眉下リフト(眉下切開)の傷跡はいつ消える?経過とバレないメイク術

眉下リフト(眉下切開)を受けるにあたり、最大の懸念事項として挙げられるのが「顔に残る傷跡」です。
どれほど若々しい目元を手に入れられたとしても、その代償として目立つ傷跡が残ってしまっては本末転倒と言えます。
しかし、正しい知識を持って術後のケアを行い、時期に応じた適切なメイクアップを取り入れると、傷跡は驚くほど目立たなくなります。
多くのケースにおいて、最終的には白い一本の細い線となり、眉毛の中に隠れてほとんど判別できなくなるまで回復します。
傷跡の赤みが引き白い線になるまでの期間と一般的な経過
眉下リフトの傷跡は術後1ヶ月から3ヶ月程度の赤みがある時期を経て、およそ6ヶ月から1年かけて徐々に白く細い線へと変化し、最終的には眉毛と一体化してほとんど目立たなくなります。
人間の皮膚が傷を修復する能力には個人差がありますが、一般的な治癒の流れを理解しておくと、不必要な不安を感じずに過ごせます。
術後直後から抜糸までの初期段階
手術直後から抜糸が行われる術後1週間前後の時期は、傷口がまだ不安定であり、物理的な結合も完全ではありません。
この期間は、切開したラインに沿って鮮明な赤みが見られるほか、縫合糸がついている状態であるため、どうしても傷跡としての存在感は強くなります。
腫れや内出血を伴うケースも多く、これらが傷跡の赤みをより強調して見せるときがあります。
この段階では、傷をきれいに治すための細胞活動が活発に行われており、炎症反応は正常な治癒の一部です。無理に隠そうとしてメイクをしたり、触れたりするのは厳禁です。
傷口を清潔に保ち、医師の指示通りに軟膏を塗布するなどして、感染症を防ぐケアが何よりも重要です。
抜糸が終わるまでは、伊達メガネや帽子のつばを目深にするなど、物理的な遮断で視線を逸らす工夫が求められます。
術後1ヶ月から3ヶ月の拘縮期
抜糸を終えてから数ヶ月の間は傷跡が硬くなり、赤みが依然として残る「拘縮(こうしゅく)」と呼ばれる時期に入ります。
これは傷ついた組織を修復しようとしてコラーゲンが過剰に産生されるために起こる現象であり、皮膚のひきつれやボコボコとした感触を覚える場合があります。
鏡を見た際に「傷が目立っているのではないか」と最も不安を感じやすい時期でもあります。
時期ごとの傷跡の状態変化
| 経過時期 | 傷跡の見た目と状態 | 隠しやすさ |
|---|---|---|
| 術後〜抜糸(約1週間) | 糸がついている・強い赤み・腫れ・内出血 | 隠せない(メガネ等で物理的に遮蔽が必要) |
| 1ヶ月〜3ヶ月 | 赤みやピンク色・硬さや凹凸(拘縮)・ひきつれ感 | メイクでカバー可能だが、凹凸により技術が必要 |
| 6ヶ月〜1年 | 薄い白色の線・平坦で柔らかい・周囲と馴染む | スッピンでも目立ちにくく、軽いメイクで消失 |
上記の表に示したように、1ヶ月から3ヶ月の間は一時的に症状が強く出るときがありますが、これは回復過程の一環です。
赤みは徐々にピンク色へと変化していきますが、体温が上がった時や入浴後、飲酒後などには一時的に赤みが強く浮き出る場合があります。
この時期のメイクは可能になりますが、凹凸があるためコンシーラーが乗りにくいと感じる場面もあるでしょう。しかし、これは傷が治ろうとする力が働いている証拠であり、永続的なものではありません。
焦らずに保湿と保護を続けると、組織が徐々に柔らかさを取り戻していきます。
術後6ヶ月以降の成熟期
手術から半年が経過すると、傷跡の赤みや硬さは大幅に改善され、成熟期と呼ばれる安定した状態に入ります。
この頃には、傷跡は赤色から周囲の肌色に近い色、あるいは薄い白色へと変化し、一本の細い線状になります。
眉毛の下のラインに沿って切開が行われている場合、新しい眉毛が生え揃うと、傷跡自体が毛の中に隠れてしまうケースも少なくありません。
スッピンの状態でも、至近距離で凝視されなければ気づかれないレベルまで回復する人が大半です。
もちろん体質によっては完全に白くなるまで1年近くかかる場合もありますが、6ヶ月という期間は一つの大きな目安となります。
この段階になれば傷跡を隠すための厚いメイクは不要になり、日常的なアイブロウメイクだけで十分にカバーできるようになります。
