メスを使わずに顔の印象を変えたい、シワやたるみを手軽に改善したいと考える人にとって、「ヒアルロン酸注入」は非常に魅力的な選択肢です。
この「切らない整形」は、ダウンタイムがほとんどなく、施術直後から変化を実感しやすいため人気を集めています。
しかし、どの部位に注入できるのか、効果はどれくらい続くのか、不安や疑問を持つ人も多いでしょう。
この記事では、ヒアルロン酸注入で人気の部位やそれぞれの特徴、気になる効果の持続期間、そして施術を受ける前に知っておきたい基本情報を詳しく解説します。
切らない整形「ヒアルロン酸注入」とは?
ヒアルロン酸注入は、もともと人間の体内に存在する「ヒアルロン酸」という成分を主原料とした製剤を、皮膚の下に注入する美容医療の施術です。
メスを使わずにシワやくぼみを改善したり、顔の特定の部分にボリュームを与えたりできるため、「切らない整形」や「プチ整形」の代表格として広く知られています。
ヒアルロン酸注入の基本的な仕組み
ヒアルロン酸は、水分を保持する能力(保水力)が非常に高い成分です。1グラムで約6リットルもの水分を抱え込むことができると言われています。
肌のハリや弾力は、このヒアルロン酸やコラーゲンなどによって支えられています。
年齢とともに体内のヒアルロン酸が減少すると肌がハリを失い、シワやたるみ、くぼみが目立つようになります。ヒアルロン酸注入は、この失われたヒアルロン酸を外から直接補う施術です。
シワやくぼみが気になる部分に注入すると、ヒアルロン酸が皮膚を内側から持ち上げ、溝を浅くします。
また、鼻や唇、額などに注入すると、その部分にボリュームを与え、形を整えることが可能です。物理的にボリュームを出すため、施術直後から変化を実感しやすいのが大きな特徴です。
なぜ「切らない整形」と呼ばれるのか
ヒアルロン酸注入が「切らない整形」と呼ばれる最大の理由は、その名の通り、メス(手術用の刃物)を一切使用しない点にあります。施術は、非常に細い注射針を使ってヒアルロン酸製剤を注入するだけです。
皮膚を切開する外科手術(いわゆる本格的な整形手術)とは異なり、施術時間は10分から30分程度と短時間で終わります。また、皮膚を切らないため縫合の必要がなく、大きな傷跡が残る心配もありません。
施術直後にメイクをして帰宅できる場合がほとんどで、日常生活への影響が最小限で済む手軽さが、多くの人に選ばれる理由となっています。
美容医療におけるヒアルロン酸の役割
美容医療の分野で、ヒアルロン酸は主に2つの役割を担います。
1つめは「失われたボリュームの補充」です。加齢によってこけてしまった頬や、深くなったほうれい線、目の下のくぼみなどに注入し、ふっくらとした若々しい印象を取り戻します。
2つめは「ボリュームの追加と輪郭の形成」です。涙袋をぷっくりさせたり唇に厚みを持たせたり、鼻筋を通したり丸みのある額を作ったりと、元々の顔立ちにプラスアルファの魅力を加える目的で使用します。
このように、ヒアルロン酸はシワ改善からパーツの形成まで、幅広く対応できる非常に汎用性の高い成分です。
ヒアルロン酸の種類と特徴
一口にヒアルロン酸と言っても、注入に使用する製剤には多くの種類があります。これらは、主に「硬さ」と「持続期間」によって使い分けられます。
例えば、皮膚の浅い層にある細かなシワには柔らかい製剤を、鼻筋やあごのラインをシャープに形成したい場合には硬い製剤を選ぶのが一般的です。
硬い製剤ほど体内で吸収されにくく、持続期間が長くなる傾向があります。
主なヒアルロン酸製剤の硬さと適応部位
| 製剤の硬さ | 主な適応部位 | 特徴 |
|---|---|---|
| 柔らかい | 目元、唇、皮膚の浅いシワ | 肌になじみやすく、自然な仕上がり。持続期間はやや短め。 |
| 中間 | ほうれい線、頬、額 | ボリュームアップに適し、汎用性が高い。 |
| 硬い | 鼻、あご、フェイスライン | 形成力が高く、シャープなライン作りに使用。持続期間が長い。 |
