フェイスラインがぼやけた、口角が下がった、ほうれい線が深くなったなど、顔のたるみが気になって受診される方は多いです。
たるみ治療には様々な方法がありますが、その中でもボトックス注射がリフトアップに効果が期待できることをご存知でしょうか。
ボトックスはシワ治療のイメージが強いかもしれませんが、筋肉の働きを調整してたるみを引き上げ、すっきりとした印象へ導くことが可能です。
この記事では、ボトックスがなぜたるみに効果があるのか、その働きから具体的な適用部位、他の治療法との違い、注意点まで詳しく解説します。
そもそもボトックスとは?たるみ治療の前に知っておきたい基礎知識
ボトックスはボツリヌス菌から抽出したタンパク質の一種で、筋肉の働きを一時的に弱める作用を持つ薬剤です。
この作用を利用して、たるみの原因となる筋肉のバランスを整え、リフトアップ効果をもたらします。
美容医療で広く活用される理由や、シワ治療との役割の違いについて理解を深めましょう。
ボトックスの主成分と作用
ボトックスは、ボツリヌス菌から抽出した「A型ボツリヌス毒素」というタンパク質の一種を有効成分とする薬剤です。
毒素と聞くと不安に感じる方もいるかもしれませんが、美容医療で用いるボトックスは人体に影響が出ないよう安全な形で生成し、無毒化しているの心配はいりません。
その主な作用は、神経の末端から放出される伝達物質「アセチルコリン」の働きを抑え、筋肉の過剰な収縮を一時的に緩めることです。
この働きにより、筋肉の緊張によってできる表情ジワなどを改善します。効果は永続的ではなく、時間の経過とともに徐々に元の状態に戻っていきます。
美容医療で広く使われる理由
ボトックス注射が美容医療の現場で広く支持されているのには、いくつかの理由があります。
注射のみで行うため、メスを使う手術に比べて身体への負担が少なく、施術時間も短いことが大きな利点です。
また、ダウンタイムがほとんどなく施術後すぐに日常生活に戻れる点も、多くの方に選ばれる理由の一つです。
特定の筋肉にピンポイントで作用させられるため、医師の技術によって細やかなデザイン調整が可能な点も、美容医療における高い汎用性につながっています。
ボトックスの主な美容効果
- 表情ジワの改善
- フェイスラインのリフトアップ
- 小顔効果(エラ張り改善)
- 発汗の抑制(ワキガ・多汗症治療)
シワ治療とたるみ治療での役割の違い
ボトックスは「シワ治療」のイメージが強いですが、「たるみ治療」でも重要な役割を果たします。この二つの治療では、同じボトックスを使いながらも、その目的と働きかけの方法が異なります。
シワ治療では、眉間や目尻など、表情を作る筋肉が過剰に動いて刻まれる「表情ジワ」の原因筋に直接注射し、その動きを緩めてシワをできにくくします。
一方、たるみ治療では、顔の筋肉のバランスに着目します。顔には皮膚を引き上げる筋肉(挙筋)と引き下げる筋肉(下制筋)があり、加齢などにより下げる筋肉の力が強まるとたるみが生じます。
たるみ治療では、この下げる筋肉の働きをボトックスで弱め、相対的に上げる筋肉の力を優位にして、自然なリフトアップ効果を狙います。
シワ治療とたるみ治療におけるボトックスの役割
項目 | シワ治療 | たるみ治療 |
---|---|---|
主な目的 | 表情ジワの改善 | リフトアップ、フェイスラインの改善 |
アプローチ | シワの原因となる筋肉の動きを直接抑制 | 引き下げる筋肉を弱め、筋肉のバランスを調整 |
代表的な部位 | 眉間、額、目尻 | フェイスライン、首、口角 |
ボトックスでたるみが改善する仕組み
ボトックスは、顔の皮膚を引き下げる筋肉の働きを弱めることでたるみを改善します。
下方向へ引っ張る力が弱まると相対的に引き上げる筋肉の力が優位になり、自然なリフトアップ効果が生まれるのです。さらに、肌質を改善する効果も期待できます。
筋肉の緊張を緩めてリフトアップ
顔には数多くの表情筋が存在し、それぞれが特定の方向に皮膚を動かしています。年齢を重ねると一部の筋肉が常に緊張した状態になり、それがたるみや意図しないシワの原因となる場合があります。
例えば、口角を引き下げる筋肉が過剰に働くと口元が「への字」になり、不機嫌そうな印象や老けた印象を与えてしまいます。
ボトックスをこの筋肉に注射すれば、その過剰な緊張を和らげ、自然と口角が上がりやすい状態を作ります。
引き下げる筋肉を抑え引き上げる筋肉を優位に
