鏡を見るたびに気になる、フェイスラインのゆるみや頬の下がり。この「頬のたるみ」は、年齢とともに多くの方が直面する悩みです。
原因は一つではなく、加齢による肌弾力の低下や、顔の筋肉「表情筋」の衰えが大きく関係しています。
しかし諦める必要はなく、効果的な表情筋の筋トレやエクササイズを日々の習慣に取り入れると、頬の位置を引き上げて若々しい印象を取り戻すことが期待できます。
この記事では、頬のたるみが起こる原因から、自宅でできる効果的な表情筋トレーニング、さらにはその効果を高めるためのポイントまで、専門的な観点から詳しく解説します。
頬のたるみが生まれる根本原因とは?
頬のたるみは、見た目の印象を大きく左右する要因です。
多くの人が「年齢のせい」と考えがちですが、その原因は複雑に絡み合っています。
加齢による肌の弾力低下
肌のハリや弾力を支えているのは、皮膚の真皮層に存在するコラーゲンやエラスチン、そしてヒアルロン酸です。
これらの成分は、肌を内側から支えるバネやクッションのような役割を果たしています。
しかし、年齢を重ねると、これらの成分を生成する線維芽細胞の働きが鈍くなります。結果として、コラーゲンやエラスチンは減少し、質も変化してしまいます。
肌内部の構造が弱くなるために、皮膚は重力に抗う力を失い、たるみとして現れるのです。
肌の弾力を支える主要成分
成分名 | 主な役割 | 加齢による変化 |
---|---|---|
コラーゲン | 肌のハリと構造を支える | 量・質ともに低下し、硬くなる |
エラスチン | 肌の弾力性を保つ | 減少し、弾力を失う |
ヒアルロン酸 | 水分を保持し、潤いを保つ | 生成量が減少し、乾燥しやすくなる |
表情筋の衰えと顔の構造
顔には約30種類以上もの表情筋があり、これらの筋肉が複雑に作用しあって豊かな表情を作り出しています。
体の筋肉と同様に、表情筋も使わなければ衰えます。現代人は無表情で過ごす時間が長くなる傾向があり、表情筋が十分に動かされていないケースが多いです。
表情筋は皮膚や皮下脂肪を直接支える土台の役割を担っています。この土台である筋肉が衰えると、その上にある脂肪や皮膚を支えきれなくなり、雪崩のように下へ下へと落ちてきてしまいます。
これが、頬のたるみやほうれい線の原因となるのです。
生活習慣がたるみを加速させる
日々の何気ない習慣が、知らず知らずのうちに頬のたるみを悪化させている可能性があります。
例えば、スマートフォンを長時間うつむいた姿勢で見ると首から顔にかけての筋肉に負担をかけ、たるみを助長します。
また、食事の際に片側の歯ばかりで噛む癖は顔の筋肉のバランスを崩し、左右非対称のたるみにつながる場合があります。
急激なダイエットによる体重の増減も、皮膚が伸縮に追いつかず、たるみの原因となり得ます。
たるみを招く可能性のある生活習慣
- 長時間のスマートフォン操作
- 猫背や頬杖をつく癖
- 片側だけで食べ物を噛む
- 睡眠不足や不規則な生活
紫外線ダメージの蓄積
紫外線は、肌の老化を促進する最大の外的要因であり、「光老化」として知られています。
なかでも紫外線A波(UVA)は肌の奥深く真皮層にまで到達し、コラーゲンやエラスチンを変性させて破壊します。
この紫外線によるダメージが長年にわたって蓄積すると肌が弾力を失い、深刻なたるみやシワを引き起こします。
日々の紫外線対策を怠ることは、肌の土台を自ら脆くしているのと同じなのです。季節や天候に関わらず、一年を通して紫外線対策を行うようにしましょう。
なぜ表情筋トレーニングが頬のたるみに効果的なのか
頬のたるみに対して、なぜ表情筋のトレーニングが有効なのでしょうか。その理由は、顔の構造と筋肉の働きにあります。
表情筋を鍛えると、単に筋肉を動かす以上の効果を顔にもたらします。
筋肉の土台を強化してリフトアップ
顔の皮膚や脂肪は、その下にある表情筋によって支えられています。表情筋は、骨と皮膚に直接つながっている「皮筋」という特徴を持ちます。
このため、表情筋が衰えると重力の影響で皮膚や脂肪が下がり、たるみが生じます。
