まぶたのたるみと眼瞼下垂の違いは?セルフチェック法とそれぞれに適した治療

まぶたのたるみと眼瞼下垂の違いは?セルフチェック法とそれぞれに適した治療

以前よりも目が小さくなったように感じたり、夕方になるとまぶたが重く開けづらくなったりする方もいるでしょう。

「年齢のせいだから仕方がない」と諦めてしまいがちな目元の変化ですが、実はその背後には大きく分けて二つの異なる原因が潜んでいます。

一つは皮膚のハリが失われて垂れ下がる「皮膚のたるみ(眼瞼皮膚弛緩症)」、もう一つはまぶたを持ち上げる筋肉の機能が低下する「眼瞼下垂」です。

これらは見た目の症状が似通っているため混同されがちですが、医学的には全く異なる病態であり、当然ながら効果的な解決策も異なります。

目次

皮膚のたるみ(眼瞼皮膚弛緩症)と眼瞼下垂の決定的な違い

まぶたが下がって見える症状には、皮膚そのものが伸びて垂れ下がる「眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふしかんしょう)」と、まぶたを持ち上げる筋肉や腱膜にトラブルが生じる「眼瞼下垂症」が存在します。

この二つを見分ける最大のポイントは、「まぶたを持ち上げる機能が保たれているかどうか」にあります。

皮膚の余剰が原因となる「まぶたのたるみ」

まぶたのたるみ、すなわち眼瞼皮膚弛緩症は、加齢に伴い皮膚の弾力が失われ、余分な皮膚が重力に負けて目の縁を越え、黒目に覆いかぶさってくる状態を指します。

この状態において、まぶたを持ち上げるためのエンジンである「眼瞼挙筋(がんけんきょきん)」の機能自体は正常に働いています。

まぶたを持ち上げる力はあるものの、まるでサイズの合わなくなったカーテンのように垂れ下がった皮膚が物理的に視界を遮っているのです。

特に、目尻側の皮膚は構造的に厚みがあり重力の影響を受けやすいため、目尻が下がって三角目のような形状になりやすいという特徴があります。

元々きれいな二重まぶただった方が年齢とともに奥二重になったり、二重の幅が極端に狭くなったり、あるいは二重のラインが乱れて三重になったりするのは、多くの場合この皮膚のたるみが原因です。

皮膚そのものが伸びているため、指で眉毛を軽く持ち上げると、余分な皮膚が引き上げられ、スッキリとした本来の目の形が現れるのが特徴的です。

放置すると、垂れ下がった皮膚がまつ毛を押し下げ、逆さまつ毛を引き起こすときもあります。この場合、角膜を傷つける恐れもあるため注意が必要です。

筋肉には問題がないため、眼瞼下垂の手術を行わなくても、余分な皮膚を取り除く処置だけで大幅な改善が見込めます。

筋肉の衰えや腱膜の異常が原因の「眼瞼下垂」

一方、真性の眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる主動筋である眼瞼挙筋の筋力が低下したり、筋肉とまぶたの縁にある軟骨(瞼板)をつなぐ「挙筋腱膜」が薄く伸びてしまったりするために発生します。

皮膚が垂れているだけではなく、まぶたの縁そのものが本来の位置よりも下がり、黒目の上部を覆い隠してしまう状態です。

眼瞼下垂の患者さんは、目を開けようと脳から指令を出しても、その力がまぶたにうまく伝わりません。

そのため、無意識のうちにおでこの筋肉(前頭筋)を収縮させて、眉毛ごとまぶたを引き上げようとする代償動作を行います。

その結果、おでこに常に深い横ジワができたり、眉毛の位置が不自然に高くなったり、常に驚いたような表情になったりする場合があります。

無理に目を見開こうとする緊張状態が日常的に続くため、眼精疲労だけでなく、慢性的な頭痛や肩こりの原因となるケースも少なくありません。

症状による違いの比較

比較項目まぶたのたるみ(皮膚弛緩症)眼瞼下垂(筋肉・腱膜性)
主な原因皮膚の弾力低下、余剰皮膚挙筋機能低下、腱膜のゆるみ
まぶたの縁の位置正常(黒目は隠れていない人が多い)下がっている(黒目が隠れる)
眉毛の位置正常、または視界確保のため上がる常に高く上がっている場合が多い
おでこのシワある場合もある深く刻まれている人が多い
特有の症状目尻のただれ、逆さまつ毛、三角目頭痛、肩こり、顎を上げて見る癖

