次第に深くなるほうれい線やフェイスラインの乱れに、「顔のたるみがひどい」と感じる方は多いようです。
顔のたるみは加齢だけでなく、紫外線や生活習慣など様々な要因が複雑に絡み合って進行します。
この記事では、たるみがなぜ起こるのか、その根本的な原因を皮膚の構造から分かりやすく解き明かします。
さらに、ご自身でできるセルフケアの方法から、美容クリニックで受けられる効果的な治療法まで、悩みを解消するための具体的な選択肢を詳しく解説していきます。
なぜ顔はたるんで見えるのか
「最近、急に老けた気がする」「疲れていないのに疲れているように見られる」と感じるなら、それは顔のたるみが原因かもしれません。
たるみは見た目年齢を大きく左右する要素であり、多くの人が抱える深刻な悩みです。
たるみは年齢だけの問題ではない
顔のたるみと聞くと、多くの方が「加齢」を真っ先に思い浮かべるでしょう。確かに年齢を重ねることは、たるみの大きな要因の一つです。
しかし、20代や30代でもたるみに悩む人が増えているように、年齢だけが原因のすべてではありません。
日々の生活習慣や環境要因が肌の老化を加速させ、たるみを引き起こしているケースも少なくないのです。
若いからと安心せず、早期からたるみを意識したケアを取り入れることが重要です。
「ひどい」と感じるたるみのサイン
ご自身が「たるみがひどい」と感じる背景には、具体的な見た目の変化があるはずです。
以下のような症状に心当たりがあれば、たるみが進行している可能性があります。
- ほうれい線が深くなった
- 口角が下がり、不機嫌に見える
- フェイスラインがぼやけてきた(二重あご)
- 目の下のくぼみやクマが目立つ
- 頬がこけて、ゴツゴツした印象になった
これらのサインは皮膚だけでなく、その下にある脂肪や筋肉、さらには骨の変化も関係しています。
そのため、表面的なケアだけでは改善が難しい場合が多いのです。
早期対策の重要性
顔のたるみは、一度進行してしまうとセルフケアだけで元に戻すのは非常に困難です。
症状が軽いうちに対策を始めると、進行を遅らせてより良い状態を長く保てます。
例えば、ほうれい線がうっすらと気になり始めた段階でケアを始めれば、深く刻まれてしまう前に対処できる可能性があります。
ひどいと感じる前に日々の小さな変化に気づき、適切な行動を起こすことが、将来の美しい肌への投資となるのです。
たるみの種類と見た目の特徴
たるみの種類 | 主な原因 | 見た目の特徴 |
---|---|---|
皮膚のたるみ | コラーゲン・エラスチンの減少 | 肌表面のハリがなく、細かいシワが目立つ |
脂肪のたるみ | 脂肪の増加・下垂 | フェイスラインのもたつき、マリオネットライン |
筋肉のたるみ | 表情筋の衰え、SMASのゆるみ | 頬全体の下がり、ほうれい線が深くなる |
顔のたるみを引き起こす原因
顔のたるみは単一の原因ではなく、複数の要因が時間をかけて絡み合って進行します。皮膚の表面から骨格に至るまで、様々なレベルで変化が起こっています。
ここでは、たるみを引き起こす4つの主な原因について掘り下げて解説します。
コラーゲンとエラスチンの減少
肌のハリや弾力を支えているのは、真皮層に存在するコラーゲン(膠原線維)とエラスチン(弾性線維)です。
コラーゲンは肌の構造を支える鉄骨のような役割を、エラスチンはコラーゲン同士を結びつけ、弾力性を与えるゴムのような役割を担っています。
しかし、加齢や紫外線の影響でこれらの線維は減少し、質も低下します。これにより肌が内側から支える力を失い、重力に逆らえずに垂れ下がってしまうのです。
SMAS(筋膜)のゆるみ
SMAS(スマス)とは、Superficial Musculo-Aponeurotic Systemの略で、皮膚の深い層(皮下組織と筋肉の間)にある薄い膜状の組織です。
表情筋と連動し、皮膚や皮下脂肪を土台から支える重要な役割を持っています。
