顔のハリを取り戻し、たるみを改善!効果的なスキンケアと治療法

顔のハリが失われ、たるみが気になり始めると、実年齢より老けて見えたり疲れた印象を与えたりする場合があります。

「肌にハリを出したい」「顔のたるみを改善したい」と願う方は多いのではないでしょうか。

この記事では、顔のハリが失われる根本的な原因から、ご自宅で始められる効果的なスキンケア、生活習慣の見直し、そして美容皮膚科で受けられる専門的な治療法まで、幅広く解説します。

目次

なぜ顔のハリは失われるのか?たるみの根本原因

肌のハリは、皮膚の構造そのものによって支えられています。しかし、さまざまな要因が重なって、その構造が少しずつ変化し、ハリの低下やたるみにつながります。

加齢によるコラーゲンとエラスチンの減少

肌の真皮層には、肌の弾力を支える「コラーゲン」と、それを束ねる「エラスチン」という線維状のタンパク質が存在します。

これらが網目状のネットワークを形成することで、肌はハリと弾力を保っています。

しかし、年齢を重ねると、これらのタンパク質を生成する線維芽細胞の働きが衰え、コラーゲンやエラスチンが減少し、質も低下します。

その結果、肌を支える力が弱まり、たるみが生じます。

紫外線の影響と光老化

紫外線は、肌の老化を加速させる最大の外的要因です。「光老化」とも呼ばれ、長年にわたって紫外線を浴び続けると肌に深刻なダメージを与えます。

なかでも波長の長いUVAは真皮層にまで到達し、ハリを支えるコラーゲンやエラスチンを変性させたり、破壊したりします。

その結果、肌が弾力を失い、深いたるみやシワの原因となります。

  • コラーゲン・エラスチンの変性
  • 乾燥による小じわの発生
  • 肌のバリア機能の低下

乾燥が招くハリの低下

肌の表面にある角質層が水分で満たされていると、外部の刺激から肌を守り、キメの整ったハリのある状態を維持します。

しかし、肌が乾燥すると角質層の水分が失われ、バリア機能が低下します。これが原因で肌が弾力を失い、表面的な小じわやハリ不足を感じるようになります。

乾燥はあらゆる肌トラブルの引き金となるため、保湿はハリを保つ上で基本です。

ハリ不足が引き起こす見た目の変化

ハリが不足すると、ほうれい線やマリオネットラインが深くなったり、フェイスラインがぼやけて二重あごに見えたりと、見た目に直接的な変化が生じます。

たるみ毛穴が目立つのも、ハリ不足のサインの一つです。

ほうれい線やマリオネットラインが目立つ

頬の皮膚や脂肪が重力によって下がると、小鼻の横から口角にかけての「ほうれい線」や、口角から顎にかけての「マリオネットライン」が深く刻まれます。

これらはたるみの代表的なサインであり、顔の印象を大きく左右します。

フェイスラインがぼやける

頬や顎周りの皮膚がたるむと、顔と首の境界線であるフェイスラインが曖昧になります。

シャープさが失われ、いわゆる「二重あご」に見えたり、顔全体が大きく見えたりする原因となります。横顔のシルエットにも大きな影響を与えます。

たるみ毛穴の原因

毛穴の開きにはいくつかのタイプがありますが、ハリ不足によるものは「たるみ毛穴」と呼ばれます。

加齢によって肌の弾力が失われると毛穴を支える力が弱まり、重力に引かれて毛穴が涙のようなしずく型に伸びてしまいます。

ファンデーションが毛穴に落ちやすくなるのも、このタイプの特徴です。

見た目の変化主な原因与える印象
ほうれい線頬の皮膚・脂肪の下垂老けた印象、疲れた印象
フェイスラインの乱れ頬・顎周りの皮膚のゆるみ顔が大きく見える、不機嫌な印象
たるみ毛穴皮膚の弾力低下肌がキメ粗く見える

