「肌の若返り」を期待してリジュラン治療を受けたのに、思ったような効果を実感できず、がっかりしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
リジュランで「効果がない」と感じる背景には、施術回数やご自身の肌の悩みとの相性、効果が現れるまでの期間の誤解など、いくつかの原因が考えられます。
この記事では、リジュランの働きを改めて確認し、なぜ効果を感じにくいのか、その理由を多角的に解説します。
そもそもリジュランとは?その働きを再確認
リジュランの効果について考える前に、まずリジュランがどのような製剤で、肌にどう働きかけるのかを正しく理解することが重要です。
他の注入治療との違いを知ると、リジュランへの期待値も適正なものになります。
ポリヌクレオチド(PN)が主成分
リジュランの主成分は「ポリヌクレオチド(PN)」です。
これは、サーモンのDNAから抽出・精製された非常に安全性の高い成分で、人体への適合性が高いことで知られています。
このポリヌクレオチドには、肌の自己再生能力を促す力があります。アレルギー反応のリスクが低い点も、この成分の大きな特徴です。
肌の再生能力を高める働き
リジュランを肌に注入すると、主成分であるポリヌクレオチドが線維芽細胞を活性化させます。
線維芽細胞は、肌のハリや弾力を保つために重要なコラーゲンやエラスチンを生成する細胞です。
この働きにより肌が内側から組織を再構築し、ダメージを受けた皮膚を修復します。結果として、肌の密度が高まり、弾力のある健康的な状態へと導きます。
ポリヌクレオチドの主な働き
- 線維芽細胞の活性化
- コラーゲン・エラスチンの産生促進
- ダメージを受けた皮膚組織の修復
- 皮脂と水分のバランス調整
ヒアルロン酸注入との違い
リジュランは、しわやくぼみを物理的に埋めるヒアルロン酸注入とは根本的に働きかけが異なります。
ヒアルロン酸がボリュームを補う「補充」の治療であるのに対し、リジュランは肌自体の再生能力を引き出す「育てる」治療です。
効果の現れ方や持続性にも違いがあるため、目的によって使い分ける必要があります。
リジュランとヒアルロン酸の比較
項目 | リジュラン | ヒアルロン酸 |
---|---|---|
主成分 | ポリヌクレオチド(PN) | ヒアルロン酸 |
主な目的 | 肌質の改善、自己再生能力の向上 | しわ・くぼみの充填、ボリュームアップ |
効果の現れ方 | 時間をかけてゆっくり現れる | 注入直後から効果を実感しやすい |
リジュランで効果がないと感じる原因
期待して受けたリジュランで効果を感じられない場合、いくつかの原因が考えられます。
技術的な問題から、患者さん自身の肌状態や認識とのズレまで、その要因はさまざまです。
施術回数が不足している
リジュランは1回の施術で完成する治療ではありません。肌の再生サイクルを考慮し、2~3週間に1度のペースで3~4回程度の施術を継続することが推奨されています。
1回だけの施術では、肌内部の変化が表面に現れる前に効果が薄れてしまい、「何も変わらなかった」と感じる原因になります。
肌質改善という根本的な治療には、ある程度の時間と回数が必要です。
注入量や注入箇所が適切でない
リジュランの効果は、注入する量や深さ、部位によって大きく左右されます。
例えば、目元の小じわが気になるのに、頬にばかり注入していては期待した効果は得られません。また、皮膚の浅い層に細かく注入する必要があるため、医師の技術力が問われる施術でもあります。
悩みに応じた適切な部位に適量を注入するのが、効果を実感するための鍵となります。
そもそもリジュランが適応外の悩みだった
リジュランは肌質の改善や小じわ、ハリ感アップに優れた効果を発揮しますが、万能ではありません。
例えば、骨格の変化や脂肪の減少によって生じる深いほうれい線やたるみに対しては、リジュラン単体での改善は困難です。
そのような悩みには、ヒアルロン酸注入や糸リフト、HIFU(ハイフ)など、他の治療法が適している場合があります。