このSMASが加齢などによってゆるむと、その上にある脂肪や皮膚を支えきれなくなり、顔全体の大きな構造的なたるみにつながります。
なかでも頬やフェイスラインのたるみには、このSMASのゆるみが大きく関与しています。
皮下脂肪の増減と移動
顔の皮下脂肪も、たるみに大きく影響します。
若い頃は適切な位置にあり、ふっくらとした印象を与えてくれますが、年齢とともに脂肪を支える組織がゆるむため重力に従って下方へ移動します。
例えば、頬の高い位置にあった脂肪が下がると、ほうれい線やマリオネットラインが深くなります。
また、急激なダイエットによる脂肪の減少も、皮膚が余ってしまい、たるみの原因となる場合があります。
たるみの原因別の対策
原因 | 特徴 | 有効な対策 |
---|---|---|
コラーゲン等の減少 | 肌のハリ・弾力低下 | HIFU、高周波、ヒアルロン酸注入 |
SMASのゆるみ | 顔全体の構造的な下垂 | HIFU、糸リフト |
脂肪の下垂 | フェイスラインの崩れ | 糸リフト、HIFU |
骨の萎縮による土台の変化
あまり知られていませんが、顔の骨も加齢によって萎縮し、形が変化します。
こめかみや頬、あごの骨が痩せると、その上の皮膚や脂肪を支える土台そのものが小さくなります。
テントの骨組みが縮むと布がたるむように、骨格が変化すると皮膚が余ってしまい、深いたるみやシワの原因となります。
目の周りの骨が広がって目がくぼんだり、あごの骨が後退してフェイスラインがもたついたりするのは、この骨の萎縮が関係しています。
皮膚の構造から理解するたるみの進行
顔のたるみを根本的に理解するためには、私たちの皮膚がどのような構造になっているかを知ることが大切です。
皮膚は外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」という3つの層で構成されており、それぞれの層がたるみの発生に関わっています。
表皮・真皮・皮下組織の役割
表皮は皮膚の一番外側にある層で、外部の刺激から肌を守り、水分を保持するバリア機能の役割を担っています。
真皮は表皮の下にあり、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などが存在し、肌のハリと弾力をつかさどる中心的な層です。
そして、一番内側にある皮下組織は主に脂肪細胞で構成され、クッションのように外部からの衝撃を和らげたり、体温を保ったりする働きがあります。
これら3つの層が健康な状態を保つと、若々しい肌が維持されます。
皮膚の各層の主な役割
層 | 主な構成要素 | 主な役割 |
---|---|---|
表皮 | 角質細胞 | バリア機能、水分保持 |
真皮 | コラーゲン、エラスチン | ハリ、弾力の維持 |
皮下組織 | 脂肪細胞 | クッション、断熱 |
真皮層の構造とたるみの関係
たるみと最も深く関わっているのが真皮層です。
真皮の約70%を占めるコラーゲンが網目状のネットワークを作り、その間をエラスチンが束ねて、肌がベッドのスプリングのような弾力性を保っています。
また、これらの隙間をヒアルロン酸などのゼリー状の物質が満たし、みずみずしさを与えています。
加齢や紫外線ダメージによって、これらの成分を生み出す線維芽細胞の働きが衰えると、コラーゲンやエラスチンが減少し、質も悪化します。
その結果、スプリングが弱くなったベッドのように肌が弾力を失い、たるんでしまうのです。
加齢による各層の変化
年齢を重ねると、皮膚の各層で以下のような変化が起こります。
表皮ではターンオーバー(肌の生まれ変わり)が遅くなり、角質が厚くなってくすみやごわつきの原因になります。
真皮では、先述の通りコラーゲンやエラスチンが減少し、ハリが失われます。
皮下組織では、脂肪が減少したり、逆に特定の場所に蓄積して下垂したりします。
これらの層で起こる複合的な変化が、目に見える「たるみ」として現れるのです。