傷跡の仕上がりを左右する要因
眉下リフトの傷跡がどれだけきれいに消えるかは、医師の技術だけでなく、患者さん自身の体質や術後の生活環境など、複数の要素が複雑に絡み合って決定されます。
同じ手術を受けても、傷跡がほとんど見えなくなる人と、うっすらと残ってしまう人がいるのはそのためです。
皮膚の厚みと皮脂の分泌量
皮膚の厚みは傷跡の治り方に直結する重要な要素です。一般的に、皮膚が厚い人は傷口にかかる緊張が強くなりやすく、その反発力によって傷跡の幅が広がりやすい傾向にあります。
逆に皮膚が薄い人は、切開ラインにかかるテンションが少ないため、傷跡が細くきれいな一本線として治癒しやすいと言われています。
日本人は欧米人に比べて皮膚が厚い傾向にあるため、より慎重な縫合技術が必要とされます。
さらに、皮脂腺の発達具合も影響します。眉毛周辺は皮脂の分泌が盛んなエリアですが、オイリー肌の人は傷口が湿潤しやすく、細菌繁殖のリスクがわずかながら高まる場合があります。
過剰な皮脂はテープ保護の妨げにもなるため、肌質に応じた適切なスキンケア管理が、きれいな傷跡への近道となります。
執刀医の縫合技術とデザイン力
傷跡の美しさを決定づける最大の要因は、執刀医による技術力です。
特に「毛包斜切開(もうほうしゃせっかい)」と呼ばれる、毛根を傷つけないように斜めにメスを入れる技術が適切に行われているかどうかが鍵を握ります。
この手法を用いると切開ラインの周辺からも再び眉毛が生えてくるようになり、最終的に傷跡が毛流の中にカモフラージュされます。
その上、皮膚の表面だけでなく、皮下組織や筋肉レベルでの内部処理(中縫い)が丁寧に行われているかも重要です。
中縫いによって傷口にかかる張力を皮下で負担させると、表面の皮膚にかかるテンションを最小限に抑えられます。
表面だけの縫合では、時間の経過とともに傷跡の幅が広がってしまうリスクが高まるため、医師の緻密な手技が仕上がりを左右します。
傷跡に影響を与える要素の概観
- ケロイド体質や皮膚の厚み、皮脂の分泌量といった患者自身の元々の肌質
- 執刀医による切開位置のデザインセンスと、毛包斜切開や中縫いなどの精密な縫合技術
- 術後の日常生活における表情による引っ張り、摩擦刺激、紫外線対策などの安静度
術後の生活における物理的刺激
手術後の日常生活において、無意識に患部に与えてしまう刺激も傷跡の治りを悪くする原因となります。洗顔時に強く擦ったり、就寝時に枕で患部を圧迫したりするのは避けなければなりません。
表情の作り方も影響し、眉を大きく上げる癖がある人は傷口常に引っ張る力がかかり続けるため、傷跡が安静に保てず、赤みが長引いたり幅が広がったりする可能性があります。
紫外線も大敵です。傷ついたばかりの皮膚はバリア機能が低下しており、紫外線を浴びると容易に色素沈着を起こします。
一度色素沈着して茶色く残ってしまった傷跡は、白く目立たなくなるまでに長い時間を要します。そのため、物理的な摩擦と紫外線からどれだけ徹底して守れるかが、最終的な仕上がりを決定します。
傷跡を目立たなくするための術後ケア方法
手術が終わった瞬間から、美しい仕上がりに向けた自分自身でのケアが始まります。適切なケアを継続すると、傷跡の治癒期間を短縮し、より目立たない状態へと導けます。
テープによる固定と保護
抜糸後から開始するテーピングは、傷跡ケアの中で最も効果的かつ重要な処置です。
専用のサージカルテープ(マイクロポアテープなど)を傷跡に対して垂直に貼り、傷口が左右に引っ張られる力を物理的に抑制します。
皮膚は常に動いており、特に眉周辺は表情筋の影響を受けやすいため、テープによる固定がなければ傷幅が広がりやすくなります。
テープは頻繁に交換する必要はありません。剥がす際の刺激が肌への負担となるため、自然に剥がれてくるまで数日間は貼りっぱなしが推奨されます。
このテープ自体が外部の摩擦や紫外線から傷跡を保護する役割も果たします。医師の指示に従い、少なくとも術後3ヶ月、可能であれば6ヶ月程度は継続することが、きれいな一本線の傷跡を作るための秘訣です。
徹底した紫外線対策
前述の通り、術後のデリケートな皮膚にとって紫外線は色素沈着の元凶です。
