頬の引き上げ&引き締め術!たるみのないシャープなフェイスラインへ

頬の引き上げ&引き締め術!たるみのないシャープなフェイスラインへ

頬の位置が下がったように感じたり、フェイスラインがぼんやりしてきたと感じたりする方が多いようです。

ほうれい線やマリオネットラインが目立つようになると、実年齢よりも老けて見えてしまう原因にもなります。頬のたるみは多くの方の悩みですが、その原因や状態は一人ひとり異なります。

この記事では、頬の「引き上げ」と「引き締め」という二つの方法の違いを明確にし、美容皮膚科で受けられる代表的な治療法を詳しく解説します。

目次

頬のたるみの原因は一つではない

頬のたるみは、年齢を重ねると誰もが感じる変化の一つですが、その原因は単純ではありません。

皮膚や脂肪、筋肉や骨など複数の要因が複雑に絡み合って、徐々に進行していきます。

なぜ頬はたるむのか?主な要因

頬がたるむ背景には、主に3つの大きな要因があります。

一つ目は、皮膚の弾力低下です。加齢や紫外線の影響で、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンが減少し、質も変化します。皮膚が薄く伸びやすくなるため、重力に負けて垂れ下がってきます。

二つ目は、皮下脂肪の変化です。年齢とともに顔の脂肪は増減し、特定の部分(頬など)に集まって重くなったり、逆にこめかみなどが痩せて影ができたりします。この脂肪の重さや移動がたるみを助長します。

三つ目は、表情筋やそれを支える土台(SMAS筋膜)の衰えです。皮膚や脂肪を支えている筋肉や筋膜がゆるむとその上にある組織全体を支えきれなくなり、下方向へとたるんでいきます。

皮膚・脂肪・筋肉|それぞれの層で起こる変化

たるみは、顔の表面から深い層まで、多層的に進行します。

最も外側にある「皮膚(表皮・真皮)」では、前述の通りコラーゲンの減少でハリが失われます。その下にある「皮下脂肪」は加齢によってボリュームが変化し、下垂します。

さらに深い層にある「SMAS(スマス)筋膜」という線維性の膜は、皮膚と筋肉をつなぐ重要な土台ですが、このSMAS筋膜がゆるむのが、たるみの根本的な原因の一つと考えられています。

最も深い層の「筋肉(表情筋)」も使わなければ衰え、皮膚や脂肪を支える力が弱まります。

たるみの層別アプローチ

主な変化アプローチ例
皮膚(真皮層)コラーゲン・エラスチンの減少・変性高周波(RF)、HIFU(浅い層)
皮下脂肪脂肪の増大・下垂・偏在HIFU(深い層)、脂肪溶解注射
筋膜(SMAS)SMASのゆるみ、支持力の低下HIFU(最深層)、糸リフト

セルフケアでできることとその限界

たるみ対策として、日々のスキンケアやマッサージ、表情筋トレーニングに取り組むのは非常に大切です。

保湿を徹底して乾燥を防ぎ、紫外線対策を毎日行う習慣は、皮膚の老化を遅らせる上で重要です。また、美顔器やマッサージで血行を促進し、筋肉を刺激すると一定の予防効果は期待できます。

しかし、これらのセルフケアは、主に「これ以上たるみを進行させない」ための予防や、「肌のハリ感を一時的に改善する」が中心です。

すでにゆるんでしまったSMAS筋膜や、下垂してしまった皮下脂肪を、セルフケアだけで元の位置に戻す(引き上げる)のは残念ながら困難です。

根本的な解決を目指すには、医療の力が必要になる場合が多いのです。

「引き上げ」と「引き締め」はどう違う?