生活習慣に潜むたるみの落とし穴
加齢や紫外線といった避けがたい要因だけでなく、私たちの何気ない日常の習慣が、知らず知らずのうちに顔のたるみを助長しているケースがあります。
ここでは、たるみの原因となりうる生活習慣の落とし穴について解説します。ご自身の生活を振り返り、改善できる点がないかチェックしてみましょう。
紫外線による光老化
紫外線は、たるみの最大の外的要因と言っても過言ではありません。
紫外線の一種であるUVA波は皮膚の深い真皮層にまで到達し、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンを破壊、変性させます。この紫外線による肌の老化を「光老化」と呼びます。
長年にわたって無防備に紫外線を浴び続けると、光老化が蓄積し、年齢以上にたるみやシワが進行してしまいます。
日焼け止めや帽子、日傘などを活用し、一年を通した紫外線対策の徹底がたるみ予防の基本です。
姿勢の悪さと表情筋の衰え
長時間スマートフォンを操作したり、デスクワークで猫背になったりする姿勢は顔のたるみに直結します。
うつむいた姿勢は、重力の影響で頬やあご周りの皮膚を下に引っ張り、たるみを加速させます。
また、無表情でいる時間が長いと顔の筋肉である「表情筋」が衰えます。表情筋は皮膚を直接支えているため、この筋肉が衰えると皮膚を支えきれなくなり、たるみにつながります。
意識的に姿勢を正し、適度に表情を動かすことが大切です。
たるみを招く生活習慣チェック
項目 | 内容 | 対策 |
---|---|---|
紫外線対策 | 日焼け止めを塗らないことが多い | 毎日、季節を問わず日焼け止めを使用する |
姿勢 | スマホやPCを長時間、下向きで見る | 画面を目線の高さに調整し、こまめに休憩する |
食事 | 偏った食事や過度なダイエット | タンパク質やビタミンを意識したバランスの良い食事 |
栄養バランスの乱れと急激なダイエット
肌は、私たちが食べたものから作られます。タンパク質やビタミン、ミネラルなど、肌の健康を維持するために必要な栄養素が不足すると新しいコラーゲンの生成が滞り、肌のハリが失われやすいです。
特に、過度な食事制限を伴う急激なダイエットは栄養不足に加えて脂肪や筋肉が急激に減少するため、皮膚が余ってしまい、深刻なたるみを引き起こす原因になります。
睡眠不足とストレスの影響
睡眠中は、肌の修復と再生を促す成長ホルモンが分泌される重要な時間です。
睡眠不足が続くと、このホルモンの分泌が減少し、肌のダメージが十分に回復されずに蓄積していきます。また、慢性的なストレスは体内の活性酸素を増やし、細胞を傷つけ老化を促進します。
さらに、ストレスは血行不良を招き、肌に必要な栄養素が行き渡りにくくなるため、たるみを悪化させる一因となります。
質の良い睡眠を確保し、自分なりのストレス解消法を見つける工夫も美肌を保つ上で重要です。
自宅でできるセルフケアと限界
美容クリニックでの治療を考える前に、まずは自宅でできることから始めたい、と考える方も多いでしょう。
日々のセルフケアは、たるみの予防や進行を遅らせる上で非常に重要です。しかし、セルフケアだけで「ひどい」と感じるたるみを劇的に改善するには限界がある点も理解しておく必要があります。
保湿と紫外線対策の基本
たるみケアの基本は保湿と紫外線対策です。
肌が乾燥するとバリア機能が低下し、あらゆる肌トラブルを招きやすくなります。また、ハリも失われ、たるみが目立ちやすくなります。
セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンといった保湿成分を含む化粧品で、肌に十分なうるおいを与えましょう。
- セラミド
- ヒアルロン酸
- コラーゲン
- エラスチン
そして、光老化を防ぐための紫外線対策は、たるみ予防において最も重要なケアです。
