口角の横にぽっこりとしたたるみが現れ、フェイスラインがもたついていると感じる方もいるのではないでしょうか。
いわゆる「ブルドッグ顔」と呼ばれるこの状態は、見た目年齢を大きく左右するため、多くの方の悩みとなっています。
ブルドッグ顔の原因は加齢によるものだけではありません。
この記事では、ブルドッグ顔になってしまう主な原因を深く掘り下げ、日常生活でできる対策から、美容整形による効果的な改善・リフトアップ法まで、詳しく解説していきます。
ブルドッグ顔とは?その特徴とセルフチェック
ブルドッグ顔とは、頬がたるみ、口角の横からあごにかけてのフェイスラインが崩れ、皮膚や脂肪が垂れ下がった状態を指します。
見た目が犬のブルドッグの頬に似ているため、このように呼ばれるようになりました。実年齢よりも老けて見えたり、不機嫌そうな印象を与えたりする場合があります。
ブルドッグ顔の具体的な特徴
ブルドッグ顔の最大の特徴はフェイスラインのもたつきです。具体的には、口角の横(マリオネットラインの起点)に脂肪がたまり、それが重力によって垂れ下がって、頬とあごの境界線が不明瞭になります。
正面から見ると顔の下半分が四角く、重たい印象になります。また、ほうれい線が深くなる、マリオネットラインがくっきりと現れるといった現象も同時に進行するのが一般的です。
この状態は皮膚表面の問題だけでなく、皮膚の下にある脂肪や筋肉、さらには骨格といった複数の要因が絡み合って発生します。
なぜ「ブルドッグ顔」と呼ばれるのか
この呼び名は、文字通り犬の「ブルドッグ」の顔つきに由来します。ブルドッグは特徴的な短い鼻と、それに伴うアコーディオンのような顔のしわ、そして特に目立つのが口元から垂れ下がる頬の皮膚です。
人間の顔において、加齢やその他の要因で頬の皮膚や皮下組織が弾力を失い、重力に負けて垂れ下がり、口角の横にふくらみができる様子が、このブルドッグの頬を連想させるため「ブルドッグ顔」という通称が使われるようになりました。
ややデリケートな表現ではありますが、たるみの状態を直感的に示す言葉として広く浸透しています。
自分でできるブルドッグ顔チェックリスト
ご自身がブルドッグ顔の兆候があるか、または予備軍であるかを確認するために、以下の項目をチェックしてみましょう。
鏡を用意して、真正面から見た顔と少しうつむいた時の顔を比べてみると分かりやすいです。
セルフチェック項目
- 口角が以前より下がってきた
- ほうれい線が深くなった
- 口角の横に「ぽっこり」としたふくらみがある
- フェイスラインがぼやけてきた
- 顔と首の境目があいまいになった
- 真顔の時、不機嫌そうに見られることが増えた
- うつむくと、頬の肉が顕著に垂れ下がる
これらの項目のうち2つ以上当てはまる場合は、ブルドッグ顔が進行しているか、その予備軍である可能性があります。早期に原因を理解して対策を始めましょう。
放置するとどうなる?進行のリスク
ブルドッグ顔の兆候に気づきながらも、特別な対策をせずに放置すると、たるみは徐々に進行します。
皮膚の弾力は年齢とともに自然と失われ、SMAS筋膜のゆるみも進むため、重力の影響をより受けやすくなります。
最初は気にならない程度だった口角横のふくらみが次第に大きくなり、明確な「たるみ」として定着します。
さらに進行すると、そのたるみがマリオネットラインを深く刻み、あごのライン(ジョールファットと呼ばれる部分)と一体化してフェイスラインはより四角く重たい印象が強まります。
セルフケアでの改善が難しくなり、美容医療による介入が必要となるケースも増えていきます。
ブルドッグ顔になる主な原因はなぜ?