表情筋トレーニングは、この土台となる筋肉を直接鍛える働きかけです。筋肉に厚みと弾力が戻ると、その上にある脂肪や皮膚をしっかりと支え、持ち上げる力が向上します。
この結果、フェイスラインが引き締まり、頬の位置が高くなるリフトアップ効果が期待できるのです。
頬のリフトアップに関わる主要な表情筋
筋肉名 | 位置 | 主な働き |
---|---|---|
大頬骨筋 | 頬骨から口角にかけて | 口角を斜め上に引き上げる(笑顔を作る) |
小頬骨筋 | 大頬骨筋の内側 | 上唇を引き上げる |
口輪筋 | 口の周りを囲む | 口を閉じたり、すぼめたりする |
血行促進で肌にハリとツヤを
筋肉を動かすとその周辺の血管が刺激され、血行が促進されます。これは表情筋も例外ではありません。表情筋トレーニングを行うと、顔全体の血流が良くなります。
血液は肌細胞に必要な酸素や栄養素を運び、老廃物を回収する重要な役割を担っています。血行が良くなると肌の隅々まで栄養が行き渡り、細胞の生まれ変わりであるターンオーバーが正常化します。
これによって肌に自然なハリとツヤが生まれ、くすみが改善されて顔色も明るくなります。
表情筋トレーニングはたるみ改善だけでなく、肌質全体の改善にもつながるのです。
リンパの流れを改善しむくみ解消
顔には多くのリンパ管やリンパ節が集中しています。リンパ液は、体内の余分な水分や老廃物を回収して運ぶ役割がありますが、血流と違って心臓のようなポンプ機能がないため、筋肉の動きによって流れが促されます。
表情筋がこり固まっていたり、衰えていたりすると、リンパの流れが滞りやすくなります。この滞りが顔のむくみの原因です。
むくみが慢性化するとフェイスラインがぼやけ、たるんでいるような印象を与えます。
表情筋トレーニングによって筋肉をリズミカルに動かすとリンパの流れをスムーズにし、むくみを解消する助けとなります。顔がすっきりするため、よりシャープな印象を得られます。
始める前に確認!表情筋トレーニングの注意点
表情筋トレーニングは手軽に始められる一方、正しい方法で行わないと思わぬトラブルを招くケースもあります。
効果を最大限に引き出して安全に続けるために、いくつかの注意点を確認しておきましょう。
正しい方法で行うことの重要性
トレーニングの効果は、正しいフォームで行って初めて得られます。自己流でやみくもに顔を動かすとターゲットとすべき筋肉に効かないばかりか、意図しない部分に力が入り、新たなシワを作る原因になりかねません。
例えば、頬を上げるつもりが眉間にシワを寄せていたり、おでこに力が入っていたりするケースが多く見られます。
トレーニングを始める際は、鏡で自分の表情や筋肉の動きをしっかりと確認しながら、どこの筋肉を動かしているのかを意識しましょう。
トレーニング前の準備
- 顔や手を清潔にする
- リラックスできる環境を整える
- 鏡を用意して表情を確認する
やりすぎが逆効果になることも
「早く効果を出したい」と焦るあまり、トレーニングをやりすぎてしまうのは禁物です。
表情筋は非常に繊細な筋肉です。過度なトレーニングは筋肉を疲労させ、かえって顔をこわばらせたり、肌への摩擦によって皮膚を傷つけたりする可能性があります。
特に、乾燥した肌状態でトレーニングを行うと、シワを深く刻んでしまうリスクが高まります。
適度な回数と時間を守り、毎日少しずつでも継続するように心がけましょう。
トレーニングの頻度と時間に関する注意点
項目 | 推奨 | 避けるべきこと |
---|---|---|
頻度 | 毎日コツコツ続ける | 一度にまとめて長時間行う |
時間 | 1回あたり数分程度 | 筋肉が疲労するまで続ける |
強度 | 心地よい刺激を感じる程度 | 痛みを感じるほどの強い力 |
トレーニング前後のスキンケア
表情筋トレーニングは、スキンケアの一環として捉えるのが理想的です。トレーニング前には化粧水や乳液で肌を保湿し、滑りを良くしておくと余計な摩擦を防げます。