季節や天候に関わらず、毎日日焼け止めを塗る習慣をつけましょう。SPFやPAの値を参考に、生活シーンに合ったものを選ぶと良いです。
表情筋トレーニングの効果と注意点
顔の筋肉である表情筋を鍛えるトレーニングは、筋肉の衰えによるたるみに対して一定の効果が期待できます。
普段使わない筋肉を意識的に動かすと、フェイスラインを引き締めたり口角を上げたりする助けになります。
ただし、やり方を間違えると、逆にシワを深くしてしまう可能性もあるため注意が必要です。
皮膚を強くこすったり無理に引っ張ったりせず、正しい方法で毎日少しずつ継続すると良いでしょう。
美顔器やマッサージの正しい使い方
市販の美顔器やセルフマッサージも、血行を促進してむくみを解消するため、一時的に顔をすっきりと見せる効果があります。
しかし、これらのケアもやり過ぎは禁物です。強い力でマッサージを行うと肌を支える靭帯や線維を傷つけ、かえってたるみを悪化させるリスクがあります。
マッサージをする際は必ず滑りの良いクリームやオイルを使用し、優しくなでるように行いましょう。
美顔器も、メーカーが推奨する使用頻度や方法を必ず守ってください。
セルフケアの種類と期待できる効果
ケアの種類 | 期待できる効果 | 注意点 |
---|---|---|
保湿・紫外線対策 | 乾燥による小ジワ改善、たるみの予防 | 毎日の継続が必要 |
表情筋トレーニング | 筋肉の衰えによるたるみの予防・改善 | 間違った方法はシワを悪化させる可能性 |
マッサージ・美顔器 | むくみ解消、血行促進 | 強い摩擦はたるみを助長するリスク |
セルフケアで改善できる範囲
これらのセルフケアは、たるみの予防や、ごく初期段階のたるみに対しては有効です。
しかし、すでに進行してしまったSMAS(筋膜)のゆるみや、脂肪の下垂、骨の萎縮といった構造的な問題をセルフケアだけで解消するのは極めて困難です。
セルフケアを続けても改善が見られない、あるいは「ひどい」と感じるレベルのたるみにお悩みの場合、より根本的なケアが可能な美容クリニックでの治療を検討する段階と言えるでしょう。
「たるみ顔」が与える印象と心理的影響
顔のたるみは、単に「老けて見える」という美容上の問題だけにとどまりません。
たるみが進行すると他人に与える印象が変化し、ご自身の内面、つまり心理状態にまで深く影響を及ぼす場合があります。
見た目年齢が上がるという事実
顔のたるみによる最も直接的な影響は、実年齢よりも年上に見られてしまうことです。
フェイスラインがぼやけ、ほうれい線やマリオネットラインが深くなると顔全体の若々しい立体感が失われ、疲れた印象や老けた印象を与えがちです。
同窓会などで旧友に会った際に自分だけが老けているように感じて落ち込んだり、初対面の人に年上に見られたりする経験は、自尊心を傷つけるつらい出来事になり得ます。
不機嫌・疲れていると誤解される
たるみの進行は、意図せずネガティブな表情を作り出してしまうときがあります。
例えば、口角が下がると自分では普通の顔をしているつもりでも、周りからは「不機嫌そう」「怒っているみたい」と誤解されるときがあります。
また、目の下のたるみやクマは「疲れている」「寝不足なのでは?」という印象を与え、本人の元気さとは裏腹に心配されてしまう原因にもなります。
こうした誤解は、円滑な人間関係を築く上で、静かなストレスとなる可能性があります。
たるみが引き起こす心理的変化
見た目の変化 | 他者からの印象 | 本人の心理的影響 |
---|---|---|
ほうれい線・フェイスラインの乱れ | 老けて見える | 年齢に対する焦り、劣等感 |
口角の下がり | 不機嫌そう、怒っている | 意図せず誤解されるストレス |
目の下のたるみ・クマ | 疲れている、元気がない | 自信の喪失、内向的になる |
自信の喪失と社会生活への影響
見た目に対するネガティブな自己認識や、他者からの誤解が続くと次第に自信を失い、人前に出るのが億劫になる方もいます。
