ハイフによるトラブル事例と回避法|失敗しないためのクリニック選びと注意点

ハイフによるトラブル事例と回避法|失敗しないためのクリニック選びと注意点

顔のたるみ治療として定着したハイフですが、強力な熱エネルギーを用いるため、神経損傷や火傷、予想外の頬のこけといったトラブルが報告されています。

これらの失敗は、解剖学的な知識不足や不適切な出力設定に起因するケースが大半です。

本記事では、ハイフのリスクを正しく理解し、後悔しない結果を得るために必要な知識と、安全なクリニックを見極める具体的な視点を提供します。

美しさを追求する過程で不要なトラブルに遭わないよう、正しい判断基準を身につけましょう。

目次

ハイフの仕組みとリスク発生の背景にある要因

ハイフ(HIFU:高密度焦点式超音波)は、皮膚の表面を傷つけずに、皮下組織や筋膜(SMAS層)に熱エネルギーをピンポイントで照射します。

組織を凝固させてリフトアップ効果を狙う治療法ですが、この「見えない部分に高熱を与える」という特性こそが、効果の源泉であると同時にリスクの要因でもあります。

解剖学的な理解と正確な機器操作が伴わない場合、狙った層以外に熱が加わり、深刻なダメージを引き起こす可能性があります。

安全に受けるためには、まずその構造的なリスクを理解しましょう。

熱凝固の深さとターゲット層のズレ

ハイフは一般的に、4.5mm、3.0mm、1.5mmといった異なる深さのカートリッジを使い分けます。4.5mmは筋膜層(SMAS)、3.0mmは脂肪層、1.5mmは真皮層を狙うのが基本です。

深さによる作用とリスクの違い

照射深度ターゲット層主なリスク
4.5mmSMAS筋膜神経損傷、深部火傷
3.0mm皮下脂肪脂肪萎縮(こけ)、凹凸
1.5mm真皮層表面の赤み、水ぶくれ

トラブルが起きやすいのは、この深さの選定を誤った場合や、患者さんの皮膚の厚みを考慮せずに照射した場合です。

たとえば、皮下脂肪が少ない方の筋膜層を狙う際、誤って骨膜に近い神経を刺激してしまう場合があります。

逆に浅い層へ過剰な熱が加わり火傷を引き起こしたり、個人の顔の解剖学的構造は千差万別であるため、マニュアル通りの照射が必ずしも正解とは限りません。

解剖学的知識の不足による神経損傷

顔には「顔面神経」という重要な神経が張り巡らされています。

特にこめかみ付近や下顎のライン周辺は神経が皮膚の浅い部分を通っているため、ハイフの照射禁止区域(または要注意区域)として知られています。

解剖学を熟知していない施術者がリフトアップ効果を出そうと焦るあまり、これらの危険エリアに高出力で照射を行うと、神経麻痺などの重篤なトラブルが発生します。

神経は熱に非常に弱く、一度損傷すると回復に長い時間を要するため、慎重な操作が求められます。

機器の特性と出力設定の誤り

ハイフ機器には医療用とエステ用が存在し、さらに医療用の中にも「点」で照射するタイプや「蓄熱」で照射するタイプなど多様な種類があります。

トラブルの多くは出力が高すぎる場合に発生しますが、逆に低すぎる出力で同じ箇所に何度も重ね打ちをしても熱が蓄積し、火傷のリスクが高まります。

肌の色味や水分量、痛みの感じ方を確認しながら、その都度細かく出力を調整する技術が必要です。

具体的なトラブル事例と症状の特徴

実際に報告されているハイフのトラブルは、一時的な赤みで済むものから、医師の治療が必要なものまで様々です。

どのような症状が現れるかを知っておくと、万が一の際の初期対応や、事前のリスク管理に役立ちます。

ハイフ施術に伴う主なトラブル症状

  • 施術直後から長時間続く激しい痛みや、異常な熱感
  • 翌日になっても引かない強い赤みや、広範囲の腫れ
  • 顔の左右で表情の動き方に差が出る(片側だけ動かない等)
  • 口笛が吹けない、飲み物が口からこぼれる等の運動障害
  • 皮膚表面に水ぶくれや、明らかな変色が起きる

