頬のたるみ改善は筋肉からアプローチ!効果的な表情筋トレーニング

頬のたるみ改善は筋肉からアプローチ!効果的な表情筋トレーニング

以前より頬の位置が下がったように感じたり、ほうれい線が深くなったりしている方も少なくないのではないでしょうか。そのお悩み、実は顔の「筋肉」の衰えが原因かもしれません。

皮膚のハリや弾力だけでなく、その土台となる表情筋を鍛える取り組みが、頬のたるみ改善への近道です。

この記事では、頬のたるみと筋肉の深い関係を解説し、ご自宅で簡単に始められる効果的な表情筋トレーニングを紹介します。正しい知識とケアで、引き締まった若々しい印象を取り戻しましょう。

目次

なぜ頬はたるむのか?筋肉との深い関係

年齢とともに頬がたるんでくるのは、単に皮膚だけの問題ではありません。皮膚の下にある筋肉や脂肪、骨といった組織が総合的に変化して、たるみが進行します。

特に、顔の表情を作る「表情筋」の衰えは、頬のハリを失わせる大きな要因です。

加齢による筋肉量の減少

体の筋肉が年齢とともに減少するのと同様に、顔の表情筋も使わなければ衰えていきます。

表情筋は皮膚に直接付着しているため、筋肉が衰えるとその上にある皮膚や脂肪を支えきれなくなり、重力に負けて垂れ下がってしまいます。これが頬のたるみの直接的な原因の一つです。

皮膚の弾力低下とコラーゲンの関係

皮膚の真皮層には、ハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンが存在します。しかし、加齢や紫外線の影響でこれらの成分は減少し、質も低下します。

土台である筋肉が衰え、さらに皮膚自体の弾力も失われることで、たるみがより顕著になります。筋肉を鍛えるケアは、血行を促進して皮膚の健康を保つ上でも重要です。

たるみの主な原因比較

要因内容頬への影響
筋肉の衰え表情筋の筋力低下や萎縮皮膚と脂肪を支えきれず下垂する
皮膚の弾力低下コラーゲン・エラスチンの減少ハリが失われ、ゆるみやシワが生じる
脂肪の変化皮下脂肪の増加や下垂重みで頬が垂れ下がり、輪郭が崩れる

姿勢や生活習慣が与える影響

長時間のスマートフォン操作によるうつむき姿勢や、猫背なども頬のたるみに影響を与えます。

首や肩の筋肉が緊張して顔周りの血行やリンパの流れが悪化すると、老廃物が溜まりやすくなり、むくみやたるみを引き起こします。

また、食事の際に片側だけで噛む癖も顔の筋肉のバランスを崩し、たるみの原因となります。

たるみのサインを見逃さない!セルフチェック方法

頬のたるみはある日突然現れるわけではなく、少しずつ進行します。早い段階でサインに気づき、対策を始めることが大切です。

簡単なセルフチェックで、ご自身の頬の状態を確認してみましょう。

鏡の前で確認するポイント

まず、正面から鏡を見て、以下の点を確認してください。

  • 以前より顔が四角くなった、または大きくなったように感じる
  • ほうれい線が深くなった
  • 口角が下がっている
  • 頬の毛穴が縦に伸びて涙型になっている
  • フェイスラインがぼやけてきた

一つでも当てはまる項目があれば、たるみが始まっている可能性があります。

指で触って弾力をチェック

次に、頬の弾力を確認します。洗顔後の清潔な肌で、人差し指の腹を使って頬の中央を優しく押し、ゆっくりと離します。

指を離したときに、肌がすぐに元の位置に戻るか確認してください。戻りが遅い場合は、皮膚の弾力が低下しているサインです。

真顔と笑顔のギャップ

スマートフォンのカメラなどで、真顔と、思いっきり口角を上げた笑顔の写真を撮って比べてみましょう。

笑顔のときに頬の位置がしっかりと上がり若々しい印象になる一方、真顔になると頬が垂れ下がって見える場合、表情筋が衰えている可能性があります。笑顔をキープする筋力が低下している証拠です。

