ボトックス注射は、シワの改善や小顔効果、多汗症の治療など、幅広い目的で活用されている美容医療のひとつです。ただ、「どのくらい痛いのか」「麻酔は必要なのか」と不安を感じる方も少なくありません。
本記事では、ボトックス注射に伴う痛みの実態や麻酔の必要性、痛みを軽減する方法について詳しく解説します。不安を少しでも和らげ、安心して施術を受けるための参考にしてください。
1. ボトックス注射とは?仕組みと効果

本稿では、ボトックス注射の基本的な仕組みや主な用途、期待できる効果や持続期間を解説します。
ボトックス注射の仕組み|神経と筋肉への作用
ボトックス注射は、筋肉の動きをコントロールする神経の伝達を一時的にブロックすることで、表情ジワの改善や筋肉の張りの緩和などを目指す施術です。アセチルコリンという神経伝達物質の放出を抑えることで、筋肉の過剰な動きを抑制します。
私たちの体は、神経から筋肉へ信号が伝わることで動いています。このとき、神経伝達物質である「アセチルコリン」が分泌され、筋肉が収縮します。ボトックスを注射すると、このアセチルコリンの放出が一時的に抑えられ、筋肉の過剰な収縮が防がれます。
この働きを利用し、表情筋に注射することでシワの原因となる筋肉の動きを抑えたり、咬筋に作用させてエラの張りを改善したりすることが可能です。また、筋肉だけでなく神経の働きにもアプローチできるため、多汗症の改善や片頭痛の緩和にも効果が期待されています。
このように、ボトックス注射は神経と筋肉のバランスを整えることで、美容だけでなく医療の分野でも幅広く活用されています。
ボトックス注射の主な用途
ボトックス注射は、美容と医療の両分野で広く活用されています。美容目的では、表情ジワの改善や小顔効果、多汗症の治療などが代表的です。一方、医療分野では、片頭痛の緩和や筋肉の緊張を和らげる治療、眼瞼けいれんの改善などに利用されます。
美容では、表情筋の動きを抑えることでシワを目立ちにくくしたり、咬筋(こうきん)を縮小させてフェイスラインをスッキリさせたりといった効果が期待できます。また、汗腺の働きを抑えることで、ワキや手のひらの多汗症にも対応可能です。
医療面では、神経の働きを調整することによって、慢性的な片頭痛を和らげたり、筋緊張によるけいれん症状を抑えたりする目的で使われています。たとえば、眼瞼けいれんの治療では、まぶたの不随意な動きを抑えることで症状を軽減します。
このように、ボトックス注射は美容・医療の両方で多様な悩みに対応できる施術です。
ボトックス注射で期待できる効果と持続期間
ボトックス注射は、施術直後に効果が現れるわけではありません。一般的には、注射後2〜3日ほどで徐々に効き始め、1〜2週間程度で最大の効果を感じることが多いです。
注射されたボトックスが神経伝達をブロックし、筋肉の働きを抑えるまでには少し時間がかかります。効果が出るまでの期間や感じ方には個人差がありますが、ほとんどの方は数日以内に変化を実感します。
効果の持続期間は通常3〜4ヶ月程度とされており、体内で薬剤が分解・排出されることで徐々に元の状態に戻ります。持続時間にも個人差がありますが、効果を継続させたい場合は、定期的に施術を受けるのがおすすめです。
即効性ではなく、徐々に効果が現れて長く続くのがボトックス注射の特徴です。定期的なメンテナンスにより、安定した仕上がりを保つことができます。
2. ボトックス注射における痛みの有無