たるみ治療を考える際、「引き上げ(リフトアップ)」と「引き締め(タイトニング)」という言葉をよく耳にします。似ているようですが、この二つは方法と目的が異なります。

ご自身の悩みに合わせて、どちらが必要なのかを理解しておきましょう。

「引き上げ(リフトアップ)」とは

「引き上げ」とは、重力によって下垂した皮膚や脂肪、筋膜などの組織を物理的に上の位置に持ち上げることです。

フェイスラインのもたつきや、ほうれい線、マリオネットラインなど、すでに「垂れ下がっている」状態をはっきりと改善したい場合に用います。

代表的な治療法は、糸リフト(スレッドリフト)や、外科的なフェイスリフト手術です。目に見える形態的な変化を求める方、即時的な効果を望む方に適した方法です。

「引き締め(タイトニング)」とは

「引き締め」とは、皮膚や皮下組織に熱エネルギーなどを加え、組織を収縮させる働きかけです。

主に、加齢によってゆるんだ皮膚の真皮層にあるコラーゲン線維を熱で縮ませたり、新しいコラーゲンの生成を促したりします。

その結果、肌全体のハリ感や弾力が向上し、毛穴の開きや小じわの改善、フェイスラインのゆるやかな引き締め効果が期待できます。

「たるみ」とまではいかないが「ゆるみ」が気になる方、肌質から改善したい方に適しています。代表的な治療法は、HIFU(ハイフ)や高周波(RF)治療です。

あなたの希望はどっち?目的別選び方ガイド

「引き上げ」と「引き締め」、どちらがご自身に適しているかは、現在の悩みによって判断します。

例えば、フェイスラインが大きく崩れている、深いシワが刻まれているという場合は、まず「引き上げ」が必要です。

一方で、大きな崩れはないが肌全体のハリがなく、触ると柔らかくゆるんでいる、毛穴が目立つという場合は「引き締め」が優先されるでしょう。

実際には多くの方が両方の悩みを併せ持っており、「引き締め」で土台を整えつつ、「引き上げ」で形態を改善するという、複合的な治療が最も効果的な場合も多いです。

目的別のアプローチ例

目的主な悩み代表的な施術
引き上げ (リフトアップ)フェイスラインの大きなたるみ、マリオネットライン糸リフト、外科的フェイスリフト
引き締め (タイトニング)肌のゆるみ、毛穴の開き、全体的なハリ不足、小じわHIFU、高周波(RF)
両方全体的なたるみ、ほうれい線、フェイスラインの崩れHIFU+糸リフト、HIFU+注入治療など

【引き締め術】HIFU(ハイフ)によるアプローチ

近年、メスを使わないたるみ治療として非常に人気が高いのがHIFU(ハイフ)です。

主に「引き締め」効果を目的として行われますが、SMAS筋膜に作用するため、土台からのリフトアップ効果も期待できます。

HIFU(高密度焦点式超音波)とは

HIFUは「High-Intensity Focused Ultrasound」の略で、日本語では「高密度焦点式超音波」といいます。

この技術は、虫眼鏡で太陽光を集めて一点を熱するように、超音波エネルギーを皮膚の特定の深さに集中させて照射します。

皮膚の表面にはダメージを与えずに、狙った層(主に真皮層やSMAS筋膜)だけにピンポイントで熱エネルギーを届けられます。

もともとは医療分野でがん治療などに使われていた技術を、美容医療に応用したものです。

HIFUが効果を発揮する仕組み

HIFUの効果は、二段階で現れます。まず、照射によってSMAS筋膜や真皮層が熱凝固(たんぱく質が熱で縮むこと)を起こします。

この作用で組織が即時的に収縮し、「引き締まり」を感じます。これが第一段階の効果です。

次に、熱でダメージを受けた組織を修復しようとする「創傷治癒」の働きが始まります。この過程で、線維芽細胞が活性化し、新しいコラーゲンやエラスチンが大量に生成されます。

このコラーゲン増生は数ヶ月かけて続き、肌のハリや弾力が徐々にアップし、長期的な「引き締め」と「リフトアップ」効果をもたらします。これが第二段階の効果です。

メリットと注意点

HIFUの最大のメリットは、メスを使わずに、たるみの根本原因であるSMAS筋膜にまで働きかけられる点です。

また、皮膚表面に傷がつかないため、ダウンタイムがほとんどなく、施術直後からメイクをして帰宅できます。

一方で、注意点もあります。施術中は、超音波が骨に響くような、特有の鈍い痛みを感じる場合があります。また、顔の脂肪が非常に少ない方が受けると、頬がこけて見えるケースがあります。