ブルドッグ顔が形成される主な原因は、加齢に伴う顔の内部構造の変化にあります。
皮膚の弾力低下や筋力の衰え、脂肪の移動や骨格の変化といった複数の要因が複雑に絡み合い、重力に抗えなくなった結果、頬が垂れ下がります。
これは単一の原因ではなく、複数の要因が層状に影響しあって起こる現象です。
加齢による皮膚のたるみ(コラーゲン・エラスチンの減少)
私たちの皮膚のハリや弾力は、真皮層に存在するコラーゲンやエラスチンといった線維組織によって支えられています。
しかし、加齢とともにこれらの線維を生成する機能は衰え、既存のコラーゲンやエラスチンも変性・減少していきます。すると、皮膚は弾力を失い、まるで伸びきったゴムのように緩んでしまいます。
この皮膚のゆるみが顔のたるみの直接的な原因の一つとなります。特に頬は面積が広く、重力の影響を受けやすいため、弾力が失われると下方向へのたるみが目立ちやすくなります。
表情筋の衰えとSMAS筋膜のゆるみ
顔の皮膚のすぐ下には、表情を作るための筋肉(表情筋)があります。これらの筋肉も、体の筋肉と同じように、使わなければ衰えていきます。
表情筋が衰えると、その上にある皮膚や脂肪を支える力が弱まり、たるみが生じやすくなります。
さらに重要なのが、皮膚と表情筋の間にある「SMAS(スマス)筋膜」という薄い膜状の組織です。SMAS筋膜は、皮膚と筋肉をつなぎとめる「土台」のような役割を果たしています。
加齢によってSMAS筋膜もゆるんでくると、土台そのものが崩れて皮膚や脂肪組織を支えきれず、顔全体のたるみ、特にブルドッグ顔の原因となる頬下部のたるみを引き起こします。
皮下脂肪の増加と下垂
顔にも皮下脂肪が存在し、適度な量は顔に丸みと若々しさをもたらします。しかし、この脂肪も加齢や体重増加によって変化します。
まず、年齢とともに顔の脂肪は特定の部位(こめかみや頬の上部など)では減少し、別の部位(頬の下部やあご下など)では増加・蓄積しやすい傾向があります。
頬の下部に脂肪が増えると、その重みでたるみやすくなります。
さらに、脂肪は「リガメント(支持靭帯)」によって骨に固定されていますが、加齢でリガメントの支持力も弱まると、脂肪は重力に従って下へ下へと移動(下垂)します。
この脂肪の下垂が、ブルドッグ顔特有の口角横のふくらみを形成する大きな要因です。
骨格の変化と支持組織の減少
骨も年齢とともに変化(萎縮)します。特に、頬骨や下あごの骨が萎縮すると、その上の皮膚や脂肪を支える「土台」が小さくなります。
例えるなら、テントの骨組みが小さくなるようなもので、その結果、テントの布(皮膚や脂肪)が余ってたるんでしまいます。
また、先述のリガメント(支持靭帯)も加齢によってゆるみ、皮膚や脂肪を骨につなぎとめておく力が弱まります。
これらの骨格や支持組織の変化が顔全体の構造的なたるみを引き起こし、ブルドッグ顔の形成に関与します。
年齢だけではない?ブルドッグ顔を加速させる生活習慣
ブルドッグ顔の原因は加齢だけではありません。日々の何気ない生活習慣がたるみを早め、症状を悪化させる一因となっている可能性があります。
紫外線対策の不足や悪い姿勢、無意識の癖などが、皮膚や筋肉、骨格に負担をかけてブルドッグ顔の形成を加速させます。
紫外線の影響と光老化
紫外線は、ブルドッグ顔を含む顔のたるみを引き起こす最大の外的要因の一つです。
紫外線のなかでもUVA(紫外線A波)は皮膚の奥深く(真皮層)にまで到達し、ハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンを破壊・変性させます。この紫外線による皮膚の老化を「光老化」と呼びます。
光老化が進むと皮膚は弾力を失い、シワやたるみが生じやすくなります。
日焼け止めを塗る習慣がない、または塗り直しを怠るなど、紫外線対策が不十分な場合、年齢以上に皮膚の老化が進行し、ブルドッグ顔の発生を早めてしまいます。