顔の筋肉は、皮膚を引き上げる筋肉群と、引き下げる筋肉群が互いにバランスを取りながら機能しています。
重力の影響や加齢による筋力の変化で、皮膚を引き下げる筋肉の力が相対的に強くなると、顔全体のたるみにつながります。
ボトックス治療では、この引き下げる働きを持つ筋肉(広頚筋や口角下制筋など)に働きかけます。
これらの筋肉の働きをピンポイントで弱めるため、拮抗する関係にある引き上げる筋肉の力が優位になり、綱引きのように顔が上方向へリフトアップされるのです。
フェイスラインをシャープに見せる効果
フェイスラインのもたつきは、たるみの悩みのなかでも特に多いものです。この原因の一つに、首の表面にある「広頚筋」という薄い筋肉が関わっています。
広頚筋は口角から首、デコルテにかけて広がっており、下に引っ張る力が強い筋肉です。この筋肉が過剰に働くとフェイスラインがぼやけ、首との境界が曖昧になります。
ボトックスをフェイスラインや首に沿って注射する「ネフェルティティリフト」という手法では、この広頚筋の働きを抑えて下方向への引っ張る力を弱め、シャープなフェイスラインとすっきりとした首元を目指します。
肌質の改善によるハリ感アップ
ボトックスには筋肉の動きを抑制する作用に加え、皮膚の浅い層(真皮層)に注入すると肌質を改善する効果も期待できます。
「マイクロボトックス」や「ボトックスリフト」と呼ばれるこの手法では、ごく少量のボトックスを広範囲に注射します。その結果、皮脂腺や汗腺の働きが抑制されて皮脂が減り、毛穴が引き締まります。
さらに、皮膚表面の細かい筋肉の緊張が解けるため肌がなめらかになり、自然なハリ感が生まれるのです。
この肌質の向上も、たるみによる影を目立たなくさせ、若々しい印象を後押しする一因となります。
たるみ改善にボトックスが効果的な部位
ボトックスによるたるみ治療は、顔のどの部分にでも適用できるわけではありません。筋肉の働きを調整するという特性上、特に効果を発揮しやすい部位が存在します。
首のたるみ(ネフェルティティリフト)
首からフェイスラインにかけてのたるみには、広頚筋という筋肉が大きく関わっています。
この筋肉にボトックスを注射する「ネフェルティティリフト」は、下方向への引っ張る力を弱めてフェイスラインをシャープにし、首の縦ジワを目立たなくさせる効果が期待できます。
すっきりとした輪郭は、若々しい印象を与える上で非常に重要です。
口角の下がり(マリオネットライン)
口角が下がっていると疲れて見えたり、不機嫌な印象を与えたりしやすいです。これは、口角を下に引く「口角下制筋」の力が強い場合に起こりやすい症状です。
この筋肉にボトックスを少量注射すると、筋肉の緊張が和らぎ、自然と口角がキュッと上がります。
口角が上がればマリオネットラインが浅く見える効果も期待でき、明るく優しい表情を取り戻す手助けをします。
顎の梅干しジワとフェイスライン
顎に力を入れたときにできる、梅干しのようなシワは「オトガイ筋」という筋肉の過剰な収縮によって生じます。この状態が続くと、顎周りの皮膚がたるむ原因にもなります。
オトガイ筋にボトックスを注射すると筋肉の緊張がほぐれ、滑らかで美しい顎のラインが生まれます。
また、顎の緊張が取れると、フェイスライン全体のバランスも整いやすくなります。
ボトックスによるたるみ治療の主な適用部位
適用部位 | 関連する筋肉 | 期待できる効果 |
---|---|---|
首・フェイスライン | 広頚筋 | フェイスラインの引き締め、首の縦ジワ改善 |
口角 | 口角下制筋 | 口角の挙上、マリオネットラインの改善 |
顎 | オトガイ筋 | 梅干しジワの改善、顎のラインを滑らかに |
眉の下がりと目元のたるみ
眉毛の上にある「前頭筋」は眉を引き上げる働きをしますが、目の周りにある「眼輪筋」は眉を引き下げる働きを持っています。
眼輪筋の外側(眉尻側)の力が強いと眉尻が下がり、目元がたるんだ印象になります。
この眼輪筋の眉尻側の部分にボトックスを注射すると下に引っ張る力が弱まり、相対的に眉が引き上がり、目がパッチリと開けやすくなる効果があります。
これは「ボトックスブロウリフト」とも呼ばれる手法です。
ボトックスと他のたるみ治療(ハイフ・糸リフト)との違い
ボトックス、ハイフ、糸リフトの最大の違いは、作用する皮膚の層です。
ボトックスが「筋肉」に作用するのに対し、ハイフは皮膚の土台である「SMAS筋膜」、糸リフトは「皮下組織」に直接働きかけます。この違いにより、効果の現れ方や持続期間も異なります。
