顔の老化サインと改善法|若々しさを取り戻す美容医療も解説

顔の老化サインと改善法|若々しさを取り戻す美容医療も解説

鏡を見るたびに「以前と何か違う」と感じる方は少なくないようです。目元の小ジワ、ぼんやりしてきたフェイスライン、増えてきたシミは「顔の老化」のサインかもしれません。

多くの方が経験する自然な変化ですが、その原因を知って適切な対策を講じると、進行を緩やかにしたり、改善を目指したりできます。

この記事では、顔の老化がなぜ起こるのか、具体的なサイン、そして今日から始められるセルフケアでの改善法を詳しく解説します。

目次

顔の老化はなぜ起こるのか

顔の老化は単に年齢を重ねた結果として現れるだけでなく、様々な要因が複雑に絡み合って進行します。

肌のハリや弾力が失われ、シワやたるみとして目に見えるようになる背景には、身体の内的変化と外からの影響の両方があります。

老化を引き起こす主な内的要因

人間の身体は年齢とともに変化します。特に肌の構造を支える重要な成分が減少するため、顔の老化に直結します。

肌の真皮層に存在するコラーゲンやエラスチンは、肌にハリと弾力を与える線維組織です。しかし、これらは加齢によって質が低下し、量も減少していきます。

また、肌の潤いを保つヒアルロン酸も同様に減少傾向を示します。その結果、肌が乾燥しやすくなり、弾力を失い、シワやたるみが生じやすい状態になります。

さらに、加齢に伴い新陳代謝、いわゆるターンオーバーの周期が長くなるのも影響します。古い角質が剥がれ落ちにくくなり、くすみやゴワつきの原因となります。

老化を加速させる外的要因

日常生活で受ける外部からの刺激も顔の老化を大きく左右します。最も影響が大きいとされるのが「紫外線」です。

紫外線は「光老化」とも呼ばれ、肌の奥深く(真皮層)まで到達し、コラーゲンやエラスチンを変性させ、破壊します。これがシワやたるみの大きな原因となります。

また、メラニン色素の生成を促し、シミの原因にもなります。

そのほか、大気汚染やタバコの煙、精神的なストレスなどは、体内に活性酸素を発生させます。活性酸素が過剰になると、細胞を傷つけ(酸化)、老化を早める要因となります。

食生活における糖質の過剰摂取も「糖化」という現象を引き起こし、コラーゲンを硬くもろくさせ、肌の弾力低下や黄ぐすみを招きます。

年齢とともなう肌構造の変化

肌表面の表皮だけでなく、その下にある真皮層、皮下組織(脂肪)、さらには筋肉や骨といった土台部分も年齢とともに変化します。

皮下脂肪は年齢とともに減少したり、重力によって下垂したりします。特に頬やこめかみの脂肪が減少すると、くぼみや影ができ、疲れた印象を与えがちです。

また、顔の表情筋の衰えや骨格そのものが加齢により萎縮することも、皮膚を支える力を弱め、たるみや深いシワの原因として関わってきます。

このように、顔の老化は皮膚表面だけの問題ではなく、顔全体の構造的な変化が関係しています。

【セルフチェック】顔の老化サインの具体例

顔の老化はある日突然現れるものではなく、少しずつの変化として現れます。ご自身の顔にどのようなサインが出ているか、客観的にチェックしてみましょう。

シワ(目元、口元、額)

シワは顔の老化サインとして最も気づきやすいものの一つです。初期段階では、乾燥によって目元や口元に現れる「小ジワ(ちりめんジワ)」が多く見られます。これらは保湿ケアで目立たなくなる場合もあります。

しかし、老化が進行すると、表情の癖によって刻まれる「表情ジワ」が深くなります。笑った時にできる目尻のシワ、眉をひそめた時にできる眉間のシワ、驚いた時にできる額のシワなどが代表的です。

さらに、無表情の時でも消えない深いシワ、例えばほうれい線(鼻から口角にかけての線)なども、皮膚のたるみが加わって目立つようになります。

たるみ(フェイスライン、頬)