たるみ進行度チェック

レベル状態主なサイン
初期たるみが始まった段階夕方になるとほうれい線が目立つ、毛穴の開き
中期たるみが定着し始めた段階口角の下がり、フェイスラインのぼやけ
後期たるみが重度になった段階マリオネットラインの出現、顔全体のゆるみ

表情筋とは?頬のハリを支える主要な筋肉たち

表情筋とは顔のさまざまな表情を作り出す筋肉の総称で、皮膚に直接付着しているのが特徴です。

約30種類ある表情筋の中でも頬を持ち上げる「大頬骨筋」や「小頬骨筋」などがハリを支える重要な役割を担っており、これらの筋肉の衰えがたるみに直結します。

頬を持ち上げる「大頬骨筋」

大頬骨筋は頬骨から口角に向かって斜めに伸びる筋肉で、笑顔を作るときに最も活動します。この筋肉が衰えると口角が下がり、頬全体が垂れ下がって見えます。

意識的に口角を上げると鍛えられ、若々しい笑顔の源泉となる重要な筋肉です。

口角を斜め上に引き上げる「小頬骨筋」

小頬骨筋は大頬骨筋の内側にあり、上唇や口角を斜め上に引き上げる働きをします。この筋肉が衰えると、ほうれい線が深くなる原因になります。

魅力的な表情を作る上で、大頬骨筋と協調して働きます。

頬の主要な表情筋とその役割

筋肉名位置主な役割
大頬骨筋頬骨から口角へ口角を上げ、笑顔を作る
小頬骨筋大頬骨筋の内側上唇と口角を斜め上に引き上げる
頬筋頬の深層部頬を歯列に押し付け、口角を横に引く

頬を引き締める「頬筋」

頬筋は頬の深層部にある薄い筋肉で、口角を横に引いたり、頬を膨らませたり縮めたりするときに使います。

この筋肉が衰えると頬がこけた印象になったり、フェイスラインがもたついたりします。頬筋を鍛えるとシャープな輪郭を保てます。

あなたのたるみタイプは?生活習慣から探る原因と対策

頬のたるみは、誰にでも同じように現れるわけではありません。原因によって「筋肉の衰え」「脂肪の下垂」「皮膚のゆるみ」といったタイプに分けられます。

ご自身の生活習慣を振り返り、どのタイプに当てはまるかを知ると、より自分に合った効果的な対策を見つけられます。

タイプ1|筋肉の衰えが目立つ「お疲れ顔タイプ」

無表情でいる時間が多い、人と話す機会が少ない方に多いタイプです。

表情筋を動かす頻度が低いため全体的に筋力が低下し、頬が平面的で疲れた印象を与えます。特に大頬骨筋の衰えが顕著で、口角が下がりがちです。

タイプ2|脂肪の下垂が気になる「ぽっちゃり輪郭タイプ」

急激なダイエットとリバウンドを繰り返した経験がある方や、甘いものや脂っこいものが好きな方に多いタイプです。

皮下脂肪の重みを筋肉が支えきれず、ブルドッグのように頬の下半分がたるんできます。フェイスラインのもたつきが特徴です。

たるみタイプ別チェックリスト

チェック項目お疲れ顔タイプぽっちゃり輪郭タイプ
PCやスマホを長時間使う
食事はあまり噛まずに食べる
紫外線対策をあまりしない
体重の増減が激しい

タイプ3|皮膚のゆるみが原因の「しぼみ肌タイプ」

紫外線対策を怠ってきた方や、乾燥肌の方に多いタイプです。皮膚自体のハリが失われ、ちりめんジワや細かなシワとともに、頬全体がゆるんで見えます。

筋肉量や脂肪量に関わらず、皮膚の表面にたるみ感が出やすいのが特徴です。

自宅で簡単!頬のたるみを引き上げる表情筋トレーニング

表情筋トレーニングは、特別な道具も必要なく、いつでもどこでも行えるのが魅力です。毎日少しずつでも継続すると効果を実感できます。

始める前に鏡を用意し、正しい筋肉が動いているか確認しながら行いましょう。

準備運動(ウォーミングアップ)

