「ハイフ(HIFU)」とは?仕組み・効果・種類を初心者にもわかりやすく解説

「ハイフ(HIFU)」とは?仕組み・効果・種類を初心者にもわかりやすく解説

「最近、フェイスラインがぼやけてきた」「ほうれい線が深くなった気がする」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

メスを使わずにリフトアップができると話題の「ハイフ(HIFU)」は、そんなお悩みを抱える方に選ばれている美容医療の一つです。

この記事では、ハイフがなぜたるみに効果があるのか、その基本的な仕組みから、期待できる効果、美容クリニックで受ける医療ハイフとエステサロンのハイフの違いまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

目次

ハイフ(HIFU)とは?たるみ治療の基本

ハイフは、多くの美容クリニックで導入されている人気のたるみ治療器です。

まずは、ハイフがどのような治療法なのか、その基本から見ていきましょう。

切らないリフトアップ治療

ハイフの大きな特徴は、外科手術のようにメスで皮膚を切開することなく、リフトアップ効果を目指せる点です。

専用の機器を肌の上から当てるだけで、肌の奥深くにある層に働きかけられます。

この手軽さから、これまで手術には抵抗があった方々にも、たるみ治療の選択肢として広く受け入れられています。

高密度焦点式超音波(HIFU)の概要

「HIFU」とは、「High Intensity Focused Ultrasound」の略称で、日本語では「高密度焦点式超音波」と訳します。

原理は、虫眼鏡で太陽光を一点に集めると紙が焦げる現象に似ています。

超音波のエネルギーを皮膚内部の特定の深さに集中させて小さな熱損傷点を作り出し、その治癒過程でコラーゲンの生成を促し、組織の引き締めを図る治療法です。

なぜ今、ハイフが注目されるのか

ダウンタイムがほとんどなく、施術後すぐに日常生活に戻れる点が、忙しい現代人のニーズに合致しています。

また、たるみの根本原因である筋膜に直接作用できるため、表面的なケアでは得られない本格的な引き締め効果が期待できるのも注目を集める理由の一つです。

ハイフがたるみに効く仕組み

ハイフによる肌の引き上げ効果の源泉は、肌の奥深くにある「SMAS筋膜」への働きかけと、熱エネルギーによるコラーゲン生成の促進にあります。

SMAS筋膜へのアプローチ

顔の皮膚は、表皮、真皮、皮下組織、そしてSMAS筋膜という層で構成されています。

なかでもSMAS筋膜は皮膚の土台とも言える重要な組織で、この層が加齢とともに緩んでいくのが、たるみの大きな原因です。

ハイフは、このSMAS筋膜にピンポイントで熱エネルギーを届け、収縮させて肌の土台からリフトアップさせます。

ハイフが作用する皮膚の層

皮膚の層役割ハイフの作用
表皮外的刺激からの保護作用しない(通過する)
真皮ハリ・弾力を保つコラーゲン生成を促進
SMAS筋膜皮膚の土台熱収縮による引き締め

コラーゲン生成を促す熱エネルギー

ハイフの超音波によってSMAS筋膜や真皮層に与えられた熱エネルギーは、組織に意図的に軽いやけどのような状態を作り出します。

これによって人間の体が本来持つ創傷治癒能力が働き始めます。治癒の過程で、肌のハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンが大量に生成されます。

