ハリのある肌とは?その特徴と若々しさを保つための秘訣

ハリのある肌は、若々しく健康的な印象を与えるための土台です。

肌のハリが失われると、フェイスラインがもたついたり毛穴やシワが目立ったりしてしまいます。

この記事では、そもそも「ハリのある肌」とはどのような状態を指すのか、その特徴から、ハリが失われる原因、そして若々しさを保つための日々のケア、さらには美容皮膚科でできる専門的な治療法まで、詳しく解説します。

目次

ハリのある肌の正体とは?見た目と感触でわかる5つの特徴

「ハリがある」と一言で言っても、具体的にどのような状態を指すのか、はっきりと説明するのは難しいかもしれません。

肌のハリは、単にシワがない状態を指すのではありません。内側から押し返すような「弾力」、キメが整い毛穴が目立たない「なめらかさ」、そして潤いに満ちた「ツヤ」を兼ね備えた状態を指します。

見た目と感触でわかるこれらの特徴は、肌内部が健康である証拠です。ご自身の肌状態と比べながら、具体的な特徴を見ていきましょう。

触れた時の弾力感

ハリのある肌の最も分かりやすい特徴は、指で軽く頬を押したときに感じる弾力です。まるで風船やボールのように、内側から押し返してくるような、しっかりとした反発力があります。

この弾力は、肌の内部構造がしっかりしている証拠です。

逆に、押した指の跡がしばらく残ってしまったり、跳ね返す力が弱く感じたりする場合は、ハリが低下しているサインと考えられます。

毛穴が目立たないキメの細かさ

肌にハリがあると皮膚が内側から持ち上げられ、表面がなめらかに整います。

その結果、毛穴がキュッと引き締まり、目立ちにくくなります。肌のキメも整い、陶器のようなつるんとした印象を与えます。

一方で、肌のハリが失われると皮膚が重力に引かれて下がるため、毛穴が涙型に開いて目立つようになります。これを「たるみ毛穴」と呼び、ハリ低下の重要な指標の一つです。

ハリのある肌と低下した肌の比較

項目ハリのある肌ハリが低下した肌
感触指で押すと押し返す弾力がある押し返す力が弱く、跡が残りやすい
毛穴引き締まっており、目立たない涙型に広がり、目立つ(たるみ毛穴)
フェイスラインシャープですっきりしているゆるみやもたつきが見られる

みずみずしいツヤと透明感

健康でハリのある肌は、十分な水分を保持しているため、内側から発光するような自然なツヤがあります。光をきれいに反射し、肌全体が明るく透明感のある印象に見えます。

乾燥してカサついていたり、表面がゴワゴワしていたりすると光が乱反射してしまい、くすんで見える原因となります。ツヤは若々しさの象徴であり、ハリと密接な関係にあります。

すっきりとしたフェイスライン

フェイスラインは、肌のハリの状態が顕著に現れる部分です。

ハリがある肌は、皮膚全体が重力に負けずに引き締まっているため、顎から耳にかけてのラインがシャープですっきりと見えます。

逆にハリが失われると皮膚が下がり、フェイスラインがぼやけたり、二重あごに見えたりするようになります。これは「たるみ」の初期症状であり、多くの人が年齢を感じるポイントです。

肌のハリを支える三大要素|コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸

肌のハリは、皮膚の深層部「真皮」にある「コラーゲン」「エラスチン」「ヒアルロン酸」という三大要素によって支えられています。

コラーゲンが土台を作り、エラスチンが弾力を与え、ヒアルロン酸が潤いを満たしていると、肌は内側からの力強いハリを保てます。それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。

肌の土台を作る「コラーゲン」

コラーゲンは、真皮の約70%を占める線維状のタンパク質です。肌の構造を支える鉄骨のような役割を果たし、肌にしっかりとした強度とハリを与えます。

真皮内に網目状のネットワークを形成し、肌全体の土台となっています。

コラーゲンが豊富で、その構造がしっかりしていると、肌は重力に負けずにその形を保てます。

弾力を与える「エラスチン」

エラスチンは、コラーゲン線維を束ねるようにして支える、ゴムのような弾性を持つタンパク質です。真皮に占める割合はわずか数%ですが、肌の弾力性を司る非常に重要な成分です。