トレーニングを始める前に、顔全体の筋肉をほぐしましょう。両手で頬を優しく包み込み、ゆっくりと円を描くようにマッサージします。

その後、口を大きく開けたり閉じたり、「あ・い・う・え・お」とはっきり発音したりして、顔全体の血行を良くします。

頬のリフトアップトレーニング

大頬骨筋と小頬骨筋を中心に鍛え、頬をキュッと引き上げるトレーニングです。

  1. 口を閉じて、思いっきり口角を横に引きます。「いー」と発音する形です。
  2. その状態のまま、頬の上部と目の下の筋肉を意識して、頬を上に持ち上げます。上の歯が8本見えるくらいが目安です。
  3. 頬を上げた状態で10秒間キープします。
  4. ゆっくりと元の表情に戻します。これを5回繰り返します。

基本のトレーニングメニュー

トレーニング名ターゲット部位回数の目安
頬のリフトアップ大頬骨筋・小頬骨筋10秒キープ × 5回
頬の空気回し頬筋・口輪筋右回り5周・左回り5周
舌回しトレーニング舌筋・顔全体の筋肉右回り10周・左回り10周

ほうれい線対策トレーニング

頬筋と口の周りの口輪筋を鍛え、ほうれい線を目立ちにくくするトレーニングです。

  1. 口を閉じたまま、頬の内側で空気を大きく膨らませます。
  2. その空気を、右の頬→上の歯茎→左の頬→下の歯茎と、ゆっくりと円を描くように移動させます。
  3. 右回りを5周、左回りを5周行います。

トレーニング効果を高める3つのポイント

トレーニングの効果を最大限に引き出すためには、「鍛える筋肉を意識する」「正しいフォームでゆっくり行う」「毎日継続する」という3つのポイントが重要です。

これらを心がけると効率的に頬のリフトアップを目指せます。

鍛える筋肉を意識する

トレーニング中は、今どの筋肉を動かしているのかを常に意識することが重要です。鏡を見ながら、目的の筋肉がきちんと収縮しているかを確認しましょう。

意識を集中させると神経から筋肉への指令が伝わりやすくなり、トレーニング効果が高まります。

正しいフォームでゆっくり行う

回数をこなすよりも、一つ一つの動作を正確に行うことが大切です。

反動をつけたり速く動かしたりすると目的以外の筋肉を使ってしまい、効果が半減するだけでなく、新たなシワの原因になる場合もあります。ゆっくりとした動作で筋肉にしっかりと負荷をかけましょう。

トレーニング効果を高める要素

ポイント理由具体的な方法
筋肉の意識神経伝達をスムーズにし、効果を高める鏡を見て、動いている筋肉を確認する
正しいフォーム目的の筋肉に正確に負荷をかけるゆっくり、丁寧な動作を心がける
継続筋力は継続によって維持・向上する毎日決まった時間に行うなど習慣化する

毎日継続することを習慣にする

表情筋トレーニングは、一度やれば効果が永続するものではありません。体の筋トレと同じで継続が最も重要です。

毎日続けると筋力が維持・向上し、たるみにくい状態を保てます。朝のスキンケアの後や、夜のリラックスタイムなど、生活の中に組み込んで習慣化しましょう。

表情筋トレーニングの注意点とよくある間違い

手軽に始められる表情筋トレーニングですが、やり方を間違えると逆効果になる可能性があります。

効果を最大限に引き出してトラブルを避けるために、力の入れすぎや肌への摩擦を避け、痛みを感じたら中止するなど、注意点をしっかりと理解しておきましょう。

力の入れすぎはシワの原因に

たるみを解消したい一心で力いっぱいトレーニングをしてしまう方がいますが、これは間違いです。

特に、おでこや眉間にシワを寄せながら行うと、そのシワが定着してしまう恐れがあります。トレーニング中は、目的の筋肉以外はリラックスさせるように意識してください。

トレーニングのよくある間違い

間違い起こりうる問題正しい対策
力の入れすぎ新たなシワの発生目的の筋肉以外はリラックスさせる
自己流のアレンジ効果が出ない、または逆効果正しいフォームを守る
肌が乾燥した状態で行う摩擦による肌への負担保湿後に行うか、クリームを使用する

