ヒアルロン酸注射の失敗例とリスク一覧|失明・壊死から不自然な仕上がりまで

ヒアルロン酸注射の失敗例とリスク一覧|失明・壊死から不自然な仕上がりまで

顔の印象を若々しく保つためにヒアルロン酸注射は非常に有効な手段ですが、医療行為である以上、リスクはゼロではありません。

これから治療を検討している方が最も恐れるのは、「失敗したらどうしよう」という不安ではないでしょうか。

本記事では、重篤な合併症である失明や皮膚壊死から、見た目の不自然さといった審美的なトラブルまで、実際に起こり得る失敗例とその原因を網羅的に解説します。

目次

血管閉塞による皮膚壊死と失明のリスク

ヒアルロン酸注射において最も避けるべき重篤な合併症は、血管内への誤注入や周囲の組織による血管圧迫が引き起こす血流障害です。

顔面には無数の血管が複雑なネットワークを作って走行しています。解剖学的な知識が不足している場合や、不運な事故として血管内に製剤が入ると、その先の組織に酸素や栄養が届かなくなります。

直ちに処置が必要な危険なサインを事前に理解しておくことが、身を守るために重要です。

血流障害による皮膚壊死の初期症状と経過

皮膚壊死はある日突然起こるのではなく、注入直後から数時間の間に明確な予兆が現れます。血管が詰まるため、その支配領域の皮膚が白く変色し、激しい痛みを伴うケースが多いです。

この段階で適切な処置を行えば回復の余地はあります。

しかし放置すると皮膚が赤紫色の網目状に変化し、最終的には黒く壊死してしまいます。特に鼻や眉間、ほうれい線周辺は血管の走行が個人によって異なるため、注意が必要です。

壊死した皮膚は再生に時間がかかり、場合によっては皮膚移植などの形成外科的な手術が必要になります。

また、完治した後も傷跡や凹凸が残る可能性があるため、異常を感じたら深夜であっても施術したクリニックに連絡を取る体制が必要です。

重篤なトラブルの兆候と対応

血管閉塞や感染症が疑われる際に患者様自身が気づくべきサインをまとめました。これらの症状が現れた場合は、一刻を争う対応が必要です。

症状の分類具体的な自覚症状必要な対応
血管閉塞の初期注入部位の激しい疼痛、皮膚が白くなる、冷感を感じる緊急事態です。直ちにクリニックへ連絡し、溶解注射を行う必要があります。
血管閉塞の進行期網目状の赤紫色の変色、水疱(水ぶくれ)、膿疱の形成皮膚壊死が進行しています。溶解に加え、高気圧酸素療法などの専門治療が必要です。
感染症の兆候数日〜数ヶ月後の赤み、熱感、ズキズキする痛み、腫れ抗生物質の投与や、場合によっては切開排膿、ヒアルロン酸の除去を行います。

失明に至る血管塞栓の恐怖

極めて稀ではありますが、注入されたヒアルロン酸が動脈を逆流し、眼球に血液を送る眼動脈や網膜中心動脈を詰まらせて失明に至るケースが報告されています。

これは一瞬の出来事であり、注入中に突然の激痛とともに視野が欠けたり、真っ暗になったりします。特に眉間や鼻根部への注入は、眼動脈との交通が近いためリスクが高いとされています。

失明に関しては、発症から数十分以内の血流再開が必要とされ、現実的には視力の完全回復が極めて困難です。

そのため、カニューレの使用や、少量ずつの注入など、事故を未然に防ぐ手技が医師には求められます。

バイオフィルムと遅発性感染症

血管系のトラブルとは別に、注入後しばらく経ってから腫れや赤みが生じる場合があります。これはバイオフィルムと呼ばれる細菌の膜が注入剤の周囲に形成されるのが原因の一つです。

通常の抗生物質が効きにくく、治療が難渋することがあります。衛生管理が不十分な環境での施術や、自身の免疫力が低下したタイミングで発症する場合があるのです。

一度バイオフィルムが形成されると、ヒアルロン酸をすべて溶解し、徹底的な洗浄を行わなければ症状が改善しないケースも多々あります。清潔操作を徹底しているクリニックを選びましょう。