医師が患者さんの希望する仕上がりや注入部位の皮膚の状態、骨格に合わせて製剤を選択します。
ヒアルロン酸注入で人気の部位トップ5
ヒアルロン酸注入は顔のさまざまな部位に適用できますが、特に悩みを持つ人が多く、施術を希望する人気の部位があります。
1位|ほうれい線(鼻唇溝)
顔の悩みとして最も多くの人が挙げるのが「ほうれい線」です。小鼻の横から口角にかけて伸びるこの線は、年齢とともに深く刻まれやすく、老けた印象や疲れた印象を与える原因となります。
ほうれい線の溝にヒアルロン酸を注入すると皮膚が内側から持ち上がり、線が浅くなります。顔の中心にあるため、ここの印象が変わるだけで、顔全体が若々しく明るい印象になる効果が期待できます。
2位|涙袋(目の下)
目のすぐ下にあるぷっくりとした膨らみ(涙袋)は、目を大きく見せたり、優しく愛らしい印象を与えたりする要素として人気があります。
もともと涙袋がない人や、左右差がある人が、ヒアルロン酸を注入して涙袋を形成するケースが増えています。目元の印象を大きく変えられるため、特に若い世代からの支持が厚い部位です。
3位|唇(ボリュームアップ・形状)
薄い唇をふっくらとさせたり、唇の形を整えたりする施術も人気です。加齢によって唇がやせて縦ジワが目立つようになった場合にも、ヒアルロン酸注入は有効です。
唇にボリュームを持たせると、顔全体が華やかでセクシーな印象になります。また、口角が上がって見えるように注入(口角リフト)すれば、常に微笑んでいるような明るい表情を作ることも可能です。
4位|鼻(隆鼻・鼻筋)
メスを使わずに鼻を高くしたい、鼻筋を通したいという希望を叶えられるのが、鼻へのヒアルロン酸注入です。鼻根部(目と目の間の部分)や鼻筋に注入して、シュッとしたシャープな鼻立ちを形成します。
プロテーゼ(シリコン)を挿入する外科手術に抵抗がある人でも、注射だけで手軽に試せる点が大きな魅力です。ただし、鼻先を細くしたり、小鼻を小さくしたりする効果は限定的です。
5位|額(丸み・しわ改善)
意外と年齢が出やすいのが「額」です。加齢によって骨が萎縮し、額が平らになったり、横ジワが刻まれたりします。
額にヒアルロン酸を注入すると、丸みのある女性らしい(あるいは男性らしいゴツゴツ感を和らげる)おでこを形成できます。
また、皮膚にハリが出るため、表情を作っていなくても目立つ横ジワの改善にもつながります。
部位別に見る効果と特徴
ヒアルロン酸注入で得られる具体的な効果は、人気の部位それぞれに異なります。
顔の印象を左右する「ほうれい線」へのアプローチ
ほうれい線の治療では、単に溝を埋めるだけがすべてではありません。ほうれい線が深くなる原因は、皮膚のたるみや、頬の脂肪が下がってくることにもあります。
そのため、ほうれい線の溝そのものに注入するだけでなく、頬の高い位置(チーク)にヒアルロン酸を注入して、顔全体をリフトアップさせる方法(リフトアップ注入)を併用する場合があります。
その結果、ほうれい線が根本的に目立ちにくくなり、より自然な仕上がりが期待できます。
目元を華やかにする「涙袋」形成
涙袋の形成は、非常に繊細な技術が求められる部位です。皮膚が薄く血管も多いため、内出血のリスクが他の部位よりやや高い傾向にあります。
また、注入量が多すぎると不自然に膨らみすぎたり「ナメクジが乗っているよう」と揶揄される状態になったりする可能性があります。
自然な仕上がりのためには、一度に多く注入せず、少し物足りない程度から始めるのが賢明です。柔らかく、なじみの良い製剤を使用するのが一般的です。
人気部位別のお悩みと期待できる変化
| 人気部位 | 主なお悩み | 期待できる変化 |
|---|---|---|
| ほうれい線 | 老けて見える、疲れて見える | シワが浅くなり、若々しい印象になる |
| 涙袋 | 目が小さい、印象が薄い | 目が大きく見え、優しく愛らしい目元になる |