この働きが、肌の内部からハリを取り戻し、長期的な引き締め効果に繋がります。

肌の土台から引き締める仕組み

ハイフの効果は二段階で現れます。まず施術直後に、熱エネルギーによるSMAS筋膜の収縮で即時的なリフトアップ効果を感じます。

その後、数ヶ月かけてコラーゲンの再構築が進むためさらに肌が引き締まり、ハリが出てきます。

この二段階の効果により、根本的で持続性のあるたるみ改善が期待できるのです。

ハイフで期待できる効果と持続期間

ハイフ治療を受けると、具体的にどのような美容効果が期待できるのでしょうか。代表的な効果と、その持続期間について見ていきましょう。

フェイスラインの引き締め

最も多くの方が実感するのが、フェイスラインのもたつき改善です。

顎下のたるみが引き締まるため、シャープで若々しい印象の輪郭を目指せます。二重あごの改善にも効果的です。

ほうれい線やマリオネットラインの改善

頬のたるみが原因で深くなるほうれい線や、口角から下に伸びるマリオネットラインも、ハイフの良い適応です。

頬の位置が高くなるため、これらの溝が浅くなり、顔全体の印象が明るくなります。

ハイフが効果的な悩み

悩み原因ハイフによる改善
フェイスラインのもたつき頬や顎下のSMAS筋膜の緩み筋膜の引き締めによる輪郭改善
ほうれい線・マリオネットライン頬のたるみ頬のリフトアップによる溝の軽減
目元の小じわ・たるみ真皮層のコラーゲン減少コラーゲン増生によるハリ改善

肌のハリ・ツヤ感アップ

ハイフはリフトアップだけでなく、肌質の改善効果も期待できます。

コラーゲン生成が促進されて肌全体のハリや弾力が向上し、キメが整い、ツヤのある滑らかな肌へと導きます。

効果を実感するまでの期間と持続性

前述の通り、効果の現れ方には個人差がありますが、一般的には施術後1〜3ヶ月で効果が最大化すると言われます。

この効果は、半年から1年程度持続するケースが多いです。効果を持続させるためには、定期的なメンテナンス治療が大切です。

効果のタイムライン目安

期間状態
施術直後SMAS筋膜の収縮による即時的な引き締め感
施術後1〜3ヶ月コラーゲン増生により効果が最大化する時期
施術後6ヶ月〜1年効果が緩やかに薄れてくる時期(次回の施術の目安)

医療ハイフとエステハイフの違い

インターネットで「ハイフ」と検索すると、美容クリニックの「医療ハイフ」と、エステサロンの「エステハイフ」が見つかります。

これらは名前が似ていますが、全くの別物です。安全かつ効果的な治療のために、その違いを正しく理解しておきましょう。

照射パワーと深達度の違い

最も大きな違いは、超音波の出力(パワー)です。

医療機関でしか扱えない医療用ハイフは、高出力でSMAS筋膜までしっかりとエネルギーを届けられます。

一方、エステ用ハイフは法律上の制約から出力が弱く設定されており、SMAS筋膜まで到達しない、あるいは到達しても十分な熱エネルギーを与えられないものがほとんどです。

施術者と安全性の違い

医療ハイフは、解剖学を熟知した医師または医師の監督下にある看護師が施術を行います。

顔には重要な神経や血管が走行しており、万が一のトラブル時にも迅速な医学的対応が可能です。

対して、エステハイフの施術者は医療資格を持たないエステティシャンであり、解剖学的な知識や緊急時の対応能力には限界があります。

効果と持続期間の違い

出力の違いは、そのまま効果と持続期間の違いに直結します。

SMAS筋膜に的確に作用する医療ハイフは、一度の施術でも明確なリフトアップ効果と長期的な持続が期待できます。

出力の弱いエステハイフでは、たるみの根本原因に働きかけられないため効果が限定的であったり、持続期間が非常に短かったりする傾向があります。

医療ハイフとエステハイフの比較

項目医療ハイフエステハイフ
施術者医師・看護師エステティシャン
出力高い低い
作用する層SMAS筋膜まで届く真皮層までが主
効果根本的なリフトアップ限定的な引き締め・むくみ改善
安全性医学的管理下で高いやけど等のリスク、緊急時対応不可