どの深さに、どれくらいの強さで照射するか、医師の診断と技術が重要です。

HIFUのメリットと注意点

項目内容
主なメリットメスを使わない、ダウンタイムがほぼない、SMAS筋膜に届く
主な注意点施術中に特有の痛みあり、脂肪が少ないとこける可能性

HIFU施術の流れとダウンタイム

まず、医師が診察し、たるみの状態や骨格、脂肪のつき方を確認して、HIFUが適しているか、どの層を狙うべきかを判断します。

施術当日は、洗顔後、照射部位にジェルを塗布し、超音波を照射していきます。施術時間は全顔で30分から60分程度です。

施術直後は、赤みや軽い腫れ、ほてり感が出る場合がありますが、通常は数時間から数日で治まります。施術当日から入浴やメイクも可能です。

数日から数週間、触ると筋肉痛のような圧痛を感じる方もいますが、日常生活に大きな支障はありません。

【引き上げ術】糸リフト(スレッドリフト)によるアプローチ

フェイスラインのもたつきを物理的に「引き上げたい」というご希望が強い方には、糸リフト(スレッドリフト)が適しています。即時的な変化が分かりやすい治療法です。

糸リフトとは

糸リフトは、コグと呼ばれる小さなトゲ(返し)がついた特殊な医療用の糸をこめかみや側頭部などから皮下(主に皮下脂肪層)に挿入し、たるんだ皮膚や脂肪組織を引っかけて持ち上げる治療法です。

使用する糸は、時間とともに体内に吸収される「溶ける糸」が主流です。糸の素材や形状、コグのつき方によって、引き上げ力や持続期間が異なります。

糸リフトが効果を発揮する仕組み

糸リフトの効果は、二つの作用によってもたらされます。

一つは、挿入した糸のコグが皮下組織にしっかりと食い込み、それを引き上げる「物理的なリフトアップ効果」です。

この作用によって施術直後からフェイスラインがシャープになり、ほうれい線やマリオネットラインが浅くなる変化を実感できます。

もう一つは、挿入された糸の刺激により、その周囲でコラーゲンやエラスチンの生成が促進される「肌のハリ・弾力アップ効果」です。

糸が吸収された後も、この自己組織の増生によって、リフトアップ効果が一定期間持続します。

メリットと注意点

糸リフトのメリットは、なんといってもその即時的な「引き上げ」効果の実感しやすさです。

メスを使うフェイスリフト手術に比べて体への負担が少なく、ダウンタイムも短いながら、しっかりとたるみを持ち上げられます。

また、挿入する本数や方向を調整すると、希望のフェイスラインをデザインしやすい点も特徴です。

注意点としては、HIFUと比べるとダウンタイムが必要な点です。施術後、腫れや内出血、痛み、そして糸での引き上げによる「引きつれ感」や凹凸が数日〜数週間続くケースがあります。

また、糸を挿入する層や方向が適切でないと、効果が出にくかったり、不自然な仕上がりになったりする可能性があるため、医師の技術と経験が非常に重要です。

糸リフトの一般的な経過

期間主な状態や症状
施術直後引き上がりを実感。麻酔による腫れや違和感あり。
~1週間腫れ、痛み、内出血のピーク。引きつれ感や凹凸が出やすい。
2週~1ヶ月大きな腫れや痛みは落ち着く。徐々に組織が馴染み、自然になる。
1ヶ月~ほぼ完成。コラーゲン生成も進み、肌のハリも向上する。

糸リフトの種類と選び方

現在主流の「溶ける糸」には、いくつかの素材があります。PDO(ポリジオキサノン)は、吸収されるまでの期間が比較的短く(約半年〜1年)、しっかりとしたリフト力を出しやすい特徴があります。