上記の症状が見られる場合は速やかに専門医の診察を受ける必要がありますが、それぞれのトラブルにはさらに詳細な特徴があります。

神経損傷による麻痺やしびれ

最も避けたいトラブルの一つが神経損傷です。特に多いのが、口の動きに関わる「下顎縁枝(かがくえんし)」や、眉の動きに関わる「側頭枝(そくとうし)」へのダメージです。

症状としては、口角が上がりにくい、うがいをする時に水が漏れる、眉毛が動かしにくい、額に違和感があるといった運動麻痺が現れます。

また、触覚に関わる感覚神経が傷つくと、触った感覚が鈍い、ピリピリとした痛みが続くといった症状が出ます。

これらは数ヶ月で自然治癒する方もいますが、場合によっては年単位の治療が必要になります。

熱傷(火傷)と水ぶくれ

ハイフは60度〜70度の熱を皮下に発生させるため、ターゲット層がずれて皮膚表面近くに熱が集中すると火傷を負います。

直後から強いヒリヒリ感があり、数時間から翌日にかけてミミズ腫れのような線状の赤みや水ぶくれ(水疱)形成が見られます。

適切な処置を行わないと色素沈着として跡が残るリスクがあり、特に骨の上など皮膚が薄い部分は熱がこもりやすく、火傷のリスクが高い部位です。

視覚障害のリスク

極めて稀ですが、目の周りのたるみを改善しようと眼球に近い部分へ照射を行った結果、眼球内部へ熱影響が及ぶケースがあります。

その結果、視力低下や白内障のような症状を引き起こした事例も報告されています。

眼球およびその周辺は非常にデリケートな組織であり、眼球保護のためのシールドを使用しない照射や、知識のない施術者による目元の照射は大変危険です。

施術後に「老けて見える」頬のコケと脂肪萎縮

ハイフはリフトアップ効果を実感しやすい反面、やり方を間違えると逆効果になる場合があります。

その代表例が「頬のコケ」であり、本来ふっくらとしているべき部分の脂肪が減少してしまい、顔がげっそりとやつれた印象を与えてしまう現象です。

これは「トラブル」というよりも、適応判断のミスやデザインの失敗と言え、若々しさを求めた結果、かえって老けて見えてしまう事態は避けなければなりません。

脂肪層への過度なアプローチ

ハイフの熱エネルギーは脂肪細胞を破壊し、排出させる効果も持っています。

これは二重顎の解消やフェイスラインの引き締めには有効ですが、頬骨の下など、年齢とともにボリュームが減りやすい部分に強く照射しすぎるのはリスクです。

必要な脂肪まで失われてしまうため、特に3.0mmカートリッジの使用においては、顔のどの部分の脂肪を減らし、どの部分を残すべきかという「引き算の造形」のセンスが問われます。

顔のタイプによる向き不向き

ハイフはすべての人に適した万能な治療ではありません。

元々顔に脂肪が少ない方や、皮膚が薄くたるみが強い方が強力なハイフを受けると、リフトアップ効果よりもボリューム減少が目立ち、骨格が浮き出て貧相に見えるケースがあります。

顔型別リスクの比較

顔のタイプハイフの適性注意点
丸顔・脂肪多め高い引き締め効果が出やすい
卵型・標準普通コケやすい部位を避ける
面長・脂肪少なめ低いさらにコケる可能性が高い

逆に、皮下脂肪が厚いタイプの方は効果を実感しやすい傾向にあります。ご自身の顔のタイプを客観的に診断してもらいましょう。

頻度過多による組織の硬化

「効果を持続させたい」という思いから、短期間に頻繁にハイフを受けようとする方がいますが、これもリスク要因です。

熱によって傷ついた組織が修復される過程でコラーゲンが増えますが、頻度が高すぎると組織が過剰に線維化し、皮膚が硬くなったり、引きつれが起きたりする可能性があります。