作用する層の違い
たるみ治療は、皮膚のどの層に働きかけるかによって大きく分類できます。
ボトックスは主に「筋肉層」に作用し、筋肉の動きをコントロールしてリフトアップを図ります。
一方、ハイフは高密度の超音波エネルギーを使い、皮膚の土台である「SMAS筋膜」という層に熱を加えて引き締めます。
糸リフトは、トゲのついた特殊な糸を皮下に挿入し、物理的に皮膚組織を引っ張り上げる治療法です。
主なリフトアップ治療のアプローチ層
治療法 | アプローチ層 | 作用の概要 |
---|---|---|
ボトックス | 筋肉層 | 筋肉の動きを調整し、バランスを整える |
ハイフ(HIFU) | SMAS筋膜・皮下組織 | 超音波の熱で組織を収縮させ引き締める |
糸リフト | 皮下組織 | 糸を挿入し、物理的に組織を引き上げる |
効果の現れ方と持続期間
効果の現れ方や持続期間も、治療法によって異なります。
ボトックスは注射後数日から1週間ほどで効果が現れ始め、通常3〜4ヶ月程度持続します。
ハイフは、施術直後から引き締め効果を感じる場合もありますが、コラーゲン生成が促されて1〜3ヶ月かけて徐々に効果が高まります。持続期間は半年から1年程度が目安です。
糸リフトは施術直後から物理的なリフトアップ効果が実感でき、糸の種類にもよりますが、1年〜1年半ほど効果が持続します。
治療の組み合わせによる相乗効果
これらの治療は単独で行うだけでなく、組み合わせるとより効果を実感しやすいです。
例えば、ハイフでSMAS筋膜を引き締めて土台を整えた上で、ボトックスを用いてフェイスラインを引き下げる筋肉の働きを弱めると、よりシャープな輪郭を目指せます。
また、糸リフトで物理的に引き上げた状態を、ボトックスで維持しやすくするといった考え方もあります。
どの治療を組み合わせるのが良いかは、たるみの原因や状態によって異なるため、専門の医師とよく相談しましょう。
ボトックスが向いている人・向いていない人
ボトックスによるたるみ治療は、口角を下げる癖や顎に力を入れる癖など、特定の筋肉の過剰な働きによってたるみが生じている方に特に向いています。
一方で、皮膚自体のゆるみや脂肪の下垂が主な原因の方には、ハイフや糸リフトなど他の治療法が適している場合があります。
筋肉の過剰な働きが原因の「表情じわ型たるみ」
日々の生活の中で、無意識に行っている表情の癖がある方は意外と多いです。
例えば、話すときに口角を下げる癖があったり、考え事をするときに顎に力が入ったり、といった状態です。
このような筋肉の過剰な動きが長年続くとその部分の皮膚がたるみ、シワとして定着してしまうケースがあります。これが「表情じわ型たるみ」です。
このタイプのたるみは原因が筋肉の動きにあるため、ボトックスでその動きを抑制するのが直接的な解決策となり、良い効果を期待できます。
こんな方は「表情じわ型たるみ」かも
- 口角が下がり、マリオネットラインが目立つ
- 顎に梅干しのようなシワができる
- 首に力を入れると縦ジワがくっきり出る
皮膚のゆるみが主な原因の「スキンデフレーション型たるみ」
一方で、加齢や紫外線ダメージによって肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚そのものがゆるんでしまうタイプのたるみもあります。
また、皮下脂肪が減少したり、重力によって下垂したりするのも大きな原因です。
このような「スキンデフレーション型たるみ」の場合、筋肉の動きを止めるボトックスだけでは、根本的な解決が難しいケースがあります。
このタイプのたるみには、皮膚の土台を引き締めるハイフや、物理的に引き上げる糸リフト、ボリュームを補うヒアルロン酸注入などがより適している場合があります。
自分に合った治療法を見つけるためのセルフチェック
ご自身のたるみがどのタイプに近いか、簡単なセルフチェックで考えてみましょう。
鏡の前で、まずはお顔の力を抜いてリラックスした状態を確認します。次に、口角をぐっと下げてみたり、顎に力を入れてみたりしてください。
その動きによってたるみやシワが強調されるようであれば、筋肉の動きが原因である可能性が高いと言えます。
逆に、指で頬の皮膚を優しく持ち上げたときに、フェイスラインがすっきりするのであれば、皮膚や皮下組織のゆるみが原因の可能性があります。
たるみの原因別 特徴と適した治療の傾向
