顔のリガメント(靭帯)とは?たるみとの関係と効果的なケア方法

顔のリガメント(靭帯)とは?たるみとの関係と効果的なケア方法

顔のたるみが気になりはじめたとき、「リガメント(靭帯)」という言葉を目にした方も多いのではないでしょうか。リガメントは顔の皮膚や脂肪を骨に固定する線維性の組織で、加齢とともにゆるむと、たるみやほうれい線の原因になります。

この記事では、顔のリガメントの仕組みからたるみとの関係、そして日常生活で取り入れられるケア方法まで、医学的な知見をもとにわかりやすく解説していきます。

目次

顔のリガメント(靭帯)は肌を支える「見えない吊りひも」だった

顔のリガメント(靭帯)とは、骨膜や深部の筋膜から皮膚の真皮層へ向かって垂直に走る、線維性の結合組織です。いわば、顔の皮膚や脂肪を骨にしっかりとつなぎとめる「吊りひも」のような存在といえるでしょう。

リガメントは骨と皮膚をつなぐ線維の束

リガメントは、骨の表面にある骨膜を起点として、顔の筋膜(SMAS)を貫通し、真皮に到達します。この線維の束が顔の各層をしっかりと結びつけているため、若い頃は皮膚がぴんと張った状態を保てるのです。

リガメントは単純な1本の紐ではなく、樹木の根のように枝分かれしながら広がっています。そのため、顔全体を広範囲にわたって安定させる構造になっています。

顔のリガメントには4つの代表的な種類がある

顔には主に4つの代表的なリガメントが存在します。眼窩靭帯、頬骨靭帯、上顎靭帯、下顎靭帯の4種類で、それぞれ異なる位置にあり、顔の各部位を支える働きを担っています。

顔の主なリガメントと支持する部位

リガメントの種類位置支える部位
眼窩靭帯目の周囲目元の皮膚と脂肪
頬骨靭帯頬骨の下縁頬全体の脂肪組織
上顎靭帯鼻の横あたりほうれい線周辺
下顎靭帯あご付近フェイスラインの皮膚

リガメントは脂肪の区画を仕切る境界線でもある

リガメントには、顔の脂肪を複数の「コンパートメント(区画)」に分ける仕切りとしての働きもあります。顔の皮下脂肪は、ひとつの塊ではなく、リガメントによって区切られた複数の小部屋に分かれているのです。

この仕切りがあるおかげで、若い頃は脂肪がそれぞれの区画にとどまり、ふっくらとした立体感のある顔立ちを維持できます。しかし加齢によりリガメントの支持力が衰えると、脂肪が本来の位置からずれはじめます。

顔のリガメントがゆるむと、たるみ・ほうれい線はこうして進む

リガメントの支持力が弱まると、顔の脂肪や皮膚が重力に逆らえなくなり、下垂が始まります。これがたるみやほうれい線、マリオネットラインとして目に見える変化につながるのです。

加齢でリガメントの弾力が失われる仕組み

年齢を重ねると、リガメントを構成するコラーゲン線維やエラスチンの質が低下していきます。線維が細くなり、密度も減っていくため、かつてのような引き締める力を維持できなくなるのです。

さらに、表情筋の繰り返しの動きがリガメントに負荷をかけ続けることも、ゆるみを加速させる要因のひとつと考えられています。

ほうれい線やフェイスラインの崩れとリガメントの関係

頬骨靭帯がゆるむと、頬の脂肪が下方へずれ、ほうれい線が深く刻まれるようになります。同時に、下顎靭帯の支えが弱まると、フェイスラインがぼやけ、いわゆる「ブルドッグ顔」と呼ばれる状態に近づきます。