自分の悩みがリジュランの適応症例に合っているか、事前のカウンセリングで確認することが大切です。
効果がないと感じる原因と対策
原因 | 内容 | 対策 |
---|---|---|
回数不足 | 1~2回の施術で中断してしまった | 推奨される回数(3~4回)を継続する |
技術的な問題 | 注入量・箇所・深さが不適切 | 経験豊富な医師のもとで施術を受ける |
適応外 | 深いしわや大きなたるみが悩み | ヒアルロン酸など他の治療法を検討する |
効果発現までの期間を誤解している
前述の通り、リジュランは肌の自己再生能力を促す治療です。そのため、注入直後から劇的な変化が現れるわけではありません。
肌内部でコラーゲンが増えて組織が再構築されるまでには時間が必要で、効果を実感し始めるのは2~3回目の施術を終えた頃からなので、初回の施術から1ヶ月以上経過してからです。
この時間を待たずに「効果がない」と判断してしまうケースは少なくありません。
リジュランの効果を実感しやすい適応症例
では、どのような悩みにリジュランは力を発揮するのでしょうか。リジュランが「得意」とする症例を具体的に知ると、ご自身の悩みと合致しているかを確認できます。
目元や口元の小じわ・ちりめんじわ
皮膚が薄く乾燥しやすい目元や口元に現れる浅いしわ、いわゆる「ちりめんじわ」の改善は、リジュランが得意とする分野です。
ヒアルロン酸では不自然になりやすい部位でも、リジュランなら肌自体のハリを高めて、自然な形でしわを目立たなくさせます。
肌のハリ・弾力不足
肌のハリや弾力は、加齢とともに失われていきます。リジュランは線維芽細胞を活性化させ、コラーゲンやエラスチンの生成を促すため、肌の密度が高まります。
この作用により肌が内側から持ち上がり、ハリと弾力のある若々しい印象を取り戻す手助けをします。
ニキビ跡・クレーターの改善
炎症によってダメージを受け、凹んでしまったニキビ跡やクレーターにもリジュランは有効です。
ダメージを受けた皮膚組織の修復を促進し、コラーゲン生成を促して凹凸を目立たなくさせ、滑らかな肌へと導きます。
この場合、ダーマペンなどの他の治療と組み合わせる方もいます。
リジュランの主な適応症例
悩み | リジュランによるアプローチ | 期待できる変化 |
---|---|---|
小じわ・ちりめんじわ | 皮膚のハリ・弾力を向上させる | しわが目立ちにくくなる |
ハリ・弾力不足 | コラーゲン・エラスチン産生を促進 | 肌に厚みと弾力が戻る |
ニキビ跡・凹凸 | 皮膚組織の修復を促進する | クレーターが浅くなる |
肌全体の質感・トーンアップ
特定の悩みだけでなく、肌全体のコンディションを高めたい場合にもリジュランが適しています。
血行を促進して皮脂と水分のバランスを整えるため、くすみが改善され、肌のトーンが明るくなります。
また、キメが整い、化粧ノリの良い滑らかな肌質へと変化していきます。
リジュランに期待できる具体的な変化
リジュラン治療を継続すると、肌内部ではどのような変化が起こるのでしょうか。ここでは、リジュランによって得られる具体的な作用について掘り下げて解説します。
肌の水分量と油分のバランス改善
リジュランは、肌の保護膜を再構築し、皮脂と水分のバランスを正常な状態に整える働きがあります。
これにより、乾燥肌の方は潤いを保ちやすくなり、脂性肌の方は過剰な皮脂分泌が抑えられる傾向にあります。
肌のバリア機能が向上し、外部刺激に強い健康な肌へと導きます。
線維芽細胞の活性化によるコラーゲン生成
これがリジュランの最も中心的な働きです。ポリヌクレオチドが肌のハリを司る線維芽細胞に直接働きかけ、その活動を活発にします。
活性化した線維芽細胞は、新たなコラーゲンやエラスチンを精力的に産生し始めます。
この内側からの再構築により肌に厚みと弾力が生まれ、小じわや毛穴の開きが改善されます。
リジュランによる肌内部の変化
作用 | 結果 |
---|---|
水分・油分バランスの正常化 | 乾燥・脂性肌の改善、バリア機能向上 |