姿勢の悪さ(猫背・スマホ首)
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による姿勢の悪さも、ブルドッグ顔と深く関係しています。
猫背や、首が前に突き出た「スマホ首」の状態が続くと首や肩の筋肉が緊張し、血流が悪化します。また、顔が下を向く時間が長くなると、重力によって頬のたるみが助長されます。
さらに重要なのは、顔の筋肉(表情筋)と首の筋肉(広頚筋)はつながっているという点です。
悪い姿勢によって首の筋肉がこわばったりゆるんだりすると、それが顔の筋肉を引き下げる力となり、フェイスラインのもたつきやブルドッグ顔を悪化させる原因となります。
食いしばりや噛み癖
無意識のうちに行っている食いしばりや歯ぎしり、片方の歯だけで噛む癖なども、顔のたるみに影響を与えます。食いしばりや歯ぎしりは、あごの筋肉(咬筋)を過度に緊張させ、発達させます。
この咬筋が発達しすぎると(いわゆる「エラが張る」状態)、その周りの筋肉とのバランスが崩れ、フェイスラインのたるみにつながるケースがあります。
また、咬筋の緊張は血流やリンパの流れを阻害し、むくみや老廃物の蓄積を招き、たるみを助長する可能性もあります。
片噛みの癖は顔の左右の筋肉バランスを崩し、片側だけたるみが目立つといった非対称性の原因にもなります。
急激なダイエットと栄養不足
急激な体重減少も、ブルドッグ顔を引き起こす原因となり得ます。短期間で大幅に体重を落とすと、顔の皮下脂肪も急激に減少します。
しかし、脂肪が減ったスピードに皮膚の収縮が追いつかず、皮膚が余ってしまう「皮余り」の状態になり、たるみとして現れるときがあります。
また、過度な食事制限によるダイエットはタンパク質やビタミン、ミネラルといった皮膚の健康を維持するために必要な栄養素の不足を招きます。
特にタンパク質はコラーゲンの材料となるため、不足すると皮膚のハリや弾力が失われ、たるみやすい状態になってしまいます。
自力で改善は可能?セルフケアの限界と注意点
ブルドッグ顔の兆候に気づいたとき、まずは自力での改善を試みたいと考える方は多いでしょう。
表情筋トレーニングやマッサージ、スキンケアなどのセルフケアは、一定の予防効果や軽度のたるみに対する現状維持には役立ちますが、すでに進行してしまったたるみを根本的に解消するには限界があります。
表情筋トレーニングの効果とやり方
表情筋トレーニングは、顔の筋肉を意識的に動かして筋肉の衰えを防ぎ、血行を促進する効果が期待できます。
例えば、口を大きく開けて「あ・い・う・え・お」と発声する、口を閉じて舌で歯茎をなぞるように回す、頬を大きく膨らませたりすぼめたりする、といった運動があります。
これらのトレーニングを継続すると、筋肉の柔軟性を保ち、表情を豊かにする助けにはなります。
しかし、トレーニングだけでSMAS筋膜のゆるみや、下垂した脂肪、伸びてしまった皮膚を元に戻すのは困難です。
マッサージや美顔器のリスク
顔のマッサージはリンパの流れを促進し、一時的にむくみを解消する効果は期待できます。しかし、ブルドッグ顔の根本原因であるたるみ(皮膚のゆるみや脂肪の下垂)をマッサージで解消することはできません。
むしろ、自己流の強いマッサージは皮膚に過度な摩擦や圧力を加え、皮膚を支えるリガメントやコラーゲン線維を傷つけてしまうリスクがあります。
その結果、かえってたるみを悪化させる可能性も否定できません。美顔器の使用も同様で、適切な方法で使用しないと皮膚への負担となるため、注意が必要です。
スキンケアでできること(保湿・紫外線対策)
スキンケアは、ブルドッグ顔の「治療」ではなく、「予防」と「現状維持」において非常に重要です。
最も重要なのは、前述の「光老化」を防ぐための徹底した紫外線対策です。季節や天候に関わらず、毎日日焼け止めの使用を習慣づけましょう。
