頬骨へのヒアルロン酸注入は、顔のたるみを引き上げ、若々しい印象を取り戻すための施術です。
年齢と共に気になるほうれい線やゴルゴライン、フェイスラインのもたつきは、頬骨周辺の組織が痩せたり、皮膚を支える靭帯が緩んだりするのが原因で起こります。
頬骨の適切な位置にヒアルロン酸を注入して土台からしっかり支えると、メスを使わずに顔全体のバランスを整え、自然なリフトアップを目指せます。
この記事では、頬骨ヒアルロン酸注入の具体的な効果、たるみ改善に重要な注入位置、ダウンタイム、持続期間について詳しく解説します。
頬骨ヒアルロン酸注入が注目される理由
顔のたるみやコケ感が気になり始めた多くの方が、頬骨へのヒアルロン酸注入を選択肢に入れています。
その理由は、顔の印象を大きく左右する「頬骨」に働きかけて、メスを使わずに自然な若返りが期待できる点にあります。
頬骨の位置が顔の印象を決める
頬骨は顔の立体感を形成する中心的なパーツです。頬骨が高い位置にあり、適度なボリュームがあると、若々しく引き締まった印象を与えます。
逆に、頬骨の位置が低かったりボリュームが失われたりすると、平面的でのっぺりとした印象や、疲れた印象に見えやすくなります。
頬骨の「位置」と「ボリューム」は、その人の魅力を引き出す上で非常に重要な要素です。
たるみやコケ感が老けて見せる
加齢により、頬骨周辺の骨や脂肪(皮下組織)は徐々に萎縮し、ボリュームが失われていきます。また、皮膚の弾力低下や、皮膚を支えているリガメント(靭帯)の緩みも生じます。
これらの変化が組み合わさると頬の肉が下垂し、ほうれい線やマリオネットライン、フェイスラインのもたつきといった「たるみ」として現れます。
また、頬骨の下がこけて見えると疲労感や年齢を感じさせる原因となります。
メスを使わない手軽なリフトアップ
頬骨へのヒアルロン酸注入は、外科的な切開を伴わない施術です。注射によってヒアルロン酸を注入するだけで失われたボリュームを補い、たるんだ皮膚を土台から持ち上げられます。
施術時間が短く体への負担が少ないため、本格的な手術には抵抗がある方や、忙しくて長いダウンタイムを取れない方にとって魅力的な選択肢となっています。
自然な若返りが期待できる
ヒアルロン酸注入の大きなメリットは、注入量や位置を細かく調整できる点です。
「いかにも施術を受けた」という不自然な変化ではなく、その人本来の骨格やバランスを生かしながら、数年前の自分に戻るような自然な変化を目指せます。
経験豊富な医師が解剖学に基づいて適切な位置に注入し、顔全体の調和を保ちながら若々しい印象を引き出します。
頬骨ヒアルロン酸注入の具体的な効果
頬骨へのヒアルロン酸注入は、単に頬を高くするだけではありません。リフトアップやシワの軽減、顔の立体感の調整など、多面的な効果をもたらします。
顔の土台となる部分を補強するため、様々なエイジングサインの改善につながります。
リフトアップとたるみの改善
頬骨周辺の組織が痩せると、その上にある皮膚や脂肪が支えを失い、重力に従って下方へ移動します。これが「たるみ」の正体です。
頬骨の適切な位置にヒアルロン酸を注入して減少したボリュームを補うと、下垂した組織を物理的に持ち上げ、支えられます。
特に、顔の側面(アウターライン)の頬骨に注入すると、顔全体を引き上げるリフトアップ効果が期待できます。
ゴルゴラインやほうれい線の軽減
ゴルゴライン(ミッドチークライン)やほうれい線は、頬のたるみが原因で目立つようになります。
頬骨にヒアルロン酸を注入してリフトアップすると頬の位置が上がり、これらの溝やシワが浅くなります。シワ自体に直接注入するのではなく、原因となっている「たるみ」を根本から改善する方法です。
この施術にによってより自然で効果的なシワの軽減が可能になります。
頬骨ヒアルロン酸で改善が期待できる悩み