| 唇 | 唇が薄い、縦ジワが目立つ | ふっくらと魅力的な唇になる、口角が上がる |
魅力的な口元を作る「唇」への注入
唇への注入は単にボリュームを出すだけでなく、デザイン性が問われる施術です。
「M字リップ」と呼ばれる上唇のラインを強調するデザインや、上下のバランスを整える注入、アヒル口のようにキュッと上向きにする注入など、希望に応じてさまざまな形を作れます。
唇は非常に敏感な部位であるため、痛みを強く感じやすい場所でもあります。そのため、麻酔クリームや、製剤自体に麻酔薬が含まれているものを使用するケースがほとんどです。
施術直後は腫れやすいですが、数日で落ち着きます。
メスを使わない「鼻」の整形
鼻への注入は、外科手術(隆鼻術)と比較して、ダウンタイムが圧倒的に短いのがメリットです。
硬めのヒアルロン酸を使用して骨の上に注入し、まるで骨格そのものが変わったかのようなシャープなラインを出せます。
ただし、注意点もあります。鼻は血管が複雑に走行しているため、万が一、血管内に製剤が詰まる(塞栓)と、皮膚壊死や失明といった重篤な合併症を引き起こすリスクがゼロではありません。
経験豊富で、解剖学を熟知した医師のもとで施術を受けることが非常に重要です。
若々しい印象を与える「額」の丸み出し
丸みのある額は、横顔の美しさ(Eライン)にも大きく貢献します。額にヒアルロン酸を注入すると、光をきれいに反射するようになり、肌全体がツヤっぽく見える効果もあります。
額は面積が広いため、他の部位に比べて使用するヒアルロン酸の量が多くなりがちです。また、ボコボコしないように均一に注入するには高い技術が必要です。
表情ジワが強い場合は、ヒアルロン酸注入と同時にボツリヌストキシン注射(ボトックスなど)を併用し、筋肉の動きを抑える治療を行うときもあります。
ヒアルロン酸の効果持続期間
ヒアルロン酸注入の効果は永久ではありません。注入されたヒアルロン酸は、時間の経過とともに体内に少しずつ吸収されていきます。そのため、効果を維持するためには定期的な再注入が必要です。
効果はどのくらい続くのか?(平均的な目安)
ヒアルロン酸の効果持続期間は、使用する製剤の種類、注入した部位、そして個人の体質(代謝の速さなど)によって大きく異なります。
一般的な目安として、比較的柔らかい製剤(涙袋や唇に使用)では約半年から1年程度です。
一方で、ほうれい線や頬に使用する中程度の硬さの製剤では約1年から1年半、鼻やあごに使用する硬い製剤では約1年半から2年程度持続するものもあります。
ただし、これらはあくまで目安であり、すべての人に当てはまるわけではありません。
持続期間に影響を与える要因
持続期間が変わる要因はいくつかあります。
まず「注入部位」です。唇や口元のように、よく動かす部位はヒアルロン酸の吸収が早くなる傾向があります。逆に、額や鼻のようにあまり動かさない部位は、効果が長持ちしやすいと言われています。
次に「個人の体質」です。代謝が活発な人(運動をよくする人、若い人など)は、ヒアルロン酸の吸収も早い傾向があります。
「生活習慣」も関係します。施術後に強くマッサージしたり、過度な飲酒や長時間のサウナなどで血行が良くなりすぎたりすると、吸収が早まる可能性が指摘されています。
製剤(ヒアルロン酸)の種類と持続性の関係
持続期間を決定づける最も大きな要因は「製剤の種類」です。ヒアルロン酸製剤は、体内で長持ちするように「架橋(かきょう)」という技術でヒアルロン酸の分子同士を結合させています。
この架橋が密であるほどヒアルロン酸は硬くなり、分解されにくく(吸収されにくく)なります。つまり、「硬い製剤=持続期間が長い」傾向があります。
製剤の硬さと持続期間の目安
| 製剤の硬さ | 持続期間の目安 | 主な注入部位 |
|---|---|---|
| 柔らかい | 約6ヶ月〜1年 | 涙袋、唇、皮膚の浅いシワ |