両者が併発している複合タイプ

実際の臨床現場において、患者さんの症状が皮膚のたるみだけ、あるいは筋肉の低下だけ、ときれいに分けられるケースばかりではありません。

加齢現象は複合的に進行するため、眼瞼挙筋の機能低下(眼瞼下垂)と皮膚のたるみ(眼瞼皮膚弛緩症)が同時に起きている「複合タイプ」の患者さんも数多くいらっしゃいます。

この複合タイプでは、筋肉の衰えによってまぶたの縁自体が下がっている上に、さらに伸びた皮膚がその上から覆いかぶさっているという二重の負荷がかかっています。

この場合、片方の問題だけを解決しても十分な満足度が得られないときがあります。

例えば、二重埋没法などで皮膚のたるみだけを折り込んで解消しようとしても、筋肉の力が弱いために眠そうな目元が改善されなかったり、逆にまぶたが厚ぼったい印象(ハム目)になったりする場合があるのです。

複合タイプの場合は専門医による詳細な診察に基づき、皮膚の切除と筋肉の修復を同時に行う手術や、あるいは段階的に治療を進めるなど、総合的な取り組みが必要となります。

まぶたの変化を引き起こす原因と生活習慣

まぶたの老化や機能低下は年齢を重ねることで避けられない側面もありますが、日々の生活習慣や環境要因、物理的な刺激の蓄積によってその進行スピードは大きく変わります。

どのような行動がリスクとなるのかを知り、対策を講じることは予防において非常に重要です。

コラーゲン減少による皮膚構造の変化

肌のハリや弾力を支えているのは、真皮層にあるコラーゲンやエラスチンといった繊維状のタンパク質です。これらは20代をピークに徐々に生成量が減少し、質も硬く変化していきます。

まぶたの皮膚は人体のあらゆる皮膚の中で最も薄く、卵の薄皮程度しかないため、こうした内部構造の変化による影響をダイレクトに受けやすい部位といえます。

加齢に加え、長年の紫外線曝露による光老化や乾燥もコラーゲンの分解を促進させます。支持組織が弱くなると皮膚が重力に抗えなくなり、徐々に下垂していきます。

加えて、目元の脂肪(眼窩脂肪)を包んでいる膜(眼窩隔膜)が緩んで脂肪が前にせり出し、まぶたがぷっくりと膨らんで、余計に皮膚が引き伸ばされてしまうケースも見られます。

物理的な刺激によるダメージの蓄積

まぶたは非常に繊細な組織であるにもかかわらず、私たちは日常生活の中で無意識のうちに多くの物理的ストレスを与えています。

花粉症やアレルギー性結膜炎による目の痒みで頻繁に目をこする行為や、毎日のアイメイクを落とす際のクレンジングによる強い摩擦は、皮膚を伸ばす大きな要因です。

さらに、まぶたを強く擦るという行為は表面の皮膚だけでなく、その奥にある挙筋腱膜にも深刻なダメージを与えます。

腱膜は非常に薄い膜であるため、長期間にわたる物理的な刺激によって徐々に伸びたり、ひどい場合には瞼板から剥がれたりしてしまうのです。

アトピー性皮膚炎などで目をこする習慣がある方に若年性の眼瞼下垂が多く見られるのは、この物理的ダメージが主因と考えられています。

  • ハードコンタクトレンズを長期間(10年以上など)使用し続けている
  • 花粉症やアレルギー性結膜炎があり、目をこする癖が日常化している
  • 濃いアイメイクを好み、クレンジングの際にゴシゴシと強く擦っている
  • パソコンやスマートフォンを長時間凝視し、慢性的な眼精疲労がある
  • 過去に埋没法などの二重整形や目元の手術を繰り返した経験がある