PCL(ポリカプロラクトン)は、吸収がゆっくりで(約2〜3年)、柔軟性があるため、自然な仕上がりが期待できます。PLLA(ポリ乳酸)も、持続性が高く、コラーゲン生成能力が高いとされています。

どの糸が適しているかは、たるみの程度や皮膚の厚さ、希望する仕上がりによって異なります。医師とのカウンセリングで、ご自身に合った糸の種類を相談しましょう。

その他の頬引き締め・引き上げ治療法

HIFUや糸リフト以外にも、頬のたるみには多様な治療法があります。

皮膚表面の引き締めに効果的な「高周波(RF)」、ボリューム調整や筋肉の働きを制御する「注入治療」、脂肪を減らす「脂肪溶解注射」などがあり、単体または組み合わせて治療します。

高周波(RF)治療

高周波(RF=ラジオ波)治療は、HIFUと同様に熱エネルギーを利用する「引き締め」治療です。

HIFUがSMAS筋膜など深い層に点状に熱を加えるのに対し、高周波(RF)は、主に皮膚の真皮層や脂肪層など、より広い範囲に均一に熱を加えます。

この熱によってコラーゲン線維が収縮し、即時的な引き締め効果が得られます。さらに、HIFUと同様に創傷治癒の過程でコラーゲンが長期的に増生され、肌のハリや弾力がアップします。

HIFUほどの深さはありませんが、皮膚表面のゆるみや小じわ、毛穴の開きなど、肌質の改善に効果を発揮します。代表的な機器には「サーマクール」や「ポテンツァ」などがあります。

注入治療(ヒアルロン酸・ボトックス)

注入治療も、たるみ改善に有効な手段です。

ヒアルロン酸注入は、たるみによってボリュームが失われた部分(こめかみ、頬骨の上、顎先など)に注入し、土台から顔全体を立体的に持ち上げる(リフトアップさせる)ために用います。

ほうれい線などの溝を直接埋めるだけでなく、リフトアップに必要なポイントに注入すると間接的にたるみを改善します。

一方、ボトックス注入は、筋肉の働きを弱める作用を利用します。

フェイスラインを引き下げる働きのある「広頚筋(こうけいきん)」の働きをボトックスで弱め、相対的に顔を引き上げる「ボトックスリフト(ネフェルティティリフト)」という手法があります。

主な注入治療の比較

治療法主な目的アプローチ
ヒアルロン酸ボリューム補充・間接的リフトアップたるみで生じた凹みや影を補い、支えを作る
ボトックス (リフト目的)フェイスラインの引き上げ首から顔を引き下げる筋肉の働きを弱める

脂肪溶解注射

頬やあご下に余分な脂肪がついていると、その重みでたるみが助長されます。このような「脂肪下垂タイプ」のたるみには、脂肪溶解注射が有効です。

脂肪を溶解する成分(デオキシコール酸など)を局所に注射して脂肪細胞そのものを破壊し、体外へ排出させます。脂肪のボリュームが減ってフェイスラインがすっきりし、たるみが改善します。

HIFUや糸リフトの前に脂肪を減らしておけば、これらの治療効果を高められます。

代表的な脂肪溶解注射の成分

  • デオキシコール酸(BNLSアルティメット、カベリンなど)
  • フォスファチジルコリン
  • 植物由来ハーブエキス

あなたの「たるみ方」診断とアプローチ法

たるみ治療を成功させる鍵は、「自分のたるみタイプ」を正確に知ることです。

たるみは「皮膚ゆるみ」「脂肪下垂」「筋肉衰え」「骨格痩せ」などに分類でき、タイプによってHIFUが適しているか、注入治療が優先されるかなど、選ぶべき方法が異なります。

ご自身のタイプを知り、適した治療を選びましょう。

鏡でチェック!あなたのたるみはどのタイプ?