肌への摩擦を避ける

トレーニング中に手で顔を強く押さえたり、こすったりするのは避けましょう。肌への過度な摩擦は乾燥や色素沈着、さらには新たなシワやたるみの原因になります。

手を添える場合は、優しく触れる程度にとどめてください。マッサージクリームやオイルを使用するのも良い方法です。

痛みを感じたらすぐに中止する

トレーニング中に顎関節や筋肉に痛みを感じた場合は、無理をせずすぐに中止してください。痛みを我慢して続けると顎関節症を悪化させたり、筋肉を傷めたりする可能性があります。

フォームが間違っている可能性もあるため、一度やり方を見直してみましょう。

トレーニングだけでは不十分?クリニックでの専門的なたるみ治療

セルフケアだけでは改善が難しい進行したたるみには、美容皮膚科での専門的な治療が有効な選択肢となります。

HIFU(ハイフ)やスレッドリフトなど、たるみの原因に直接働きかける方法で、より確実な改善が期待できます。

高密度焦点式超音波(HIFU)

HIFU(ハイフ)は高密度の超音波エネルギーを皮膚の深層部にあるSMAS(スマス)筋膜に照射し、熱で引き締める治療です。

メスを使わずに、たるみの根本原因である筋膜層からリフトアップ効果が期待できます。ダウンタイムがほとんどないため人気の高い治療法です。

スレッドリフト(糸リフト)

医療用の溶ける糸を皮下に挿入し、物理的にたるみを引き上げる治療法です。糸の刺激によってコラーゲン生成が促進され、肌のハリや弾力アップも期待できます。

フェイスラインのもたつきや頬の下垂をしっかりと改善したい方に向いています。

クリニックでの主な治療法

治療法アプローチ方法特徴
HIFU超音波でSMAS筋膜を引き締めるダウンタイムが少なく、根本改善を目指す
スレッドリフト溶ける糸で物理的に引き上げる即時的なリフトアップ効果が高い
ヒアルロン酸注入ボリュームを補い、輪郭を整える頬のこけやへこみを改善し、リフトアップ

ヒアルロン酸注入

加齢によって減少した頬のボリュームをヒアルロン酸で補い、ふっくらとさせることで、結果的にたるみを改善する治療です。

頬の高い位置にハリを出すと若々しい印象を取り戻せます。ほうれい線やマリオネットラインなど、特定のシワを目立たなくさせる効果もあります。

頬のたるみ改善に関するよくある質問

頬のたるみを改善するためには、大頬骨筋や小頬骨筋、頬筋といった筋肉を鍛えるリフトアップトレーニングを行ってみましょう。

ただ、セルフケアとしての表情筋トレーニングはたるみ予防や軽度の改善に効果的ですが、すでに進行してしまったたるみや、より確実な効果を求める場合は、美容皮膚科での専門的な治療を検討するのも一つの選択肢です。

表情筋トレーニングは、どれくらいの期間で効果が現れますか?

効果の実感には個人差がありますが、一般的には毎日継続して1〜2ヶ月ほどで変化を感じ始める方が多いです。

早い方では2〜3週間で「顔がスッキリした」「口角が上がりやすくなった」といった効果を感じるケースもあります。大切なのは焦らず、毎日コツコツと続ける努力です。

トレーニングは1日に何回くらい行うのが良いですか?

1日に何回も行う必要はありません。むしろ回数よりも、1回ごと正しいフォームで丁寧に行うことが重要です。

基本的には、ご紹介したトレーニングを1セットとして、1日1〜2回行うのを目安にしてください。朝のスキンケア後や夜寝る前など、時間を決めて習慣にするのがおすすめです。

やりすぎると、逆にシワが増えたりしませんか?

その可能性はあります。特に、力の入れすぎや間違ったフォームでのトレーニングは、おでこや眉間、目尻などに不要なシワを定着させる原因になります。

トレーニング中は鏡で表情を確認し、目的の筋肉以外はリラックスさせるように意識してください。もし痛みや違和感があれば、それはやりすぎのサインかもしれません。

トレーニングをやめたら、またたるんでしまいますか?

元に戻ってしまう可能性があります。表情筋も体の筋肉と同じで、トレーニングをやめれば徐々に衰えていきます。

たるみにくい状態をキープするためには、トレーニングの継続が重要です。一度効果を実感した後も、回数を減らすなどして、ぜひメンテナンスとして続けてください。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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