| 改善が期待できる悩み | アプローチの方法 | 期待される変化 |
|---|---|---|
| ほうれい線 | 頬骨に注入しリフトアップ | 頬が持ち上がり溝が浅くなる |
| ゴルゴライン | 頬中央部のボリューム回復 | 頬の凹みがふっくらする |
| フェイスラインのもたつき | 頬骨外側に注入し引き上げ | 輪郭がシャープな印象になる |
立体感のある若々しい顔立ち
日本人の骨格は、欧米人に比べて顔の中央部が平坦な傾向があります。加齢によって頬のボリュームが失われると、さらにその傾向が強まり、顔が大きく見えたり間延びした印象になったりします。
頬骨の高い位置にヒアルロン酸でボリュームを補うと、顔にメリハリが生まれます。光が当たる部分(ハイライト)が高くなるため視覚的に小顔に見え、若々しく洗練された印象を与えます。
肌のハリとツヤの向上
ヒアルロン酸は、そのものが高い保水力を持つ成分です。皮膚の内部に注入されるとヒアルロン酸が周囲の水分を引き寄せて保持するため、肌の内側から潤いとハリが生まれます。
また、注入による物理的な刺激が線維芽細胞を活性化させ、コラーゲンやエラスチンの生成をサポートする可能性も指摘されています。
そのため、肌質の改善やツヤ感アップといった副次的な効果も期待できます。
頬骨のヒアルロン酸|注入すべき理想の位置
頬骨ヒアルロン酸注入で満足のいく結果を得るには、「どこに打つか」という注入位置が極めて重要です。
やみくもに注入するのではなく、顔の解剖学的な構造と、たるみの原因を理解した上で、戦略的に位置を決める必要があります。
なぜ「頬骨」に注入するのか
頬骨は顔の中央部に位置する土台となる骨です。この土台の上には脂肪や筋肉、皮膚が乗っています。年齢とともに土台である骨や脂肪が萎縮すると、その上の組織は支えを失い、たるみが生じます。
ほうれい線やマリオネットラインといったシワも、元をたどればこの頬骨周辺のボリュームロスが原因であるケースが多いのです。
そのためシワを直接埋めるのではなく、大元の原因である頬骨の土台の再構築がたるみ治療の根本的な解決につながります。
たるみを引き上げる「リガメント(靭帯)」の活用
顔には、骨と皮膚を繋ぎとめている「リガメント(靭帯)」と呼ばれる強固な線維組織がいくつか存在します。
リガメントは、皮膚が重力で垂れ下がるのを防ぐ「杭」のような役割を持っています。加齢によりリガメントが緩むと、たるみが一気に進行します。
頬骨ヒアルロン酸注入では、リガメントの周囲(特に付け根)にヒアルロン酸を注入します。その結果、緩んだリガメントを補強し、テントを張り直すように皮膚を強力に引き上げられます。
このテクニックは「リガメント注入法」とも呼ばれ、少ない注入量で効率的にリフトアップを図るために重要です。
注入位置の基本的な考え方
| 注入エリア | 主な目的 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 頬骨の外側(頬骨弓) | リフトアップ・支えの再構築 | フェイスラインの引き上げ |
| 頬骨の中央(ゴルゴライン付近) | ボリューム回復・凹みの改善 | 若々しい頬の丸み・ハリ |
| リガメント周辺 | たるみの引き上げ・補強 | 顔全体のタイトニング |
頬骨の高い位置(アウターライン)への注入
顔の側面、こめかみの下から耳の前にかけての頬骨弓(きょうこつきゅう)と呼ばれるラインは、リフトアップにおいて非常に重要なポイントです。
この「アウターライン」は、顔の組織を側方から支える土台となります。
ここにヒアルロン酸を注入してしっかりとした支えを作ると、顔全体の皮膚が外側・上方へと引き上げられ、ほうれい線やフェイスラインのもたつきが改善します。