傷跡が赤いうちは特にメラニン色素が生成されやすい状態にあるため、外出時はもちろん、室内であっても窓からの日差しに注意が必要です。
テープ保護をしている場合でも、その上から帽子を被る、日傘をさすといった物理的な遮光を心がけましょう。
テープを卒業した後も、日焼け止めの塗布は欠かせません。傷跡部分に刺激の少ない敏感肌用の日焼け止めを選び、こまめに塗り直す習慣をつけると良いです。
色素沈着を防げれば、傷跡はスムーズに周囲の肌色と同化し、最終的に目立たない白い線へと落ち着いていきます。
主なケア方法と実践のポイント
| ケア方法 | 目的と効果 | 実施タイミングと期間 |
|---|---|---|
| サージカルテープ保護 | 傷にかかる張力の軽減、傷幅拡大の防止、摩擦保護 | 抜糸直後から3〜6ヶ月間(入浴中も貼ったまま推奨) |
| 紫外線対策 | 色素沈着(シミ)の防止、炎症の早期鎮静化 | 術後直後から1年以上(赤みが完全に引くまで) |
| 保湿・シリコンジェル | 乾燥によるかゆみ防止、皮膚の柔軟性維持、拘縮緩和 | 抜糸後、傷口が完全に塞がってから継続的に実施 |
保湿による皮膚環境の整備
乾燥は皮膚の再生を遅らせ、かゆみを引き起こす原因となります。かゆみを感じて患部を掻いてしまうと、新たな炎症を引き起こし傷跡の悪化につながります。
そのため抜糸後から医師の許可が出た段階での、十分な保湿ケアが重要です。ワセリンや保湿クリームを使用し、皮膚の柔軟性を保つと、拘縮によるつっぱり感の緩和も期待できます。
ただし、保湿剤を塗る際は、強く擦り込まないように注意が必要です。指の腹を使って優しく乗せるように塗布します。
傷跡専用のシリコンジェルシートなども市販されており、これらは保湿と圧迫の効果を同時に得られるため、生活スタイルに合わせて取り入れるのも有効な手段です。
経過時期に応じたバレないメイクテクニック
眉下リフトの傷跡は眉毛の直下にあるため、アイブロウメイクを工夫すれば非常に自然に隠せます。
時期によって傷の状態(色や凹凸)が異なるため、その時々の肌質に合わせたアイテム選びとテクニックが必要です。
赤みが強い時期のカラーコントロール
術後1ヶ月から3ヶ月頃の赤みが目立つ時期には、色の補正効果を利用したベース作りが有効です。
赤色の補色である「グリーン」系のコントロールカラーやコンシーラーを傷跡部分に薄くのせると赤みを打ち消し、肌色に近づけられます。
その上から、カバー力の高いベージュ系のコンシーラーを重ねれば、自然な仕上がりになります。
メイクアイテムの選び方と使用法
| アイテム | 選び方のポイント | 使い方のコツ |
|---|---|---|
| コンシーラー | 赤み消しにはグリーン系、通常時は肌よりやや暗め | リキッドやクリームタイプをブラシで薄く重ねる |
| アイブロウ | パウダーは密着度の高いもの、ペンシルは芯が柔らかいもの | パウダーで土台を作り、ペンシルやリキッドで毛を描き足す |
| ツール | 清潔で肌当たりの優しいブラシやスポンジ | 擦らず、置くように馴染ませて摩擦を防ぐ |
この時期はまだ皮膚が敏感で凹凸もあるため、柔らかいリキッドタイプやクリームタイプのコンシーラーが適しています。硬いスティックタイプは塗る際に摩擦が生じやすいため、避けたほうが無難です。
指で叩き込むのではなく、清潔なブラシやスポンジを使って優しく馴染ませると、厚塗りを防ぎつつカバー力を高められます。
パウダーとペンシルの使い分け
眉毛を描く際には、パウダーとペンシルの使い分けが重要です。傷跡の上はツルツルとしていて色素が定着しにくい場合があります。
そのため、いきなりペンシルで描こうとせず、まずはアイブロウパウダーをふんわりと乗せてベースを作ります。パウダーが油分を吸着し、その後の発色を助ける役割を果たします。
その上で、毛が足りない部分や傷跡のライン上を、芯の柔らかいアイブロウペンシルで一本一本毛を描き足すように埋めていきます。
最近ではリキッドタイプのアイブロウライナーも優秀で、消えにくく繊細なラインを描けるため、傷跡のカバーに適しています。