たるみのタイプ | 主な原因 | 適した治療の傾向 |
---|---|---|
表情じわ型たるみ | 特定の筋肉の過剰な動き、表情の癖 | ボトックス注射 |
スキンデフレーション型たるみ | 皮膚の弾力低下、皮下脂肪の減少・下垂 | ハイフ、糸リフト、ヒアルロン酸注入 |
混合型たるみ | 複数の原因が複合的に関わっている | 複数の治療法の組み合わせ |
ボトックス治療を受ける前に知っておくべきこと
ボトックス治療を受ける前には、カウンセリングから施術後のダウンタイム、注意点までの一連の流れを理解しておきましょう。
特に施術当日は、血行を促進する行為を避けるなど、いくつかの注意点を守る必要があります。
カウンセリングから施術までの流れ
まず、専門の医師によるカウンセリングから始まります。現在の悩みや希望する効果について詳しく伝えましょう。
医師が顔の筋肉の動きやたるみの状態を診察し、ボトックス治療が適しているか、どの部位にどれくらいの量を注入するのが良いかを判断します。
治療法や効果、リスクについて十分な説明を受け、納得した上で治療に進みます。施術当日は、注入部位を消毒し、マーキングを行ってから、極細の針でボトックスを注入します。
施術時間は部位にもよりますが、5分から15分程度と非常に短時間で終了します。
施術後のダウンタイムと注意点
ボトックス注射はダウンタイムがほとんどないのが特徴ですが、いくつかの注意点があります。
施術直後は注射部位に軽い赤みや腫れ、内出血が出る場合がありますが、通常は数日で自然に消えていきます。施術当日は、血行が良くなるような激しい運動や長時間の入浴、サウナや飲酒を避けましょう。
また、注入した薬剤が意図しない部位に広がるのを防ぐため、施術後数時間は注入部位を強くこすったり、マッサージしたりしないように注意が必要です。
施術後の主な注意点
期間 | 控えるべき行動 | 理由 |
---|---|---|
施術当日 | 激しい運動、長時間の入浴、飲酒 | 血行を促進し、内出血のリスクを高めるため |
施術後数時間 | 施術部位のマッサージ、強くこする行為 | 薬剤が周囲に拡散するのを防ぐため |
施術後約1週間 | エステや顔のマッサージ | 効果が安定するまで刺激を避けるため |
効果を長持ちさせるためのアフターケア
ボトックスの効果をできるだけ長持ちさせるためには、日々のセルフケアも大切です。
紫外線は肌のコラーゲンを破壊し、たるみを促進させる大きな要因です。季節を問わず、日焼け止めを塗るなど紫外線対策を徹底しましょう。
また、肌の乾燥もたるみの原因となるため、十分な保湿ケアが重要です。
さらに、表情の癖を意識し、特定の筋肉に過度な負担をかけないようにする心がけも効果の持続につながります。
ボトックス治療のリスクと副作用について
ボトックス治療の主なリスクと副作用には、注射部位の内出血や赤み、腫れなどがあります。
これらは一時的なものがほとんどですが、まれに表情の違和感などが生じる可能性もあるため、経験豊富な医師のもとで治療を受けることが重要です。
考えられる副作用とその対処法
最も一般的な副作用は、注射部位の内出血や赤み、腫れや軽い痛みなどです。これらは一時的なもので、ほとんどの場合、数日から1週間程度で自然に軽快します。
まれに、薬剤が効きすぎて表情が硬く感じられたり、左右差が生じたり、頭痛を感じたりするケースがあります。
このような症状も基本的には時間の経過とともに改善しますが、気になる症状があれば速やかに施術を受けたクリニックに相談しましょう。
ボトックスの主な副作用
- 内出血、赤み、腫れ
- 表情の違和感、こわばり
- 左右差の出現
- 頭痛、吐き気(まれ)
経験豊富な医師を選ぶ重要性
ボトックス治療は、誰がどこにどれだけ注射するかによって、結果が大きく変わる繊細な治療です。
たるみを改善するためには、顔の解剖学的な構造を熟知し、筋肉の動きを正確に見極める知識と技術が求められます。
注入量が多すぎたり注入する場所が少しずれたりするだけで、不自然な表情になったり、期待した効果が得られなかったりする可能性があります。
満足のいく結果を得て、リスクを最小限に抑えるためには、ボトックス治療の経験が豊富な医師を選びましょう。
施術を受けられないケース
安全に治療を受けていただくため、以下に該当する方はボトックス注射を受けられない場合があります。
カウンセリングの際に、ご自身の健康状態や服用中の薬について正確に医師に申告してください。