また、肌が乾燥するとバリア機能が低下し、あらゆる肌トラブルや老化が進みやすくなります。化粧水や乳液、クリームなどでしっかりと保湿を行い、肌の水分量を保つケアも大切です。
レチノールやビタミンC誘導体、ペプチドなど、ハリや弾力をサポートする成分が配合されたエイジングケア化粧品を取り入れるのも良いでしょう。
セルフケアで改善が難しい理由
ブルドッグ顔は皮膚の表面的な問題ではなく、皮膚や脂肪、筋肉や筋膜(SMAS)、リガメントや骨格といった顔の深層にある複数の構造的な要素が加齢とともに変化し、重力によって下垂するために生じます。
セルフケア(トレーニング、マッサージ、スキンケア)は、主に皮膚の表面や筋肉の一部にしか働きかけられません。
すでにゆるんでしまったSMAS筋膜を引き締め直したり、下垂してしまった脂肪を元の位置に戻したり、萎縮した骨を再生させたりするのは、セルフケアでは不可能です。
そのため、軽度の予防や現状維持はできても、進行したブルドッグ顔を自力で「改善」するには限界があるのです。
美容整形によるブルドッグ顔の効果的な改善法
セルフケアでは改善が難しいブルドッグ顔に対して、美容整形(美容医療)は、たるみの根本原因に直接働きかけて効果的な改善を提供します。
たるみの度合いや原因、希望する効果に応じて、メスを使う手術から、糸や高周波・超音波を用いる非侵襲的な治療まで様々な選択肢があります。
たるみの根本に働きかけるリフトアップ整形
ブルドッグ顔の改善を目的とした美容整形は、単に皮膚を引っ張るだけではありません。
たるみの原因となっているゆるんだSMAS筋膜を引き締めたり、下垂した脂肪を移動または除去したり、コラーゲンの生成を促して皮膚自体のハリを取り戻したりと、解剖学的な原因に働きかけます。
その結果として、セルフケアでは得られない持続的で明確なリフトアップ効果を目指します。どの治療法が適しているかは、個々のたるみの状態や原因によって異なります。
切るフェイスリフト(SMAS法など)
切るフェイスリフトは耳の前や髪の生え際など目立たない部分の皮膚を切開し、たるんだ皮膚や脂肪組織だけでなく、その下にあるSMAS筋膜を直接引き上げて固定する手術です。
ブルドッグ顔の根本原因であるSMAS筋膜のゆるみを直接修正できるため、中等度から重度のたるみに対して、最も効果的で持続性のある改善が期待できます。
手術には高い技術が必要ですが、フェイスラインが劇的に若返る可能性があります。
ただし、メスを使うため、ダウンタイム(腫れや内出血)が他の治療法に比べて長く、傷跡が残るリスクも伴います。
糸リフト(スレッドリフト)
糸リフト(スレッドリフト)はコグ(トゲ)と呼ばれる突起がついた特殊な医療用の糸を、皮下組織に挿入し、そのコグを組織に引っ掛けて物理的にたるみを引き上げる治療法です。
切開を伴わないため切るフェイスリフトに比べてダウンタイムが短く、手軽にリフトアップ効果を得られるのが特徴です。ブルドッグ顔の原因となる口角横のたるみを引き上げるのに適しています。
また、挿入された糸が皮下組織を刺激し、コラーゲンの生成を促進する効果も期待できます。
ただし、効果の持続期間は切るフェイスリフトよりも短く、使用する糸の種類や本数、医師の技術によって効果に差が出やすい側面もあります。
ハイフ(HIFU)などの照射治療
ハイフ(HIFU高密度焦点式超音波)はメスや糸を使わずに、超音波の熱エネルギーを皮膚の深層部(真皮層やSMAS筋膜)に集中的に照射する治療法です。
熱エネルギーによってSMAS筋膜が収縮し、即時的なリフトアップ効果が得られます。さらに、熱刺激によってコラーゲンの生成が長期的に促進されるため、肌のハリや弾力が徐々に改善していきます。
ブルドッグ顔の初期段階や、たるみを予防したい方、ダウンタイムをほとんど取れない方に適しています。
切開や注射を伴わないため、痛みや腫れが少ないのが最大のメリットですが、重度のたるみに対する改善効果は切るリフトや糸リフトに比べるとマイルドです。
