の薄い皮膚から毛細血管が透けて見える状態です。
寝不足や疲れ、冷えなどが原因で現れやすく、皮膚を引っ張ると色が薄くなる傾向があります。一方、黒クマは、加齢による皮膚のたるみや脂肪の膨らみによってできる「影」が原因です。
上を向くと影が薄くなる、または消えるのが特徴です。自分のクマがどのタイプかを知ることで、適切なケアを選択できます。
クマの種類と特徴
クマの種類 | 主な原因 | 見分け方 |
---|---|---|
茶クマ | 色素沈着(メラニン) | 皮膚を引っ張っても色が薄くならない |
青クマ | 血行不良 | 皮膚を引っ張ると色が薄くなる |
黒クマ | たるみによる影 | 上を向くと影が薄くなる・消える |
なぜ目の下にクマができやすいのか
目の周りの皮膚は、顔の他の部分に比べて非常に薄く、皮脂腺も少ないため、とてもデリケートです。
その薄さは卵の薄皮ほどとも言われ、外部からの刺激を受けやすく、乾燥しやすいという特徴があります。そのため、少しの摩擦や紫外線ダメージでも色素沈着を起こしやすく、茶クマとして現れやすいのです。
また、PCやスマートフォンを長時間見ることで瞬きの回数が減り、目元の血行が悪くなることも、クマ全体の原因につながります。
茶クマの主な原因は色素沈着
茶クマの根本的な原因は、メラニン色素が皮膚に過剰に蓄積する「色素沈着」です。では、なぜ目の下に色素沈着が起きてしまうのでしょうか。
ここでは、日常生活に潜む茶クマの具体的な原因を詳しく探っていきます。
摩擦による刺激
茶クマの最大の原因とも言えるのが、物理的な摩擦です。目の周りは無意識にこすってしまうことが多い部位です。特に、以下のような行動は注意が必要です。
- ゴシゴシ擦るアイメイク落とし
- 目を強くこする癖
- 花粉症やアレルギーによるかゆみ
このような摩擦が繰り返されると、肌は自らを守ろうとしてメラノサイトを活性化させ、メラニン色素を過剰に生成します。
このメラニンが排出されずに肌内部に留まることで、茶色い色素沈着、つまり茶クマとなるのです。
紫外線ダメージの蓄積
紫外線もまた、茶クマの大きな原因の一つです。目の周りの皮膚は薄くデリケートなため、紫外線の影響を直接受けやすい部位です。
紫外線A波(UVA)とB波(UVB)は、いずれも肌にダメージを与え、メラニンの生成を促します。
日焼け止めを塗る際に、目のキワまでしっかりと塗れていない、サングラスをかける習慣がないといった場合、気づかないうちに紫外線ダメージが蓄積し、色素沈着を引き起こすことがあります。
紫外線(UVA/UVB)の違いと肌への影響
紫外線の種類 | 特徴 | 肌への主な影響 |
---|---|---|
UVA(A波) | 雲や窓ガラスを透過し、肌の奥深くまで届く | シミ、しわ、たるみの原因になる |
UVB(B波) | 肌表面に炎症を起こし、日焼けの原因となる | シミ、そばかす、皮膚がんのリスクを高める |
メイク汚れの残留
アイライナーやマスカラ、アイシャドウなどのアイメイクが完全に落としきれていないことも、色素沈着の原因となります。
メイクの顔料や成分が肌に長時間残ることで、それが刺激となり、色素沈着を招くことがあります。
特にウォータープルーフタイプのメイクは落ちにくいため、専用のリムーバーを使わずに無理に落とそうとすると、摩擦と汚れの残留という二重のダメージを肌に与えてしまいます。
肌のターンオーバーの乱れ
私たちの肌は、約28日周期で新しい細胞に生まれ変わる「ターンオーバー」という働きを持っています。この働きによって、生成されたメラニン色素も垢として自然に排出されます。
しかし、加齢や睡眠不足、ストレス、栄養バランスの乱れなどによってターンオーバーの周期が乱れると、メラニンがうまく排出されずに肌内部に蓄積し、色素沈着として定着してしまいます。
これが、一度できた茶クマがなかなか消えない原因です。
【セルフケア編】茶クマの治し方と予防法
できてしまった茶クマを改善し、新たな茶クマを作らないためには、日々のスキンケアを見直すことが重要です。
ここでは、自宅でできる茶クマの治し方と予防のポイントを具体的に紹介します。
正しいクレンジングと洗顔方法
茶クマケアの基本は、「摩擦を与えない」ことと「汚れをきちんと落とす」ことです。
アイメイクは、ポイントメイクリムーバーをコットンにたっぷり含ませ、数秒間まぶたに優しく当ててメイクを浮かせてから、そっと拭き取ります。
クレンジング剤や洗顔料は、肌の上で指が直接触れないくらいたっぷりの量を使い、優しくなでるように洗いましょう。熱いお湯は肌の乾燥を招くため、ぬるま湯ですすぐのがポイントです。
保湿ケアで肌のバリア機能を高める
乾燥した肌はバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなります。洗顔後はすぐに化粧水で水分を補給し、乳液やクリームで油分を補い、水分が蒸発しないように蓋をしましょう。
特に乾燥しやすい目元には、保湿力の高いアイクリームを重ね付けすることをおすすめします。