ボトックス治療が受けられない主なケース
- 妊娠中・授乳中の方
- 神経筋疾患(重症筋無力症など)をお持ちの方
- 過去にボツリヌス毒素製剤でアレルギー反応が出た方
- 特定の抗生物質などを服用中の方
ボトックス治療の費用相場
ボトックス治療の費用は、主に施術部位と使用する薬剤の種類によって決まります。
例えば、広範囲に注入するフェイスラインへの施術は、口角など部分的な施術よりも高額になる傾向があります。
また、品質や安全性が認められた承認薬は、そうでない薬剤に比べて価格が高く設定されています。
部位別の費用目安
ボトックス治療は、施術する部位や改善したい症状によって必要な薬剤の量が異なるため、部位ごとに料金が設定されているのが一般的です。
たるみ治療の場合、複数の部位に注入するケースも多くあります。あくまで目安として、一般的な価格帯を参考にしてください。
たるみ治療における部位別費用相場
施術部位 | 一般的な費用目安(税込) |
---|---|
口角(口角下制筋) | 20,000円 ~ 40,000円 |
顎(オトガイ筋) | 20,000円 ~ 40,000円 |
フェイスライン・首(ネフェルティティリフト) | 80,000円 ~ 150,000円 |
使用する製剤による価格の違い
ボトックス治療で用いられるA型ボツリヌス毒素製剤には、いくつかの種類があります。
日本の厚生労働省が承認しているアラガン社の「ボトックスビスタ®」は、品質や安全性が高く評価されており、多くのクリニックで採用されています。
その他にも、韓国製の製剤などがあり、一般的にアラガン社製のものより安価な傾向にあります。
製剤によって特徴や持続期間に違いがあるため、カウンセリング時にどの製剤を使用するのか、その理由や特徴について確認すると良いでしょう。
クリニック選びと費用の考え方
費用だけでクリニックを選ぶのはおすすめできません。前述の通り、ボトックス治療は医師の技術力が結果を大きく左右します。
料金が極端に安い場合は、経験の浅い医師が担当したり、質の低い製剤を使用していたりする可能性も考えられます。
カウンセリングが丁寧で、リスクについてもきちんと説明してくれるか、実績は豊富かなど、総合的な観点から信頼できるクリニックを選びましょう。
たるみ改善ボトックスに関するよくある質問
ボトックスはたるみ改善に効果的な治療法の一つです。
ただし、どのようなたるみにも適しているわけではなく、原因によって向いているたるみと、そうでないたるみが存在します。
たるみの状態がボトックスの適応となるか否かをご自身で正確に判断するのは難しいため、たるみ治療やボトックスを検討している方は、いちどクリニックの無料カウンセリングに足を運んでみると良いでしょう。
- 効果はいつから現れますか?
-
効果の現れ方には個人差がありますが、一般的には施術後2〜3日後から徐々に効果が現れ始め、1〜2週間程度で安定します。
リフトアップ効果をしっかりと感じられるようになるまでには、少し時間がかかります。
- 痛みはありますか?
-
極細の注射針を使用するため、痛みはチクッとする程度です。
痛みが心配な方は、冷却や表面麻酔クリームなどを使用すると痛みを和らげられますので、カウンセリング時にお気軽にご相談ください。
- どのくらいの頻度で受けるのが良いですか?
-
ボトックスの効果の持続期間は、通常3〜4ヶ月程度です。
効果を維持するためには、効果が切れる少し前のタイミングで、3〜4ヶ月に1回のペースで継続して治療を受けることをおすすめします。
繰り返し治療を行うと、効果の持続期間が長くなる傾向もあります。
- 施術後、すぐにメイクはできますか?
-
施術直後からメイクをしてお帰りいただけます。ただし、注射した部位を強くこすったり、マッサージしたりしないよう、優しくメイクをしてください。
洗顔も当日から可能ですが、同様に優しく行ってください。
- 表情が不自然になることはありませんか?
-
経験豊富な医師が、適切な部位に適切な量を注入すれば、表情が不自然になることはほとんどありません。
自然なリフトアップ効果を得るためには、筋肉の動きを見極め、全体のバランスを考えた注入が重要です。
カウンセリング時に、ご自身の希望や不安な点をしっかりと医師に伝え、仕上がりのイメージを共有しましょう。
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