ブルドッグ顔の整形治療法の選び方と特徴比較
ブルドッグ顔を改善するための美容整形には、切るフェイスリフト、糸リフト、ハイフ(HIFU)など、様々な選択肢があります。
どの治療法が適しているかは、ご自身のたるみの進行度合い、期待する効果、許容できるダウンタイム、予算などによって異なります。それぞれの治療法の特徴を理解し、比較検討しましょう。
症状の進行度合い別のおすすめ治療
ブルドッグ顔の治療法は、たるみの進行度に合わせて選ぶのが一般的です。
症状の度合いと治療法の目安
| 症状の進行度 | 状態 | おすすめの治療法 |
|---|---|---|
| 軽度(初期) | フェイスラインが少しぼやけてきた。うつむくとたるみが気になる。 | ハイフ(HIFU)、高周波治療、注入治療(ヒアルロン酸) |
| 中等度 | 口角横に明らかなふくらみ(たるみ)があり、マリオネットラインが目立つ。 | 糸リフト(スレッドリフト)、ハイフ(HIFU)、切るフェイスリフト(ミニリフト) |
| 重度 | 頬全体が垂れ下がり、フェイスラインが完全に崩れている。 | 切るフェイスリフト(SMAS法など)、糸リフトとの併用 |
軽度の場合は、ハイフなどでSMAS筋膜の引き締めやコラーゲン増生を図ると、進行を遅らせてハリを出す効果が期待できます。
中等度になってくると、糸リフトで物理的に引き上げる治療や、より深い層に働きかける切るリフトも選択肢に入ります。
重度の場合は、ゆるんだSMAS筋膜を根本から立て直す切るフェイスリフトが最も効果的な改善を見込めるでしょう。
ダウンタイムと費用の比較
治療法を選ぶ上で、ダウンタイム(日常生活に戻るまでの期間)と費用は重要な判断材料です。
一般的に、効果を実感しやすいされる治療ほどダウンタイムが長く、費用も高額になる傾向があります。
主な治療法の比較(目安)
| 治療法 | ダウンタイム(目安) | 費用相場(目安) |
|---|---|---|
| ハイフ(HIFU) | ほぼ無し〜数日(軽い赤み・腫れ) | 5万円〜15万円(全顔) |
| 糸リフト | 数日〜2週間(腫れ、内出血、引きつれ感) | 10万円〜50万円(本数による) |
| 切るフェイスリフト | 2週間〜1ヶ月以上(腫れ、内出血、抜糸) | 80万円〜150万円以上(範囲による) |
※費用はあくまで一般的な相場であり、クリニックや使用する機器・材料、施術範囲によって大きく異なります。正確な費用は必ずクリニックで確認してください。
各治療のメリット・デメリット
各治療法には、それぞれ利点と欠点があります。ご自身の生活スタイルや価値観に照らし合わせて検討しましょう。
切るフェイスリフトの利点と欠点
| メリット | デメリット |
|---|---|
| たるみの根本(SMAS筋膜)から改善できる | ダウンタイムが長い(腫れ・内出血) |
| 効果が長期間持続する(5年〜10年程度) | 切開による傷跡が残る(通常は目立たない) |
| 重度のたるみにも効果が期待できる | 手術であるため、リスクが伴う |
切るフェイスリフトは効果とダウンタイムを天秤にかけて、医師と相談しながら検討しましょう。
糸リフトの利点と欠点
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 切開不要でダウンタイムが比較的短い | 効果の持続期間が切るリフトより短い(1年〜2年程度) |
| 施術直後からリフトアップ効果を実感しやすい | 引きつれ感や痛みが出る場合がある |
| コラーゲン増生による肌質改善効果も期待できる | 重度のたるみには効果が限定的な場合がある |
糸リフトは直後からリフトアップ効果を実感しやすいですが、重度のたるみでは役不足といったケースも存在します。
ハイフ(HIFU)の利点と欠点