トレーニング後も、血行が良くなった状態で保湿ケアを行うと美容成分の浸透が高まりやすいです。
クリームやオイルなどを使い、優しくマッサージを加えて筋肉の緊張をほぐしてあげるのも良いでしょう。
この一連の流れがトレーニング効果を高め、健やかな肌を保つことにつながります。
効果を実感するまでの期間
表情筋トレーニングは、薬や手術のように即効性があるものではありません。体の筋トレと同じで効果を実感するまでにはある程度の期間が必要です。
個人差はありますが、一般的には毎日継続して1〜2ヶ月ほどで、フェイスラインの変化や肌のハリを感じ始める方が多いようです。
大切なのは、焦らずに正しい方法でコツコツと続けることです。「今日は少し顔がすっきりしているかも」といった小さな変化を見つけながら、楽しみながら続けていきましょう。
たるみタイプ別のトレーニングを効かせるコツ
「頬のたるみ」と一括りに言っても、その原因や現れ方は人それぞれです。一生懸命トレーニングをしても効果を感じにくい場合、自分のたるみタイプに合った働きかけができていないのかもしれません。
ここでは、たるみのタイプを見極め、より効果的にトレーニングを行うためのコツを紹介します。
皮膚のたるみが目立つ「皮膚たるみタイプ」
このタイプは、加齢や紫外線ダメージによって肌自体のハリや弾力が失われ、皮膚が余ってしまった状態です。指で頬をつまむと、薄く伸びやすいのが特徴です。
このタイプの方は、筋肉を鍛えるだけでなく、肌の弾力を取り戻す取り組みが重要になります。
トレーニングと並行して、コラーゲンやエラスチンの生成をサポートするスキンケアや栄養摂取を心がけましょう。
トレーニングでは、肌を強くこすったり引っ張ったりしないよう、特に注意が必要です。
脂肪の下垂が原因の「脂肪たるみタイプ」
もともと顔に脂肪がつきやすい方や、加齢で頬の脂肪(メーラーファットなど)が重力に負けて垂れ下がってくるタイプです。頬全体が重たく、下膨れに見えやすいのが特徴です。
このタイプの方は、表情筋をしっかりと鍛えて、脂肪を支える土台を強化するのが何よりも大切です。
頬を持ち上げる大頬骨筋や小頬骨筋をターゲットにしたエクササイズを重点的に行いましょう。
また、むくみもたるみを助長するため、塩分の多い食事を控える、リンパの流れを促すマッサージを取り入れるなどの対策も有効です。
筋肉の衰えによる「筋肉たるみタイプ」
もともとの骨格や脂肪の量はそれほどでもないのに、全体的にフェイスラインがぼやけ、疲れた印象に見えるタイプです。表情があまり豊かでない方や、急激なダイエットを経験した方に見られます。
このタイプは、表情筋トレーニングの効果が最も現れやすいと言えます。
顔全体の筋肉をバランスよく動かすように意識し、様々なトレーニングを組み合わせて行うのがおすすめです。
筋肉が正しく使えているか、鏡でしっかり確認しながら行いましょう。
あなたのたるみタイプは?簡易チェック
チェック項目 | 皮膚たるみ | 脂肪たるみ | 筋肉たるみ |
---|---|---|---|
頬をつまんだ感触 | 薄く伸びやすい | 厚みがあり、ふっくら | つまみにくい |
主な悩み | 小じわ、ハリ不足 | ほうれい線、マリオネットライン | フェイスラインのぼやけ |
有効なアプローチ | 肌の弾力ケア+優しい筋トレ | 脂肪を支える筋トレ+むくみケア | 顔全体の総合的な筋トレ |
自分のタイプを見極める簡単な方法
簡単なセルフチェックとして、仰向けに寝て手鏡で顔を見てみましょう。仰向けになると重力のかかり方が変わります。
このとき、立っている時と比べてたるみが大幅に改善されるように見えるなら、それは皮膚や脂肪のたるみが主な原因である可能性が高いです(皮膚・脂肪たるみタイプ)。
もし、仰向けになってもあまり変化がない場合は、筋肉自体の衰えが大きく影響していると考えられます(筋肉たるみタイプ)。
自分のタイプを大まかに把握すると、日々のケアやトレーニングで何を重視すべきかが見えてきます。
基本の頬リフトアップトレーニング【初級編】