写真を撮られるのを避けたり、マスクを外すのに抵抗を感じたりするようになるかもしれません。
こうした心理的な変化は、友人との交流や仕事など、社会生活全般において消極的な姿勢につながる可能性があります。
顔のたるみ改善は単に若々しさを取り戻すだけでなく、失われた自信を回復し、再び前向きな気持ちで毎日を過ごすための重要な一歩となるのです。
美容クリニックで受けられる効果的なたるみ治療
セルフケアでは改善が難しい、ひどいたるみに対して、美容クリニックでは医学的根拠に基づいた様々な治療法を提供します。
皮膚の深い層やSMAS(筋膜)に直接働きかけ、たるみの原因を根本から改善する効果を期待できます。
HIFU(ハイフ)治療
HIFUは「高密度焦点式超音波」の略で、超音波のエネルギーを皮膚の深層部にピンポイントで照射する治療法です。
最大の特長は、メスを使わずにSMAS(筋膜)に直接熱エネルギーを届け、ゆるんだ筋膜を引き締められる点です。
熱によってダメージを受けた組織が修復される過程で、新たなコラーゲンの生成も促進されます。
このダブルの効果により、土台からのリフトアップと肌のハリ感アップを同時に実現します。ダウンタイムがほとんどないため、忙しい方にも人気の治療です。
糸リフト(スレッドリフト)
糸リフトは、コグ(とげ)の付いた特殊な医療用の糸を皮下に挿入し、たるんだ皮膚や脂肪を物理的に引き上げる治療法です。
ほうれい線やマリオネットライン、フェイスラインのもたつきなど、下垂した組織を直接持ち上げるため、施術直後からリフトアップ効果を実感しやすいのが特長です。
また、挿入した糸が周辺組織を刺激し、コラーゲンの生成を促す効果もあります。使用する糸の種類によって、持続期間や引き上げ効果が異なります。
主な美容治療法の比較
治療法 | アプローチ方法 | 主な効果 |
---|---|---|
HIFU(ハイフ) | 超音波でSMASと真皮に熱を加える | SMASの引き締め、コラーゲン増生 |
糸リフト | 糸で物理的に組織を引き上げる | 即時的なリフトアップ効果 |
ヒアルロン酸注入 | ヒアルロン酸でボリュームを補う | くぼみや影の改善、輪郭形成 |
ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸注入は、加齢によって減少したボリュームを補い、たるみを目立たなくさせる治療法です。
例えば、こけてしまった頬やこめかみに注入してふっくらさせたり、あごのラインをシャープに整えたりして顔全体のバランスを改善し、リフトアップしたような印象を与えます。
また、ほうれい線などの溝を直接埋めることも可能です。
手軽に受けられて効果がすぐにわかるのが魅力ですが、根本的にたるみを引き上げる治療とは異なります。
高周波(RF)治療
高周波(RF)治療は、ラジオ波とも呼ばれる電気的なエネルギーを用いて、真皮層に熱を発生させる治療法です。
この熱によってコラーゲン線維が収縮し、即時的な肌の引き締め効果が得られます。
さらに、HIFUと同様に創傷治癒の過程で長期的にコラーゲンの生成が促進されるため、肌のハリや弾力が徐々にアップしていきます。
HIFUよりも浅い層に作用するため、皮膚表面の引き締めや小ジワの改善を得意とします。
治療法を選ぶ際の重要なポイント
美容クリニックには様々な治療法があり、どれが自分に合っているのか迷ってしまうかもしれません。
満足のいく結果を得るためには、ご自身のたるみの状態や生活スタイルに合わせて、慎重に治療法を選択することが重要です。
たるみの種類と原因に合わせた治療
たるみの原因が皮膚のゆるみなのか、脂肪の下垂なのか、あるいは骨格の変化なのかによって、適した治療法は異なります。
例えば、皮膚表面のハリ不足が主なら高周波治療、SMASのゆるみが原因の全体的なたるみにはHIFU、フェイスラインのもたつきをすぐに改善したいなら糸リフト、といったように原因に直接働きかけられる治療を選ぶのが効果への近道です。