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ダウンタイムがほとんど無い | 重度のたるみへの効果はマイルド |
| 切開も注射も不要で、痛みやリスクが少ない | 効果の実感までに時間がかかる場合がある(コラーゲン増生) |
| たるみ予防としても有効 | 効果を持続させるには定期的な施術が必要 |
ハイフはダウンタイムやリスクの少なさが大きなメリットで、比較的軽度なたるみや予防目的の方が良い適応となります。
組み合わせ治療の可能性
ブルドッグ顔の改善において、より効果や満足度を追求するために、複数の治療法を組み合わせる「コンビネーション治療」も一般的です。
例えば、切るフェイスリフトで土台となるSMAS筋膜を引き上げ、同時に糸リフトで細かい部分の調整を行ったり、ハイフでSMAS筋膜を引き締めつつ、ヒアルロン酸注入でボリュームが減少した部分を補ったりする方法です。
また、脂肪吸引で重みの原因となっている余分な脂肪を除去してからリフトアップ治療を行うケースもあります。
自分のたるみの原因がどこにあるのかを医師と正確に診断し、適切な治療法の組み合わせを提案してもらうと良いでしょう。
整形を受ける前に知っておきたいこと
ブルドッグ顔の改善のために美容整形を受けると決めた場合、後悔のない結果を得るためには、事前の準備と心構えが重要です。
信頼できる医療機関を選び、治療内容やリスクについて十分に理解した上で、納得して施術に臨む必要があります。
信頼できるクリニック・医師の選び方
美容整形の結果は、担当する医師の技術や経験、そしてクリニックの体制に大きく左右されます。
特にフェイスリフトのような外科的手術や、糸リフトのように医師の技量が問われる治療では、慎重なクリニック選びが求められます。
以下の点を参考に、複数のクリニックを比較検討するのがおすすめです。
クリニック・医師選びのチェックポイント
- 希望する治療(フェイスリフト、糸リフトなど)の経験・症例数が豊富か
- 医師が形成外科専門医や美容外科専門医などの資格を持っているか
- カウンセリングが丁寧で、医師が直接診察してくれるか
- メリットだけでなく、リスクやデメリットについても十分な説明があるか
- アフターフォローや保証制度が整っているか
- 院内の清潔さや、スタッフの対応はどうか
- 提示された費用は適正か(極端に安い場合は注意が必要)
カウンセリングで確認すべき重要事項
カウンセリングは、医師にご自身の悩みや希望を伝え、医師の診断や治療方針を聞くための非常に重要な時間です。疑問や不安な点は、些細なことでも遠慮せずに質問しましょう。
後で「聞いておけばよかった」と後悔しないよう、事前に確認したいことをメモしておくと良いでしょう。
カウンセリングでの確認リスト
| 確認項目 | 具体的な質問例 |
|---|---|
| 治療法の適応 | 私のたるみの原因はどこにありますか? |
| 具体的な施術内容 | どの治療法が最も適していますか?なぜですか? |
| 期待できる効果と限界 | どのような仕上がりになりますか?効果はどれくらい持続しますか? |
| リスク・副作用 | 起こりうるリスクや副作用には何がありますか? |
| ダウンタイムと経過 | 腫れや痛みはどれくらい続きますか?仕事はいつから復帰できますか? |
| 費用 | 総額でいくらかかりますか?追加費用は発生しませんか? |
| アフターケア | 術後の通院は必要ですか?万が一のトラブル時の対応は? |
治療後の経過とアフターケア
どの治療法を選んだとしても、治療直後から完成形というわけではありません。特に切るフェイスリフトや糸リフトでは、一定期間のダウンタイム(腫れ、内出血、痛み、引きつれ感など)が伴います。
医師から説明される治療後の経過をあらかじめ理解しておき、スケジュールに余裕を持って治療を受けることが大切です。