| 中間 | 約1年〜1年半 | ほうれい線、頬、額 |
| 硬い | 約1年半〜2年 | 鼻、あご |
繰り返し注入する場合の適切な間隔
効果を維持したい場合、ヒアルロン酸が完全に吸収されて元の状態に戻る前に、追加で注入(タッチアップ)するのがおすすめです。
ヒアルロン酸が残っている状態で追加注入すると、土台がしっかりしているため、より少ない注入量で効果を維持できます。
また、繰り返し注入すると、ヒアルロン酸の周囲にコラーゲン線維が増生(コラーゲンブースト効果)され、持続期間が初回よりも長くなるとも言われています。
適切な間隔は部位や製剤によりますが、一般的には前回の施術から半年から1年後を目安に、医師と相談しながら決めます。
短期間に過剰な注入を繰り返すと、不自然な仕上がり(パンパンな顔)になるため注意が必要です。
ヒアルロン酸注入のメリットと注意点
手軽さが魅力のヒアルロン酸注入ですが、他の医療行為と同様に、メリットと注意すべき点(リスク)の両方が存在します。施術を受ける前には、両者を正しく理解しておきましょう。
メリット|ダウンタイムが短い・修正が可能
最大のメリットは、やはり「ダウンタイム」が非常に短い点です。施術当日からメイクや洗顔が可能で、日常生活にほとんど支障をきたしません。
まれに注射部位に内出血や腫れが出る場合がありますが、数日から1週間程度で自然に消えていきます。
もう一つの大きなメリットは、「修正が可能」である点です。
万が一、仕上がりが気に入らなかった場合や、凸凹ができてしまった場合、「ヒアルロニダーゼ」というヒアルロン酸を分解する酵素の注射を使うと、注入したヒアルロン酸を溶かして元の状態に戻す(あるいは減らす)ことができます。
この可逆性が、外科手術にはない大きな安心材料となっています。
注意すべきリスクや副作用
ヒアルロン酸注入は比較的安全性の高い施術とされていますが、医療行為である以上、リスクや副作用がゼロではありません。
最も一般的に見られるのは、施術時の痛みや注射部位の内出血、赤みや腫れ、わずかなしこり感などです。これらは一時的なもので、多くは数日以内に軽快します。
まれではありますが、注意が必要なのは「アレルギー反応」です。ヒアルロン酸自体は体内に存在する成分ですが、製剤に含まれる架橋剤や麻酔薬に対してアレルギーを起こす可能性があります。
さらに、頻度は非常に低いものの、最も重篤な合併症として「血管塞栓」があります。
誤って血管内にヒアルロン酸が注入されると、その先の血流が途絶え、皮膚の壊死や、目周辺の血管の場合は失明に至る危険性があります。
考えられる副作用とその発生頻度
| 副作用・リスク | 発生頻度 | 対処法・経過 |
|---|---|---|
| 内出血・腫れ・赤み | 比較的よくある | 数日〜1週間程度で自然に消失。メイクでカバー可能。 |
| 痛み | 施術中・直後 | 麻酔クリームや冷却で軽減。通常は数時間で落ち着く。 |
| アレルギー反応 | まれ | 赤みや腫れが長引く。抗アレルギー薬の投与や分解注射が必要。 |
| 血管塞栓(皮膚壊死・失明) | 非常にまれ | 緊急の処置(分解注射など)が必要。 |
施術を受けられない人の条件
安全に施術を受けるため、以下に該当する人はヒアルロン酸注入を受けられない、あるいは慎重な判断が必要です。
- 妊娠中・授乳中の人
- 注入希望部位に皮膚炎や感染がある人
- 過去にヒアルロン酸製剤や麻酔薬でアレルギーを起こした人
また、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を内服中の人は、内出血のリスクが高まるため、事前に医師への申告が必要です。
持病がある場合や、他の美容施術(レーザー治療など)を受けている場合も、必ずカウンセリングで相談してください。
施術の流れとクリニック選びのポイント