十分な組織の回復期間が、自然で美しい仕上がりには必要です。

医療機関とエステサロンでの施術の決定的な違い

ハイフによるトラブル事例を語る上で避けて通れないのが、医療機関(クリニック)とエステサロンの違いです。

国民生活センターなどへの相談件数を見ても、エステサロンでのハイフ施術による事故が多く報告されています。

ハイフは本来、細胞を破壊するほどの熱エネルギーを用いる行為であり、医師または医師の指示を受けた看護師のみが許される「医行為」にあたると考えられています。

医療とエステの安全性・対応力の比較

項目医療用ハイフエステ用ハイフ
施術者医師・看護師エステティシャン
法的扱い医療行為グレーゾーン(危険性あり)
トラブル対応即座に治療可能医療処置不可

安全性と効果の面で、両者には埋められない大きな溝があるため、それぞれの特性を正しく理解する必要があります。

出力パワーと到達深度の差

医療用ハイフは、解剖学的に計算された深さへ、組織を変性させるのに十分な高出力を届けられます。

一方、エステ用ハイフは法的な制限から出力が大幅に抑えられています。しかし、出力が低いからといって安全とは限りません。

効果が出にくい分、何度も同じ場所に照射したり無理な設定で使用したりして、予期せぬ熱傷トラブルが発生しています。

また、出力が不安定な機器も多く、狙った深さに正確に熱が届かないことも事故の原因となります。

トラブル発生時の対応能力

万が一、火傷や神経麻痺などのトラブルが起きた際、医療機関であれば即座に医師が診察して外用薬の処方や適切な処置を行えます。

エステサロンには医師が常駐していないため、医療的な判断や処置ができません。

「冷やして様子を見てください」と言われている間に症状が悪化し、取り返しのつかない傷跡になるケースもあります。

迅速なリカバリー体制があるかどうかは、侵襲を伴う美容施術において極めて重要です。

施術を受ける前に確認すべき禁忌事項

ハイフは安全性の高い治療ですが、誰でも無条件に受けられるわけではありません。

体質や既往歴、現在の肌の状態によっては、施術を受けることで健康被害が生じたり、期待した効果が得られなかったりする場合があります。

施術を避けるべき主な条件

  • 施術予定の部位に、活動性のひどいニキビや炎症、感染症がある
  • 心臓ペースメーカーや、植え込み型除細動器を使用している
  • 顔面に金属プレートや、金の糸などの金属が入っている
  • 妊娠中である、または妊娠の可能性がある
  • 重度のケロイド体質である

ご自身が上記の条件に当てはまらないか、カウンセリング前にセルフチェックを行うことが大切です。

また、医師への申告漏れがトラブルに繋がる場合もあるため、問診では正直に情報を伝えるようにしましょう。

皮膚の状態と全身の健康

施術部位に重度のニキビや炎症、傷がある場合は、症状が悪化する恐れがあるため施術を避けます。また、ケロイド体質の方は、熱による刺激でケロイドが発生するリスクがあります。

さらに、妊娠中や授乳中の方はホルモンバランスの影響で肌が敏感になっているほか、胎児や乳児への安全性が確立されていないため、多くのクリニックで施術を断っています。

他の美容医療との兼ね合い

顔に「金の糸」などの金属製スレッドが入っている場合、ハイフの熱エネルギーが金属に反応し、高温になって内部火傷を引き起こす危険性があります。

吸収される糸(スレッドリフト)の場合は挿入時期や素材によって判断が分かれるため、必ず医師に相談してください。

加えて、ヒアルロン酸やボトックス注入の直後も熱によって製剤が変性したり拡散したりする可能性があるため、一定期間空けることが推奨されます。

失敗しないためのクリニック選びの基準

ハイフの成否は「機種」よりも「誰がどのように打つか」に大きく依存します。新しい機器を導入していても、それを扱う施術者の知識と技術が未熟であればリスクは高まります。

料金の安さだけで選ぶのではなく、安全管理と技術力に重きを置いてクリニックを選ぶ視点を持ちましょう。

カウンセリングの質と医師の関与

カウンセラーがマニュアル通りの説明をするだけでなく、実際に施術を担当する医師や看護師が肌の状態を診察してくれるかを確認してください。

特に「リスクや副作用についての説明が具体的か」「あなたの顔立ちに合わせて照射デザインをカスタマイズしてくれるか」は重要な判断基準です。

「絶対に安全」「副作用はない」といったメリットばかりを強調するクリニックは警戒する必要があります。

クリニック選定チェック

確認項目良質なクリニックの特徴避けるべきサイン
診察医師が肌状態と解剖を確認カウンセラーのみで終了
説明リスクも詳細に説明メリットのみ強調
価格相場通り・明朗会計極端に安い・追加請求