コラーゲンが強度を保つ鉄骨だとすれば、エラスチンはその鉄骨同士を繋ぎとめるバネのような存在です。

肌を押したときに元に戻る力は、このエラスチンの働きによるものです。

うるおいを保つ「ヒアルロン酸」

ヒアルロン酸は、コラーゲンとエラスチンが作り出す網目状の隙間を埋める、ゼリー状の物質です。

非常に高い保水力を持ち、1グラムで約6リットルもの水分を抱え込めると言われています。

このヒアルロン酸が真皮を水分で満たすことで、肌の内側からみずみずしさが生まれ、クッションのように弾力のあるハリを支えます。

ハリを支える三大要素の役割

成分名主な役割例え
コラーゲン肌の強度と構造を支える建物の鉄骨
エラスチン肌に弾性を与える鉄骨をつなぐバネ
ヒアルロン酸水分を保持し、うるおいと弾力を生む隙間を埋めるクッション材

なぜ年齢と共にハリは失われるのか?肌老化の内的・外的要因

肌のハリが年齢と共に失われる主な原因は、ハリ成分を生み出す細胞の働きが衰える「内的要因」と、紫外線や乾燥といったダメージが蓄積する「外的要因」の2つです。

これらの要因が複雑に絡み合い、肌の構造を内側から崩していきます。具体的な原因を確認して、効果的な対策につなげましょう。

内的要因|線維芽細胞の働きの低下

肌のハリを支えるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸は、「真皮線維芽細胞(しんぴせんいがさいぼう)」という細胞によって作り出されています。

しかし、加齢とともにこの線維芽細胞の数や働きが徐々に低下してしまいます。

新しい成分を生み出す力が弱まる一方で、古くなった成分の分解は進むため、真皮内の質の良い成分が全体的に減少します。その結果、肌の土台が弱くなり、ハリが失われていくのです。

外的要因|紫外線の影響(光老化)

肌老化の最大の外的要因として知られているのが紫外線です。なかでも、波長が長く真皮まで到達する「UVA(紫外線A波)」は、ハリにとって大敵です。

UVAは線維芽細胞に直接ダメージを与え、その働きを低下させます。さらに、コラーゲンやエラスチンを変性させたり、分解する酵素を増やしたりする作用もあります。

無防備に紫外線を浴び続けると、肌のハリを壊してしまいます。これを「光老化」と呼び、加齢による自然な老化とは区別されます。

肌老化の主な原因

要因の種類具体的な原因肌への影響
内的要因加齢による線維芽細胞の機能低下ハリ成分の産生量が減少し、質も低下する
外的要因紫外線(特にUVA)ハリ成分を破壊し、線維芽細胞を傷つける
外的要因乾燥、喫煙、糖化など肌のバリア機能低下や、成分の劣化を招く

その他の要因|乾燥・糖化・酸化

紫外線以外にも、肌のハリを奪う外的要因は存在します。

空気が乾燥していると肌表面の水分が奪われ、バリア機能が低下します。このため外部からの刺激を受けやすくなり、真皮にも影響が及びます。

また、糖質の多い食事は「糖化」を引き起こし、タンパク質であるコラーゲンを硬く、もろくしてしまいます。

さらに、ストレスや喫煙などで発生する「活性酸素」は細胞を傷つけ(酸化)、肌全体の老化を加速させます。

「表情のクセ」がハリを奪う?見落としがちな生活習慣の落とし穴

スマートフォンを長時間下向きで見る、頬杖をつく、いつも同じ側で噛むといった無意識の「表情のクセ」は顔の特定の部分に継続的な負荷をかけ、ハリを奪う大きな原因となります。

これらの見落としがちな生活習慣が、たるみやシワを深刻化させているかもしれません。

スマートフォン操作中の「下向き姿勢」

スマートフォンは、現代人にとって切っても切れない存在です。

しかし、長時間うつむいた姿勢で画面を見続けると、首や顔の皮膚に大きな負担をかけます。常に下を向いていると重力の影響を強く受け、頬やあご周りの皮膚が下方向へ引っ張られ続けます。