鏡を用意して、ご自身の顔を正面から、そして少し斜めからじっくりと観察してみてください。

たるみの現れ方には、その人の骨格や脂肪のつき方、長年の生活習慣が反映されています。

たるみタイプセルフチェック

タイプ主な特徴考えられる主な原因
皮膚ゆるみタイプ皮膚表面のハリがなく薄い感じ。小じわや毛穴の開きも目立つ。コラーゲン減少、紫外線ダメージ、乾燥
脂肪下垂タイプ頬全体が重く、丸顔。ほうれい線やマリオネットラインが深い。皮下脂肪の増加・下垂、SMASのゆるみ
筋肉衰えタイプフェイスラインがぼんやり。口角が下がり気味で不機嫌に見えがち。表情筋の衰え、SMASのゆるみ
骨格痩せタイプ頬がこけて見える。頬骨やこめかみの下が影になりやすい。加齢による骨の萎縮、脂肪の減少

タイプ別の本当に必要な「引き上げ」と「引き締め」

上記のタイプ別に、適したアプローチは異なります。

「皮膚ゆるみタイプ」の方は、まず皮膚のコラーゲンを増やす取り組みが重要です。HIFU(浅い層)や高周波(RF)治療による「引き締め」が中心となります。

「脂肪下垂タイプ」の方は、重さの原因である脂肪への働きかけと、SMAS筋膜の「引き締め」が必要です。

HIFU(深い層)や、場合によっては脂肪溶解注射を併用し、さらに糸リフトで物理的に「引き上げる」と効果的です。

「筋肉衰えタイプ」の方も、SMAS筋膜への働きかけが重要です。HIFUによる「引き締め」や、糸リフトによる「引き上げ」が適しています。

「骨格痩せタイプ」の方は、HIFUや糸リフトだけでは、かえってこけ感が強調される場合があります。ヒアルロン酸注入で土台となるボリュームを補い、支えを作ると「引き上げ」につながります。

見落としがちな「骨格」と「歯」の影響

たるみは皮膚だけの問題ではありません。実は、その土台となる「骨格」や、「歯」の状態もフェイスラインに大きく影響します。

例えば、もともと顎が小さい方や頬骨が平坦な方は、皮膚や脂肪を支える土台が小さいため、たるみが出やすい傾向があります。

また、加齢によって顔の骨自体も萎縮していくため、土台がさらに小さくなり、皮膚が余ってたるんできます。

さらに、噛み合わせの悪さや、奥歯の欠損を放置していると、顔の片側だけ筋肉の使い方が変わり、左右非対称なたるみの原因になる場合もあります。

美容医療のカウンセリングでは、こうした骨格や背景も考慮して治療計画を立てることが重要です。

生活習慣が「引き上げ」効果の持続を左右する

美容医療で頬を引き上げ、引き締めた後も、その効果を長く維持するためには日々の生活習慣が非常に重要です。

せっかく治療を受けても、たるみを促進する習慣を続けていては、効果の持続期間が短くなってしまいます。

たるみを悪化させる可能性のある習慣

  • スマートフォンの長時間使用(下向き姿勢は首のシワや二重あご、フェイスラインのたるみを招きます)
  • 片側だけで食べ物を噛む癖(顔の筋バランスが崩れます)
  • 糖質や脂質の過剰摂取(肌の糖化や酸化を招き、コラーゲンの質を低下させます)
  • 不十分な紫外線対策
  • 睡眠不足

クリニックでは施術後の効果を最大限に高め、維持していただくために、こうした生活習慣に関するアドバイスも積極的に行っています。

施術の組み合わせで高める「引き上げ&引き締め」効果

頬のたるみは複数の原因が重なっているため、単一の治療よりも複数の施術を組み合わせる(コンビネーション治療)ほうが効果を期待できます。

HIFUと糸リフト、HIFUと注入治療など、異なる層に異なる作用で働きかけると満足度を高めやすいです。

HIFUと糸リフトのコンビネーション

これは、たるみ治療の「王道」とも言える組み合わせです。

まずHIFUを照射し、たるみの土台であるSMAS筋膜と真皮層を熱で「引き締め」ます。この働きで顔全体のゆるみが改善し、土台が安定します。

その上で、糸リフトを挿入し、HIFUだけでは持ち上げきれない下垂した脂肪や皮膚を物理的に「引き上げ」ます。HIFUで土壌を耕し、糸リフトで支柱を立てるイメージです。