チンダル現象と青白い変色

目の下などにヒアルロン酸を注入した後、皮膚が透けて青黒く見えたり、グレーがかって見えたりするトラブルがあります。

これは「チンダル現象」と呼ばれ、皮膚の浅い層にヒアルロン酸が留まって、光の散乱によって青く見える物理的な現象です。

健康被害はありませんが、見た目がクマのように見えてしまい、審美的な失敗と言えます。

チンダル現象の特徴と見極め方

見た目の違和感の原因がチンダル現象かどうかを判断する基準を紹介します。通常の内出血とは経過や見え方が異なります。

確認項目チンダル現象の特徴通常の内出血との違い
色味青みがかったグレー、透明感のある青色最初は赤紫、徐々に黄色や緑色に変化して消える
持続期間数ヶ月〜数年(自然消失しにくい)通常1〜2週間程度で消失する
見え方光の加減で青さが強まる、皮膚が膨らんで見える平坦な色むらとして見えることが多い

皮膚の薄い部位でのリスク

目の下は顔の中でも特に皮膚が薄い部分です。ここに適切な深さよりも浅く注入してしまうと、透明なゲルであるヒアルロン酸が皮膚越しに透けて見えてしまいます。

また、皮膚が薄い部位に硬すぎる製剤を使用するのも原因となります。一度チンダル現象が起きると、自然に吸収されるのを待つには数年単位の時間が必要です。

ヒアルロン酸は水分を吸着する性質があるため、時間が経つにつれてむくみが強くなり、青みが目立つようになるケースもあります。

製剤の選択ミスと注入層の誤り

チンダル現象を防ぐには、注入する深さと製剤の種類の選定が重要です。皮膚の表面に近い層には、粒子が細かく馴染みやすいソフトなヒアルロン酸を少量ずつ入れる必要があります。

逆に、リフトアップを目的とするような硬い製剤は、骨膜上などの深い層に置かなければなりません。

経験の浅い医師が、シワを消そうとするあまり皮膚の直下に多量のヒアルロン酸を注入してしまうことが主な原因です。

その結果、内部で圧力がかかり、製剤が浅い層へと移動してくる場合もあります。

青クマのように見える審美的な問題

チンダル現象が起きると疲れていないのに目の下が暗く見え、老けた印象や不健康な印象を与えてしまいます。

メイクで隠そうとしても、色味だけでなく皮膚の盛り上がりを伴う方が多いため、コンシーラーではカバーしきれないのが難点です。根本的な解決にはヒアルロン酸溶解注射が必要です。

溶解すれば速やかに改善しますが、せっかく入れたヒアルロン酸を溶かすことになるため、最初から適切な手技を行う医師に依頼しましょう。

凹凸(ボコつき)やしこりの発生

ヒアルロン酸注入後に、肌の表面が波打ったり、触ると硬いしこりを感じたりするときがあります。これは注入したヒアルロン酸が均一に広がらず、一箇所に固まって存在している状態です。

笑った時や表情を作った時だけボコッと浮き出るケースもあり、非常に不自然な印象を与えます。しこりができる原因は一つではなく、技術的な問題から体質まで多岐にわたります。

注入技術の未熟さと不均一な注入

滑らかな仕上がりにするためには、適切な層に均一な量を注入する技術が必要です。

一箇所にまとめて大量に注入したり、針を抜くスピードと注入するスピードが合っていなかったりすると、ダマになります。

特に唇やほうれい線などのよく動かす部位は、注入直後は綺麗でも筋肉の動きによって製剤が集まってしまい、後からしこりになることがあります。

これを防ぐためには、注入直後に医師がマッサージを行い、製剤を周囲の組織に馴染ませる工程が重要です。

しかし、定着後に患者さん自身が強く揉んでしまうと、逆に形が崩れる原因にもなるため注意が必要です。

カプセル形成と異物反応

人体は異物が体内に入ると、それを隔離しようとして膜を作るときがあります。ヒアルロン酸の周りに厚い被膜が形成されると、硬いしこりとして触れるようになります。

これは防御反応の一種ですが、外見上の凸凹の原因となります。

また、稀に製品に含まれる架橋剤などの成分に対してアレルギー反応や過敏反応を示し、肉芽腫と呼ばれる硬い組織の塊を作る場合があります。

こうなると単なる溶解注射では溶けにくく、ステロイド注射や外科的な切除が必要になりやすいです。

製品の質と適合性の問題

ヒアルロン酸製剤には様々な種類があり、粒子の大きさや硬さが異なります。皮膚が薄く柔らかい部分に硬い製剤を使用すれば、当然ながら異物感が強く出ます。

逆に、輪郭形成などのリフトアップが必要な部位に柔らかすぎる製剤を使うと、重力に負けて垂れ下がり、不自然な膨らみを生じさせます。

安価な未承認の製剤の中には、不純物が多く含まれていたり、粒子の均一性が保たれていなかったりするものがあります。

これらはしこりを作るリスクを高めるため、信頼性の高い製剤を選びましょう。

凹凸・しこりの主な原因

  • 一箇所への集中注入による塊の形成
  • 皮膚の薄さに対して硬すぎる製剤の選択
  • 表情筋の動きによる製剤の移動と集積
  • 注入後のマッサージ不足による馴染み不足
  • 体質による被膜形成や異物反応(肉芽腫)
  • 質の低い製剤の使用による不純物の混入