コンタクトレンズやデジタルデバイスの影響

現代人特有の原因として特に見逃せないのが、コンタクトレンズの長期使用です。

中でもハードコンタクトレンズは、まばたきをするたびにレンズの硬い縁がまぶたの裏側から挙筋腱膜を擦り上げるような物理的刺激を与え続けます。

これを毎日、数十年単位で続けると腱膜が摩耗して薄くなり、眼瞼下垂を引き起こすリスクが飛躍的に高まります。

最近ではソフトレンズの使用でも、着脱時の引っ張り操作によって腱膜に負担がかかると指摘されています。

スマートフォンの長時間使用による眼精疲労も間接的な要因となります。目が疲れると目周りの血行が悪くなり、組織の代謝が低下します。

さらに、画面を凝視するために瞬きの回数が減ったり、無意識に眉間に力を入れたりすると目周りの筋肉が凝り固まり、老化を早める一因となります。

自分でできるセルフチェック法

自分のまぶたの状態が「皮膚のたるみ」によるものなのか、それとも「眼瞼下垂」によるものなのかを簡易的に判断するためのセルフチェックを行うと、ご自身の状態を客観的に把握しやすくなります。

鏡を用意して、明るい場所で以下の手順を試してみてください。

眉毛固定法による挙筋機能チェック

最も基本的で分かりやすく、かつ重要なのが、おでこの筋肉(前頭筋)の働きを意図的に封じた状態で、まぶたがどれくらい開くかを確認する方法です。

眼瞼下垂の方は日常的に無意識におでこの力を使って目を開けているため、その代償動作を強制的に止めると、眼瞼挙筋本来のパワーを確認できます。

まず、鏡の前でリラックスして目を閉じます。次に、両手の人差し指をおでこの上、眉毛のすぐ上に軽く当て眉毛が上に動かないようにしっかりと、しかし優しく押さえます。

その状態で、普段通りに大きく目を開こうとしてみてください。

この時、おでこを押さえていても楽に黒目が露出するまで目が開けば、筋肉の機能は正常であり、まぶたの重さは皮膚のたるみが主な原因である可能性が高いと判断できます。

反対に、おでこを押さえられると目が非常に開きにくい、あるいは黒目が半分ほどしか見えない、まぶたを持ち上げるのに強い抵抗感を感じる場合は、眼瞼下垂の疑いが強くなります。

視野と見た目の確認ポイント

次に、自然な状態で目を開けた時の見え方と見た目を確認します。リラックスして正面を見た時、上まぶたの縁が黒目の上縁からどのくらい下がっているかを観察してください。

通常、黒目の上部が1mmから2mm程度隠れるくらいであれば正常範囲ですが、瞳孔(黒目の中心)にかかるほど下がっている場合は重度の下垂の可能性があります。

皮膚のたるみを確認するには、指でまぶたの皮膚を軽くつまんで持ち上げてみます。

まつ毛の生え際が皮膚に埋もれて見えない状態から、皮膚を持ち上げた時にまつ毛の根元がはっきりと露出し、視界が劇的に明るく広がるようであれば、余剰皮膚が視界不良の主な原因である可能性が高いと言えます。

チェック項目

  • 眉の上を押さえて目を開けると、重くて開きにくい、あるいは額に力が入る感覚がある
  • まぶたの皮膚を指で持ち上げると、視界が広がり、目の大きさがはっきりと変わる
  • 以前に比べて二重の幅が狭くなった、あるいは二重のラインが乱れてきた
  • 夕方になると目が疲れて開けづらくなるが、朝は比較的調子が良い
  • 慢性的な肩こりや頭痛があり、マッサージを受けてもなかなか改善しない

セルフチェック判定の目安

上記のチェックにおいて、眉を押さえても目が開く場合は「皮膚のたるみ」の要素が強く、逆に目が開かない場合は「眼瞼下垂」の要素が強いと考えられます。

また、夕方の症状悪化や慢性的な頭痛は眼瞼下垂特有のサインであるケースが多いです。

ただし、これらはあくまで簡易的なチェックであり、確定診断ではありません。正確な診断には、形成外科医による詳細な計測や診察が必要です。

放置によるリスクとデメリット

まぶたの不調を「ただの見た目の問題」「年齢的なものだから仕方がない」と軽視して放置すると、美容面でのマイナスだけでなく、全身の健康や生活の質(QOL)にも深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。

自律神経への悪影響と不定愁訴

眼瞼下垂において特に注意が必要なのが、自律神経との関連です。まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋の裏には、「ミュラー筋」という別の筋肉が存在します。

この筋肉は交感神経の支配を受けており、驚いた時などに目をカッと見開く働きをします。眼瞼挙筋の力が弱まると、身体はその機能を補おうとして、ミュラー筋を過剰に収縮させようとします。

