ハイフでたるみ改善!効果の仕組み・メリット・デメリット

ハイフでたるみ改善!効果の仕組み・メリット・デメリット

フェイスラインの崩れや肌のゆるみは、年齢とともに気になりがちです。

ただ、「なんとかしたいけど、手術は怖い」と感じる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、メスを使わないリフトアップ治療として注目される「ハイフ(HIFU)」について、効果の仕組みからメリット・デメリット、治療後のケアまで詳しく説明します。

目次

そもそもハイフ(HIFU)とは?

ハイフは、美容医療の分野で「切らないリフトアップ」として知られる人気の治療法です。

その名前は知っていても、どのような技術なのか具体的に理解している方は少ないかもしれません。

まずはハイフの基本的な知識から見ていきましょう。

高密度焦点式超音波とは

ハイフは「High-Intensity Focused Ultrasound」の略称で、日本語では「高密度焦点式超音波」と訳します。

太陽の光を虫眼鏡で集めて一点を高温にするように、超音波のエネルギーを特定の一点に集中させて高温にする技術です。

医療分野では、がん治療などにも応用されてきました。

この技術を美容医療に応用し、皮膚の土台となる層にピンポイントで熱エネルギーを届けて、たるみの改善を目指します。

なぜ「切らないリフトアップ」と呼ばれるのか

従来、たるみを根本的に改善するには、皮膚を切開して物理的に引き上げるフェイスリフト手術が必要でした。

しかし、ハイフは皮膚の表面を傷つけることなく、内部の特定の層にのみ働きかけられます。

手術のような切開をせずに、内側から肌を引き締める効果が期待できるため、「切らないリフトアップ」と呼ばれています。

ターゲットとなる皮膚の層

人の皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織という層で構成され、そのさらに下にはSMAS(スマス)筋膜という筋膜が存在します。

SMAS筋膜は皮膚を支える土台のような役割を担っており、この層がゆるむのがたるみの大きな原因の一つです。

ハイフは、このSMAS筋膜にまでエネルギーを届かせられる数少ない治療法です。

ハイフが働きかける皮膚層

ターゲット層深さの目安期待される効果
真皮層1.5mmコラーゲン生成促進、肌のハリ改善
皮下組織(脂肪層)3.0mm脂肪細胞へのアプローチ、引き締め
SMAS筋膜4.5mm土台からのリフトアップ、たるみ改善

ハイフがたるみに効果を発揮する仕組み

ハイフがたるみを改善する効果は、主に二つの作用によるものです。

一つは即時的な引き締め効果、もう一つは時間をかけて現れる長期的な効果です。

SMAS筋膜への熱エネルギー照射

ハイフの最大の特徴は、たるみの根源であるSMAS筋膜に直接働きかけられる点です。

超音波でSMAS筋膜に60~70℃の熱エネルギーを与えると、熱で凝固した点が多数作られます。

この熱凝固点が、たるんだ筋膜を内側から引き締める土台となります。

熱によるタンパク質の収縮

私たちの皮膚や筋膜は、主にタンパク質でできています。

タンパク質は熱を加えると縮む性質(熱変性)を持っています。お肉を焼くとキュッと縮むのと同じ原理です。

ハイフの熱エネルギーによってSMAS筋膜のタンパク質が収縮し、施術直後から肌が引き締まった感覚を得られる方もいます。

熱エネルギーによる主な反応

作用内容効果
熱凝固組織を点で凝固させる即時的な引き締め
熱変性タンパク質が収縮するリフトアップの土台形成

コラーゲン生成の促進

熱エネルギーによってダメージを受けた組織は、人間の体が本来持つ創傷治癒能力によって修復されようとします。

この修復の過程で、肌のハリや弾力を保つために重要なコラーゲンやエラスチンの生成が活発に促されます。

新しいコラーゲンが作られるため、肌は内側から弾力を取り戻し、長期的なリフトアップ効果が生まれます。

時間をかけて現れるリフトアップ効果

施術直後の引き締め効果に加え、コラーゲンの再構築には時間がかかります。

一般的に、施術後1か月から3か月ほどかけて徐々に効果がはっきりしてくるケースが多いです。

この新しいコラーゲンが増えていく期間が、ハイフの効果を実感する上で大切な時間となります。

ハイフ治療の大きなメリット

多くの人に選ばれるハイフ治療には、他の治療法にはないさまざまなメリットがあります。

ここでは、代表的な4つのメリットを見ていきましょう。

ダウンタイムがほとんどない

ハイフは皮膚の表面を傷つけないため施術後の腫れや赤みが少なく、ダウンタイムがほとんどありません。施術当日からメイクをして帰宅することも可能です。

忙しい方や、周囲に気づかれずに治療を受けたい方にとって、大きな利点と言えるでしょう。

傷跡が残らない

メスを使わないため、当然ながら顔に傷跡が残る心配がありません。

フェイスリフト手術に抵抗がある方でも、安心して受けられる治療です。皮膚を切らないので、感染症などのリスクも低いとされています。

効果の持続期間が長い

一度の施術で得られる効果は、一般的に半年から1年程度持続すると言われています。これは、肌の内部でコラーゲンの再構築が続くためです。

定期的に治療を受けると、良好な状態を維持しやすくなります。

メリットのまとめ

メリット詳細
低ダウンタイム施術後の赤みや腫れが少なく、日常生活への影響が小さい
傷跡なし皮膚を切開しないため、傷跡が残る心配がない
持続性コラーゲン生成により、効果が半年~1年程度続く