肌の弾力低下や皮下脂肪の下垂によって、皮膚が重力に負けて垂れ下がるのが「たるみ」です。

初期サインとしては、毛穴が縦に伸びて目立つ「たるみ毛穴」があります。進行すると頬の位置が下がり、フェイスラインがぼやけてきます。

以前はシャープだった顎のラインが曖昧になり、二重顎のように見えたり、口角の横に「マリオネットライン」と呼ばれる線が現れたりするのもたるみが原因です。

たるみは顔全体の印象を大きく変え、疲れた印象や老けた印象を与えやすくなります。

シミ・くすみ(色ムラ)

長年浴びてきた紫外線の影響が蓄積し、メラニン色素が過剰に生成されたり、排出が滞ったりすると「シミ」として現れます。

頬骨の高い位置やこめかみなどに現れやすく、最初は薄い茶色でも次第に濃く、大きくなる場合があります。

また、顔全体がなんとなく暗く見える「くすみ」も老化サインです。これは、ターンオーバーの乱れによる古い角質の蓄積や、血行不良、あるいは糖化による黄ぐすみなどが原因で起こります。

肌の色ムラが目立つようになると透明感が失われ、不健康に見えてしまう方もいます。

顔の老化サイン簡易チェック

サインの種類出現箇所特徴
シワ目元・口元・額乾燥による小ジワや表情による深いシワ
たるみ頬・フェイスライン・口元皮膚が下がり、輪郭がぼやける・毛穴が目立つ
シミ・くすみ頬骨・顔全体メラニン色素の沈着や血行不良による色ムラ

ハリ・弾力の低下

若い頃の肌は、指で押すとすぐに跳ね返すような弾力があります。これは真皮層のコラーゲンやエラスチンが豊富で、しっかりと肌を支えているためです。

しかし、加齢や紫外線ダメージによってこれらが減少・変性すると、肌のハリが失われます。

洗顔後に肌がつっぱる感じが続いたり、ファンデーションが毛穴落ちしやすくなったり、枕の跡がなかなか消えなくなったりしたら、それはハリや弾力が低下しているサインかもしれません。

肌全体の元気がなくなり、しぼんだような印象を与えます。

顔の老化を早めるNG習慣

顔の老化の進行スピードは生まれ持った体質だけでなく、日々の生活習慣に大きく左右されます。

無意識のうちに行っている習慣が、実は老化を早めている可能性があります。日常生活を見直してみましょう。

紫外線対策の怠り

紫外線は顔の老化における最大の外的要因です。曇りの日でも室内(窓際)にいても、紫外線は降り注いでいます。「夏だけ」「外出時だけ」といった部分的な対策では不十分です。

日常的に日焼け止めを使用する習慣がない、あるいは塗り直しをしていない場合、肌は日々ダメージを蓄積しています。

特にUVA(紫外線A波)は肌の奥深く真皮層まで達し、コラーゲンやエラスチンを破壊するため、シワやたるみの直接的な原因です。対して、UVB(紫外線B波)はシミやそばかすの原因です。

これらの対策を怠ると、自ら老化を早めている状態となります。

不規則な食生活と栄養不足

私たちの身体は食べたもので作られています。ファストフードや加工食品、甘いお菓子やジュースなどの糖質や脂質の多い食事に偏ると、老化を促進する「糖化」や「酸化」が進みやすくなります。

糖化は肌のコラーゲンを硬くして弾力を失わせ、黄ぐすみの原因となります。

また、肌の健康維持に必要なビタミンやミネラル、タンパク質が不足すると、新しい肌細胞の生まれ変わり(ターンオーバー)がスムーズに行われず、肌荒れや乾燥を招きます。

不規則な時間での食事や欠食も体内リズムを乱し、肌状態に悪影響を与えます。

睡眠不足とストレス

睡眠中は成長ホルモンが分泌され、日中に受けた肌ダメージを修復・再生する大切な時間です。睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低かったりすると、この修復活動が十分に行われません。

結果として肌のバリア機能が低下し、ターンオーバーも乱れ、くすみやシワ、ニキビなどの肌トラブルが起こりやすくなります。

また、過度な精神的ストレスは活性酸素を発生させるだけでなく、自律神経のバランスを崩します。

血行不良を招き、肌に必要な栄養素が行き渡りにくくなったり、ホルモンバランスの乱れから肌状態が悪化したりするケースもあります。

避けるべき生活習慣とその影響

NG習慣肌への影響
紫外線対策不足シミ・シワ・たるみの原因(光老化)
糖質・脂質の多い食事糖化(黄ぐすみ・ハリ低下)・酸化
睡眠不足・ストレスターンオーバーの乱れ・バリア機能低下・血行不良