カウンセリングで医師にしっかりと肌の状態を診断してもらい、原因を見極めましょう。
- 皮膚のゆるみ → 高周波、HIFU
- 脂肪の下垂 → 糸リフト、HIFU
- ボリュームロス → ヒアルロン酸注入
ダウンタイムとリスクの確認
美容医療には、効果だけでなくダウンタイムやリスクも伴います。ダウンタイムとは、施術後に腫れや赤み、内出血などが生じて日常生活に多少の制限が出る期間です。
仕事やプライベートの予定を考慮し、どのくらいのダウンタイムなら許容できるかを考えておく必要があります。
また、それぞれの治療に伴うリスク(感染、ひきつれ、左右差など)についても事前に医師から十分な説明を受け、納得した上で治療に臨むことが大切です。
費用と持続期間のバランス
たるみ治療は、自由診療のためクリニックによって費用が異なります。また、治療法によって効果の持続期間も様々です。
1回の費用は安くても持続期間が短ければ、長期的に見るとコストがかさむ場合もあります。逆に、1回の費用が高くても効果が長く続く治療法もあります。
ご自身の予算と、どのくらいの頻度でメンテナンスをしたいかを考え、費用対効果の総合的な判断が無理なく治療を続けるための鍵となります。
治療法選択のポイント整理
ポイント | 確認すべきこと | 考慮すべき自分の状況 |
---|---|---|
適合性 | 自分のたるみの原因に合っているか | 医師の診断結果 |
ダウンタイム | 腫れや内出血の期間はどのくらいか | 仕事やプライベートのスケジュール |
費用対効果 | 1回あたりの費用と効果の持続期間 | 予算、メンテナンスの頻度 |
顔のたるみに関するよくある質問
顔のたるみがひどいと感じると、鏡を見るたびに憂鬱な気持ちになってしまいがちです。
セルフケアでもある程度の改善が見込めますので、紫外線対策や保湿、表情筋トレーニングなどを正しい方法で実践してみましょう。
それでも改善しない、たるみがストレスになっているためもっと積極的に治療を行いたい、といった場合は、クリニックでのたるみ治療がおすすめです。
- 治療は痛いですか?
-
治療によって痛みの感じ方は異なります。例えば、HIFUや高周波治療では、照射時にチクチクとした熱感や鈍い痛みを感じる場合があります。
糸リフトやヒアルロン酸注入では局所麻酔を使用するため、施術中の痛みは大幅に軽減されますが、麻酔の注射時にチクッとした痛みがあります。
多くのクリニックでは、痛みを最小限に抑えるための工夫(冷却装置や表面麻酔クリームなど)をしています。痛みが心配な方は、カウンセリング時に遠慮なく相談してください。
- 効果はどのくらい続きますか?
-
効果の持続期間も治療法によって大きく異なります。
ヒアルロン酸注入は製剤の種類にもよりますが、半年から2年程度が一般的です。HIFUの効果は施術後2〜3ヶ月でピークに達し、半年から1年ほど持続します。糸リフトは糸の種類や本数によりますが、1年から2年程度効果が続くとされています。
ただし、これらの期間はあくまで目安です。術後のケアや生活習慣、加齢の進行度によって個人差がある点をご理解ください。
- どの治療法が自分に合っているかわかりません。
-
ご自身の判断で適した治療法を選ぶのは非常に難しいです。そのため、最も重要なのは、経験豊富な医師による正確な診断です。
信頼できるクリニックでカウンセリングを受け、ご自身のたるみの原因は何か、どのような状態なのかを詳しく診察してもらいましょう。
その上で、あなたの希望や生活スタイル、予算などを伝え、医師と一緒に治療計画を立てていくのが満足のいく結果につながります。まずは気軽に専門家へ相談することから始めてみましょう。
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