自宅で始めるハリ改善スキンケア

毎日のスキンケアは、肌のハリを維持し、たるみを予防するための基本です。

まずは徹底した保湿で肌の土台を整え、レチノールやペプチドといった美容成分を取り入れましょう。

保湿の徹底が基本

肌のハリを保つためには、角質層を水分で満たし、バリア機能を正常に保つケアが大切です。

化粧水で水分を十分に与えた後、乳液やクリームなどの油分を含むアイテムで蓋をして、水分の蒸発を防ぎましょう。

セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンといった保湿成分が配合された化粧品を選ぶのが効果的です。

ハリをサポートする美容成分の選び方

スキンケア製品を選ぶ際は、ハリや弾力に働きかける成分に注目しましょう。

これらの成分は肌の内側からハリをサポートし、エイジングサインの進行を緩やかにする手助けをします。

ハリケアに有効な美容成分

美容成分期待できる働き使用上のポイント
レチノールコラーゲン生成を助け、ターンオーバーを整える刺激を感じる場合があるため少量から試す
ビタミンC誘導体コラーゲン生成を助け、抗酸化作用を持つ保湿成分と一緒に使うと効果的
ペプチドコラーゲンやエラスチンの生成を助け、ハリ・弾力を与える酸性成分との併用は避ける
ナイアシンアミドコラーゲン生成を助け、バリア機能をサポートさまざまな製品に配合され、取り入れやすい

正しい洗顔とクレンジング方法

肌に摩擦を与えることは、たるみを助長する一因です。日常生活で肌への摩擦が最も起きやすいのはクレンジングや洗顔です。

メイクを落とす際はクレンジング剤をたっぷりと使い、肌をこすらずに優しくなじませます。

洗顔料はしっかりと泡立て、泡をクッションにして肌の上を転がすように洗いましょう。熱いお湯は肌の潤いを奪うため、ぬるま湯ですすぐのが基本です。

ハリを取り戻す生活習慣のポイント

肌のハリを内側からサポートするためには、タンパク質やビタミンを中心とした栄養バランスの良い食事、肌の修復を促す質の良い睡眠、そして血行を促進する適度な運動が大切です。

栄養バランスの取れた食事

肌を作る材料となるタンパク質や、肌の健康を保つビタミン、ミネラルのバランス良い摂取が重要です。

なかでも、コラーゲンの材料となるタンパク質や、その生成を助けるビタミンCは積極的に摂りたい栄養素です。

ハリのある肌を作る栄養素

栄養素働き多く含まれる食材
タンパク質肌やコラーゲンの材料となる肉、魚、卵、大豆製品
ビタミンCコラーゲンの生成を助ける、抗酸化作用ピーマン、ブロッコリー、キウイ
ビタミンA皮膚や粘膜の健康を維持するレバー、うなぎ、緑黄色野菜

質の良い睡眠の重要性

睡眠中には、肌のダメージを修復し、再生を促す成長ホルモンが分泌されます。特に、眠り始めの深い睡眠時に多く分泌されるため、睡眠の「質」を高める工夫が大切です。

就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのを控え、リラックスできる環境を整えましょう。

  • 毎日同じ時間に就寝・起床する
  • 寝室を暗く、静かで快適な温度に保つ
  • 就寝前のカフェインやアルコールを避ける

ストレス管理と適度な運動

過度なストレスは、ホルモンバランスの乱れや血行不良を引き起こし、肌のターンオーバーを妨げる原因となります。そのため、自分に合った方法でストレスを発散させましょう。

また、ウォーキングなどの適度な運動は血行を促進し、肌の隅々まで栄養を届ける助けになります。

表情筋を意識して動かすエクササイズも、たるみ予防に効果的です。

あなたのたるみはどのタイプ?自己診断と対策

たるみは、原因によって大きく3つのタイプに分けられます。紫外線や乾燥による「表皮性たるみ」、脂肪が垂れ下がる「脂肪性たるみ」、そして表情筋が衰える「筋肉性たるみ」です。