誤ったスキンケア

良かれと思って行っているスキンケアが、かえって肌に負担をかけているケースもあります。

例えば、洗浄力の強すぎるクレンジングや洗顔料で皮脂を取りすぎると肌が乾燥し、バリア機能が低下します。これを補おうと過剰に皮脂が分泌されるときもあります。

また、肌をゴシゴシと強く擦る洗顔や、タオルで拭く際の摩擦はデリケートな肌を傷つけ、色素沈着やシワの原因となります。

化粧水や美容液を叩き込むようなパッティングも、肌への刺激となる場合があります。肌の状態に合わない化粧品を使い続けるのも肌トラブルや老化を早める一因です。

自分でできる顔の老化の改善・予防法(セルフケア)

顔の老化サインに気づいたら、まずは日々のセルフケアを見直しましょう。生活習慣を整えて適切なスキンケアを行うと、老化の進行を緩やかにし、肌の状態を健やかに保てます。

基本のスキンケア(保湿・紫外線対策)

スキンケアの基本であり、最も重要なのが「保湿」と「紫外線対策」です。肌が乾燥するとバリア機能が低下し、あらゆる外的刺激の影響を受けやすくなります。

洗顔後は化粧水で水分を補給し、乳液やクリームなどの油分で水分が蒸発しないようしっかりと蓋をします。セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンといった保湿成分が配合された化粧品を選ぶのも良いでしょう。

紫外線対策は季節や天候を問わず、毎日行う必要があります。SPF・PA表示を確認し、日常生活、レジャーなど場面に応じた日焼け止めを選びます。

汗をかいたり、マスクで擦れたりすると落ちてしまうため、2〜3時間おきに塗り直すしましょう。帽子や日傘の併用も効果的です。

バランスの取れた食事と抗酸化

肌の健康は、内側からの栄養補給によって支えられています。特定の食品に偏るのではなく、主食・主菜・副菜を揃え、バランスの取れた食事を心がけましょう。

特に、肌の材料となるタンパク質、肌の調子を整えるビタミン群、ミネラルは意識して摂取したい栄養素です。

また、老化の原因となる「酸化」を防ぐため、抗酸化作用のある食品を取り入れるのも推奨されます。

抗酸化をサポートする栄養素例

  • ビタミンC(赤ピーマン、ブロッコリー、キウイなど)
  • ビタミンE(アーモンド、かぼちゃ、アボカドなど)
  • ポリフェノール(緑茶、カカオ、ブルーベリーなど)

これらの栄養素を含む食品を日々の食事にバランス良く取り入れ、活性酸素から身体を守りましょう。過度な糖質や脂質の摂取は「糖化」や「酸化」を促進するため、控えるのが賢明です。

良質な睡眠の確保

肌のゴールデンタイムとも呼ばれるように、睡眠中は肌細胞の修復と再生が活発に行われます。毎日6〜8時間程度の十分な睡眠時間を確保するよう努めましょう。

単に長く寝るだけでなく、睡眠の「質」も重要です。就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を見ると、ブルーライトの影響で寝つきが悪くなるときがあります。

リラックスできる音楽を聴く、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる、アロマを焚くなど、自分なりのリラックス方法を見つけ、深く良質な睡眠を得られる環境を整えると良いです。

表情筋トレーニングとマッサージの注意点

顔の筋肉(表情筋)を鍛えるトレーニングや、リンパの流れを促すマッサージは、たるみやむくみの予防・改善に役立つ場合があります。

しかし、やり方を間違えると逆効果になるため注意が必要です。表情筋トレーニングは、無理に動かしすぎると新たなシワの原因になる場合もあります。

鏡を見ながら、鍛えたい部分を意識して正しく行うと良いです。

マッサージを行う際は必ずクリームやオイルを使用し、肌への摩擦を最小限に抑えましょう。強い力で擦ったり、引っ張ったりするのは厳禁です。

リンパ節に向かって優しく流す程度にとどめ、肌に負担をかけないよう注意深く行いましょう。

セルフケアの限界と美容医療の選択肢

日々のセルフケアは顔の老化予防や初期サインの改善に非常に重要ですが、すでに深く刻まれたシワや、進行したたるみに対しては、セルフケアだけで満足のいく改善を得るのは難しい場合があります。