線維芽細胞の活性化 | コラーゲン・エラスチンの増生 |
血行促進 | くすみの改善、肌トーンアップ |
血行促進によるくすみの改善
ポリヌクレオチドは毛細血管の再生を促し、皮膚の血流を改善する効果も報告されています。
血行が良くなるため肌の隅々まで酸素や栄養が行き渡り、老廃物の排出もスムーズになります。
その結果、目の下のクマや顔全体のくすみが改善され、血色の良い健康的な肌色になります。
効果を高めるために知っておきたいポイント
せっかくリジュラン治療を受けるのであれば、その効果を最大限に引き出したいものです。
ここでは、治療効果を高めるために患者さん自身ができること、知っておくべきことを紹介します。
適切な施術間隔と回数を守る
最も重要なのは、クリニックから推奨された施術スケジュールを守ることです。リジュランの効果は、継続すると段階的に高まっていきます。
2~3週間に1度のペースで3~4回という基本のコースを完了させることが、確実な効果実感への近道です。
自己判断で間隔を空けすぎたり、途中でやめてしまったりすると、十分な効果が得られない可能性があります。
信頼できるクリニック・医師を選ぶ重要性
リジュランは、医師の技術によって結果が大きく変わる施術です。
肌の状態を正確に診断し、悩みに合わせて注入部位や深さ、量を的確に判断できる経験豊富な医師を選ぶのが重要です。
カウンセリングで親身に話を聞いてくれるか、リスクやデメリットについてもきちんと説明してくれるかなど、信頼関係を築けるクリニックを見つけましょう。
クリニック選びのポイント
- リジュランの症例数が豊富か
- カウンセリングが丁寧で分かりやすいか
- 医師の経歴や資格が明確か
施術後のアフターケア
施術後の肌はデリケートな状態です。効果を高めてダウンタイムを短縮するためにも、アフターケアを丁寧に行いましょう。
なかでも重要なのは、保湿と紫外線対策です。肌の再生をサポートするために十分な保湿を心がけ、日焼け止めなどで紫外線から肌を守ってください。
また、施術当日の激しい運動や飲酒、サウナなどは血行を促進しすぎるため、控えるのが賢明です。
他の治療との組み合わせ
リジュランは他の治療と組み合わせると、相乗効果を期待できます。
例えば、HIFUで土台を引き締め、リジュランで肌表面の質感を高める、あるいは光治療でシミやくすみを改善しつつ、リジュランでハリを出すなど、複合的な働きかけが可能です。
どのような組み合わせが自分の悩みに合っているか、医師に相談してみると良いでしょう。
治療の組み合わせ例
組み合わせる治療 | 期待できる相乗効果 |
---|---|
HIFU(ハイフ) | たるみの引き締めと肌質の同時改善 |
ダーマペン4 | ニキビ跡や毛穴へのより高い効果 |
光治療(IPL) | シミ・くすみとハリ・小じわの同時改善 |
リジュランの種類と特徴
「リジュラン」と一括りにされがちですが、実は悩みに応じて使い分けるための種類があります。
リジュランi(アイ)
リジュランiは、皮膚が薄くデリケートな目元専用に開発された製剤です。通常のリジュランよりも粘度が低く柔らかいため、目の周りの小じわやクマの改善に適しています。
皮膚の薄い部分にも滑らかに注入でき、自然な仕上がりを期待できます。
リジュランs(エス)
リジュランsは、シリーズの中で最も粘度が高い製剤です。硬めのテクスチャーが特徴で、ニキビ跡のクレーターや傷跡など、凹みが深い部分の治療に用いられます。
組織の再生を強力に促し、凹んだ部分を内側から持ち上げる効果が期待できます。
リジュランHB(エイチビー)
リジュランHBは、ポリヌクレオチドに非架橋のヒアルロン酸とリドカイン(麻酔成分)を配合した製剤です。肌再生効果に加えてヒアルロン酸による高い保湿効果が得られるのが特徴です。
また、麻酔成分が含まれているため、注入時の痛みを大幅に軽減できます。乾燥が気になる方や痛みに弱い方におすすめです。
リジュランの種類別特徴
種類 | 粘度 | 主な適応部位・症状 |
---|---|---|
リジュランi | 低い(柔らかい) | 目元の小じわ、クマ |