脳からの「目を開けろ」という指令がミュラー筋を過剰に刺激し続けると、交感神経が常に興奮した緊張状態になります。

その結果、慢性的な頭痛や頑固な肩こり、冷え性や不眠、イライラや不安感といった自律神経失調症状が引き起こされるのです。これを医学的に「眼瞼下垂症に伴う不定愁訴」と呼びます。

眼瞼下垂の手術を受けた後に、長年悩まされていた原因不明の体調不良が嘘のように改善するケースが多いのは、このミュラー筋への過剰な刺激が解消されるためです。

放置による主なリスク

  • 交感神経の過緊張による慢性的な頭痛や肩こり、不眠、イライラのリスク
  • 視界不良による転倒や事故の危険性の増加、運転時の反応遅延
  • 顎を突き出す姿勢(チンアップ)による首や肩への負担、頚椎症の悪化
  • 額や眉間の深いシワが定着し、実年齢以上に老けて見られる
  • 常に眠そうな印象や、やる気がないような誤った印象を他人に与えてしまう

視機能への影響と事故のリスク

まぶたが物理的に下がると、上方の視界が遮られます。これにより信号機や標識が見えにくくなったり、頭上の障害物に気づきにくくなったりと、日常生活での危険性が高まります。

特に高齢者の場合、視界が狭くなることは転倒リスクに直結します。

狭くなった視界を補うために、無意識に顎を上げて下目使いで物を見る姿勢(チンアップ)が定着してしまうのも問題です。

この姿勢は首の後ろの神経や血管を圧迫し、さらなる首の痛みや手のしびれにつながる悪循環を生みます。

審美的な老化の加速

見た目の面でも、放置は老化の連鎖を招きます。おでこの筋肉を使って目を開け続けるため、額には深く消えにくい横ジワが刻まれます。

眉間に常に力が入るので縦ジワも定着しやすくなり、不機嫌で老けた印象を与えてしまいます。

さらに、目の周りの血行不良が続くとクマが悪化したり、眼精疲労からくる目の窪みが進行したりと、目元全体のエイジングが加速します。

これらの二次的な老化現象を食い止め、若々しさを保つためにも、早期の適切な治療が重要です。

まぶたのたるみ(皮膚弛緩症)に適した治療法

検査の結果、皮膚のたるみが主原因であると判断された場合、伸びてしまった余分な皮膚を外科的に取り除く治療が基本となります。

患者さんの元の目の形、二重の有無、そして希望する仕上がりに合わせて術式を選択します。

眉下切開法(眉下リフト)

現在、まぶたのたるみ治療として非常に評価が高く、自然な仕上がりで満足度が高いのが「眉下切開法(眉下リフト)」です。

これは、眉毛の下のラインに沿って余分な皮膚を紡錘形に切除し、丁寧に縫い縮めてまぶた全体を引き上げる手術です。

この方法の最大のメリットは、本来の目の形や二重のラインを大きく変えずに、上まぶたの厚ぼったさを解消できる点にあります。

まぶたの皮膚は眉毛に近いほど厚く、まつ毛に近いほど薄い構造をしています。

二重のライン上で皮膚を切除すると厚い皮膚がまつ毛付近に来てしまい不自然になる場合がありますが、眉下切開なら薄い皮膚を残せるため、スッキリとした自然な目元になります。

傷跡も眉毛のラインに沿うため、時間の経過とともに非常に目立ちにくくなります。

上眼瞼皮膚切除術(二重ライン上での切除)

元々の二重のライン上、あるいは新しく作る二重のライン上で余分な皮膚を切除する方法です。同時に二重の幅を調整したり、一重まぶたの方がくっきりとした二重を作りたい場合に適しています。

二重のラインが消失してしまっている方や、複数のラインができてしまっている方の修正にも有効です。

ただし、皮膚を多く切除しすぎると厚い皮膚が折り返ることになり、術後にまぶたが厚ぼったく見えるリスク(いわゆるハム目)があるため、切除量の判断やデザインには高度な技術と経験が必要です。

たるみ治療法の比較

治療法特徴・メリットダウンタイム・注意点
眉下切開法自然な変化、腫れが比較的少ない、傷が目立ちにくい眉毛の形が若干変わる可能性がある、抜糸が必要(約1週間後)
上眼瞼皮膚切除二重のラインを同時に形成・修正できるダウンタイムが長め、厚ぼったくなるリスクがある
機器照射(HIFU等)切らない、腫れがほとんどない、手軽効果がマイルド、重度のたるみには不向き、継続が必要