ヒアルロン酸注入で満足のいく結果を得るためには、施術そのものだけでなく、信頼できるクリニックや医師を選ぶことが非常に重要です。
カウンセリングから施術当日までの流れ
多くのクリニックでは、以下のような流れで施術が進みます。
予約・カウンセリング
まずは電話やウェブで予約を取ります。当日は、医師または専門カウンセラーによるカウンセリングが行われます。
現在の悩みや希望する仕上がりを具体的に伝え、施術方法、リスク、費用などについて十分な説明を受けます。
診察・デザイン
医師が肌の状態や骨格を診察します。希望の仕上がりに基づき、どの部位にどれくらいの量を注入するかを決定し、マーキング(デザイン)を行います。
同意・会計
施術内容と見積もりに納得したら、同意書に署名し、会計を済ませます(クリニックによっては後会計の場合もあります)。
施術
メイクを落とし、注入部位を消毒します。痛みが不安な場合は、麻酔クリームや笑気麻酔などを使用します(別途料金の場合あり)。
デザインに沿って、医師がヒアルロン酸を注入していきます。施術時間は部位にもよりますが、10〜30分程度です。
施術後
注入部位を軽く冷却(クーリング)して終了です。鏡で仕上がりを確認し、問題がなければすぐに帰宅できます。
施術後の過ごし方とアフターケア
施術当日は、激しい運動や長時間の入浴、サウナや過度な飲酒は避けてください。これらは血行を促進し、腫れや内出血を悪化させる可能性があります。シャワーや洗顔は当日から可能です。
施術後数日間は、注入部位を強くこすったり、マッサージしたりしないでください。製剤が移動したり、形が崩れたりする原因になります。内出血が出た場合は、冷やすと早く引きやすくなります。
多くのクリニックでは、万が一のトラブルに備えて、アフターケアや保証制度を設けています。
施術後に強い痛みや腫れ、皮膚の色の変化など、異常を感じた場合はすぐに施術を受けたクリニックに連絡してください。
失敗しないためのクリニック・医師選び
ヒアルロン酸注入は、医師の技術や美的センスによって仕上がりが大きく左右されます。「どこで受けても同じ」ではありません。
重要なのは、解剖学的な知識が豊富で、注入経験の多い医師を選ぶことです。特に鼻や目元など、リスクの高い部位の施術を希望する場合は、より慎重な選定が必要です。
また、カウンセリングの丁寧さも重要です。こちらの希望をしっかり聞いてくれるか、リスクやデメリットも隠さず説明してくれるか、複数の選択肢を提示してくれるかなど、医師との相性も確認しましょう。
料金の安さだけで選ぶのは避けるべきです。
クリニック選びの比較ポイント
| 比較ポイント | チェックする内容 | 重要度 |
|---|---|---|
| 医師の経験・技術 | 症例写真、認定医資格の有無、口コミ | ★★★(非常に重要) |
| カウンセリング | 丁寧さ、リスク説明の有無、質問のしやすさ | ★★★(非常に重要) |
| 使用する製剤 | 厚生労働省承認の製剤か、種類は豊富か | ★★☆(重要) |
| 料金体系 | 明確か、アフターケア費用は含まれているか | ★☆☆(確認が必要) |
ヒアルロン酸注入の費用相場
ヒアルロン酸注入は自由診療(保険適用外)のため、クリニックによって料金が異なります。費用は「使用する製剤の種類」と「注入量(cc)」によって決まるのが一般的です。
部位別・製剤別の費用目安
費用は、安価な製剤(主に海外製・未承認薬)と、高価な製剤(厚生労働省承認品など、持続期間が長いもの)で大きく差が出ます。
例えば、ほうれい線の場合、安価な製剤であれば1ccあたり3万円〜5万円程度、高品質で持続性の高い製剤であれば1ccあたり7万円〜10万円程度が相場となるケースが多いです。
また、「部位ごと」で料金が設定されているクリニックもあります(例:涙袋 5万円、鼻 6万円など)。
注入量(cc)による価格の違い