これが常態化すると皮膚が伸びてしまい、フェイスラインのもたつきや二重あごの原因となります。特に意識せずに長時間スマホを見ている方は注意が必要です。

片側だけで噛む・頬杖をつくクセ

食事の際にいつも同じ側で噛んでいたり、無意識に片方の手で頬杖をついたりしている方も見受けられます。

こうした左右非対称な負荷は、顔の筋肉のバランスを崩し、片側だけのたるみやほうれい線の深化につながる場合があります。

特定の筋肉ばかりが使われたり、圧迫されたりすることで顔の歪みが生じ、それが皮膚のたるみとして現れてしまうのです。

ご自身の顔を鏡でよく観察し、左右でほうれい線の深さや口角の高さに違いがないかチェックしてみましょう。

注意したい日常のクセと肌への影響

クセの例主な影響部位考えられる症状
下向きでのスマホ操作首、あご、頬二重あご、フェイスラインのゆるみ
片側での噛み癖頬、口元ほうれい線の左右差、顔の歪み
頬杖をつく頬、フェイスライン片側のたるみ、シワ

睡眠時の姿勢と枕の高さ

睡眠は肌の修復にとって大切な時間ですが、その姿勢がハリを損なう原因になるケースもあります。

例えば、毎日同じ方向を向いて横向きで寝ていると、下になっている側の顔に圧力がかかり続け、シワやたるみを引き起こす可能性があります。

また、枕が高すぎると首が不自然に曲がり、あご周りの皮膚がたるみやすくなります。

自分に合った高さの枕を選び、できるだけ仰向けで寝るように意識するだけでも、肌への負担が軽減できます。

  • 長時間の下向き姿勢
  • 片側への偏った負荷
  • 睡眠中の継続的な圧迫

ハリを取り戻す毎日のスキンケア術

毎日のスキンケアでハリを取り戻すには、「優しい洗浄」「徹底した保湿」「年間を通した紫外線対策」の3つが基本です。

肌への負担を最小限に抑えながら、ハリをサポートする成分を効果的に補給すると、肌の土台を整え、低下を食い止められます。

基本は「優しく」洗顔とクレンジング

スキンケアの第一歩は、汚れをきちんと落とすことです。しかし、ゴシゴシと強く擦る洗顔は禁物です。摩擦は肌にとって大きな刺激となり、バリア機能を損なう原因になります。

クレンジング剤や洗顔料はたっぷりの量を使い、肌の上で指を滑らせるように優しくなじませましょう。

洗い流す際も、ぬるま湯で優しくすすぎ、タオルで水分を押さえるように拭き取るのが重要です。

保湿の徹底で肌の土台を整える

肌が乾燥するとハリが失われやすくなるだけでなく、外部刺激からも肌を守れなくなります。

洗顔後はすぐに化粧水で水分を補給し、その後、美容液や乳液、クリームといった油分を含むアイテムで水分が蒸発しないように蓋をします。

セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンといった保湿成分が配合された化粧品を選ぶと、角質層のうるおいを保ちやすいです。

ハリ対策に有効なスキンケア成分

成分名期待できる働き分類
レチノールコラーゲン産生を促し、ターンオーバーを整えるビタミンA誘導体
ビタミンC誘導体コラーゲン産生を助け、抗酸化作用を持つビタミン
ナイアシンアミドコラーゲン産生を促し、バリア機能をサポートビタミンB群

年間を通した紫外線対策

紫外線対策は、夏だけでなく一年中です。UVAは雲や窓ガラスも透過するため、曇りの日や室内でも油断はできません。

日焼け止めを毎日塗る習慣をつけましょう。日常生活ではSPF30・PA+++程度、屋外での活動時間が長い日はSPF50・PA++++など、シーンに合わせて使い分けるのがおすすめです。

また、朝塗って終わりにするのではなく、数時間おきに塗り直すと効果を持続できます。

食事で内側からサポート!ハリ肌を作る栄養素と食べ物

ハリのある肌を食事で内側から作るには、コラーゲンの材料となる「タンパク質」と、その生成を助ける「ビタミンC」、そして肌細胞を守る「抗酸化物質」のバランス良い摂取が重要です。