最後に眉マスカラを使用して自眉の色と馴染ませれば、立体感が生まれ、傷跡の存在感はほとんど消え失せます。
前髪やフレームを利用したカモフラージュ
メイクだけでなく、ヘアスタイルや小物を活用するのも賢い選択です。傷跡が完全に落ち着くまでの間、前髪を作って眉毛にかかる長さに調整すれば、物理的に傷跡は見えなくなります。
特に風が吹いても崩れにくい厚めの前髪や、シースルーバングでも眉上が隠れるスタイルが有効です。
そして、縁の太いメガネをかけるのも効果的です。メガネのフレームラインがちょうど眉毛のあたりに来るようなデザインを選べば相手の視線がフレームに集まり、傷跡への注目を逸らせます。
これらはメイクが崩れてしまった時の保険としても機能するため、術後の必須アイテムとして準備しておくと安心です。
注意すべき傷跡のトラブルと対処法
多くの場合は時間の経過とともにきれいに治癒しますが、稀に予期せぬトラブルが発生する場合があります。
最終的な仕上がりを守るために、トラブルを早期に発見して適切な対処を行いましょう。
- 切開線の両端がポコッと膨らんでしまい、目立つ形状になっていないか(ドッグイヤーの可能性)
- 数ヶ月経っても赤みが強く、傷跡がミミズ腫れのように盛り上がって硬くないか(肥厚性瘢痕の可能性)
- 傷口から膿が出ていたり、触ると熱感と強い痛みを感じたりしないか(感染の兆候)
ドッグイヤー(皮膚の余り)の発生
ドッグイヤーとは、切開線の端部分の皮膚が盛り上がり、犬の耳のように膨らんでしまう現象です。
これは、切除する皮膚の量が多い場合や、平面の皮膚を無理に縫い合わせた際に生じる歪みが原因で起こります。
軽度のものであれば、時間の経過とともに皮膚が馴染んで平坦になりますが、数ヶ月経っても改善しない場合は、修正手術が必要になるケースもあります。
ドッグイヤーを防ぐためには、最初の手術デザインが極めて重要です。切開線を眉毛の範囲内に無理に収めようとせず、必要であれば眉尻の外側まで延長して角度を調整するなど、無理のない縫合計画が必要です。
もし術後に膨らみが気になる場合は自己判断でマッサージなどをせず、まずは執刀医に相談しましょう。
肥厚性瘢痕やケロイド化
体質によっては、傷跡が赤く盛り上がり、ミミズ腫れのようになる「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」が生じるときがあります。これは傷を治すための線維組織が過剰に増殖してしまう状態です。
さらに重度のものでは、傷の範囲を超えて広がる「ケロイド」となる場合もありますが、眉下リフトの切開部位で真性ケロイドが発生するケースは稀とされています。
傷跡に強いかゆみや痛みが伴うときや、赤みが一向に引かずに盛り上がってきた場合は、この状態を疑います。
原因としては体質のほかに、傷口にかかる強い緊張(テンション)や持続的な炎症が挙げられます。早めにステロイドテープや注射などの治療介入を行うと、症状を沈静化させることが可能です。
感染や縫合不全による傷跡の拡大
術後の不衛生な環境や、過度な活動によって傷口が開いてしまう(離開)トラブルもゼロではありません。
傷口が化膿したり、一部が開いてしまったりすると治癒に時間がかかるだけでなく、最終的な傷跡の幅が広くなって目立つ原因となります。
特に喫煙習慣がある人は血流が悪く、傷の治りが遅くなるためリスクが高まります。
術後は処方された抗生剤を正しく服用し、傷口を触らないようにするのが鉄則です。
もし異常な痛みや浸出液(膿など)が見られた場合は直ちにクリニックを受診し、洗浄や再縫合などの処置を受ける必要があります。早期対応が傷跡へのダメージを最小限に食い止めます。
傷跡の回復を早めるための生活習慣
傷跡の治癒は身体の内側からの回復力に大きく依存しています。外側からのケアだけでなく、細胞の再生を促すような生活習慣を意識すると、より早く、よりきれいな傷跡へと導けます。
創傷治癒を促す栄養摂取
皮膚の再生には、タンパク質やビタミン、ミネラルが不可欠です。特にタンパク質は皮膚の材料となるため、肉や魚、大豆製品などを積極的に摂取しましょう。
また、ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、亜鉛は細胞分裂を促進して傷の治りを早める働きがあります。