さまざまな部位に対応可能

ハイフは、顔全体のたるみだけでなく、特定の部位の悩みにも対応できます。

フェイスラインのもたつき、ほうれい線、目元の小じわやたるみ、首のしわなど気になる部分を狙って照射可能です。

  • フェイスライン
  • ほうれい線周り
  • 額、目元

知っておきたいハイフのデメリットと注意点

メリットの多いハイフですが、治療を受ける前にはデメリットや注意点も確認しておきましょう。

施術中に痛みを感じることがある

ハイフの熱エネルギーが骨の近くや神経が近い場所に照射される際、チクチクとした痛みや、骨に響くような熱感を感じる場合があります。

痛みの感じ方には個人差が大きいですが、多くの場合は麻酔なしで耐えられる程度です。

痛みに不安がある場合は、事前にクリニックに相談しましょう。

効果の現れ方には個人差がある

骨格や脂肪のつき方、たるみの程度によって、効果の現れ方や実感の度合いは異なります。

期待していたほどの変化を感じられない可能性もゼロではありません。

カウンセリングで自分の肌の状態を正確に診断してもらい、どの程度の効果が見込めるかを確認しましょう。

施術を受けられない場合がある

安全に治療を行うため、特定の条件に当てはまる方はハイフを受けられません。

ハイフを受けられないケース

分類具体的な例
健康状態妊娠中・授乳中の方、ペースメーカーを使用している方
皮膚状態施術部位に金の糸やシリコン、金属プレート等を入れている方
その他重度の皮膚疾患やケロイド体質の方

自身の健康状態を正確に申告することが重要です。

術後の肌は乾燥しやすくなる

施術後の肌は、熱エネルギーの影響で一時的に水分が失われ、乾燥しやすくなります。

乾燥は肌のバリア機能の低下につながり、さまざまな肌トラブルの原因となり得ます。

そのため、施術後はいつも以上に丁寧な保湿ケアが必要です。

年齢やたるみの種類で考える適切な治療法

たるみの原因は一つではなく、年齢や肌質によっても異なります。

本当にハイフが自分に適した治療なのか、より自分に合った治療を見つけるための考え方を紹介します。

20代〜30代前半の予防的な取り組み

この年代の「たるみ」は本格的なものではなく、むくみや脂肪、あるいは初期のゆるみが原因であるケースが多いです。

将来のたるみを予防する目的でハイフを受けるのは有効な選択肢ですが、まずは肌のハリを高める光治療や、脂肪に働きかける他の施術が向いている場合もあります。

30代後半〜40代の本格的なたるみ対策

コラーゲンの減少が本格化し、SMAS筋膜のゆるみも始まってくる年代です。

フェイスラインのもたつきやほうれい線が気になり始める方が多く、ハイフが非常に良い適応となる場合が多いです。

たるみの土台に直接働きかけるハイフは、この年代の悩みに対してより効果を発揮します。

50代以降の複合的な悩みに

この年代になるとSMAS筋膜のゆるみに加え、皮膚自体のたるみや脂肪の減少・移動など、複数の原因が絡み合ってきます。

ハイフで土台を引き締めつつ、ヒアルロン酸注入でボリュームを補ったり、糸リフトで物理的に引き上げたりと、複数の治療を組み合わせるとより満足度の高い結果につながるケースがあります。

年代別たるみの原因と治療法の考え方

年代主な原因治療法の考え方
20代~30代前半むくみ、脂肪、初期のゆるみ予防的なハイフ、肌質改善治療
30代後半~40代SMAS筋膜のゆるみ、コラーゲン減少ハイフによる本格的なリフトアップ
50代以降複合的な原因(筋膜、皮膚、脂肪)ハイフと他の治療の組み合わせも検討

ハイフ以外の選択肢との比較

たるみ治療には、ハイフ以外にもさまざまな選択肢があります。

それぞれの特徴を理解し、自分の希望や生活スタイルに合ったものを選びましょう。

  • 高周波(RF)治療
  • 糸リフト(スレッドリフト)
  • 注入治療(ヒアルロン酸、ボトックス)
  • 外科手術(フェイスリフト)