こうした変化は片方のリガメントだけでなく、複数のリガメントが同時にゆるむことで連鎖的に起こるケースが多いです。

骨の吸収がリガメントのゆるみを加速させる

実は、加齢による変化はリガメントだけにとどまりません。顔の骨そのものも年齢とともに吸収され、小さくなっていきます。

リガメントが付着する土台の骨が縮むため、靭帯の張力が低下し、結果としてたるみがさらに進行するという悪循環が生まれます。

とくに眼窩(目のくぼみ)の周囲や上顎骨、下顎骨の内側部分は吸収が起きやすい部位とされています。

加齢による変化リガメントへの影響見た目の変化
コラーゲンの減少線維の弾力低下皮膚のゆるみ
脂肪の萎縮と下垂支持する対象の変化頬のこけとたるみ
骨の吸収付着部の土台喪失輪郭のぼやけ
表情筋の反復運動線維への持続的負荷しわとたるみの複合化

顔のたるみはリガメントだけが原因じゃない|5つの層すべてが関わっている

顔のたるみをリガメントの衰えだけで説明することはできません。顔は皮膚、皮下脂肪、SMAS(表在性筋腱膜系)、深部脂肪、骨膜という5つの層で構成されており、それぞれの層が加齢で変化して、たるみは複合的に進行します。

5層構造のうちどこが衰えてもたるみにつながる

皮膚のコラーゲンが減れば弾力を失い、皮下脂肪が萎縮すればボリュームがなくなります。SMASが薄くなれば顔の筋肉の支持力が落ち、骨が吸収されれば土台ごと縮んでしまいます。

リガメントはこれらの層を縦方向に貫いて固定する存在ですが、各層がそれぞれ劣化すると、リガメント単体では顔の構造を支えきれなくなるのです。

浅い脂肪と深い脂肪では老化の進み方が違う

顔の脂肪は浅い層と深い層に分かれており、それぞれ異なるスピードで変化します。浅い層の脂肪は主に下方へずれる傾向がある一方、深い層の脂肪は萎縮して体積そのものが減りやすいとされています。

顔の浅層脂肪と深層脂肪の加齢変化

脂肪の層加齢による変化たるみへの影響
浅層脂肪重力による下垂ほうれい線やマリオネットライン
深層脂肪萎縮による体積減少頬のこけ、目の下のくぼみ

たるみの原因は「重力による下垂」だけではなかった

かつて、顔のたるみは「重力で皮膚が下がる」という単純な説で説明されていました。しかし近年の研究では、脂肪区画ごとの体積変化や骨の吸収、筋肉の変化など、複数の要因が複雑に絡み合っていることがわかってきています。

たとえば、頬がこけて見えるのは皮膚が下がったからだけでなく、深い脂肪が萎縮して凹みができたことが大きな原因であるケースも少なくありません。このように、たるみの正体を正しく把握することが、適切なケアの第一歩になります。

セルフケアで顔のリガメントをいたわる具体的な方法

リガメントそのものを自力で強化するのは難しいものの、日々の生活習慣やケアによって顔全体のコンディションを整え、たるみの進行を穏やかにすることは十分に可能です。

表情筋トレーニングはやりすぎに注意が必要

表情筋を動かすエクササイズは顔の血行を促し、筋力の維持に役立つ場合があります。ただし、過度なトレーニングはかえってリガメントに負荷をかけ、たるみを助長するおそれもあるため、やりすぎには気をつけましょう。

1日に数分程度、優しい力加減で行うことが大切です。強く引っ張ったり、無理に皮膚を伸ばしたりする動きは避けてください。

紫外線対策はリガメント周辺のコラーゲンを守る基本

紫外線は皮膚のコラーゲンやエラスチンを破壊し、肌の弾力を奪う大きな要因です。リガメントの周囲の組織が劣化すると、靭帯への負担が増します。

日焼け止めの使用や帽子の着用など、日常的なUV対策を習慣にしてください。

食事と睡眠で内側からコラーゲンの産生を促す

コラーゲンの合成には、タンパク質やビタミンC、鉄分といった栄養素が欠かせません。バランスのよい食事を心がけると、顔の組織全体の健康を保てます。

また、成長ホルモンは主に深い睡眠中に分泌され、組織の修復を助けます。十分な睡眠時間を確保し、質のよい眠りを取る工夫も、リガメントを含む顔の支持組織をいたわるうえで大切です。