そのような方には、美容医療が有効な選択肢となります。

なぜセルフケアだけでは難しいのか

セルフケア、特に化粧品によるアプローチは、主に肌の最も外側にある「表皮層」が対象です。

保湿や紫外線防御によって肌のバリア機能を守り、ターンオーバーを整えられますが、その効果は表皮層にとどまるケースがほとんどです。

一方、深いシワやたるみの根本的な原因は、さらに奥深くの「真皮層」におけるコラーゲンの減少や変性、あるいは「皮下組織(脂肪)」の下垂、「筋膜(SMAS)」のゆるみなどにあります。

これらの深い層に化粧品成分を到達させ構造的に改善するのは、現在のスキンケア技術では極めて困難です。

美容医療で期待できること

美容医療はセルフケアではアプローチできない肌の深い層や、筋肉、脂肪などに直接働きかけられる点が最大の特徴です。

医療用の機器や薬剤、技術を用いて、コラーゲンの生成を強力に促進したり、ゆるんだ筋膜を引き締めたり、特定の筋肉の動きを調整したりできます。

こうした働きかけにより、セルフケアでは改善が難しかった深いシワを目立たなくしたり、たるんだフェイスラインを引き上げたりといった、より積極的な改善が期待できます。

ケア方法別のアプローチ範囲

ケア方法作用する層期待できること
セルフケア(化粧品)表皮層保湿・紫外線防御・予防・小ジワ対策
美容医療表皮〜真皮・皮下組織・筋膜深いシワ・たるみ・シミの改善

美容医療の種類(非侵襲〜侵襲)

美容医療と聞くと、メスを使う外科手術をイメージするかもしれませんが、実際には様々な種類の治療法があります。

「非侵襲治療」は、レーザーや光、高周波、超音波などを肌の表面から照射する治療法(例:光治療、HIFU)や、ピーリング剤を塗布する治療(例:ケミカルピーリング)などです。

ダウンタイム(治療後の赤みや腫れなどが続く期間)がほとんどないか、非常に短いのが特徴で、気軽に受けやすい治療です。

「低侵襲治療」は、注射針を使用する治療(例:ヒアルロン酸注入、ボツリヌス注射)や、医療用の糸を挿入する治療(例:糸リフト)、微細な針で肌に穴を開ける治療(例:ダーマペン)などです。

非侵襲治療より効果を実感しやすく、ダウンタイムは数日〜1週間程度が目安です。

「侵襲治療」は、メスを使用する外科手術(例:フェイスリフト)を指します。効果の実感は大きいですが、その分ダウンタイムは長くなり、身体への負担も大きくなります。

顔の老化サイン別|代表的な美容医療

顔の老化に関する悩みは人それぞれです。代表的なお悩みの「たるみ」「シワ」「シミ・ハリ」別に、一般的に行われる美容医療の選択肢を見ていきましょう。

たるみ(HIFU・糸リフト・フェイスリフト)

フェイスラインのもたつきや頬の下垂といった「たるみ」は、皮膚だけでなく、皮下脂肪や筋膜(SMAS)のゆるみが原因です。

HIFU(ハイフ)は、高密度焦点式超音波という技術で、皮膚の奥深くにある筋膜に熱エネルギーを加え、引き締める治療法です。

メスを使わずにリフトアップ効果が期待でき、ダウンタイムがほとんどないのが特徴です。

糸リフト(スレッドリフト)は、コグ(トゲ)のついた医療用の溶ける糸を皮下に挿入し、たるんだ組織を物理的に引き上げる治療法です。

即時的なリフトアップ効果に加え、糸の刺激でコラーゲン生成が促される効果も期待できます。

フェイスリフトは、耳の前後などを切開し、ゆるんだ皮膚や筋膜(SMAS)を引き上げて余分な皮膚を切除する外科手術です。効果は実感しやすいですが、ダウンタイムが長く手術のリスクも伴います。

たるみ治療の選択肢例

治療法特徴ダウンタイム目安
HIFU(ハイフ)超音波で筋膜を引き締める。切らない。ほぼなし〜数日
糸リフト医療用の糸で物理的に引き上げる。数日〜2週間程度
フェイスリフト外科手術で皮膚や筋膜を引き上げる。2週間〜1ヶ月程度