これらの栄養素が肌を内側から支え、健やかな状態へ導きます。毎日の食事に取り入れたい具体的な食材を見ていきましょう。

タンパク質|コラーゲンの材料

肌の主成分であるコラーゲンはタンパク質の一種です。そのため、材料となる良質なタンパク質を食事から十分に摂取することが大切です。

肉や魚、卵や大豆製品などを毎日の食事にバランス良く取り入れましょう。

タンパク質が不足すると、新しい皮膚細胞やコラーゲンが作られにくくなり、肌のハリや弾力が失われる原因となります。

ビタミンC|コラーゲン生成を助ける

ビタミンCは、タンパク質からコラーゲンを合成する際に必要不可欠な栄養素です。いくらタンパク質を摂取しても、ビタミンCが不足していると効率よくコラーゲンを作れません。

また、ビタミンCには強力な抗酸化作用があり、肌細胞を傷つける活性酸素から守る働きもあります。

パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、柑橘類などに豊富に含まれています。

ハリ肌を目指すためのおすすめ食材

栄養素主な働き多く含む食材の例
タンパク質肌やコラーゲンの材料となる鶏むね肉、鮭、卵、豆腐
ビタミンCコラーゲンの合成を助ける、抗酸化作用パプリカ、キウイ、レモン
ビタミンA皮膚や粘膜の健康を保つにんじん、かぼちゃ、ほうれん草

抗酸化作用のある栄養素

体内の活性酸素を除去する抗酸化物質も、ハリのある肌を保つためには重要です。ビタミンE(ナッツ類、アボカド)、ポリフェノール(緑茶、カカオ)、β-カロテン(緑黄色野菜)などを積極的に摂りましょう。

これらの栄養素が、肌細胞が酸化によってダメージを受けるのを防ぎ、老化の進行を緩やかにしてくれます。

  • タンパク質
  • ビタミンC
  • ビタミンA
  • ビタミンE

セルフケアの限界と美容皮膚科でのアプローチ

セルフケアが肌表面の「予防」であるのに対し、美容皮膚科での治療は肌の奥深くにある真皮層へ直接働きかけ、ハリを根本から「改善」することを目指します。

化粧品では届かない層にはたらきけてコラーゲンの生成を促すため、すでに現れたたるみやシワに対してより効果が期待できます。その違いを理解し、適切な選択をしましょう。

セルフケアは「予防」が中心

市販の化粧品は、法律上、効果が角質層までと定められています。つまり、真皮層にある線維芽細胞に直接働きかけたり、減少したコラーゲンを劇的に増やしたりできません。

セルフケアは肌のバリア機能を高めて乾燥や紫外線から肌を守り、ハリが失われにくい環境を整えるという点で、大切な役割を果たします。

しかし、すでに現れたたるみや深いシワに対しては、効果を実感しにくいかもしれません。

美容皮膚科は真皮への直接アプローチが可能

美容皮膚科では医療機器や薬剤を用いて、セルフケアでは届かない肌の奥深く、真皮層に直接働きかける治療が可能です。

レーザーや高周波、超音波などのエネルギーを使って線維芽細胞を活性化させ、コラーゲンの生成を内側から促します。こうして肌の土台から再構築を図り、根本的なハリの改善を目指せます。

セルフケアとクリニック治療の比較

比較項目セルフケア(化粧品など)美容皮膚科での治療
アプローチ層表皮(角質層)が中心真皮層、さらに深いSMAS筋膜など
主な目的保湿、紫外線防御、予防ハリ成分の産生促進、たるみの引き締め
期待できる効果肌のキメを整える、乾燥小じわの改善肌の弾力アップ、たるみ・シワの根本改善

専門家による診断の重要性

自分の肌のハリが失われた原因は、一つではないケースがほとんどです。加齢や光老化、骨格や生活習慣など、様々な要因が絡み合っています。

美容皮膚科では、専門知識を持つ医師が肌の状態を正確に診断し、一人ひとりの原因や希望に合わせた治療計画を提案します。

自己判断でケアを続けるよりも、的確な方法で効率的に悩みを解決できる点が、専門機関に相談する大きなメリットです。

美容皮膚科で受けられる代表的なハリ改善治療

美容皮膚科で受けられる代表的なハリ改善治療には、超音波で土台から引き締める「HIFU(ハイフ)」、熱エネルギーでコラーゲン生成を促す「レーザー・高周波治療」、そして薬剤を直接注入してボリュームを補う「注入治療」などがあります。