顔の幅が広がるのを心配する方もいますが、適切な層に注入すれば、むしろ引き締まってシャープな印象になります。
頬骨の内側(インナーライン)の調整
頬骨の内側、特に目の下から頬の中央部にかけては年齢とともにボリュームが失われやすく、ゴルゴラインや目の下のクマが目立つエリアです。
この「インナーライン」にヒアルロン酸を注入すると失われたボリュームが回復し、頬がふっくらと若々しい印象になります。
ただし、このエリアは皮膚が薄く、注入量が多すぎると不自然な膨らみ(いわゆる「ヒアル顔」)になりやすいため、非常に繊細な技術とデザイン力が求められます。
注入位置による効果の違いとデザイン
一口に「頬骨」と言っても、注入する具体的な位置や深さによって、得られる効果や顔の印象は大きく異なります。
医師は患者さんの骨格やたるみの状態、なりたいイメージに合わせて注入デザインをミリ単位で調整します。
頬骨弓(きょうこつきゅう)外側への注入
前述の通り、頬骨の外側(アウターライン)である頬骨弓への注入は、顔全体のリフトアップに最も効果的な位置の一つです。
骨膜上(骨のすぐ上)の深い層に、硬めのヒアルロン酸を柱のように注入します。この方法で強固な土台が再構築され、顔の側面から組織全体を引き上げます。
フェイスラインをシャープに見せたい方、ほうれい線やマリオネットラインを根本から改善したい方に適しています。
頬骨中央部(ゴルゴライン上)への注入
頬の中央部、特にゴルゴライン(ミッドチークライン)が出やすい位置への注入は、頬の「コケ感」や「やつれ感」を改善するのに有効です。
この部分は、加齢による脂肪の萎縮が目立ちやすい場所です。適度なボリュームを補うと頬に丸みが戻り、健康的で優しい印象を与えます。また、目の下の凹みやクマの改善にもつながります。
注入量が多すぎると膨らみすぎるため、慎重な調整が必要です。
頬骨下部のコケへの対応
頬骨の下、いわゆる「こけた頬」は、疲れた印象や老けた印象を与えがちです。この部分にヒアルロン酸を注入してボリュームを補えば、ふっくらとした健康的な輪郭を取り戻せます。
ただし、この位置への注入は顔が大きく見えたり、かえってたるみが強調されたりするリスクも伴います。
リフトアップを目的とした頬骨上部への注入と組み合わせて、全体のバランスを見ながら慎重に行う必要があります。
頬の注入デザインの比較
| デザインの方向性 | 与える印象 | 向いている方 |
|---|---|---|
| リフトアップ重視(外側) | シャープ・引き締まった印象 | たるみを強く引き上げたい方 |
| ボリューム重視(中央) | ふっくら・優しい印象 | 頬のコケや凹みが気になる方 |
| バランス型(両方) | 立体的・若々しい印象 | 全体のバランスを整えたい方 |
顔全体のバランスを考慮した注入計画
重要なのは、頬骨だけを単体で見るのではなく、額やこめかみ、顎(あご)など、顔全体のバランスの中で頬骨の位置とボリュームをデザインすることです。
例えば、こめかみが痩せているのに頬骨だけを高くすると、顔のバランスが崩れて不自然になります。
優れた医師は患者さんの顔の骨格や脂肪の付き方、加齢による変化を総合的に評価・分析し、どこに・どれだけ注入すれば最も調和の取れた美しい結果になるかを提案します。
施術の流れとダウンタイム
頬骨へのヒアルロン酸注入は比較的短い時間で完了する施術ですが、安心して受けるためには当日の流れや施術後の経過について正しく理解しておきましょう。
カウンセリングとシミュレーション
まず、医師による診察とカウンセリングを行います。患者さんのお悩みや、どのような印象になりたいかを詳しく伺います。
その上で、医師が顔の骨格や皮膚のたるみ具合、脂肪の付き方を詳細に診察します。鏡を見ながら、どの位置にどれくらいの量を注入すると、どのような変化が期待できるかを具体的に説明します。