深いシワ(ヒアルロン酸注入・ボツリヌス注射)

シワには、乾燥による小ジワ、表情の癖によるシワ、たるみによって深くなるシワなどがあります。美容医療では、特に「表情ジワ」と「無表情でも目立つシワ」に対して効果的な治療法があります。

ボツリヌス注射は、筋肉の動きを一時的にリラックスさせる薬剤を注射する治療法です。眉間や額、目尻などの「表情ジワ」の原因となる筋肉の過剰な働きを抑え、シワができにくい状態にします。

ヒアルロン酸注入は、皮膚の成分でもあるヒアルロン酸を、シワやくぼみが気になる部分に直接注入する治療法です。

ほうれい線やマリオネットラインなど、無表情の時でも刻まれているシワや、たるみによって生じたくぼみを内側から持ち上げ、目立たなくさせます。

シワ治療の選択肢例

治療法適したシワ特徴
ボツリヌス注射眉間・額・目尻(表情ジワ)筋肉の動きを一時的にリラックスさせる
ヒアルロン酸注入ほうれい線・マリオネットライン凹んだ部分を薬剤で埋めて持ち上げる

シミ・くすみ(レーザー治療・光治療)

紫外線などの影響でできたシミや、肌全体のくすみには、メラニン色素や血行に働きかける治療が有効です。

レーザー治療は、特定の波長の光(レーザー)を照射し、シミの原因であるメラニン色素のみを選択的に破壊する治療法です。

比較的濃いはっきりとしたシミに適しています。治療後はかさぶたになる場合があります。

光治療(IPL)は、レーザーよりも幅広い波長の光を顔全体に照射する治療法です。シミやそばかすだけでなく、くすみや赤ら顔、毛穴の開きなど、複数の肌悩みに穏やかに働きかけます。

ダウンタイムがほとんどなく、施術直後からメイクが可能な場合が多いです。

ハリ・弾力(ダーマペン・ピーリング)

肌全体のハリ不足や、弾力の低下、毛穴の開きなどが気になる場合は、肌の再生能力を高める治療法が選択肢となります。

ダーマペンは、極細の針で肌の表面に微細な穴を一時的に開け、肌が持つ創傷治癒能力(傷を治そうとする力)を引き出す治療法です。

その過程でコラーゲンやエラスチンの生成が促進され、肌のハリや弾力が高まり、毛穴やニビキ跡の改善も期待できます。

ケミカルピーリングは、肌の状態に合わせた酸性の薬剤を塗布し、古い角質や毛穴の汚れを溶かして取り除く治療法です。肌のターンオーバーを整え、ゴワつきやくすみを改善し、滑らかな肌へと導きます。

シミ・ハリ治療の選択肢例

治療法悩み特徴
レーザー治療濃いシミ特定のメラニン色素を破壊する
光治療(IPL)薄いシミ・くすみ・赤み広範囲の肌悩みに穏やかに作用
ダーマペン毛穴・ニキビ跡・ハリ微細な針で創傷治癒能力を促す
ケミカルピーリングくすみ・ゴワつき・ニキビ薬剤で古い角質を取り除く

美容医療を受ける際のクリニック選び

顔の老化に対して美容医療という選択肢を考える際、どのクリニックを選ぶかは非常に重要です。

治療内容だけでなく、医師やスタッフとの相性、信頼関係も、満足のいく結果を得るために必要な要素となります。

医師の経験と症例の確認

美容医療は医師の技術や経験が結果に大きく影響します。希望する治療分野において、十分な経験を持つ医師が在籍しているかを確認しましょう。

多くのクリニックでは、ウェブサイトなどで医師の経歴や所属学会(例:日本形成外科学会専門医、日本皮膚科学会専門医など)を公開しています。

また、過去の症例写真の確認も参考になります。ご自身の悩みや希望に近い症例があるか、その仕上がりが自然で好みに合うかを見てみましょう。

カウンセリングの丁寧さ

治療前的カウンセリングは、ご自身の悩みや希望を医師と共有して治療法を決定するための非常に重要な時間です。

流れ作業のように短時間で終わらせるのではなく、時間をかけて丁寧に話を聞いてくれるクリニックを選びましょう。

こちらの希望を伝えるだけでなく、医師からの説明がわかりやすいか、質問しやすい雰囲気かどうかも大切です。

複数の治療法の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを公平に説明してくれる医師は信頼できる可能性が高いです。

