鏡を見るたびに気になる、目の下のたるみ。「もしかして、老けて見られている?」「疲れているように見える?」と感じ、自力で治す方法を探している方も多いのではないでしょうか。
インターネットや雑誌では様々なセルフケアが紹介されていますが、本当に効果があるのか、疑問に思うこともあるでしょう。
この記事では、目の下のたるみの原因を詳しく解説し、効果が期待できるセルフケアと、知っておくべきその限界について、わかりやすくお伝えします。
あなたの悩みを解消し、自信に満ちた毎日を取り戻すための一歩として、ぜひ最後までお読みください。
目の下のたるみの正体とは?主な3つの原因
目の下のたるみと一言でいっても、その原因は一つではありません。効果的な対策を行うためには、まず自分のたるみがどのタイプに当てはまるのかを知ることが重要です。
ここでは、たるみを引き起こす代表的な3つの原因を解説します。
加齢による皮膚や筋肉の衰え
私たちの肌は、コラーゲンやエラスチンといった成分によってハリと弾力が保たれています。しかし、年齢を重ねるとこれらの成分は自然と減少し、肌は弾力を失っていきます。
また、目の周りには「眼輪筋(がんりんきん)」というドーナツ状の筋肉があり、これが目の開閉を担っています。
この眼輪筋も加齢によって衰えると、皮膚やその下にある脂肪を支えきれなくなり、たるみとして現れます。
目の下の構造とたるみの関係
構成要素 | 役割 | 加齢による変化 |
---|---|---|
皮膚(表皮・真皮) | 外部の刺激から守り、ハリを保つ | コラーゲン・エラスチンが減少し、薄く弾力を失う |
眼輪筋 | 目を囲み、皮膚や脂肪を支える | 筋力が低下し、支える力が弱まる |
眼窩脂肪 | 眼球を衝撃から守るクッション | 眼輪筋の衰えで前に押し出される |
眼窩脂肪(がんかしぼう)の突出
眼球は、眼窩脂肪というクッションのような脂肪によって守られています。この脂肪は、先ほど説明した眼輪筋と、その奥にある「ロックウッド靭帯」によって支えられています。
しかし、加齢や生まれつきの要因で眼輪筋や靭帯が緩むと、眼窩脂肪が前方に押し出されてしまい、目の下にふくらみ(たるみ)ができます。
これは「目袋」とも呼ばれ、たるみの原因として非常に多いものです。
長年の生活習慣による影響
目の下の皮膚は非常に薄くデリケートなため、日々の生活習慣がたるみの原因になることもあります。特に、紫外線によるダメージは肌のコラーゲンを破壊し、ハリを奪う大きな要因です。
また、目をこする癖や、洗浄力の強いクレンジングによる摩擦も、皮膚に負担をかけ、たるみを助長します。
スマートフォンやパソコンの長時間利用による目の疲れ(眼精疲労)も、目の周りの血行を悪化させ、筋肉の衰えにつながるため注意が必要です。
たるみを悪化させる生活習慣
習慣 | たるみへの影響 | 対策 |
---|---|---|
紫外線対策を怠る | コラーゲンを破壊し、肌の弾力を低下させる | 日焼け止めやUVカット眼鏡を使用する |
目を強くこする | 薄い皮膚にダメージを与え、色素沈着も招く | 優しく触れる、かゆみは目薬で抑える |
長時間のデジタル作業 | 眼精疲労から血行不良や筋肉の凝りを招く | 定期的に休憩し、遠くを見る |
目の下のたるみに効果的とされるセルフケア5選
目の下のたるみを少しでも改善したいと考えたとき、まず試してみたいのがセルフケアです。ここでは、一般的に効果があると言われている5つのケア方法を紹介します。
ただし、これらのケアは主に予防や、ごく軽度のたるみに対するアプローチであることを心に留めておいてください。
ツボ押し・マッサージ
目の周りの血行を促進し、むくみを軽減させる目的で、ツボ押しやマッサージは手軽に始められるケアです。目の周りには血行促進に良いとされるツボがいくつか存在します。