この時、施術のリスクやダウンタイム、費用についても明確な説明を受け、納得した上で施術に進むことが重要です。
クリニックによっては、3Dシミュレーションなどを用いて仕上がりイメージを共有するところもあります。
実際の施術(麻酔と注入)
施術部位を消毒し、痛みを軽減するために麻酔を行います。麻酔クリームを塗布する方法や、注入するヒアルロン酸製剤自体に麻酔薬が含まれているものを使用するのが一般的です。
痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの場合、我慢できる程度の痛みです。
医師がマーキングした注入位置に従い、ヒアルロン酸を注射器で慎重に注入していきます。
リフトアップ目的の場合は骨膜上の深い層へ、ボリュームアップ目的の場合は皮下組織など、目的に応じて注入する深さ(層)を変えます。施術時間はおよそ10分から30分程度です。
施術直後の状態とアフターケア
施術直後は、注入部位に軽い赤みや腫れ、注射針の跡が見られる場合があります。大きな腫れや痛みが出るケースは稀で、ほとんどの場合、メイクでカバーできる程度です。
施術当日からメイクや洗顔、シャワーが可能です。ただし、注入したヒアルロン酸が安定するまでの数日間は、施術部位を強く押したり、こすったりしないよう注意が必要です。
アフターケアの主な注意点
- 長時間の入浴やサウナ
- 激しい運動
- 過度な飲酒
- 施術部位の強いマッサージ
これらは血行を促進し、腫れや内出血のリスクを高める可能性があるため、施術後数日から1週間程度は控えましょう。
ダウンタイムの症状と期間
ダウンタイムはほとんどないか、あっても短いのが特徴です。赤みや軽い腫れは通常1日から3日程度で治まります。
内出血が出た場合はファンデーションやコンシーラーで隠せる程度ですが、完全に消えるまでに1週間から2週間程度かかる方もいます。
注入部位に軽い圧痛や違和感を覚える場合もありますが、これらも数日以内に自然に軽快していきます。
ダウンタイムの経過目安
| 時期 | 主な症状 | 対処法 |
|---|---|---|
| 施術直後〜1日目 | 赤み・軽い腫れ・点状の針跡 | 必要であれば冷却・メイクでカバー |
| 2日目〜7日目 | 内出血(出た場合)・軽い圧痛 | コンシーラー等でカバー |
| 1週目〜2週目 | 内出血の吸収・組織への馴染み | ほぼ通常通りの生活 |
ヒアルロン酸注入の持続期間とリスク
ヒアルロン酸注入は手軽な施術ですが、永久的な効果ではありません。また、医療行為である以上、リスクや副作用の可能性もゼロではありません。
施術のメリットとデメリットの両方を確認しておきましょう。
効果はいつまで続くか
ヒアルロン酸は時間とともに体内に吸収されていきます。そのため、効果の持続期間には限りがあります。
頬骨のようなリフトアップや輪郭形成に使用するヒアルロン酸は、比較的硬さがあり、吸収されにくい(架橋度が高い)製剤を用いる場合が多いため、持続期間は長めの傾向にあります。
個人差や使用する製剤によって異なりますが、一般的には注入後から効果を実感でき、その効果は約1年から2年程度持続します。
効果を維持するためには、定期的に追加注入(メンテナンス)が推奨されます。
使用するヒアルロン酸製剤の種類
ヒアルロン酸製剤には様々な種類があり、それぞれ硬さ(弾力性)や粘度、持続期間が異なります。
頬骨の土台を作ってリフトアップする目的では、しっかりと組織を支えられる硬めの製剤(例:ジュビダームビスタ ボリューマXC、ジュビダームビスタ ボラックスXCなど)が選ばれます。
一方、頬のコケや凹みをふっくらさせる場合は、もう少し柔らかめの製剤が適しているときもあります。医師が目的に合わせて適切な製剤を選択します。