たるみの原因に応じたハイフ治療の適応と限界

ハイフは優れたたるみ治療ですが、万能ではありません。ここでは、自分の悩みを本当に解決するための考え方をお伝えします。

たるみの原因は一つではない

人の顔がたるむ原因は、SMAS筋膜の緩みだけではありません。

皮下脂肪の増減や下垂、骨格の萎縮、皮膚自体の弾力低下など、複数の要因が複雑に絡み合って生じます。

自分のたるみがどの原因によって引き起こされているのかを正確に見極めることが、満足のいく結果への第一歩です。

  • SMAS筋膜の緩み
  • 皮下脂肪の増減・下垂
  • 支持靭帯(リガメント)の緩み
  • 骨の萎縮

ハイフが効果的な人とそうでない人

ハイフが特に高い効果を発揮するのは、皮下脂肪が比較的少なく、SMAS筋膜の緩みがたるみの主原因である方です。

一方で、皮下脂肪が非常に多い方や、逆に痩せすぎて脂肪が少ない方、皮膚のたるみが極度に進行している方の場合、ハイフ単独では十分な効果が得られない場合があります。

なかでも顔に脂肪があまりない方がハイフを行うと、頬がこけて見えるようになってしまう可能性も否定できません。

他の治療法との組み合わせという選択肢

たるみの原因が複合的である場合、ハイフと他の治療を組み合わせると相乗効果が期待できます。

例えば、脂肪の多さが気になる場合は脂肪溶解注射を併用したり、皮膚のハリ不足にはヒアルロン酸注入やスレッドリフトを組み合わせたりするなど、選択肢は多岐にわたります。

これらの複合治療により、一人ひとりの状態に合わせた、よりオーダーメイドのたるみ改善が可能です。

たるみのタイプ別治療法組み合わせ例

たるみのタイプ主原因推奨される組み合わせ治療
脂肪が多いタイプ脂肪の下垂ハイフ+脂肪溶解注射 or 冷却脂肪溶解
皮膚が余っているタイプ皮膚の弾力低下ハイフ+スレッドリフト or RF(高周波)治療
くぼみが目立つタイプ脂肪・骨の萎縮ハイフ+ヒアルロン酸・コラーゲン注入