多くの人がこれらのタイプを複合的に持っていますが、どの傾向が強いかを把握すると自分に合った改善策を見つけやすいです。

皮膚のゆるみによる「表皮性たるみ」

主に紫外線や乾燥のダメージが蓄積し、肌表面の弾力が失われるために生じます。肌のキメが乱れ、全体的にしぼんだような印象になります。

比較的初期段階のたるみで、スキンケアや生活習慣の見直しによる改善が期待しやすいタイプです。

脂肪の下垂による「脂肪性たるみ」

加齢や急激な体重の増減によって、皮下脂肪を支える組織がゆるみ、脂肪が重力に負けて垂れ下がってしまう状態です。

ほうれい線やマリオネットラインが深く目立つ、フェイスラインが崩れるといった特徴があります。

このタイプはセルフケアだけでの改善が難しく、専門的な治療が効果を発揮しやすいです。ご自身の頬を触ってみて、厚みを感じる場合はこの傾向が強いかもしれません。

筋肉の衰えによる「筋肉性たるみ」

加齢や無表情でいる時間が多い生活によって、顔の表情を作る「表情筋」が衰えるのが原因です。

皮膚や脂肪を支える土台である筋肉が弱るため、全体的に皮膚が垂れ下がります。

顔のエクササイズなどが有効ですが、間違った方法はかえってシワを深くする場合もあるため注意が必要です。

たるみタイプ別特徴のまとめ

たるみタイプ主な原因推奨されるアプローチ
表皮性たるみ紫外線・乾燥保湿、紫外線対策、ハリを与える成分でのケア
脂肪性たるみ脂肪の増加・下垂HIFUや高周波治療、糸リフトなど
筋肉性たるみ表情筋の衰え表情筋エクササイズ、HIFUなど

美容皮膚科で受けられる効果的なハリ・たるみ治療

セルフケアでは改善が難しいと感じるたるみには、美容皮膚科での専門的な治療が有効です。

HIFU(ハイフ)や高周波(RF)などの照射治療、ヒアルロン酸注入、そして物理的に引き上げる糸リフトなど、たるみの原因に直接働きかける治療法があります。

高周波(RF)治療

高周波(ラジオ波)の熱エネルギーを皮膚の深層部に届け、コラーゲンの生成を促す治療です。

皮膚表面へのダメージが少なく、ダウンタイムがほとんどないのが特徴です。肌全体の引き締めや、ハリ感のアップ、小じわの改善に効果が期待できます。

HIFU(ハイフ)治療

高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)の略で、超音波のエネルギーをSMAS(スマス)筋膜という皮膚の土台となる層にまで届け、熱で収縮させて強力なリフトアップ効果をもたらします。

フェイスラインの引き上げなど、より深いたるみに効果的です。

注入治療(ヒアルロン酸・コラーゲンブースター)

ヒアルロン酸などを注入し、へこみや溝を物理的に埋めたり、リフトアップさせたりする治療法です。ほうれい線や頬のこけなど、部分的な悩みに素早く対応できます。

また、自身のコラーゲン生成を促す「コラーゲンブースター」と呼ばれる注入剤も、肌全体のハリを取り戻す治療として注目されています。

主な注入治療の種類

薬剤の種類特徴持続期間の目安
ヒアルロン酸ボリュームを補い、溝を埋める半年~2年程度
コラーゲンブースター自身のコラーゲン生成を促進する1年以上

糸リフト(スレッドリフト)