ヒアルロン酸製剤の比較(一例)
| 製剤の特性 | 主な使用部位 | 持続期間の目安 |
|---|---|---|
| 硬く、形成力が高い | 頬骨の土台、顎、鼻 | 約1年半〜2年 |
| 中程度の硬さ・柔らかさ | ほうれい線、ゴルゴライン | 約1年〜1年半 |
| 非常に柔らかい | 唇、目の下の涙袋 | 約半年〜1年 |
起こり得る副作用と合併症
ヒアルロン酸注入は安全性の高い施術ですが、以下のような副作用や合併症のリスクがあります。
最も一般的に見られるのは、注入に伴う内出血や腫れ、赤みや痛み、違和感です。これらは一時的なもので、時間の経過とともに改善します。
稀な合併症として、アレルギー反応(ヒアルロン酸製剤や麻酔薬に対するもの)、感染、しこり(肉芽腫)、左右差などがあります。
最も重篤な合併症は、血管閉塞です。注入したヒアルロン酸が誤って血管内に詰まると、その先の組織に血液が届かなくなり、皮膚壊死や失明といった深刻な事態を引き起こす可能性があります。
これは非常に稀ですが、顔の解剖学を熟知した医師が慎重に手技を行うとリスクを最小限に抑えられます。
主な副作用・合併症
| 症状 | 発生頻度 | 対処法 |
|---|---|---|
| 内出血・腫れ・赤み | 一般的 | 経過観察(通常1〜2週間で改善) |
| アレルギー・感染 | 稀 | 抗アレルギー薬・抗生剤の投与 |
| 血管閉塞(皮膚壊死など) | 非常に稀 | 緊急の溶解注射・専門的治療 |
修正や溶解(ヒアルロニダーゼ)
ヒアルロン酸注入の利点の一つに、「やり直し」が可能である点が挙げられます。
万が一、仕上がりがイメージと異なった場合や、凹凸ができてしまった場合、アレルギー反応が出た場合などには、「ヒアルロニダーゼ」というヒアルロン酸を分解する酵素を注射すれば、注入したヒアルロン酸を溶かして元に戻せます。
ただし、溶解注射も腫れなどのリスクを伴うため、まずはそうならないよう、初回に信頼できる医師を選ぶことが最も大切です。
失敗しないクリニック選びのポイント
頬骨へのヒアルロン酸注入は、医師の技術力と美的センスによって結果が大きく左右される施術です。
「どこに打つか」の判断が、リフトアップ効果や自然な仕上がりを決定づけます。満足のいく結果を得るために、クリニック選びは慎重に行う必要があります。
医師の技術力と症例実績
ヒアルロン酸注入の経験が豊富であることはもちろん、特に頬骨のような解剖学的に複雑な部位の施術実績が多い医師を選ぶのが大切です。
クリニックのウェブサイトやSNSなどで、症例写真を必ず確認しましょう。その際、単に注入後の写真だけでなく、様々な角度から見た写真や、施術前後の比較がしっかり掲載されているかを見ると良いでしょう。
自分が目指す「自然な仕上がり」と、その医師の症例の方向性が合っているかどうかも確認します。
解剖学に基づいた分析能力
顔には無数の血管や神経が走行しています。安全かつ効果的に注入を行うには、これらの解剖学的構造を深く理解しているのが絶対条件です。
重篤な合併症である血管閉塞のリスクを回避するためにも、解剖学の知識に基づいたアセスメント(評価・分析)と、それを実行する技術力が医師に求められます。
カウンセリング時に、なぜその位置に注入するのかを解剖学的な観点から説明してくれる医師は信頼できる可能性が高いです。
クリニック比較の視点
| 確認項目 | チェックポイント | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 医師の経歴・資格 | 専門医資格、注入指導医など | 技術力と知識の指標となる |
| 症例写真 | 頬骨やたるみ治療の症例数・仕上がり | 美的センスや得意分野がわかる |