まずは、表情筋トレーニングの基本となる、簡単で安全なエクササイズから始めましょう。
毎日続けやすい初級編のトレーニングを3つ紹介します。どこの筋肉を使っているか意識しながら、ゆっくりと丁寧に行うのがポイントです。
頬を膨らませる「風船トレーニング」
口の周りにある口輪筋と、頬の筋肉を内側から刺激するトレーニングです。
頬のたるみだけでなく、ほうれい線の予防にもつながります。血行を促進し、顔全体をウォームアップするのにも適しています。
風船トレーニングのやり方
- 口を閉じ、空気をたっぷりと含んで頬全体を風船のように大きく膨らませます。この状態で5秒間キープします。
- 次に、その空気を右の頬に集めて5秒間キープします。
- 同様に、左の頬に集めて5秒間キープします。
- 最後に、上唇と歯茎の間に空気を集めて5秒、下唇と歯茎の間に集めて5秒キープします。
- ゆっくりと息を吐き出します。この一連の流れを1セットとし、3セット行いましょう。
口角を上げる「スマイルトレーニング」
頬をリフトアップする主役の筋肉、大頬骨筋を直接鍛えるエクササイズです。
口角がキュッと上がった若々しい笑顔を作るためにも重要な筋トレです。
スマイルトレーニングのやり方
手順 | ポイント |
---|---|
1. 割り箸を横にして軽くくわえる | 前歯で軽く噛む程度。奥歯は噛み締めない。 |
2. 「い」の形に口を横に広げる | 口角が割り箸より上になるように意識する。 |
3. そのまま30秒~1分キープ | 頬の筋肉がプルプルと震えるのを感じる。 |
この体操は、頬の筋肉が使われていると実感しやすいのが特徴です。最初は短時間から始め、慣れてきたら徐々に時間を延ばしていきましょう。
舌を使った「舌回しエクササイズ」
口の中から舌で頬や唇の裏側を押すことで、顔の内側の筋肉や舌の筋肉(舌筋)を鍛える体操です。
二重あごの改善や、唾液の分泌を促す効果も期待できます。
舌回しエクササイズのやり方
- 口を閉じた状態で、舌先を歯茎の外側に沿わせるように、ゆっくりと大きく回します。
- 右回りに20回、次に左回りに20回行います。
最初は顎や舌の付け根が疲れるかもしれませんが、それは筋肉が使われている証拠です。無理のない範囲で、回数を調整しながら行ってみてください。
効果を高める応用トレーニング【中級・上級編】
基本のトレーニングに慣れてきたら、より高いリフトアップ効果を目指すための応用エクササイズに挑戦してみましょう。
複数の筋肉を連動させたり、普段あまり使わない筋肉を刺激したりすると、顔全体の印象をさらに引き上げられます。
側頭筋を刺激するトレーニング
側頭筋はこめかみから耳の上あたりに広がる大きな筋肉で、下顎を動かす際に使われます。
この筋肉は顔の皮膚を横から引き上げる役割も担っており、側頭筋が凝り固まると顔全体のたるみにつながります。ここをほぐし、鍛えることが重要です。
側頭筋アプローチ
手順 | ポイント |
---|---|
1. 奥歯をぐっと噛み締める | こめかみの部分で筋肉が硬くなるのを確認する。 |
2. 力を抜いてリラックスする | 1と2を10回ほど繰り返す。 |
3. 指の腹で側頭筋を優しくマッサージ | 円を描くように、心地よい強さでほぐす。 |
大頬骨筋と小頬骨筋を同時に鍛える
頬を立体的に見せ、高く引き上げるためには、大頬骨筋と小頬骨筋を連動させて鍛えると効果的です。
このトレーニングは、よりダイナミックな動きで頬を集中的に刺激します。
ウィンクトレーニング
- まず、片方の目を軽く閉じ、ウィンクをします。
- ウィンクした側の口角を、目の方向にぐっと引き上げます。頬の筋肉が収縮するのを意識してください。
- その状態で5秒間キープし、ゆっくりと元に戻します。
- 反対側も同様に行います。左右それぞれ10回ずつ繰り返しましょう。
この体操は、左右の筋肉のバランスを整えるのにも役立ちます。笑顔が左右非対称になりがちな方にもおすすめです。
目の周りの筋肉も意識した合わせ技