非侵襲的治療(レーザー・HIFU等)

手術に抵抗がある場合や、ごく軽度のたるみであれば、高周波(RF)やHIFU(高密度焦点式超音波)、レーザーを用いた引き締め治療も選択肢となります。

これらは熱エネルギーを真皮層に与えてコラーゲンの生成を促し、皮膚を引き締めるものです。

ダウンタイムがほとんどないのが大きなメリットですが、物理的に皮膚を除去するわけではないため、効果は限定的かつ一時的である点を理解しておきましょう。

眼瞼下垂に適した治療法

眼瞼下垂の治療は、弱まったり緩んだりしている筋肉や腱膜を修復し、目を開ける機能そのものを回復させるのが主目的です。

機能改善が第一ですが、同時に整容面(見た目の美しさ)も考慮した繊細な手術が行われます。

挙筋前転法(信州大式など)

眼瞼下垂手術の中で最も標準的かつ確実性が高いのが「挙筋前転法」です。まぶたを切開し、緩んでしまった挙筋腱膜を探し出し、それを前方に引き出して瞼板(まぶたの縁の軟骨)に固定し直す方法です。

「伸びきったゴムを短く縫い縮めて張りを取り戻す」ようなイメージで、筋肉の力がダイレクトにまぶたに伝わるように再建します。

この手術は中等度から重度の下垂にも対応でき、再発率も比較的低いのが特徴です。同時に余分な皮膚や眼窩脂肪の除去も可能です。

術後は目の開きが良くなるだけでなく、おでこの筋肉を使わなくなるため額のシワが改善したり、頭痛や肩こりが解消したりといった副次的効果も大いに期待できます。

切らない眼瞼下垂手術(タッキング法)

まぶたの皮膚を切らずに、糸を使ってまぶたの裏側(結膜側)から筋肉(ミュラー筋や挙筋腱膜)を縫い縮める方法です。

皮膚を切開しないため腫れや内出血などのダウンタイムが短く、表面に傷跡が残らないのが最大のメリットです。

軽度の眼瞼下垂の方や、仕事の都合で長期の休みが取れない方に適しています。

しかし、切開法に比べると矯正力はやや劣り、糸が緩むと元に戻ってしまうリスクも多少高くなります。また、余分な皮膚の切除はできないため、皮膚のたるみが強い方には不向きです。

下垂治療法の比較

治療法適応症状特徴
挙筋前転法(切開)中等度〜重度の下垂、皮膚たるみ併発確実性が高い、皮膚切除も同時に可能、ダウンタイム約2週間
切らない眼瞼下垂軽度の下垂、ダウンタイムを短くしたい傷が残らない、腫れが少ない、矯正力は限定的
筋膜移植術挙筋機能がない重症例、他院修正おでこの力で目を開ける、閉眼不全のリスクがある

筋膜移植術(前頭筋吊り上げ術)

先天性の眼瞼下垂や、過去の手術などの影響で眼瞼挙筋の機能がほとんど失われている重度のケースで行われる手術です。

太ももやこめかみの筋膜などを採取し、それを使ってまぶたと前頭筋(おでこの筋肉)を連結させます。そうすると、おでこの筋肉を動かす力を利用してまぶたを引き上げられるようになります。

一般的な加齢性の眼瞼下垂で行われるケースは稀ですが、他の手術で効果がなかった場合の最終的な選択肢となります。

クリニック選びと治療の流れ

目元の印象は顔全体の印象を大きく左右するため、クリニックや医師選びは慎重に行う必要があります。

単に「目が開けばよい」というわけではなく、自然な美しさと機能性の両立が重要です。

カウンセリングでの重要確認事項

納得のいく結果を得るためには、事前カウンセリングでの医師との仕上がりイメージの共有が大切です。

眼瞼下垂の手術は目の開きを良くするほど黒目が大きく見え若々しくなりますが、開きすぎるといわゆる「ビックリ目」になり、かえって不自然で怖い印象になる場合もあります。