専門医による診断の重要性

最終的にどの治療法が自分に合っているのかを判断するには、専門医による正確な診断が必要です。

経験豊富な医師は顔を立体的に捉え、たるみの根本原因を分析し、ハイフが最善の策なのか、あるいは他の治療法が適しているのかを的確に提案します。

カウンセリングでじっくりと話を聞き、信頼できる医師を見つけることが何よりも大切です。複数のクリニックでカウンセリングを受けてみて、比較検討するのも良い方法です。

施術当日の流れと準備

実際に美容クリニックでハイフを受ける際の、一般的な流れを説明します。事前に流れを知っておくと、安心して施術に臨めるでしょう。

カウンセリングと診察

まずは医師によるカウンセリングと診察から始まります。現在の肌の状態や悩みを伝え、治療法の説明を受けます。

ここで、効果やリスク、費用について十分に納得するまで質問しましょう。問題がなければ、洗顔をして施術の準備に入ります。

施術中の痛みについて

施術部位にジェルを塗り、機器を当てて照射していきます。

痛みには個人差がありますが、「骨に響くような鈍い痛み」「チクチクするような熱感」と表現される場合が多いです。特に顎の骨周辺などは痛みを感じやすい傾向があります。

多くの方は麻酔なしで耐えられる程度ですが、痛みが心配なときは事前にクリニックに相談すると良いでしょう。

施術後の過ごし方

施術後は、メイクをして帰宅できます。

特別な日常生活の制限はありませんが、施術当日の飲酒や長時間の入浴、激しい運動など、血行が良くなる行為は控えるよう指示されることが多いです。

また、施術後の肌は乾燥しやすいため、保湿ケアと紫外線対策をいつも以上に丁寧に行いましょう。

ハイフのダウンタイム・副作用・注意点

ハイフは比較的負担の少ない治療ですが、医療行為である以上、ダウンタイムや副作用のリスクはゼロではありません。

施術後の一般的な症状

施術後に見られる可能性のある一般的な症状には、赤みや腫れ、むくみや筋肉痛のような鈍い痛みなどがあります。

これらは通常、数時間から数日で自然に治まります。

内出血が起こるケースも稀にありますが、1〜2週間程度で消える方がほとんどです。

ダウンタイムの主な症状と期間

症状期間の目安
赤み・ほてり数時間〜1日
腫れ・むくみ数日〜1週間
筋肉痛のような鈍痛数日〜2週間

重大な副作用を避けるために

非常に稀ですが、神経損傷によるしびれや表情の動かしにくさ、やけどといった重篤な副作用の報告もあります。

これらのリスクは、解剖学を無視した未熟な施術者による不適切な照射が原因で起こる例が大半です。

信頼できる医療機関で、経験豊富な医師による施術を受けることが、こうしたリスクを回避する上で最も重要です。

ハイフを受けられない人の条件

安全上の理由から、以下に該当する方はハイフの施術を受けられません。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • ペースメーカーや埋め込み式除細動器を使用している方
  • 施術部位に金属プレートやシリコンを埋め込んでいる方
  • 重度の心疾患や自己免疫疾患のある方

該当する項目がある場合は、必ずカウンセリング時に医師に申し出てください。

クリニック選びと料金の目安

効果と安全性の両面で満足のいく結果を得るためには、クリニック選びが非常に重要です。料金だけでなく、総合的な観点から慎重に選びましょう。

信頼できるクリニックの選び方

カウンセリングの丁寧さ、医師の経験や実績、使用している機器の種類、アフターフォローの体制などを確認しましょう。

料金の安さだけで選ぶのではなく、疑問や不安に対して真摯に答えてくれる、信頼関係を築けるクリニックを見つけることが大切です。

使用する機器による料金の違い

ハイフには様々なメーカーの機器があり、搭載されている機能や安全性、そして導入コストが異なります。

そのため、使用する機器によって施術料金も変わってきます。

料金だけでなく、どのような特徴を持つ機器なのかを事前に確認するのも良いでしょう。

部位別の料金相場

料金は、施術する部位やショット数、照射する深さなどによって変動します。

あくまで目安ですが、一般的な料金相場を紹介します。

ハイフの料金相場(全顔)

種類料金目安(全顔1回)
国内承認機器100,000円 〜 200,000円
未承認機器(海外製など)30,000円 〜 150,000円

初回のキャンペーン料金などを設定しているクリニックも多くありますので、上手に活用すると良いでしょう。

ハイフに関するよくある質問

ハイフは、SMAS筋膜に働きかけてたるみを改善する施術です。コラーゲン産生を促す作用も期待できるため、肌の引き締めと同時にハリやツヤをアップさせる効果もあります。

もともと顔に脂肪がない方は頬がこけてしまう可能性もあるため他の治療のほうが適していますが、フェイスラインを引き締めたい、ほうれい線やマリオネットラインを解消したいといった方におすすめです。

施術はどのくらいの頻度で受けるのが良いですか?

効果の持続期間が半年から1年程度であるため、その周期に合わせて、年に1〜2回程度のメンテナンスをおすすめする場合が多いです。

ただし、肌の状態や目指すゴールによって適切な頻度は異なりますので、医師と相談して決めましょう。

痛みはありますか?麻酔は使いますか?

部位によって、骨に響くような痛みや熱感を感じるときがあります。

ほとんどの方が麻酔なしで受けられますが、痛みに弱い方のために表面麻酔(麻酔クリーム)を用意しているクリニックもあります。痛みが不安な場合は遠慮なくご相談ください。

施術後、すぐにメイクはできますか?

可能です。ハイフは肌の表面を傷つけないため、施術直後からメイクをしてお帰りいただけます。

ただし、肌を強くこすったりせず、優しくメイクをしてください。

施術後は紫外線対策が必須ですので、メイクをしない方でも日焼け止めクリームを持参すると良いでしょう。

効果が感じられないことはありますか?

たるみの原因や程度によっては、ハイフ単独での効果を実感しにくい場合があります。

特に脂肪が多すぎる、あるいは少なすぎる方、皮膚のたるみが重度の方は、他の治療法が適している可能性があります。

医師の診断のもと、ご自身の状態に合った治療法を選択しましょう。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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