保湿によって肌のバリア機能が高まると、摩擦や紫外線などのダメージを受けにくくなり、茶クマの予防につながります。
美白有効成分配合のアイクリームを選ぶ
すでにできてしまった茶クマのケアには、美白有効成分が配合された化粧品を取り入れるのが効果的です。
美白有効成分は、メラニンの生成を抑えたり、できてしまったメラニンを還元したりする働きがあります。
アイクリームを選ぶ際は、保湿成分に加えて、以下のような美白有効成分が含まれているかを確認してみましょう。
代表的な美白有効成分
成分名 | 主な働き | 特徴 |
---|---|---|
ビタミンC誘導体 | メラニンの生成抑制、メラニンの還元 | 抗酸化作用もあり、多角的にアプローチできる |
トラネキサム酸 | メラノサイト活性化因子の働きを阻害 | 肌荒れ防止効果も期待できる |
アルブチン | メラニン生成に関わる酵素の働きを阻害 | ハイドロキノンに似た構造を持つが、より安定性が高い |
紫外線対策を徹底する
茶クマの予防と悪化防止には、一年を通した紫外線対策が欠かせません。日差しの強い夏だけでなく、曇りの日や冬でも紫外線は降り注いでいます。
日焼け止めは、目のキワや下まぶたまで丁寧に塗り、2〜3時間おきに塗り直すことを習慣にしましょう。
また、UVカット効果のあるサングラスや帽子、日傘などを併用することで、より効果的に目元を紫外線から守ることができます。
これ以上濃くしないための生活習慣
スキンケアだけでなく、日々の生活習慣を見直すことも、茶クマの予防・改善には大切です。体の内側から健やかな肌を育むことで、色素沈着しにくい肌質を目指しましょう。
バランスの取れた食事を心がける
肌の健康は、毎日の食事から作られます。特に、肌のターンオーバーを正常に保ち、メラニンの生成を抑える栄養素を積極的に摂取することが重要です。
特定の食品に偏るのではなく、様々な食材をバランス良く取り入れることを意識しましょう。
肌のターンオーバーをサポートする栄養素
栄養素 | 働き | 多く含まれる食品 |
---|---|---|
ビタミンA | 皮膚や粘膜の健康を維持し、ターンオーバーを促進 | レバー、うなぎ、緑黄色野菜 |
ビタミンC | メラニンの生成を抑制し、コラーゲンの生成を助ける | パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ |
ビタミンE | 血行を促進し、抗酸化作用で肌の老化を防ぐ | アーモンド、アボカド、かぼちゃ |
質の良い睡眠で肌の再生を促す
睡眠中には、肌のダメージを修復し、再生を促す成長ホルモンが分泌されます。特に、入眠後の最初の3時間は「肌のゴールデンタイム」とも呼ばれ、この時間帯に深い眠りに入ることが重要です。
睡眠時間が不足したり、眠りが浅かったりすると、ターンオーバーが乱れ、メラニンが排出されにくくなります。
就寝前にスマートフォンを見るのを控える、リラックスできる環境を整えるなど、質の良い睡眠を確保する工夫をしましょう。
ストレスを溜めない工夫
過度なストレスは、ホルモンバランスや自律神経の乱れを引き起こし、血行不良やターンオーバーの乱れにつながります。結果として、肌のバリア機能が低下し、色素沈着しやすい状態を招いてしまいます。
趣味の時間を作る、適度な運動をする、ゆっくりと入浴するなど、自分なりのストレス解消法を見つけ、心身ともにリラックスできる時間を持つことが大切です。
目をこすらない意識を持つ
最もシンプルで、かつ最も重要なのが「目をこすらない」という意識です。かゆみを感じたときは、冷たいタオルで冷やしたり、目薬をさしたりして、できるだけ直接触れないようにしましょう。
メイクをする時や落とす時も、常に「優しく触れる」ことを心掛けるだけで、肌への負担は大きく変わります。この小さな習慣の積み重ねが、未来の茶クマを防ぐことにつながります。
今あるシミを消す美白ケアのポイント
すでに定着してしまった茶クマ、つまりシミに対しては、日々のケアに加えて、より積極的な美白ケアを取り入れることが改善への近道です。
ここでは、効果的な美白ケアのポイントを解説します。
美白ケアの基本は保湿から
美白成分の効果を最大限に引き出すためには、肌が潤っていることが大前提です。乾燥した肌は、美容成分が浸透しにくく、十分な効果を発揮できません。
まずは化粧水や乳液でしっかりと保湿を行い、肌の土台を整えましょう。肌が潤いで満たされていると、ターンオーバーも正常に働きやすくなり、メラニンの排出をサポートします。
茶クマに効果的な美白成分
茶クマのケアには、メラニンの生成を多角的にブロックする成分や、ターンオーバーを促進する成分が有効です。
アイクリームや美容液を選ぶ際には、これらの成分が配合されているかチェックしてみましょう。
- ビタミンC誘導体
- トラネキサム酸
- アルブチン
- コウジ酸
- プラセンタエキス
- レチノール