カウンセリングでの確認ポイント

  • 悩みや希望を親身に聞いてもらえるか
  • 複数の治療法(メリット・デメリット含む)の提案があるか
  • リスク、ダウンタイム、費用の説明が明確か

リスクやダウンタイムの説明

どのような美容医療であっても、リスクや副作用、ダウンタイム(赤み、腫れ、内出血などが続く期間)が全くない治療はありません。

効果やメリットばかりを強調し、デメリットやリスクについて十分な説明がないクリニックは注意が必要です。

万が一、望まない結果になった場合や、強い副反応が出た場合にどのような対応をしてもらえるのか、事前にしっかりと確認しておくと安心して治療を受けられます。

費用とアフターフォロー体制

提示された費用が、カウンセリング料、施術料、薬剤料、麻酔代、術後の検診料など、どこまでを含むものなのかを明確に確認しましょう。

「追加費用は一切かからない」と明言しているか、見積書を書面で発行してくれるかどうかもポイントです。

また、治療後の経過観察や、万が一トラブルが起きた際の検診・処置といったアフターフォロー体制が整っているかも確認しましょう。

治療が終わった後のサポート体制がしっかりしているクリニックであれば、より安心して任せられるでしょう。

顔の老化に関するよくある質問

顔の老化は多くの方が経験しますが、放っておくと進行してしまうのが一般的です。

早めに対処すれば、それだけ改善効果も実感しやすいので、まずはご自身でできるセルフケアから始めてみましょう。

何歳から老化対策を始めるべきですか?

顔の老化対策(エイジングケア)を始めるのに早すぎるということはありません。シミやシワといった目に見えるサインが現れる前から、予防的なケアを始めるのが理想的です。

特に紫外線対策は、年齢に関わらず子供の頃から重要です。

肌のコラーゲンが減少し始める20代半ば頃から、保湿や紫外線対策に加え、抗酸化を意識した生活を送ると将来の老化サインを遅らせるために有効です。

もし、すでに何らかのサインが気になっているのであれば、年齢に関わらず「気になった時」が対策の始め時です。

美容医療は一度受けたら続けないといけませんか?

治療内容によって異なります。

例えば、ボツリヌス注射やヒアルロン酸注入のように、効果が一定期間(数ヶ月〜1年程度)で薄れていく治療は、状態を維持するために継続的な治療が必要となる場合があります。

一方で、レーザーによるシミ治療のように、一度除去すれば(再発しない限り)そのシミに対する治療は不要となるものもあります。

HIFUや糸リフトなども、効果の持続期間には個人差があり、永久ではありませんが、一度の治療で得られた効果がすぐになくなるわけではありません。

ご自身の生活スタイルや目指すゴールに合わせて、継続が必要な治療か、一度の改善を目指す治療かを選ぶと良いです。

ダウンタイムが取れない場合でもできる治療はありますか?

あります。美容医療の中には、ダウンタイム(治療後の赤みや腫れなど)がほとんどなく、日常生活に支障をきたしにくい治療法も多く存在します。

例えば、光治療(IPL)、HIFU(ハイフ)の一部機種、ケミカルピーリング、イオン導入などは、施術直後からメイクが可能な場合も多く、仕事や家事で忙しい方にも選ばれています。

ただし、体質によっては赤みやほてり感が数時間続くケースもあります。

カウンセリングの際に、ダウンタイムが取れない旨を医師に正確に伝え、ご自身の生活スタイルに合った治療法を相談してください。

治療後のセルフケアで気をつけることは何ですか?

美容医療を受けた後の肌は、一時的にデリケートな状態になっているケースが多いです。特に重要なのは「保湿」と「紫外線対策」の徹底です。

治療によって肌のバリア機能が一時的に低下している場合があるため、いつも以上に優しく、たっぷりと保湿をしてください。

また、紫外線は色素沈着のリスクを高めるため、日焼け止めや帽子、日傘などで厳重に肌を守る必要があります。

肌を強く擦ったり、マッサージしたりする行為は、医師の許可が出るまで控えるようにしましょう。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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