これらの治療では、たるみの原因や層に合わせ、的確に働きかけられます。

HIFU(ハイフ)治療

高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)の略で、超音波の熱エネルギーを皮膚の深層部にピンポイントで照射する治療法です。

肌の土台であるSMAS筋膜(スマスきんまく)に働きかけて、たるみを引き締めるリフトアップ効果が期待できます。

また、真皮層に熱を加えてコラーゲンの生成も促すため、肌のハリや弾力アップにもつながります。メスを使わずにリフトアップ効果を得たい方に向いています。

レーザー・高周波(RF)治療

レーザーや高周波(ラジオ波)の熱エネルギーを真皮層に与えて、線維芽細胞を刺激し、コラーゲンの生成を促進する治療法です。

熱によって既存のコラーゲン線維が収縮するため、即時的な引き締め効果も感じやすいのが特徴です。

肌全体のハリ感をアップさせたい、小じわや毛穴の開きも同時に改善したいという方におすすめです。ダウンタイムが比較的短い治療が多いのも利点です。

注入治療(ヒアルロン酸・コラーゲンなど)

ヒアルロン酸やコラーゲンなど、肌のハリを構成する成分や、その生成を促す薬剤を直接皮膚に注入する治療法です。

ヒアルロン酸注入は、ボリュームが減少した部分を物理的に持ち上げ、シワやたるみを目立たなくさせます。

一方、コラーゲン産生を促す製剤(コラーゲンブースター)は、自身の肌が持つ再生能力を引き出し、時間をかけて自然なハリを取り戻すことを目指します。

特定部位の凹みやシワが気になる方に適しています。

ハリのある肌に関するよくある質問

ハリのある肌には、誰もが憧れを持つものです。肌のハリがなくなるのは加齢のせいと考える方もいますが、紫外線や生活習慣などの要素によって若い方でも肌弾力がなくなるケースがあります。

まずは肌の弾力をアップさせる成分が含まれた化粧品や紫外線対策、食生活の見直しなどのセルフケアから始めてみましょう。

ご自身でできる方法を実践してみても肌のハリが改善しないといった場合には、美容医療が良い選択肢となります。

ハリと弾力、うるおいの違いは何ですか?

これらは密接に関連していますが、役割が少し異なります。「ハリ」は肌の密度や強度を指し、内側からパンと張っている状態です。主にコラーゲンの量と質が関係します。

「弾力」は肌の柔軟性や反発力を指し、押したときに元に戻る力です。これはエラスチンの働きが大きいです。

「うるおい」は肌の水分量を指し、みずみずしさの源です。ヒアルロン酸がこの役割を担っています。これら3つが揃って初めて、若々しい健康的な肌が実現します。

高価な化粧品を使えばハリは戻りますか?

高価な化粧品には、ハリをサポートする優れた成分が含まれているものが多いですが、化粧品だけで失われたハリを完全に取り戻すのは難しいと言えます。

前述の通り、化粧品は肌の表面的な保湿や保護が主な役割であり、真皮層の構造を根本から変えることはできません。

日々のケアとして有効な成分を取り入れるのは大切ですが、たるみが気になる場合は、化粧品だけに頼るのではなく、美容皮膚科での治療も視野に入れると良いでしょう。

マッサージで肌のハリは改善しますか?

適度なマッサージは血行を促進し、肌の新陳代謝を助ける効果が期待できます。その結果、肌のくすみが改善されたり、むくみが取れてすっきり見えたりする場合があります。

しかし、間違った方法で強く擦ったり、引っ張ったりするマッサージは逆に肌への負担となり、シワやたるみを助長する危険性があります。

必ず滑りの良いクリームやオイルを使用し、極めて優しい力で行いましょう。自己流ではなく、専門家のアドバイスを受けるほうが安全です。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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