リジュランs | 高い(硬い) | ニキビ跡、傷跡の凹み |
リジュランHB | 中間 | 顔全体の乾燥、小じわ、痛みが苦手な方 |
リジュラン以外の選択肢も検討する
リジュランで効果がないと感じた場合、あるいは自分の悩みがリジュランの適応から外れる場合は、他の治療法に目を向けることも大切です。美容医療には様々な選択肢があります。
深いしわやたるみにはヒアルロン酸や糸リフト
ほうれい線やマリオネットラインなどの深いしわ、フェイスラインのもたつきといった「たるみ」が主な悩みの場合、リジュランだけでは力不足なケースがあります。
このような悩みには、ボリュームを補うヒアルロン酸注入や、物理的に組織を引き上げる糸リフト(スレッドリフト)、筋膜に働きかけるHIFUなどがより直接的な効果を期待できます。
シミやそばかすには光治療やレーザー
肌の色ムラ、つまりシミやそばかす、肝斑などが気になる場合は、メラニン色素に働きかける治療が必要です。光治療(IPL)やピコレーザー、レーザートーニングなどが代表的な選択肢となります。
これらの治療は、リジュランがターゲットとする「肌の構造」とは異なる層に働きかけます。
肌全体の若返りには他の注入治療
リジュランと同様に、肌質改善や若返りを目的とした注入治療は他にもあります。
例えば、自身の血液から抽出した成分を利用するPRP皮膚再生療法や、非架橋ヒアルロン酸を主成分とするスネコス、プロファイロなどがあります。
それぞれに特徴や得意なことがあるため、比較検討してみる価値はあります。
悩み別のおすすめ治療法
- 深いしわ・たるみ → ヒアルロン酸、糸リフト、HIFU
- シミ・色ムラ → 光治療(IPL)、各種レーザー
- 肌質改善・ハリ → PRP療法、スネコス、プロファイロ
よくある質問(Q&A)
リジュランは、肌の再生を促して様々な肌悩みを改善する美容医療です。
「効果が全くない」という方はおらず、肌のハリや弾力のアップ、うるおいの向上などの効果が実感できます。
もしも効果を実感できないとすれば、肌悩みにリジュラン治療が合っていなかった、施術回数が足りていない、劇的な変化を期待しすぎているなど、何らかの理由が考えられます。
いちどご自身の肌の状態を冷静に確認し、クリニックに相談してみると良いでしょう。
- 施術中の痛みはどのくらいですか?
-
極細の針を使用しますが、注入時にはチクチクとした痛みを感じる場合があります。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの場合、表面麻酔(麻酔クリーム)を使用すると大幅に軽減できます。
痛みが心配な方は、麻酔成分が配合されたリジュランHBを選択するのも良いでしょう。
- ダウンタイムはありますか?
-
施術直後から数日間、ダウンタイムが現れる場合があります。主な症状は、注入部位の赤みや腫れ、内出血や膨疹(ぷくっとした膨らみ)です。
膨疹は数時間~1日程度で、赤みや腫れは2~3日、内出血は1~2週間程度で治まるのが一般的です。メイクは翌日から可能な場合が多いですが、医師の指示に従ってください。
- 効果はいつから現れ、どのくらい持続しますか?
-
効果の現れ方には個人差がありますが、多くの場合、2~3回目の施術後、つまり初回から1ヶ月以上経過した頃から肌質の変化を実感し始めます。
推奨される回数(3~4回)の治療を完了すると、効果は約半年から1年程度持続すると言われています。効果を維持するためには、半年に1回程度のメンテナンス施術を受けることをおすすめします。
- 施術を受けられない人はいますか?
-
妊娠中・授乳中の方、魚アレルギーやヒアルロン酸アレルギーの方、重度の皮膚疾患や感染症がある部位、血液をサラサラにする薬を服用中の方はリジュランの施術を受けられない可能性があります。
安全に治療を行うためにも、事前のカウンセリングで必ず医師に申告してください。
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