| カウンセリング | 医師が直接診察し、説明が丁寧か | リスクも含め納得して任せられるか |
カウンセリングの丁寧さ
患者様の悩みや希望を丁寧にヒアリングし、それに対してどのような施術が適しているか、メリットだけでなくデメリットやリスクも含めて、分かりやすく説明してくれるクリニックを選びましょう。
一方的に施術を勧めるのではなく、患者さんの不安や疑問に寄り添い、複数の選択肢を提示してくれる姿勢が大切です。
カウンセリングでの確認事項
- 具体的な注入位置とその理由
- 予想される仕上がりと変化
- リスクやダウンタイムの詳細
- 総額費用と使用する製剤名
使用する製剤と料金の透明性
ヒアルロン酸製剤には多くの種類があり、品質や持続期間も様々です。どのような製剤を使用するのか、その製剤が厚生労働省の承認を得ているかなどを、事前に確認しましょう。
また、料金体系が明確であるかどうかも重要です。「ヒアルロン酸1本あたり」の料金だけでなく、施術料や麻酔代などを含めた総額がいくらになるのかを、見積もりとして提示してもらうと安心です。
頬骨ヒアルロン酸注入に関するよくある質問
頬骨にヒアルロン酸注入を行うと、リフトアップやたるみの軽減、ほうれい線やゴルゴラインの軽減などの効果が期待できます。
ただし、理想の仕上がりにするためには、「どこに注入するか」といった位置や深さが重要になります。
医師の技術力や知識に結果が大きく左右されるため、可能であれば複数のクリニックに足を運び、カウンセリングを受けたうえで比較検討してみましょう。
- 注入時に痛みはありますか?
-
痛みには個人差がありますが、麻酔クリームや麻酔入りのヒアルロン酸製剤を使用するため、強い痛みを感じるケースは稀です。
多くの方が「チクッとする程度」「我慢できる範囲」と感じられます。特に頬骨周辺は骨に響くような鈍い感覚を覚える場合がありますが、施術は短時間で終了します。
- どのくらいの量が必要ですか?
-
必要な注入量は、その方のもともとの骨格、たるみの程度、目指す仕上がりによって大きく異なります。
一般的に頬骨でリフトアップの土台を作る場合、片側で0.5ccから1.0cc、両側で1.0ccから2.0cc程度が一つの目安となります。
ただし、まずは少量から注入し、バランスを見ながら調整するときもあります。カウンセリングで医師と相談の上、適切な量を決定します。
- 施術後すぐにお化粧はできますか?
-
はい、施術当日からメイク(お化粧)、洗顔、シャワーが可能です。ただし、注入部位の針跡は非常に小さいですが、感染予防のためにも清潔な状態を保ってください。
また、施術当日は注入部位を強くこすったり、マッサージしたりするのは避けてください。
- 頬骨が高くなりすぎることはありませんか?
-
注入量や注入位置のデザインが不適切な場合、頬骨が不自然に高く目立ちすぎたり、顔が大きく見えたりするリスクはあります。
これを防ぐには、経験豊富な医師が顔全体のバランスを見て、適切な量を適切な位置に注入することが重要です。
あくまで自然な範囲でのリフトアップとボリューム回復を心がけ、患者さんの希望と骨格に合わせたデザインを提案してくれるクリニックを選びましょう。
- 他のたるみ治療と併用できますか?
-
併用可能です。例えば、HIFU(ハイフ)やスレッドリフト(糸リフト)など、他のたるみ治療と組み合わせると、より相乗効果が期待できる場合があります。
ヒアルロン酸が土台(ボリューム)を補うのに対し、HIFUは皮膚の引き締め、スレッドリフトは物理的な引き上げを得意とします。
どの治療をどの順番で行うのが良いかは、お肌の状態で異なるため、医師にご相談ください。
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