マッサージを行う際は、必ずクリームやオイルを使い、指の滑りを良くして摩擦を避けることが重要です。薬指の腹を使って、優しく押さえるように行いましょう。
表情筋トレーニング(エクササイズ)
目の周りの眼輪筋を鍛えることで、皮膚や脂肪を支える力を高めることを目指すのが表情筋トレーニングです。眼輪筋は意識しないと衰えやすい筋肉のため、積極的に動かすことが大切です。
ただし、やりすぎたり、間違った方法で行ったりすると、逆シワの原因になる可能性もあるため注意が必要です。
簡単な眼輪筋トレーニング
- 目を大きく見開き、5秒間キープする
- ゆっくりと目を閉じ、ぎゅっと力を入れて5秒間キープする
- ゆっくりと力を抜き、これを数回繰り返す
専用アイクリームによる保湿ケア
目の周りの乾燥は、小じわやたるみを悪化させる原因になります。皮膚が乾燥すると、ハリが失われ、たるみがより目立ちやすくなります。
保湿成分や、ハリを与える成分(レチノール、ナイアシンアミドなど)が配合されたアイクリームを使い、優しくなじませることで、乾燥による小じわを防ぎ、肌のコンディションを整える助けになります。
アイクリームに期待できる成分
成分名 | 期待できる働き | 使用上の注意点 |
---|---|---|
セラミド、ヒアルロン酸 | 高い保湿力で肌の潤いを保つ | 肌質に合ったものを選ぶ |
レチノール | 肌のターンオーバーを促し、ハリを与える | 刺激を感じることがあるため少量から試す |
ナイアシンアミド | コラーゲン生成を助け、シワ改善が期待できる | 高濃度のものは刺激に注意する |
紫外線対策の徹底
紫外線(特にUVA)は、肌の奥深く(真皮)にまで到達し、ハリを支えるコラーゲンやエラスチンを破壊します。これが「光老化」と呼ばれる現象で、たるみの大きな原因となります。
季節や天候に関わらず、一年を通して紫外線対策を行うことが、未来のたるみを予防する上で非常に重要です。日焼け止めはもちろん、UVカット機能のあるサングラスや帽子、日傘なども活用しましょう。
セルフケアでたるみ改善が難しい根本的な理由
様々なセルフケアを紹介しましたが、残念ながらセルフケアだけで目の下のたるみを「治す」ことには限界があります。
特に、すでにはっきりと現れているたるみに対しては、その効果は限定的です。なぜ改善が難しいのか、その根本的な理由を理解しましょう。
原因が皮膚の表面ではない
マッサージやアイクリームといったセルフケアは、主に皮膚の表面(表皮や真皮層)にアプローチするものです。乾燥による小じわや血行不良による一時的なくすみには効果が期待できます。
しかし、たるみの多くは、皮膚のさらに奥にある眼輪筋の衰えや、眼窩脂肪の突出といった構造的な問題が原因です。化粧品やマッサージでは、これらの内部構造に直接働きかけることはできません。
突出した脂肪は減らせない
一度、眼輪筋や靭帯の緩みによって前に出てきてしまった眼窩脂肪は、セルフケアで元の位置に戻したり、なくしたりすることはできません。
これはダイエットで体重を落としても同様で、目の下の脂肪だけをピンポイントで減らすことは不可能です。
この突出した脂肪によるふくらみは、外科的なアプローチでなければ根本的な解決は難しいのが実情です。
セルフケアの効果の範囲
たるみの原因 | セルフケアでの改善期待度 | 理由 |
---|---|---|
乾燥による小じわ | 高い | 保湿ケアで皮膚表面の状態が整うため |
血行不良・むくみ | 中程度 | マッサージなどで一時的な改善が見込めるため |
眼窩脂肪の突出 | 極めて低い | 脂肪自体をなくすことはできないため |
皮膚の伸びは元に戻らない
長年にわたるたるみによって、目の下の皮膚自体が伸びてしまっている場合もあります。一度伸びてしまった皮膚は、風船がしぼんだ後のように元に戻ることはありません。