当然ながら、注入する量が増えれば、その分費用も高くなります。例えば、1cc=8万円の製剤をほうれい線に両側で2cc使用した場合、16万円となります。
自分のお悩みを改善するのに、どれくらいの量が目安として必要なのか、カウンセリング時にしっかり確認しておきましょう。
部位別の一般的な注入量と費用相場(1cc=8万円の製剤の場合)
| 部位 | 一般的な注入量(目安) | 費用相場(目安) |
|---|---|---|
| ほうれい線(両側) | 1.0cc 〜 2.0cc | 8万円 〜 16万円 |
| 涙袋(両側) | 0.2cc 〜 0.5cc | 4万円 〜 7万円 ※ |
| 鼻(鼻筋) | 0.5cc 〜 1.0cc | 6万円 〜 8万円 |
| 唇(上下) | 0.5cc 〜 1.0cc | 6万円 〜 8万円 |
| 額 | 2.0cc 〜 4.0cc | 16万円 〜 32万円 |
※涙袋など使用量が少ない部位では、1本(1.0cc)の買い取り制となり、費用が上記と異なる場合があります。
なぜクリニックによって価格が異なるのか
価格差が生まれる主な理由は、使用するヒアルロン酸製剤の「仕入れ価格」の違いです。
厚生労働省の承認を受けている製剤や、高品質で持続期間が長い製剤は、仕入れコストが高くなるため、施術料金も高くなる傾向があります。
また、クリニックの立地(家賃)、広告宣伝費、医師の技術料、アフターケアの手厚さなども料金に反映されます。
極端に安い料金設定のクリニックには注意が必要です。コスト削減のために、安全性が確認されていない安価な製剤を使用していたり、経験の浅い医師が施術を担当したりする可能性も考えられます。
安全性と価格のバランスを見極めましょう。
よくある質問
ヒアルロン酸注入は、切らない整形として人気の施術です。ほうれい線の凸凹を改善したり、涙袋や鼻、唇の形を整えたりする効果を実感できます。
ただし、どの位置にどれくらいの深さで、どのような量を注入するのかで仕上がりが変わりますので、経験豊富な信頼できるクリニックを選ぶようにしましょう。
- 施術中の痛みはありますか?
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注射針を刺すチクッとした痛みと、製剤が入ってくる感覚(押されるような感覚)があります。
痛みの感じ方には個人差がありますが、多くのクリニックでは極細の針を使用したり、麻酔クリームや冷却を行ったりしながら痛みを最小限に抑える工夫をしています。
製剤自体に麻酔薬が含まれているものも多く、我慢できないほどの強い痛みではありません。
- 施術後すぐにお化粧はできますか?
-
施術直後からメイクをしてお帰りいただけます。ただし、注射針を刺した箇所は非常に小さな傷口になっているため、当日はその部分を避けてメイクするか、清潔を保つようにしてください。
また、しばらくの間は施術部位を強くこすったり、マッサージしたりするのは避けてください。
- 効果が実感できるのはいつからですか?
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ヒアルロン酸注入は、物理的にボリュームを出す施術のため、施術直後から変化を実感できます。
ただし、施術直後は麻酔の影響や注入によるわずかな腫れが出る場合があります。最終的に製剤がなじみ、完成した仕上がりになるのは、1週間から2週間後が目安です。
- 気に入らなかった場合元に戻せますか?
-
元に戻せるのがヒアルロン酸注入の大きな利点の一つです。
仕上がりがイメージと違った、凸凹してしまった、注入量が多すぎたと感じた場合、「ヒアルロニダーゼ」というヒアルロン酸を分解する酵素を注射すると、注入したヒアルロン酸を溶かし、元の状態に戻す(あるいは減らす)ことが可能です。
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