顔の筋肉はすべてつながっています。頬のリフトアップを目指すのであれば、目の周りの筋肉「眼輪筋」も同時に鍛えると、顔全体の印象がより若々しくなります。
眼輪筋の衰えは目の下のたるみにつながり、頬のたるみを一層強調してしまいます。
「びっくり顔」トレーニング
- 目を大きく見開き、同時に眉毛をぐっと引き上げます。おでこにシワが寄らないように注意してください。
- その状態で口を「お」の形に大きく開け、鼻の下を伸ばすように意識します。顔全体が縦に伸びるのを感じましょう。
- この状態を5秒間キープし、ゆっくりと力を抜きます。
- 5回繰り返します。
このトレーニングは、顔全体の筋肉を大きく動かすため、血行促進効果も非常に高いです。
トレーニング効果を維持するための日常生活のポイント
せっかく表情筋トレーニングを頑張っても、日々の生活習慣がたるみを助長するものであっては効果が半減してしまいます。
トレーニングの効果を最大限に引き出し、維持するためには、日常生活の見直しも大切です。
姿勢を正して顔の歪みを防ぐ
猫背やうつむき姿勢は首や肩の筋肉を緊張させ、顔への血流を悪くします。また、顔の重みが前方にかかるため、頬や顎のたるみを直接的に引き起こします。
常に頭のてっぺんから一本の糸で吊るされているようなイメージを持ち、背筋を伸ばすように意識しましょう。
座るときは骨盤を立て、深く腰掛けます。良い姿勢は、顔のたるみだけでなく、全身の健康にも良い影響を与えます。
良い姿勢のチェックポイント
- 耳、肩、腰が一直線になっているか
- 顎を引いているか
- PCやスマホの画面が目線の高さにあるか
バランスの取れた食事と栄養素
美しい肌や筋肉は、私たちが食べるものから作られます。
筋肉や肌の材料となるタンパク質、コラーゲンの生成を助けるビタミンC、抗酸化作用のあるビタミンEなどを積極的に摂取するのが望ましいです。
特定の食品に偏るのではなく、様々な食材をバランスよく取り入れた食生活が体の中からたるみを防ぐ力になります。
たるみケアに役立つ栄養素と食品
栄養素 | 主な働き | 多く含まれる食品 |
---|---|---|
タンパク質 | 筋肉や肌の主成分 | 肉、魚、卵、大豆製品 |
ビタミンC | コラーゲン生成を助ける | パプリカ、ブロッコリー、キウイ |
ビタミンA/E | 抗酸化作用、血行促進 | ナッツ類、かぼちゃ、アボカド |
質の高い睡眠で肌の再生を促す
睡眠中は成長ホルモンが分泌され、日中に受けた肌ダメージの修復や細胞の再生が行われるゴールデンタイムです。
睡眠不足が続くと、この修復作業が十分に行われず、肌のターンオーバーが乱れてたるみやくすみにつながります。
毎日決まった時間に就寝・起床するなど、生活リズムを整え、質の高い睡眠を確保するよう努めましょう。寝る前のスマートフォン操作はブルーライトが睡眠の質を低下させるため、控えるのが賢明です。
保湿と紫外線対策の徹底
肌の乾燥は、あらゆる肌トラブルの引き金になります。肌が乾燥しているとバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなるだけでなく、小じわやたるみが目立ちやすいです。
朝晩のスキンケアでは化粧水で水分を十分に与えた後、乳液やクリームなどの油分で蓋をして、水分の蒸発を防ぐのが基本です。
また、たるみの最大の外的要因である紫外線対策は、一年中欠かせません。日焼け止めを塗る習慣を徹底し、肌の土台を守りましょう。
頬のたるみトレーニングと美容医療の組み合わせ
セルフケアとしての表情筋トレーニングは非常に有効ですが、たるみが進行してしまった場合や、より早く確実な効果を求める方は、美容医療を視野に入れるのも一つの選択肢です。
トレーニングと治療を組み合わせると、相乗効果が期待できます。
セルフケアの限界と医療の役割
表情筋トレーニングは、主に筋肉の衰えに働きかける方法です。
しかし、たるみの原因が加齢によるコラーゲンの大幅な減少や、皮下脂肪の移動、骨格の変化にまで及んでいる場合、セルフケアだけで完全に元に戻すのは難しいのが現実です。