積極的に摂取したい栄養素
| 栄養素 | 傷跡への働き | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 皮膚や筋肉など組織の主成分となる | 鶏肉、魚、卵、豆腐、納豆 |
| ビタミンC | コラーゲン生成を促進し、色素沈着を防ぐ | 柑橘類、キウイ、ブロッコリー、パプリカ |
| 亜鉛 | 細胞分裂を促し、新しい皮膚の形成を助ける | 牡蠣、牛肉、レバー、ナッツ類 |
術後数ヶ月間は、ダイエットなどによる極端な食事制限は避けるべきです。十分な栄養が傷跡に行き渡らないと、組織の修復が不完全になり、傷跡が凹んだり赤みが長引いたりする原因となります。
サプリメントなども上手に活用しながら、バランスの取れた食事を心がけることが美傷への第一歩です。
血流を阻害する因子の排除
血液は、傷を治すための酸素や栄養素を運ぶ重要な役割を担っています。そのため、血流を悪くする習慣は極力排除する必要があります。
その筆頭が「喫煙」です。ニコチンは血管を収縮させ、皮膚への酸素供給を著しく低下させます。タバコを吸う人は吸わない人に比べて傷の治りが遅く、傷跡が汚くなりやすいというデータも存在します。
また、過度な飲酒も炎症を助長させる可能性があるため、特に術後早期は控えるのが賢明です。
逆に、適度な水分摂取と入浴(許可が出てから)などで全身の循環を良くする取り組みは推奨されます。
ただし、激しい運動による血圧上昇は、術後すぐは内出血のリスクを高めるため、時期を見て徐々に再開するようにしましょう。
質の高い睡眠とストレス管理
皮膚の修復や再生は、主に睡眠中に行われます。成長ホルモンの分泌が活発になる夜間にしっかりと睡眠をとる習慣は、高価な美容液を使うこと以上に効果的な創傷治癒ケアと言えます。
睡眠不足は免疫力を低下させ、感染症のリスクを高めるだけでなく、ターンオーバーの乱れも招きます。
ストレスもまた、自律神経のバランスを崩し、血管の収縮や免疫機能の低下を引き起こします。
術後の不安はあるかもしれませんが、リラックスできる時間を持ち、心身ともに穏やかな状態で過ごすと、結果として傷跡のきれいな仕上がりにつながります。
残ってしまった傷跡への医療的アプローチ
万全のケアを行っても、体質や予期せぬ要因により、どうしても気になる傷跡が残ってしまうケースがあります。しかし、現代医療には修正のための選択肢が豊富に用意されています。
諦めてしまう前に、美容皮膚科や形成外科での専門的な治療を検討すると、状態を改善できる可能性があります。
レーザー治療による質感の改善
赤みが長く残る場合や、傷跡の凸凹が気になる場合には、レーザー治療が有効です。
例えば、フラクショナルレーザーは皮膚に微細な穴を開けて再生を促すことで傷跡の凹凸を滑らかにし、周囲の皮膚と馴染ませる効果があります。
また、色素レーザー(Vビームなど)は、拡張した毛細血管に作用し、頑固な赤みを軽減させるのに適しています。
これらの治療は一度で完了するものではなく、月に1回程度の間隔で複数回通う必要があります。
ダウンタイムとして一時的な赤みやカサブタが生じる場合がありますが、最終的な質感の向上には大きな効果を発揮します。医師の診断のもと、傷の状態に合ったレーザー機器を選択しましょう。
ステロイド注射と内服薬
傷跡が盛り上がる肥厚性瘢痕やケロイドの症状が見られる場合には、ステロイド(ケナコルトなど)の局所注射が第一選択となります。
ステロイドには強力な抗炎症作用があり、過剰な線維組織の増殖を抑え、盛り上がりを平坦にし、赤みやかゆみを鎮める効果があります。
そして、トラニラスト(リザベン)などの内服薬を併用するときもあります。これらはコラーゲンの過剰産生を抑制する働きがあり、体の中からケロイド化を防ぎます。
ただし、ステロイド注射は打ちすぎると皮膚が凹んでしまう副作用もあるため、熟練した医師による慎重な投与量の調整が必要です。
主な医療機関での治療法
| 治療法 | 対象となる症状 | 特徴と注意点 |
|---|---|---|
| フラクショナルレーザー | 傷跡の凹凸、質感の不均一、古い傷跡 | 皮膚の入れ替えを促す。複数回の治療が必要。 |