引き締めと引き上げの両方が実現するため、たるみが進行している方にも効果が期待できます。

HIFUと注入治療(ヒアルロン酸・ボトックス)

HIFUで顔全体を引き締めた後、ボリュームが足りない部分や影が目立つ部分(こめかみ、頬、顎など)にヒアルロン酸を注入する組み合わせも非常に有効です。

HIFUで土台が引き締まっているため、少量のヒアルロン酸でも効果的にリフトアップし、立体感のある若々しい印象を作れます。

また、HIFUとボトックスリフトを組み合わせれば、SMAS筋膜からの引き締めと、広頚筋のゆるめによる引き上げという、二重のリフトアップ効果を狙えます。

治療を受ける順番と間隔

コンビネーション治療を行う場合、施術の順番や間隔が重要です。どの施術を先に行うか、どれくらい期間を空けるかは、使用する機器や糸の種類、医師の方針によっても異なります。

例えば、HIFUと糸リフトを同日に行うクリニックもありますが、一般的にはHIFUの熱による引き締め効果が安定してから(例えば1ヶ月後)糸リフトを行うほうがより効果的でダウンタイムも管理しやすいという考え方もあります。

ヒアルロン酸注入はHIFUの熱で変性する可能性があるため、HIFUを先に行い、数週間空けてから注入するのが一般的です。

施術の順番と間隔(一例)

組み合わせ推奨される順番(例)間隔の目安(例)
HIFU + 糸リフトHIFUが先HIFU後 1ヶ月~
HIFU + ヒアルロン酸HIFUが先HIFU後 2週間~1ヶ月後
糸リフト + HIFU糸リフトが先糸リフト後 3~6ヶ月後(糸が安定してから)

組み合わせ治療の費用相場

コンビネーション治療は単体で受けるよりも費用は高くなりますが、多くの場合、トータルでの満足度は高くなります。

クリニックによっては、HIFUと糸リフトなどを組み合わせたお得なプランを用意している場合もあります。

費用は、使用するHIFUのショット数、糸の本数、ヒアルロン酸の使用量などによって大きく変動します。

カウンセリングの際に、ご自身の予算を伝えた上で、適した治療プランの見積もりを出してもらいましょう。

後悔しないクリニック選びのポイント

頬の引き上げ・引き締め治療は、どのクリニックで受けても同じ結果が出るわけではありません。特に糸リフトやHIFUは、医師の技術や診断力によって効果が大きく左右されます。

大切なご自身の顔を任せるクリニックは、慎重に選びたいものです。

「頬の引き上げ」の症例経験が豊富な医師か

たるみ治療、特に糸リフトは、解剖学的な知識と豊富な経験が必要です。どの層に、どの方向へ、何本の糸を挿入すれば最も効果的で自然な仕上がりになるかは、医師の技術力と美的センスにかかっています

HIFUも同様で、たるみの原因を見極め、骨格や脂肪のつき方に合わせて照射の深さや出力を細かく調整する必要があります。

クリニックのウェブサイトで、たるみ治療の症例写真や、担当医師の経歴、専門性を確認しましょう。

複数の治療選択肢を提案してくれるか

たるみの原因が人それぞれである以上、治療法も一つだけが正解ということはありえません。

HIFUしか置いていない、あるいは糸リフトばかりを勧める、というクリニックではなく、HIFU、高周波、糸リフト、注入治療など、たるみ治療の選択肢を幅広く備えているクリニックが望ましいです。