医療用の溶ける糸を皮下に挿入し、物理的に皮膚を引き上げる治療です。フェイスラインや頬のたるみを強力にリフトアップする効果が期待できます。

糸の周りでコラーゲンが生成されるため、肌のハリ感アップにもつながります。

治療法ごとの特徴とダウンタイムの比較

たるみ治療を選ぶ上では、各治療法の特徴を正しく理解することが大切です。

例えば、HIFUは肌の土台から、高周波は皮膚全体を引き締めるなど、作用する層や期待できる効果、ダウンタイムがそれぞれ異なります。

照射系治療(HIFU・高周波)の比較

HIFUと高周波はどちらも熱エネルギーを利用する治療ですが、作用する深さが異なります。

HIFUはSMAS筋膜という深い層に働きかけて土台から引き上げるのに対し、高周波は真皮層に働きかけて皮膚全体を引き締めます。

たるみの状態に応じて使い分けたり、組み合わせたりします。

HIFUと高周波(RF)の比較

治療法作用する層特に効果的な悩み
HIFU(ハイフ)SMAS筋膜(深い層)フェイスラインの引き上げ
高周波(RF)真皮層(浅い層)肌全体の引き締め、ハリ感アップ

注入治療と糸リフトの比較

注入治療はボリュームを補うのが得意で、糸リフトは組織を引き上げるのが得意です。

頬がこけている場合はヒアルロン酸でふっくらさせ、フェイスラインのもたつきが気になる場合は糸リフトで引き上げるなど、悩みに応じて選択します。

両方を組み合わせれば、より自然で効果的なリフトアップが可能です。

治療を選ぶ際の注意点

美容医療を受ける際は、事前のカウンセリングが非常に重要です。

効果だけでなく、リスクやダウンタイム、費用についてもしっかりと説明を受け、納得した上で治療に臨みましょう。

  • 実績のあるクリニックを選ぶ
  • カウンセリングで疑問点をすべて解消する
  • 費用体系が明確であるか確認する

治療後の効果を長持ちさせるアフターケア

美容医療で得られた効果をできるだけ長く維持するためには、治療後のセルフケアが重要です。日々の少しの心がけが、数年後の肌を大きく変えます。

施術後の保湿と紫外線対策

治療後の肌は、一時的に敏感になっている場合があります。刺激の少ない化粧品でいつも以上に丁寧に保湿を行い、肌のバリア機能をサポートしましょう。

また、紫外線はたるみの原因となるだけでなく、色素沈着のリスクも高めるため、季節を問わず日焼け止めの徹底が大切です。

内側からのケアで効果を維持

治療後もバランスの取れた食事や質の良い睡眠など、健康的な生活習慣を続けると、肌の良い状態を保てます。

特に、抗酸化作用のあるビタミン類や、肌の材料となるタンパク質を意識して摂取しましょう。

定期的なメンテナンスのすすめ

たるみ治療の効果は永久ではありません。効果を持続させるためには、定期的なメンテナンス治療を検討するのが良いでしょう。

どのくらいの頻度でどのような治療を受けるのが望ましいか、医師と相談して長期的なプランを立てるのがおすすめです。

顔のハリとたるみに関するよくある質問

顔のハリを取り戻して、たるみをアップさせるためには、保湿やハリをサポートする美容成分の使用、摩擦を避けた洗顔や紫外線対策、バランスの良い食事や質の良い睡眠が有効です。

ただ、セルフケアにはどうしても限界がありますので、セルフケアを数カ月続けても改善できないハリ低下やたるみにお悩みの方は、美容医療を検討してみましょう。

たるみ治療は何歳から始めるべきですか?

何歳からという決まりはありません。たるみが気になり始めた時が、治療を検討するタイミングです。

予防的な観点から、20代後半~30代前半で照射系の治療などを始める方も増えています。早めにケアを始めると、将来的なたるみの進行を緩やかにすることが期待できます。

治療の効果はどのくらい続きますか?

治療法や個人差によって大きく異なります。

例えば、HIFUや高周波の効果は半年から1年程度、ヒアルロン酸注入は種類によりますが半年から2年程度が目安です。糸リフトは1年から2年程度持続するケースが多いです。

効果を持続させるためには、定期的なメンテナンスが重要です。

治療中に痛みはありますか?

高周波治療は温かい感覚がある程度ですが、HIFUは骨に近い部分で響くような痛みを感じる場合があります。注入治療や糸リフトは麻酔を使用するため、痛みは大幅に軽減されます。

痛みの感じ方には個人差があるため、心配な方はカウンセリング時に医師にご相談ください。

セルフケアだけでたるみは改善しますか?

スキンケアや生活習慣の見直しは、たるみの予防や初期段階のハリ不足には非常に効果的です。

しかし、すでに進行してしまったたるみや、皮下脂肪・筋膜が原因のたるみをセルフケアだけで元に戻すのは困難です。

セルフケアを基本としながら、必要に応じて専門的な治療を組み合わせることが、効果的な改善への近道です。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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