セルフケアで肌のハリ感を多少アップさせることはできても、伸びて余ってしまった皮膚を縮めることはできないのです。この場合も、余分な皮膚を切除するような美容医療が必要になります。
逆効果?目の下のたるみを悪化させるNG習慣
良かれと思って続けているケアが、実はたるみを悪化させている可能性もあります。デリケートな目元だからこそ、間違ったケアは避けたいものです。
ここでは、特に注意したいNG習慣をいくつか紹介します。
強すぎるマッサージや指圧
たるみを解消したい一心で、つい力強くマッサージをしてしまう方がいます。
しかし、強い摩擦は肌表面を傷つけ、色素沈着(くすみ)の原因になるだけでなく、肌の内部にあるコラーゲン繊維を断ち切ってしまい、かえってたるみを助長する危険性があります。
マッサージはあくまで「優しく、滑らせるように」が鉄則です。
過度な表情筋トレーニング
表情筋トレーニングも、やりすぎは禁物です。必要以上に目元に力を入れたり、特定の表情を繰り返したりすることで、意図しない場所に新たなシワを刻んでしまうことがあります。
特に、自己流で過剰なトレーニングを行うのはリスクが伴います。もし行うのであれば、正しい方法を学び、適度な回数を守ることが大切です。
ケア方法ごとの注意点
- マッサージ:必ずクリームやオイルを使用し、摩擦を避ける。
- トレーニング:鏡を見ながら行い、不要な場所にシワが寄っていないか確認する。
- クレンジング:ゴシゴシこすらず、メイクと優しくなじませて洗い流す。
洗浄力の強すぎるクレンジング
アイメイクをしっかり落としたいあまり、洗浄力の強いオイルクレンジングなどでゴシゴシこすっていませんか?これは肌に必要な皮脂まで奪ってしまい、深刻な乾燥を招きます。
乾燥はあらゆる肌トラブルの元であり、たるみを目立たせる原因にもなります。アイメイクはポイントメイクリムーバーで優しく落とすなど、目元への負担を最小限に抑える工夫が必要です。
たるみ予防・改善のために見直したい生活習慣
セルフケアと合わせて、日々の生活習慣を見直すことも、たるみの予防や進行を遅らせるためには重要です。体の中から健やかな状態を保つことが、肌の美しさにもつながります。
バランスの取れた食事
肌は、私たちが食べたものから作られます。特に、肌のハリを保つコラーゲンの材料となるタンパク質や、その生成を助けるビタミンC、抗酸化作用のあるビタミンA・Eなどを積極的に摂取することが大切です。
特定の食品に偏るのではなく、様々な食材をバランス良く取り入れましょう。
肌のハリをサポートする栄養素
栄養素 | 主な働き | 多く含まれる食品 |
---|---|---|
タンパク質 | 皮膚や筋肉の材料となる | 肉、魚、卵、大豆製品 |
ビタミンC | コラーゲンの生成を助ける | パプリカ、ブロッコリー、キウイ |
ビタミンA/E | 抗酸化作用で肌の老化を防ぐ | かぼちゃ、ナッツ類、アボカド |
質の良い睡眠
睡眠中には、肌のダメージを修復し、再生を促す成長ホルモンが分泌されます。睡眠不足が続くと、このホルモンの分泌が減少し、肌のターンオーバーが乱れてしまいます。
結果として、肌のハリが失われ、たるみが進行しやすくなります。毎日6〜8時間程度の質の良い睡眠を確保するよう心がけましょう。
眼精疲労のケア
現代人にとって、スマートフォンやパソコンによる眼精疲労は避けて通れない問題です。目の疲れは、目周りの血行不良を招き、筋肉を凝り固まらせてしまいます。
1時間に1回は画面から目を離して遠くを見たり、蒸しタオルで目元を温めたりして、意識的に目を休ませることが大切です。
セルフケアの限界を感じたら美容医療という選択肢
セルフケアや生活習慣の改善を続けても、たるみが改善されない、あるいはさらに進行していると感じる場合、美容医療に頼るのも一つの有効な選択肢です。
美容医療では、セルフケアでは不可能な、たるみの根本原因に直接アプローチできます。