  • タンパク質を毎食しっかり摂取する(肉、魚、大豆製品など)
  • ビタミンCを含む果物や野菜を積極的に取り入れる
  • 睡眠は6時間以上を目安にし、就寝前のスマホ使用を控える
  • 喫煙はコラーゲン分解を促進するため、禁煙を検討する

医療機関で受けられるリガメントに着目したたるみ治療

セルフケアだけでは対応が難しいたるみに対しては、医療機関での施術が選択肢に入ります。リガメントの構造を踏まえた治療法がいくつか存在し、医師と相談のうえで自分に合った方法を検討できます。

ヒアルロン酸注入でリガメントの支持力を補う考え方

ヒアルロン酸をリガメント付近の深い層に注入すると、靭帯の支持効果を補い、下垂した脂肪を押し上げるような作用が期待されています。この手法は「リガメントサポート」とも呼ばれ、たるみの改善を目指す治療として注目されてきました。

ただし、注入の部位や量は個人の顔の構造によって異なるため、経験豊富な医師の診察を受けましょう。

高周波やHIFUなどのエネルギーデバイスによるアプローチ

治療の種類作用する層期待される効果
高周波(RF)真皮〜皮下脂肪コラーゲン産生の促進
HIFUSMAS層深部からの引き締め
レーザー表皮〜真皮肌質の改善とハリの回復

外科的リフト手術はリガメントを直接操作する方法

フェイスリフト手術では、SMASの引き上げとともにリガメントの処理(剥離や再固定)を行う術式があります。たるんだ組織を物理的に引き上げて再配置するため、高い効果が見込まれる一方、ダウンタイムやリスクも存在します。

手術を検討する際は、複数の医療機関でカウンセリングを受け、術式やリスクについて十分に理解したうえで判断しましょう。

年代別に見る顔のリガメントの変化と、たるみが気になりはじめる時期

リガメントの衰えは一晩で起こるものではなく、年代ごとに少しずつ進行します。どの時期にどんな変化が現れやすいかを知っておけば、早めの対策につなげられます。

20代〜30代はリガメントの衰えが始まるサインを見逃さない

20代後半から30代にかけて、コラーゲンの産生量は徐々に減少し始めます。この時期には目立ったたるみは感じにくいかもしれませんが、目の下の小じわや頬のハリの低下が初期のサインです。

予防的なスキンケアや紫外線対策を習慣化するのに適した時期といえます。

40代〜50代でほうれい線やフェイスラインの変化が顕著になる

40代に入ると、リガメントの弾力低下が目に見える形で現れ始めます。ほうれい線の深まり、マリオネットライン、フェイスラインの曖昧さなど、複数の部位で同時にたるみを感じる方が増えてきます。

この時期にセルフケアに加えて医療機関への相談を視野に入れると、進行を穏やかにできる可能性があります。

60代以降は骨の吸収も加わり複合的なケアが求められる

60代以降になると、リガメントの衰えに加えて骨の吸収も進み、顔全体の輪郭が変化します。皮膚、脂肪、筋肉、骨、リガメントのすべてが影響を受けるため、ひとつの取り組みだけでは対処しきれないケースも出てきます。

医師と相談しながら、複数の方法を組み合わせた総合的なケアを検討することが、この年代では特に大切です。

年代リガメントの状態推奨されるケア
20〜30代初期の弾力低下が始まる予防中心(UV対策、保湿)
40〜50代支持力の明らかな低下セルフケア+医療相談
60代以降骨吸収との複合的変化総合的な治療計画

顔のリガメントを長く健康に保つために今日からできること

リガメントの老化を完全に止めることはできませんが、日常のちょっとした工夫で衰えのスピードを穏やかにすることは十分にできます。ポイントは「守る」「養う」「負担を減らす」の3つの視点です。