ハイフの効果を最大限に引き出すために

せっかくハイフ治療を受けるのであれば、その効果をできる限り高めたいものです。

ここでは、効果を最大限に引き出すために知っておきたいポイントを見ていきましょう。

適切な出力とショット数の重要性

ハイフの効果は、照射する超音波の出力(強さ)とショット数(照射回数)に大きく左右されます。

弱すぎれば効果は出にくく、強すぎれば痛みや副作用のリスクが高まります。また、ショット数が少なすぎても十分な効果は期待できません。

個人の肌の状態に合わせて、医師が適切に出力とショット数を調整してくれるクリニックを選びましょう。

信頼できるクリニック選びのポイント

ハイフは医療行為であり、安全かつ効果的に行うには専門的な知識と技術が必要です。

クリニックを選ぶ際は価格だけでなく、以下の点も確認すると良いでしょう。

チェック項目確認する内容
医師の経験と実績カウンセリングは医師が担当するか、症例数は豊富か
使用機器安全性や効果が認められた医療用ハイフ機器を使用しているか
料金体系ショット数や対象部位が明確で、追加料金がないか

施術後の保湿ケアを徹底する

前述の通り、施術後の肌は乾燥しやすくなっています。バリア機能が低下した肌は外部からの刺激に弱く、回復も遅れがちです。

化粧水や美容液、クリームなどを使って、いつも以上に念入りに保湿を心がけてください。

このひと手間が、効果の現れ方や肌の仕上がりを左右します。

推奨される施術間隔を守る

より良い効果を求めて、短い間隔で頻繁に施術を受けたくなるかもしれません。

しかし、ハイフは肌の内部でコラーゲンが再構築されるのを待つ時間も重要です。一般的には、半年に1回から1年に1回のペースが推奨されます。

自己判断で間隔を詰めすぎず、医師の指示に従いましょう。

ハイフ治療の流れと準備

実際にハイフを受ける際の一般的な流れを説明します。事前に流れを知っておくと、安心して治療に臨めるでしょう。

カウンセリングと診察

まずは医師によるカウンセリングと診察から始まり、現在の肌の悩みや状態、既往歴などを詳しく伝えます。

医師はたるみの状態を診察し、ハイフが適しているか、どのような効果が見込めるかを判断します。

疑問や不安な点はこの時点で全て質問しておきましょう。

施術前の準備

施術当日は、クレンジングと洗顔でメイクや皮脂をきれいに落とします。

その後、施術部位にジェルを塗布します。このジェルは、超音波を効率的に皮膚の内部へ伝えるためのものです。

実際の施術内容

医師が肌の状態を確認しながら、専用のハンドピースを当てて超音波を照射していきます。

部位によって深さの異なるカートリッジを使い分け、丁寧に施術を進めます。

施術時間は顔全体で30分から60分程度が目安です。

施術当日の流れ

順番内容
1医師による最終確認
2洗顔・クレンジング
3ジェル塗布後、ハイフ照射
4ジェル拭き取り・保湿

施術後のケア

施術後はジェルを拭き取り、保湿ケアを行います。ダウンタイムはほとんどないため、多くの場合、すぐにメイクをして帰宅できます。

ただし、施術後の肌はデリケートな状態なので、激しい運動や長時間の入浴、サウナなどの血行が良くなる行為は数日間避けるのが賢明です。

よくある質問

ハイフはたるみに効果が実感できる治療法です。ダウンタイムがほぼなく、気軽に受けられる点もメリットといえます。

家庭用のハイフ機器も販売されていて、インターネットでも魅力的な広告が多いので惹かれる方もいるかと思いますが、クリニックで使用する機器とは超音波が届く深さが異なります。

そのため、たるみを本格的に改善したいという方は、クリニックでの施術がおすすめです。

施術後、メイクはいつからできますか?

ハイフは肌表面にダメージを与える治療ではないため、基本的に施術直後からメイクが可能です。

ただし、肌を強くこすらないように、優しくメイクをしてください。

赤みやひりつきがあるときは、症状が落ち着くまで待つことをおすすめします。

効果はいつから実感できますか?

効果の現れ方には個人差があります。施術直後に引き締まりを感じる方もいますが、これは熱による一時的な収縮効果です。

コラーゲンの生成による本格的なリフトアップ効果は、施術後1か月から3か月かけて徐々に現れてくるのが一般的です。

施術後は、ご自身の肌の状態を観察しながら、いつもよりもていねいなケアを行いましょう。

痛みはどのくらいですか?

痛みの感じ方は人それぞれですが、「チクチクするような熱感」「骨に響くような感覚」と表現されるケースが多いです。

多くの場合は麻酔なしで我慢できる範囲ですが、痛みが心配な場合は出力を調整したり、表面麻酔を使用したりすることも可能ですので、遠慮なく医師に相談してください。

ハイフを継続する場合の頻度は?

効果の持続期間は半年から1年程度が目安です。そのため、良い状態を維持するためには、そのくらいの頻度で継続して治療を受けることを推奨します。

肌の状態や年齢によっても適切な間隔は異なりますので、医師と相談しながら治療計画を立てていきましょう。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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