たるみの原因に直接アプローチ
美容クリニックで行う治療は、医師の診断のもと、たるみの原因となっている眼窩脂肪や皮膚の緩みに直接働きかけます。これにより、セルフケアでは得られない、見た目の変化を期待することができます。
もちろん、治療にはリスクやダウンタイムも伴いますが、専門家と相談しながら自分に合った方法を選ぶことが可能です。
代表的な治療法の種類
目の下のたるみ治療には、メスを使わない注入治療やレーザー治療から、メスを使う外科手術まで様々な方法があります。
たるみの状態や原因、ダウンタイムの許容度、予算などに応じて最適な治療法は異なります。
主な美容医療の比較
治療法 | アプローチ方法 | 主な対象 |
---|---|---|
ヒアルロン酸注入 | たるみによる凹凸やくぼみを埋める | 軽度のたるみ、くぼみが目立つタイプ |
レーザー・高周波 | 熱エネルギーで皮膚の引き締めを促す | 皮膚のハリが低下しているタイプ |
経結膜脱脂法 | まぶたの裏側から余分な脂肪を取り除く | 脂肪の突出が主な原因のタイプ |
まずは専門医への相談から
「自分にはどんな治療が合っているのか分からない」と不安に思うのは当然です。多くの美容クリニックでは、無料のカウンセリングを実施しています。
まずは専門の医師に相談し、自分の目の下の状態を正しく診断してもらうことが、悩み解決への第一歩です。無理に治療を勧められることはありませんので、気軽に話を聞きに行ってみることをお勧めします。
目の下のたるみに関するQ&A
最後に、目の下のたるみに関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
- 若いのにたるみがあるのはなぜですか?
-
20代や30代でも目の下のたるみが目立つことはあります。これは、生まれつきの骨格や、眼窩脂肪の量、皮膚の薄さなどが関係していることが多いです。
また、長時間のコンタクトレンズ使用や、目をこする癖なども若いうちからたるみを進行させる一因となり得ます。
- 高価なアイクリームを使えばたるみは治りますか?
-
残念ながら、どんなに高価なアイクリームでも、一度できてしまった構造的なたるみを治すことはできません。アイクリームの役割は、主に「保湿」と「予防」です。
乾燥による小じわを目立たなくしたり、これから先のたるみの進行を緩やかにしたりする効果は期待できますが、治療効果を求めるものではないと理解することが大切です。
セルフケアと美容医療の目的の違い
項目 セルフケア(アイクリームなど) 美容医療 目的 保湿、血行促進、予防 原因の根本的な改善、治療 アプローチ層 皮膚の表面(表皮・真皮) 皮膚、筋肉、脂肪層 即時性 穏やか 比較的高い - ダイエットで痩せたら目の下のたるみもなくなりますか?
-
全身のダイエットで体重が落ちても、目の下の眼窩脂肪だけが都合よく減ることはほとんどありません。
むしろ、急激なダイエットで顔全体の脂肪が減ることで、皮膚が余ってしまい、かえって目の下のたるみやシワが目立ってしまうケースもあります。
目の下のたるみは、体重の増減とは別の問題として考える必要があります。
- 美容医療を受けるのが怖いです。他に方法はありませんか?
-
美容医療に抵抗があるお気持ちはよく分かります。まずはこの記事で紹介したような、生活習慣の見直しや正しいセルフケアを徹底することから始めてみてください。
特に紫外線対策は、今後のたるみ予防に大きな差を生みます。
その上で、やはり改善が見られず、どうしても気になるようであれば、情報収集の一環としてクリニックのカウンセリングを受けてみるのも一つの手です。
話を聞くだけでも、不安が解消されたり、新たな発見があったりするかもしれません。
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