「守る・養う・負担を減らす」3つの視点で顔の靭帯をケアする

紫外線や乾燥から肌を「守る」ことは、リガメント周辺の組織を劣化させないための基本です。バランスのよい食事と良質な睡眠で組織を「養う」取り組みも欠かせません。

  • 日焼け止めを365日欠かさず使う
  • 洗顔時にゴシゴシこすらない
  • タンパク質とビタミンCを意識した食事を続ける
  • 睡眠の質を高めるために寝室の環境を整える

過度なマッサージやセルフ施術がリガメントを傷めるリスク

顔のマッサージは血行促進に効果的ですが、強すぎる力で皮膚を引っ張ると、リガメントや周囲の線維組織に負担がかかります。とくに自己流のローラーマッサージやかっさは、力加減が難しいため注意が必要です。

マッサージを行うなら、クリームやオイルで滑りをよくし、肌を引っ張らない程度の優しい圧で行いましょう。痛みを感じるほどの力は逆効果になりかねません。

たるみが気になったら早めに専門医へ相談する

「たるみが気になるけど、まだ大丈夫」と自己判断で放置すると、リガメントの衰えがさらに進行してからの対処となり、選択肢が限られてくる場合もあります。

早い段階で専門の医師に相談すれば、軽い施術や生活指導だけで改善が見込めるケースも少なくありません。

気になり始めたタイミングが、相談のベストタイミングです。遠慮せず、まずは医療機関に足を運んでみてください。

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よくある質問

顔のリガメント(靭帯)は何歳くらいから衰えはじめますか?

顔のリガメントを構成するコラーゲンやエラスチンは、20代後半から徐々に産生量が減り始めます。ただし、衰えのスピードには個人差があり、紫外線への暴露量や生活習慣、遺伝的な要因によっても大きく異なります。

目に見えるたるみとして実感しやすくなるのは、40代前後からが一般的です。早い段階から紫外線対策や保湿を丁寧に行うと、衰えの進行を穏やかにできる可能性があります。

顔のリガメント(靭帯)をセルフマッサージで鍛えることはできますか?

リガメントは線維性の結合組織であり、筋肉のようにトレーニングで太くしたり強くしたりするのは難しいとされています。マッサージによって血行を促進し、周囲の組織のコンディションを整えることは期待できますが、リガメントそのものを強化する効果は限定的です。

むしろ、強い力でのマッサージは皮膚やリガメントに負担をかけるおそれがあるため、行う場合は優しい力加減を心がけてください。

顔のリガメント(靭帯)のゆるみは、ほうれい線と関係がありますか?

大いに関係があります。とくに頬骨靭帯や上顎靭帯の支持力が弱まると、頬の脂肪が下方にずれやすくなり、ほうれい線が深く見えるようになります。

ほうれい線は単なるしわではなく、脂肪の下垂や皮膚のたるみ、リガメントの衰えが複合的に重なって生じる変化です。原因がひとつではないからこそ、多角的なアプローチが有効と考えられています。

顔のリガメント(靭帯)に対する治療は痛みを伴いますか?

治療の種類によって異なります。ヒアルロン酸注入の場合は局所麻酔や麻酔クリームを使用するため、施術中の痛みは軽度に抑えられることが多いです。

HIFUなどのエネルギーデバイスは、照射時にチクチクとした感覚や熱感を覚える場合があります。

外科的なリフト手術では全身麻酔や局所麻酔を行うため、術中の痛みはほとんどありませんが、術後に腫れや違和感が続く期間があります。いずれの場合も、事前に医師から痛みの程度やダウンタイムについて説明を受けてから判断してください。

顔のリガメント(靭帯)のたるみ予防に効果的な食べ物はありますか?

リガメントや周辺組織を構成するコラーゲンの産生には、タンパク質、ビタミンC、鉄分が深く関わっています。鶏肉、魚、大豆製品などの良質なタンパク質を毎食摂ること、柑橘類やブロッコリーなどビタミンCを含む食品を積極的に取り入れることが勧められます。

特定の食品だけに頼るのではなく、栄養バランスの取れた食事全体が、顔の組織を内側から支える土台となります。抗酸化作用のある緑黄色野菜も日々の食卓に加えてみてください。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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