また、術後のアフターケア(安静にする、処方された薬を服用する、患部を冷やす、紫外線対策を徹底するなど)は、仕上がりを左右し、合併症を防ぐためにも非常に重要です。
クリニックの指示に必ず従い、不安な点があればすぐに相談しましょう。
リスクや副作用の理解
美容整形は医療行為であり、どのような治療法であってもリスクや副作用がゼロということはありません。
切るフェイスリフトであれば、傷跡や感染、血腫や神経損傷(感覚麻痺や表情筋の動きの悪さ)などのリスクがあります。
糸リフトであれば、糸の露出や感染、引きつれや凹凸、効果が長続きしないといった可能性があります。ハイフであっても、やけど、神経損傷(しびれ)、赤み、腫れなどのリスクが報告されています。
これらのリスクの発生頻度は低いものですが、可能性として存在することを理解し、万が一の際のクリニックの対応体制も含めて、納得した上で治療を受けましょう。
よくある質問
ブルドッグ顔の整形治療に関して、多くの方が疑問に思われる点についてお答えします。ただし、治療に関する具体的な判断は、必ず専門の医師による診察の上で受けてください。
- 治療の痛みはどの程度ですか?
-
治療によって痛みの感じ方は異なります。ハイフ(HIFU)は、照射時にチクチクとした熱感や、骨に響くような鈍い痛みを感じる場合がありますが、麻酔クリームや笑気麻酔で軽減できます。
糸リフトは局所麻酔を行うため、施術中の痛みは少ないですが、麻酔が切れた後に数日間、ズキズキとした痛みや引きつれ感が出る場合があります。
切るフェイスリフトは、全身麻酔または静脈麻酔で行うため、手術中の痛みはありません。術後は痛み止めが処方され、数日間から1週間程度、腫れに伴う痛みが出るのが一般的です。
- 効果はどれくらい持続しますか?
-
効果の持続期間も治療法によって大きく異なります。ハイフは、コラーゲン増生の効果も含めると、半年から1年程度が目安とされ、効果を維持するためには定期的な施術が推奨されます。
糸リフトは使用する糸の種類や本数にもよりますが、一般的に1年〜2年程度です。糸は徐々に体内に吸収されますが、その間に生成されたコラーゲン組織がある程度の引き締め効果を保ちます。
切るフェイスリフト(SMAS法など)は、最も持続性が高く、個人差はありますが5年〜10年程度、たるむ前の状態に戻ることはないとされています。
ただし、どの治療法も老化の進行自体を止められません。
- 治療後に気をつけることは何ですか?
-
治療法によって異なりますが、共通して言えるのは、血行が良くなる行為(長時間の入浴、サウナ、激しい運動、飲酒)は腫れや内出血を助長するため、一定期間(数日〜1週間程度)控える必要があるということです。
切るフェイスリフトや糸リフトの場合は、施術部位への強いマッサージや圧迫、大きな口を開ける動作なども、術後1ヶ月程度は避けるよう指示されるケースが多いです。
また、治療後は肌がデリケートになっているため、紫外線対策と保湿は徹底して行ってください。詳細は、受ける治療に応じて医師から具体的な指示がありますので、それを必ず守りましょう。
- 自分にどの治療が合っているか分かりません?
-
ご自身のたるみの状態や原因、骨格や皮膚の厚さ、そして何をどれくらい改善したいのかによって、適した治療法は一人ひとり異なります。
インターネットの情報だけで自己判断せず、まずは信頼できる美容クリニックの専門医に相談することが第一歩です。
カウンセリングでは、ご自身の悩みを具体的に伝え、医師の診察を受けてください。
その上で、医師からそれぞれの治療法のメリット・デメリット、リスク、費用などについて十分な説明を受け、ご自身の生活スタイルや価値観も踏まえて、納得できる治療法を選択しましょう。
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