その上で、ご自身の状態に合わせて「あなたの場合はHIFUとヒアルロン酸の組み合わせが良いでしょう」といったプランを提案してくれるクリニックを選びましょう。

カウンセリングでの丁寧な説明

カウンセリングは、医師がご自身の悩みを理解し、信頼関係を築くための重要な時間です。流れ作業のように短い時間で終わらせるのではなく、時間をかけて丁寧に診察してくれるかどうかがポイントです。

ご自身の悩みをしっかりと聞いた上で、なぜたるんでいるのか、どの治療がなぜ適しているのかを、分かりやすく説明してくれる医師を選びましょう。

また、効果だけでなく、痛みやダウンタイム、リスクや費用についても、隠さず明確に説明してくれることが信頼の証です。

アフターフォロー体制の確認

施術を受けて終わり、ではありません。特に糸リフトなどは、施術後に不安な点が出てくる場合もあります。

施術後の検診がしっかり組まれているか、万が一、強い痛みや腫れ、左右差などが生じた場合に迅速かつ誠実に対応してくれる体制が整っているかを確認しましょう。

施術後のケアや緊急時の連絡先などを明確に示してくれるクリニックは安心です。

頬の引き上げ&引き締め術に関するよくある質問

頬の引き上げや引き締めには、HIFUや糸リフト、高周波や注入などの治療法があります。単独でも効果を実感できますが、原因や状態によってはコンビネーション治療が向いているケースもあります。

可能であれば複数のクリニックのカウンセリングを受けて、自分に最も合うところで施術を受けましょう。

HIFUや糸リフトはどれくらい痛いですか?

痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの場合、麻酔を使用してコントロール可能です。

HIFUは、チリチリとした熱感や、特に骨に近い部分(顎や額)でズーンと響くような鈍い痛みを感じる場合があります。

糸リフトは、局所麻酔の注射の痛みと、糸を挿入する際の違和感、術後にズキズキとした痛みや引きつれ感を数日〜1週間程度感じる場合があります。

多くのクリニックでは痛みを最小限に抑えるため、冷却装置や麻酔クリーム、局所麻酔などを適切に使用し、患者さんの負担を軽減するよう努めています。

施術後、いつから効果を実感できますか?

効果の現れ方は、施術法によって異なります。糸リフトは、施術直後から物理的に組織が引き上げられるため、最も変化を実感しやすい治療です。

ただし、直後は麻酔や腫れの影響もあり、完全に馴染んで自然な仕上がりになるまでには1〜2ヶ月程度かかります。

HIFUは、施術直後から熱収縮による「引き締まり」を感じる方もいますが、主な効果はコラーゲンが増生される1〜3ヶ月後に徐々に現れ、ピークを迎えます。

高周波(RF)も同様に、直後の引き締め感と、長期的なハリ感アップの二段階で効果が現れます。

効果はどれくらい持続しますか?

持続期間も、施術法や使用する機器・糸の種類、そして個人の体質や生活習慣によって変わってきます。

一般的な目安として、HIFUの効果は半年〜1年程度です。糸リフト(溶ける糸)の効果は、糸の種類にもよりますが、1年〜2年程度持続するものが多いです。

ただし、これらの治療は加齢そのものを止めるものではありません。

効果が薄れてきたと感じる前に、定期的にメンテナンス治療(例えばHIFUを半年に1回、糸リフトを1〜2年に1回など)を受けると、良い状態を長く維持できます。

ダウンタイムはどれくらい必要ですか?

ダウンタイムは、HIFUや高周波(RF)治療ではほとんどありません。

施術直後に赤みや軽い腫れ、ほてり感が出るケースがありますが、通常は数時間〜数日で治まります。当日からメイクも可能で、日常生活への支障はほぼないと言えます。

一方、糸リフトはダウンタイムが数日〜2週間程度必要です。主な症状は、腫れや痛み、内出血や口の開けにくさ、引きつれ感や皮膚表面の凹凸などです。

内出血はメイクでカバーできますが、大きな腫れや痛みは最初の数日〜1週間がピークとなる方が多いです。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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