ヒアルロン酸顔貌(パンパンな顔)と過剰注入

「ヒアル顔」「ピローフェイス」と揶揄される状態は、シワを消したい一心で注入を繰り返した結果起こります。

顔全体のバランスを無視して凹みをすべて埋めようとすると、顔が風船のように膨らみ、表情の喪失や不自然なツヤ感が生じます。

見慣れによる感覚の麻痺

ヒアルロン酸は徐々に吸収されていくため、患者さん自身が減ってきたと感じて追加注入を希望するときがあります。

しかし、実際にはまだ土台として残っているケースが多く、追加を繰り返すと残存量が増え、徐々に顔が大きくなっていきます。

毎日鏡を見ていると、自分の顔の変化に気づきにくいです。「まだ足りない」「もっと若くしたい」という欲求がエスカレートし、客観的な美の基準を見失ってしまうのです。

良心的な医師であれば「これ以上は入れない方がいい」と止めますが、利益を優先するクリニックでは患者さんの言う通りに入れてしまい、結果としてパンパンな顔になってしまいます。

自然な仕上がりと過剰注入の違い

理想的な状態と、入れすぎた状態の違いを部位ごとに比較します。客観的な視点を持つことが大切です。

部位自然で美しい状態過剰注入(失敗)の状態
額(おでこ)丸みがあり、女性らしい曲線前に突出しすぎている、不自然な光沢がある
鼻筋適度な細さと高さがある鼻筋が横に広がり太い、眉間と同じ高さになっている
頬(チーク)笑った時に高く上がり、若々しい真顔でもパンパンに膨らんでいる、目が埋もれる

不自然なパーツの形状

過剰注入の典型例として、額が出すぎてコブダイのようになったり、顎が尖りすぎて魔女のようになったりするケースがあります。

また、涙袋を大きくしすぎてナメクジが乗っているように見える状態もよく見られます。

本来の骨格や筋肉の付き方を無視してボリュームを足すと、顔の調和が崩れます。美しい仕上がりには「引き算」の考え方も必要であり、あえて影を残すと自然な立体感が生まれます。

シワを完全に真っ平らにすることが、必ずしも美しさにつながるわけではありません。

表情喪失とアバター化

鼻根部にヒアルロン酸を入れすぎると、鼻筋が太くなり、映画『アバター』のキャラクターのような鼻になってしまう場合があります。

また、頬に入れすぎると、笑った時に目が埋もれて小さく見えたり、表情が硬く張り付いたようになったりします。

ヒアルロン酸は水分を保持するため、注入直後よりも数日後、数週間後の方がボリュームが増して見えることがあります。

この性質を計算に入れずにギリギリまで注入してしまうと、後から膨張して不自然さが際立つことになります。

左右非対称とデザインの崩れ

人間の顔はもともと完全な左右対称ではありませんが、ヒアルロン酸注入によってその非対称性が強調されてしまったり、新たに左右差が生まれたりするケースがあります。

これは医師のデザイン力不足や、注入技術の拙さが主な原因ですが、患者さん自身の骨格や筋肉の使い方の癖も大きく影響します。

左右差が生じやすいシチュエーション

どのような要因で左右差が生まれるかを整理しました。原因を知ると、事前の対策が可能になります。

要因詳細な理由対策
骨格の非対称元々の骨の高さや大きさが左右で違う医師が事前に左右差を把握し、注入量を調整する
筋肉の癖片側の表情筋だけ強く使う癖があるボトックスを併用して筋肉の動きを調整する
施術中の姿勢寝た状態で確認し、起き上がって確認していない重力下(座った状態)での最終確認を行う

元々の骨格差を見落とした注入

多くの人は、左右の目の大きさ、頬骨の高さ、口角の位置などが微妙に異なります。この元々の左右差を考慮せずに左右に全く同じ量、同じ場所に注入してしまうと、仕上がりは非対称になります。