特にレチノールは、ターンオーバーを促進する効果が期待できますが、人によっては刺激を感じることもあるため、少量から試すようにしましょう。
美容液やパックのスペシャルケア
普段のスキンケアに加えて、週に1〜2回、美白成分が濃縮された美容液や、目元専用のシートパックを取り入れるのもおすすめです。
美容液は顔全体に使った後、気になる茶クマの部分に重ね付けすると良いでしょう。シートパックは、目元を物理的に密閉することで成分の浸透を高める効果が期待できます。
スペシャルケアを取り入れることで、普段のケアだけでは得られにくい手応えを感じることができるかもしれません。
スペシャルケア製品の選び方
種類 | 特徴 | 使用のポイント |
---|---|---|
美白美容液 | 美白有効成分が高濃度で配合されている | 化粧水の後、乳液の前に使用。気になる部分に重ね付け。 |
目元用シートパック | 目元の形状にフィットし、成分を集中浸透させる | 製品記載の使用時間を守り、長時間放置しない。 |
美容クリニックで受けられる茶クマ治療
セルフケアを続けてもなかなか改善が見られない頑固な茶クマには、美容クリニックでの専門的な治療も有効な選択肢です。
専門家の診断のもと、自分の肌状態に合った治療を受けることで、より早く確実な効果を期待できます。
レーザー治療・光治療(IPL)
レーザー治療や光治療(IPL)は、メラニン色素に反応する特殊な光を照射することで、色素沈着を破壊し、肌の外へ排出させる治療法です。
代表的なものに「ピコレーザー」や「フォトフェイシャル」などがあります。正常な肌組織へのダメージを抑えながら、シミの原因であるメラニンに直接アプローチできるのが特徴です。
複数回の治療が必要な場合が多いですが、セルフケアでは難しい根本的な改善を目指せます。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、肌に専用の薬剤を塗り、古い角質や毛穴の汚れを取り除くことで、乱れたターンオーバーを整える治療法です。肌の再生を促し、蓄積したメラニンの排出をサポートします。
レーザー治療と組み合わせることで、より高い相乗効果を期待できる場合もあります。肌のくすみやごわつきが気になる方にもおすすめです。
内服薬・外用薬の処方
クリニックでは、体の内側と外側からアプローチする薬を処方してもらうことも可能です。
内服薬としては、メラニンの生成を抑える「トラネキサム酸」や、抗酸化作用のある「ビタミンC」「ビタミンE」などが一般的です。
外用薬としては、メラニンの生成を強力に抑える「ハイドロキノン」や、ターンオーバーを促進する「トレチノイン」などが処方されます。これらの薬は医師の指導のもと、正しく使用することが重要です。
美容クリニックの主な治療法比較
治療法 | 特徴 | ダウンタイムの目安 |
---|---|---|
レーザー・光治療 | メラニン色素に直接作用し、根本的な改善を目指す | ほとんどない〜数日程度(治療法による) |
ケミカルピーリング | ターンオーバーを正常化し、メラニンの排出を促す | ほとんどないが、一時的に赤みや乾燥が出ることがある |
処方薬(内服・外用) | 体の内外からメラニンの生成を抑制し、排出を促す | ほとんどないが、薬によっては皮むけなどが起こる場合がある |
茶クマに関するよくある質問
最後に、茶クマの治し方に関して多くの方が抱く疑問についてお答えします。
- 茶クマはコンシーラーで隠せますか?
-
はい、一時的に隠すことは可能です。
茶クマは茶色いくすみなので、イエロー系やオレンジ系のコントロールカラーを仕込み、その上から自分の肌色に合ったコンシーラーを重ねると自然にカバーできます。
ただし、厚塗りはかえってシワを目立たせたり、崩れの原因になったりするので注意が必要です。
根本的な解決にはなりませんが、メイクで上手にカバーしつつ、スキンケアや生活習慣の改善に取り組むのが良いでしょう。
- セルフケアだけで茶クマは完全に消えますか?
-
できてから日の浅い薄い茶クマであれば、セルフケアの継続によって改善する可能性は十分にあります。
しかし、長年にわたって定着してしまった濃い茶クマをセルフケアだけで完全に消すのは、残念ながら難しい場合が多いです。
セルフケアは、あくまで「これ以上濃くしない予防」と「少しでも薄くするためのケア」と位置づけ、より高い効果を求める場合は美容医療を検討することをおすすめします。
- 茶クマの改善にはどのくらいの期間が必要ですか?
-
改善に必要な期間は、茶クマの濃さや原因、ケアの方法によって大きく異なります。
セルフケアの場合、肌のターンオーバーの周期を考慮すると、最低でも3ヶ月から半年は継続して様子を見る必要があります。
美容医療の場合、治療法にもよりますが、数回の治療を経て数ヶ月で効果を実感できることが多いでしょう。いずれにせよ、焦らずに根気強くケアを続けることが重要です。
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