| ステロイド注射 | 盛り上がった傷(肥厚性瘢痕)、赤み、かゆみ | 強力に炎症を抑える。副作用(陥没)への配慮が必要。 |
| 瘢痕形成術(再縫合) | 幅広の傷跡、目立つ段差、ドッグイヤー | 物理的に傷を修正する。術後半年以降に実施可能。 |
外科的な傷跡修正手術
傷跡の幅が広がってしまったり、ドッグイヤーが目立ったり、段差が著しい場合には、再度切開して縫い直す「瘢痕(はんこん)形成術」という選択肢があります。
これは、汚くなってしまった傷跡部分を切除し、より丁寧に、より緊張がかからないように縫合し直す手術です。
修正手術を行う時期は最初の傷が十分に成熟し、柔らかくなってから(通常は術後6ヶ月から1年以降)が適しています。
一度目の手術よりもさらに高度な技術が求められるため、修正手術の経験が豊富な医師を選ぶことが成功の鍵となります。
「もう治らない」と思い込まず、専門医に相談すると、より目立たない傷跡を目指す道は開かれます。
Q&A
眉下リフトは、まぶたのたるみ改善に効果的な治療法です。
眉の下を切るため、「傷跡がはっきりと残ってしまうのではないか」と心配される方も多いですが、術後のケアをしっかりと行うとほとんどわからなくなるまで回復します。
また、医師の技術力にも傷跡の程度が左右されますので、納得できるまでカウンセリングを受け、信頼できるクリニックで治療を行うようにしましょう。
- 仕事復帰の際、傷跡はどの程度目立ちますか?
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仕事復帰のタイミングにもよりますが、抜糸直後(術後約1週間)であれば、赤みや多少の腫れ、内出血が残っている可能性があります。
しかし、この時期からアイブロウメイクが可能になるため、前髪を下ろしたり、少し太めのフレームのメガネをかけたりすると、オフィス内でも周囲に気づかれずに過ごすことは十分に可能です。
接客業などで至近距離での対面が避けられない場合は、コンシーラーと前髪の併用をおすすめします。
- 傷跡部分の脱毛は起きますか?また毛は生えてきますか?
-
切開線上の毛根は手術によってダメージを受けるため、そのライン上の毛は一時的、あるいは永続的に生えてこなくなる場合があります。
しかし、「毛包斜切開」という毛根を温存する高度な切開法を用いていれば、傷跡を貫通して再び毛が生えてくることが期待できます。
術後数ヶ月は一時的な脱毛(ショックロス)が起こるケースもありますが、多くの場合、時間の経過とともに回復します。
- 傷跡が痛むことはありますか?
-
術後数日は痛み止めが必要な程度の痛みがありますが、徐々に治まります。
その後、傷が治る過程(特に術後1〜3ヶ月の拘縮期)において、ピリピリとした感覚や、時折チクッとする痛み、あるいは知覚鈍麻(感覚が鈍い状態)を感じるときがあります。
これらは神経が修復されているサインであるケースが多く、通常は半年から1年程度で自然に消失していきます。激痛が続く場合は感染などの可能性があるため受診が必要です。
- 他院で受けた手術の傷跡が目立つのですが修正は可能ですか?
-
可能です。他院での手術後に傷跡が太く残ってしまったり、ドッグイヤーができたりして悩んでいる方は少なくありません。
レーザー治療やステロイド注射などの保存的治療で改善する場合もあれば、再度切開して縫い直す修正手術が適している場合もあります。
現在の皮膚の余り具合や傷の状態によって適した方法が異なるため、修正手術の経験が豊富な医師にセカンドオピニオンを求めると良いでしょう。
- アートメイクはいつから可能ですか?
-
眉毛のアートメイクは、傷跡が完全に落ち着いてから行うのが理想的です。
傷口が赤く硬い時期(術後1〜3ヶ月)に行うと、色が定着しにくかったり、変色してしまったりするリスクがあります。また、傷跡への刺激がトラブルを招く恐れもあります。
一般的には、傷跡の状態が安定する術後6ヶ月以降が推奨されます。執刀医とアートメイクアーティストの双方に相談してから決定してください。
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