熟練した医師は、注入前のカウンセリングやマーキングの段階で左右の骨格差を見極め、左右で注入量や注入ポイントを微調整します。

例えば、右の頬骨が低い場合は右に少し多めに入れるなどして、視覚的なバランスを整えます。この評価が不足していると、歪んだ仕上がりになります。

注入後の移動と変形

注入直後は対称であっても、その後の生活習慣によって形が変わる場合があります。

例えば、片側ばかり向いて寝る、頬杖をつく、片側の歯で噛むといった癖があると、物理的な圧力がかかり、ヒアルロン酸が移動したり変形したりします。

また、ヒアルロン酸の種類によっては、組織への馴染み方が左右で異なる場合もあります。

特に柔らかい製剤を使用した部位では重力の影響を受けやすく、加齢とともに左右で異なる下垂の仕方をするときもあります。

修正の難しさ

左右差を修正しようとして足りないと思われるほうに追加注入を行うと、今度はそちらが膨らみすぎてしまい、さらに反対側に追加する…という「注入の無限ループ」に陥る方もいます。

これを繰り返すと、顔全体が巨大化していきます。微細な左右差は誰にでもあるため、神経質になりすぎないことも大切です。

明らかなズレがある場合は追加注入ではなく、多いほうを少し溶解して調整すると、全体のバランスを崩さずに済みます。

期待した効果が得られない原因

「思ったほどリフトアップしなかった」「シワが消えなかった」「すぐに元に戻ってしまった」といった効果に関する不満も、広い意味での失敗に含まれます。

ヒアルロン酸は魔法の薬ではないため、適応があります。たるみが強すぎる場合や、皮膚の余剰が多すぎる場合、ヒアルロン酸だけでは限界があるのです。

適応の見誤りと治療法の選択ミス

ヒアルロン酸は「ボリュームを足す」治療であり、「皮膚を切り取る」治療ではありません。

重度の皮膚のたるみがある場合、いくら内側から膨らませても皮膚が余ってしまい、ブルドッグのような見た目を改善するのは困難です。

このようなケースでは、糸リフトやフェイスリフト手術の方が適しています。

医師が売上を優先して、効果が出にくいと分かっていながらヒアルロン酸を勧めた場合、患者さんは「高いお金を払ったのに変わらない」と不満を持つことになります。

適切な診断と、他の治療法の提案ができる医師に相談しましょう。

注入量の不足または過小評価

ヒアルロン酸1本(1cc)は、小さじ一杯分にも満たない量です。顔全体のたるみを引き上げるには、支柱となるポイントに数本分のヒアルロン酸が必要になるのが一般的です。

しかし、予算の都合などで少量の注入にとどまった場合、変化が乏しく、効果を感じられないことがあります。

逆に、部分的なシワだけに集中して少量入れた場合、全体のたるみは改善していないため「シワは消えたけど若返った気がしない」という感想になる方もいます。

全体構造を捉えた治療計画が必要です。

持続期間への誤解

「2年持続する」と言われる製剤であっても、2年間ずっと100%の状態が続くわけではありません。

注入直後から徐々に分解吸収が始まり、半年から1年経過した時点でボリュームの減少を感じる方が多いです。

また、初めてヒアルロン酸を入れる部位は、組織に馴染んで吸収が早まる傾向があります。

完全に無くなるわけではありませんが、ピーク時の状態を維持するには定期的なメンテナンスが必要である点を理解しておく必要があります。

効果実感に関するチェックポイント

  • たるみの程度が強く、ヒアルロン酸の適応限界を超えている
  • 必要な本数に対して、注入量が圧倒的に足りていない
  • リフトアップ目的の注入ポイントが解剖学的にずれている
  • 製剤の吸収が想定よりも早く進んでいる
  • 患者様自身の期待値が高すぎた
  • 注入部位の代謝が良く、ヒアルロン酸の分解が早い

リスクを最小限に抑えるクリニック選び

これまで述べてきた失敗やリスクを完全にゼロにするのは難しいですが、限りなくゼロに近づけることは可能です。その鍵を握るのは、やはり「医師選び」です。

料金の安さやSNSでの華やかな広告だけで選ぶのではなく、安全性への配慮と技術力を基準に選ぶ必要があります。

信頼できるクリニックのチェック

カウンセリングやホームページで確認すべき項目をまとめます。この基準を満たしているかどうかが、安全の目安となります。

確認項目良質なクリニックの特徴注意が必要なサイン
リスク説明壊死や失明のリスクまで文書で説明がある「絶対に安全」「副作用はない」と断言する
製剤の取り扱い目の前で新品を開封し、製品名を見せるすでにシリンジに入った状態で持ってくる
アフターケア緊急連絡先があり、トラブル時にすぐ対応する施術後の連絡がつかない、再診料が高額