左右差の問題も重要です。人間の顔は元々左右非対称であり、骨格や筋肉のつき方も異なります。

手術で可能な限り調整しますが、完全な対称にするのは困難であることや、術後の回復過程で一時的な左右差が出る可能性についても十分な説明を受けておく必要があります。

医師がメリットだけでなく、こうしたリスクやデメリットについても隠さずに説明してくれるかどうかが、信頼できるクリニックを見極めるポイントです。

クリニック選びのチェックポイント

チェック項目見るべきポイント
医師の専門性形成外科専門医の資格を持っているか、目元の手術経験が豊富か
カウンセリングメリットだけでなく、リスク(左右差、ドライアイなど)も説明があるか
シミュレーションブジー(器具)を使って術後のイメージを具体的に見せてくれるか
アフターケア術後の検診体制や、万が一の修正対応について明確な規定があるか
料金体系麻酔代や薬代が含まれているか、追加費用の有無が明確か

形成外科専門医の在籍と実績

眼瞼下垂や皮膚のたるみ取りは、解剖学的な知識と数ミリ単位の繊細な技術が求められる手術です。

美容外科的なセンスはもちろん重要ですが、目の機能(涙の分泌、瞬きの機能、角膜の保護など)を守るための形成外科的な基礎知識が欠かせません。

日本形成外科学会認定専門医(JSPRS)などの資格を持つ医師は、一定のトレーニングを受け、再建外科などの実績を積んでいる一つの目安となります。

また、クリニックのホームページなどで実際の症例写真を詳細に確認し、自分の理想とする仕上がりに近い症例があるか、傷跡の経過はどうかなどもチェックしましょう。

Q&A

まぶたのたるみは皮膚が余ってしまうのが原因、眼瞼下垂は筋肉の衰えや腱膜の異常が原因です。

セルフチェックも行えますが、併発している方もいますので、正確な診断をするためには医師による診察が必要となります。

放置すると自律神経への影響や視界不良、審美的な老化の加速にもつながりますので、気になる方はいちどクリニックに相談してみると良いでしょう。

マッサージや眼輪筋トレーニングで治りますか?

残念ながら、伸びてしまった皮膚や、腱膜が外れてしまった眼瞼下垂をマッサージやトレーニングだけで根本的に治すのは困難です。

特にマッサージは、強く擦ることで皮膚のたるみを悪化させたり、デリケートな腱膜をさらに緩めてしまったりするリスクが高いため推奨されません。

予防的な軽い運動は血行促進に良い場合もありますが、すでに自覚症状が出ているときは、自己判断でのケアを続けるよりも医療機関での適切な診断を受けましょう。

手術後の腫れや内出血はどれくらい続きますか?

個人差や選択する術式にもよりますが、切開を伴う手術の場合、強い腫れのピークは術後2日から3日目です。

その後、1週間から2週間かけて大きな腫れは徐々に引いていき、この時期に抜糸を行います。完全に自然な状態に馴染むまでには、3ヶ月から半年程度かかると考えてください。

内出血が出た場合も、通常2週間程度で黄色くなって消失し、その間はコンシーラー等でカバーできます。

術後にドライアイになると聞いたのですが?

眼瞼下垂の手術を行うとまぶたが以前より大きく開くようになるため、目の表面の露出面積が増え、涙が蒸発しやすくなって一時的にドライアイの症状を感じるケースがあります。

また、術後早期は夜間に目が完全に閉じきらない(兎眼)症状が出る場合があります。

これらは多くの場合、時間の経過とともに馴染んで改善しますが、術後は処方される点眼薬や眼軟膏を使って目の乾燥を防ぐケアをしっかり行いましょう。

まぶたの手術をしたことは他人にバレますか?

眉下切開法であれば、傷跡は眉毛の中に隠れるため非常に目立ちにくく、他人に気づかれることは少ないと言えます。

二重ライン上の切開では、目を閉じた時にしばらくの間、傷跡の赤みや食い込みが見える場合があります。

しかし、形成外科的縫合などの適切な技術で行われた手術であれば、数ヶ月から半年後には傷跡は白く細い線となり、二重のひだに隠れてほとんど分からなくなります。

メイクをすればさらに目立たなくなるため、過度な心配は不要です。

片目だけ手術することは可能ですか?

可能です。片目だけに症状がある場合や、左右差が著しい場合は、片目のみの手術を行うケースがあります。

ただし、片目を手術することで、ヘリングの法則と呼ばれる現象により、もう片方の目の開き具合が変化するときがあります(シーソー現象)。

そのため、左右のバランスを整えるためには、症状が軽い方の目も含めて両目の手術を同時に行うことを推奨する場合もあります。医師とよく相談して決定してください。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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