痛みのコントロールとアフターフォロー

「痛いほど効く」という考えは古く、現在は適切な麻酔や冷却を行いながら、安全な範囲で最大限の効果を出すのが主流です。

痛みに配慮したオプションがあるか、テスト照射を行ってくれるかも確認しましょう。

さらに、施術後の検診制度や、万が一のトラブル時に無料で診察・処置をしてくれる保証制度があるクリニックは、責任を持って施術を行っている証拠と言えます。

施術後の過ごし方と副作用への対処法

無事に施術が終わった後も、ダウンタイム中の過ごし方が仕上がりやトラブルの有無に影響します。

ハイフを受けた直後の肌は、熱ダメージを受けて一時的にバリア機能が低下し、乾燥しやすく敏感な状態になっています。

徹底した紫外線対策と保湿

最も重要なのは紫外線対策です。敏感な状態の肌に紫外線が当たると、色素沈着(シミ)の原因となりやすく、炎症が長引くときもあります。

外出時は日焼け止めを必ず塗布し、帽子や日傘を活用してください。

その上、熱影響で肌内部の水分が奪われているため、通常よりも念入りな保湿が必要です。化粧水やクリームで水分と油分を補い、肌の再生をサポートしましょう。

入浴や運動などの体温を上げる行為

施術当日は、激しい運動やサウナ、長時間の入浴や飲酒など、血行を良くしすぎて体温を急激に上げる行為は控えてください。

血流が良くなりすぎると、赤みや腫れが強く出たり、長引いたりする原因になります。当日はシャワー程度に済ませ、安静に過ごすと良いでしょう。

術後に守るべき生活習慣のポイント

  • 外出時は必ずSPF30以上の日焼け止めを使用し、紫外線を防ぐ
  • 洗顔時はぬるま湯を使い、摩擦を与えないよう優しく洗う
  • 当日の飲酒や激しい運動は控え、血行を促進しすぎない
  • 肌に強い違和感がある場合は、迷わずすぐにクリニックへ連絡する
  • 刺激の強い新しい化粧品の使用は、肌が落ち着くまで数日控える

ここで適切なケアを行うと、副作用を最小限に抑え、効果を最大限に引き出せます。

Q&A

知識や経験が豊富な医師が行えば、ハイフでトラブルが起きる可能性は低いです。

可能であれば複数のクリニックでカウンセリングを受け、最も信頼できる医師を探しましょう。

ハイフの効果はいつから実感できますか?

施術直後にも熱凝固による引き締め効果を感じられますが、最も効果が顕著になるのは、コラーゲンの生成が活発になる施術後1ヶ月から3ヶ月頃です。

その後、個人差はありますが半年から1年程度効果が持続します。

施術中に痛みはありますか?

骨に響くような鈍痛や、皮膚の奥がチクチクするような痛みを感じる場合があります。特に骨に近い部分や歯の周りは痛みを感じやすい部位です。

多くのクリニックでは麻酔クリームの使用や、出力の調整で痛みを緩和する措置をとっています。

どのくらいの頻度で受けるべきですか?

使用する機器や出力にもよりますが、一般的には3ヶ月から半年に1回のペースが推奨されます。

頻繁すぎると肌への負担が大きくなるため、医師と相談して肌の状態を見極めながら次回の予約を決めましょう。

失敗して頬がこけたら治りますか?

一度減少した脂肪が自然に元通りに戻るのは難しいですが、時間の経過とともに多少改善する場合もあります。

こけてしまった部分が気になる場合は、ヒアルロン酸注入などでボリュームを補う修正治療が有効です。

施術後にメイクはできますか?

基本的には施術直後からメイクが可能です。

ただし、赤みやヒリヒリ感が強い場合は、肌への負担を避けるために当日はメイクを控えるか、ポイントメイクに留めるのが望ましい場合もあります。

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参考文献

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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