美容医療は肌の深層部や脂肪層、筋膜(SMAS)など、セルフケアでは届かない領域に直接作用し、たるみの根本原因に働きかけられます。
自分のたるみの状態を正しく診断し、適切な対処法を知る上で、専門家である医師の役割は非常に大きいと言えます。
トレーニングと相性の良い治療法
美容医療には様々な選択肢がありますが、表情筋トレーニングと組み合わせると効果を高めやすい治療法があります。
例えば、高周波(RF)や高密度焦点式超音波(HIFU/ハイフ)を用いた治療は、肌の深部に熱エネルギーを加えてコラーゲン生成を促し、肌を引き締める効果があります。
これらの治療で肌の土台を引き締めながら、日々のトレーニングで筋肉の機能を維持すると、より長期的で満足度の高い結果につながります。
また、ヒアルロン酸注入でボリュームが失われた部分を補い、トレーニングで表情を豊かに保つといった組み合わせも有効です。
専門家への相談が解決の近道
自分の頬のたるみがどのタイプで、どのようなケアが最も適しているのかを自己判断するのは簡単ではありません。誤ったケアは、かえって状態を悪化させる可能性もあります。
頬のたるみに本気で悩んでいるのであれば、一度、たるみ治療を専門とするクリニックでカウンセリングを受けてみるのがおすすめです。
専門の医師があなたの肌の状態や骨格を診察し、表情筋トレーニングの適切な指導から必要に応じた治療法の提案まで、総合的な観点からアドバイスを提供します。
専門家と共に解決への道を探ることが、理想のフェイスラインへの一番の近道です。
よくある質問
さいごに、頬のたるみや表情筋トレーニングに関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- トレーニングは1日に何分くらい行えば良いですか?
-
一度に長時間行うよりも、毎日の継続が重要です。まずは1日合計5分~10分程度を目安に始めてみてください。
朝のスキンケアの後や、夜のリラックスタイムなど、生活の中に組み込みやすい時間帯を見つけると続けやすくなります。
筋肉痛が出たり疲れを感じたりするときは時間を短くするか、一日おきにするなど調整しましょう。無理なく続けることが最も大切です。
- 効果はどのくらいで現れますか?
-
効果の現れ方には個人差がありますが、一般的には毎日継続して1ヶ月ほどで「顔がすっきりした」「むくみにくくなった」といった変化を感じ始め、2~3ヶ月経つと「フェイスラインが引き締まってきた」「頬の位置が上がった」など、より明確な効果を実感できる方が多いです。
ただし、これはあくまで目安です。たるみの進行度や年齢、生活習慣によっても異なりますので、焦らずじっくりと取り組んでいきましょう。
- トレーニングでほうれい線が濃くなることはありますか?
-
正しい方法で行えば、ほうれい線を薄くする効果が期待できます。しかし、間違った方法でトレーニングを行うと、逆効果になる可能性があります。
例えば、頬を上げる際に口の周りに不必要な力を入れすぎると、かえってほうれい線を深く刻んでしまう場合があります。
トレーニング中は必ず鏡を見て、目的の筋肉以外に余計なシワが寄っていないかを確認しながら行いましょう。もし不安な場合は専門家に相談し、正しいやり方の指導を受けると良いでしょう。
- 敏感肌でもトレーニングできますか?
-
敏感肌の方でもトレーニングができます。ただし、注意が必要です。
敏感肌の方は肌への摩擦が刺激になりやすいため、手で顔に触れるトレーニングは特に慎重に行う必要があります。トレーニング前には必ず保湿を徹底し、肌の滑りを良くしてください。
また、マッサージオイルやクリームなどを活用して、摩擦を最小限に抑える工夫をしましょう。トレーニング中に赤みやかゆみが出たときはすぐに中止し、肌の状態が落ち着くまで休んでください。
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