解剖学の熟知と緊急時対応プロトコル

最も重要なのは、医師が顔面の解剖学(血管、神経、筋肉の走行)を深く理解しているかどうかです。危険なエリアを熟知していれば、事故の確率は格段に下がります。

また、万が一血管閉塞が起きた場合に即座に溶解注射を行い、血流再開のマッサージを行うなどの「緊急時対応マニュアル」が確立されているかどうかも重要です。

カウンセリング時に「失敗することはありますか?」「その場合はどう対処しますか?」と質問してみてください。リスクを隠さずに説明し、具体的な対処法を明確に答えてくれる医師は信頼できます。

使用製剤の透明性と品質

激安クリニックの中には、どのような製剤を使っているかを明かさないところや、小分けにして使い回しているところも存在するという噂があります。

ヒアルロン酸は未開封の新しいパッケージを、患者さんの目の前で開封して見せてくれるクリニックを選びましょう。

アラガン社の「ジュビダームビスタ」シリーズや、ガルデルマ社の「レスチレン」シリーズなど世界的に実績があり、日本の厚生労働省の承認を得ている製剤を使用しているかの確認は、自分の身を守るために必要です。

修正・溶解の技術と姿勢

「入れる」技術と「溶かす」技術は別物です。他院での失敗修正を多く受け入れている医師は、トラブルの原因を熟知しており、解剖学的な知識も豊富である人が多いです。

また、不要な注入は「必要ない」と断ってくれる勇気ある医師を選びましょう。

患者さんの言いなりにならず、美的バランスを客観的に判断してくれる医師こそが、失敗を防いでくれる良きパートナーとなります。

Q&A

ヒアルロン酸注入では失敗リスクがあると聞くと、怖いと思ってしまうのも無理はありません。

ただ、経験豊富な医師が適切な方法で注入すれば、失明や壊死、チンダル現象などが起こる可能性は低いです。

「やって良かった」と思える施術にするためにも、複数のクリニックのカウンセリングに足を運び、信頼できるところを見つけましょう。

ヒアルロン酸を溶かす注射は痛いですか?

ヒアルロニダーゼ(溶解酵素)の注射には特有の痛みがあります。

製剤が組織に浸透する際にしみるような痛みを感じる場合が多いですが、通常は麻酔クリームや局所麻酔を併用して痛みを緩和します。

また、アレルギー反応のリスクがあるため、事前に皮内テストを行うことが推奨されます。

失敗した場合、完全に元の顔に戻せますか?

ヒアルロン酸自体は溶解酵素を使えば数時間から数日でほぼ分解され、元の状態に戻すことが可能です。

ただし、長期間注入を繰り返して皮膚が伸びてしまっている場合や、肉芽腫が形成されている場合は、溶解だけでは完全に戻らないケースがあります。

また、壊死などの不可逆的なダメージを負った場合は、元通りには戻りません。

安いヒアルロン酸と高いヒアルロン酸で失敗率は変わりますか?

製剤の品質自体が原因でアレルギーやしこりが起きる確率は、安価で質の低い製剤の方が高くなる傾向にあります。

しかし、血管閉塞や注入層のミスといった技術的な失敗は、製剤の値段に関わらず医師の腕に依存します。

一般的に、高価格帯のクリニックは医師の技術研鑽や安全管理にコストをかけている場合が多いため、トータルでの失敗リスクは低いと考えられます。

注入後のボコつきはマッサージで治りますか?

注入直後(数日以内)であれば、医師による適切なマッサージで馴染ませて修正できる場合があります。

しかし、ご自身で強く揉むことは、感染のリスクや意図しない方向へ製剤が移動する原因になるため避けてください。

時間が経過して被膜が完成してしまったしこりは、マッサージでは改善しません。気になる場合は必ず施術した医師に相談してください。

ヒアルロン酸を入れると将来顔が垂れますか?

適切な量を適切な層に入れている限り、ヒアルロン酸が原因で将来的に顔が垂れることは考えにくいです。

むしろ、骨の萎縮や皮膚の弾力低下を補うと老化を緩やかにする効果が期待できます。

しかし、皮膚の許容範囲を超えて過剰に注入し続け、皮膚を伸ばしてしまった場合は、将来的にその重みや皮膚の伸びによってたるみが加速する可能性は否定できません。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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