ここでは、ボトックス注射の痛みの有無や、痛みを感じやすい部位、施術後の痛みの経過、個人差を解説します。
ボトックス注射は痛いのか?
注射時の痛みは、針の太さや注射する部位によって異なりますが、ボトックス注射では極細の針が使われるため、通常の筋肉注射よりも刺激が少なく、痛みを感じにくいのが特徴です。薬剤自体にも強い刺激はないため、注入時の違和感も軽減されます。
多くの方は、採血やワクチン接種のときに感じるチクッとした感覚と同じか、それよりも軽く感じるようです。施術時間も短いため、長く痛みに耐える必要はありません。
痛みに不安がある方は、麻酔クリームや冷却といった痛み対策を取り入れることで、より快適に施術を受けることができます。
痛みを感じやすい部位
ボトックス注射の痛みは、注射する部位によって違いがあります。特に以下の部位は、痛みを感じやすい傾向があります。
- 額や目尻など皮膚が薄い部分
- 唇やあごなど神経が集中している部分
たとえば、額や目尻は皮膚が薄いため、針が刺さる感覚を強く感じることがあります。また、唇やあごは神経が密集しているため、刺すときに鋭い刺激を感じやすく、施術後に違和感を覚えることがあります。
一方で、エラや首など筋肉が厚い部位は比較的痛みが少ないとされています。冷却や表面麻酔などの対策を活用することで、部位に応じた痛みへの配慮も可能です。施術部位の特徴を知り、あらかじめ医師と相談しておくと安心です。
ボトックス注射の痛みはいつまで続く?
ボトックス注射による痛みは一時的なもので、通常は施術当日から翌日までに自然に治まるケースがほとんどです。
施術直後は、針を刺した瞬間のチクッとした痛みを感じることがありますが、数分以内におさまることが多いです。その後、まれに赤みや腫れ、内出血が起きることがあります。赤みや腫れは数日で治まりますが、内出血は1~2週間前後で収まるでしょう。
また、翌日以降には、ボトックスの効果が現れ始めることで筋肉に軽い張りや違和感を覚えることがあります。特に表情筋に注射した場合、表情の動きに対してぎこちなさを感じることがありますが、数日〜1週間ほどで自然と慣れていきます。
基本的に、長期間痛みが続くことはほとんどありません。不安がある場合でも、ほとんどの方が安心して施術を受けられます。
痛みの感じ方は個人差がある
ボトックス注射による痛みの感じ方には、大きな個人差があります。敏感な方は、軽いチクッとした刺激でも強く感じることがありますが、逆にほとんど痛みを感じない方もいます。
特に皮膚が薄い部位や、神経が集中している場所では、刺激に敏感に反応しやすくなります。痛みに弱いと感じている方は、事前にクリニックで冷却や表面麻酔の使用について相談しておくと安心です。
一方で、痛みに慣れている方や施術経験のある方の中には、「思ったより痛くなかった」と感じることもあります。初めての場合でも、不安があることを医師に伝えておくことで、適切な痛み対策が受けられます。
関連記事:ボトックス注射の内出血はいつ消える?早く治す方法&予防策を徹底解説
3. ボトックス注射に麻酔は必要?

では、ボトックス注射に麻酔が必要かどうか、麻酔が使用されるケース、そしてメリットとデメリットを解説します。
基本的に麻酔は不要
多くのケースでは、ボトックス注射に麻酔は必要ありません。施術に使われる針は非常に細く、痛みは採血や予防接種と比べても軽いと感じる方が多いです。
施術時間も短く、耐えられないほどの痛みを感じることはまれです。実際、美容目的での施術では、麻酔なしで受ける方がほとんどです。医師の技術によっても痛みの感じ方は左右されるため、経験豊富なクリニックを選ぶこともポイントです。
麻酔が使用されるケース
ボトックス注射の痛みは軽度ですが、特定の部位では痛みを感じやすくなることがあります。特に、唇やあごは神経が密集しているため、刺激に敏感な部位です。また、多汗症治療で行う脇や手のひらへの注射は、皮膚が薄く、複数回の注射が必要になるため、強い痛みを感じることがあります。このような場合、患者の状態や希望に応じて麻酔が使用されることがあります。
例えば、痛みに対して強い恐怖心がある人や、過去に注射で気分が悪くなった経験がある人は、事前に医師に相談し、表面麻酔や笑気麻酔を利用することが可能です。また、脇や手のひらの多汗症治療では、局所麻酔を使用することで施術時の不快感を抑えることができます。必要に応じて麻酔を選択することで、安心して施術を受けることが可能です。
麻酔を使用するメリットとデメリット
麻酔を使用することで「痛みを軽減し、リラックスできる」メリットがあります。麻酔を使うことで痛みが抑えられ、施術に対する恐怖心も軽減されるでしょう。特に、痛みに敏感な人にとっては、精神的な負担が軽くなる点も大きなメリットです。笑気麻酔を使用すると、意識がある状態でリラックスできるため、不安を感じやすい人にも適しています。
一方で、麻酔にはデメリットもあります。まず、麻酔の種類によっては追加費用がかかる場合があります。クリニックによって料金は異なりますが、表面麻酔や笑気麻酔を希望する場合、施術費用にプラスして料金が発生することが一般的です。
また、麻酔に対してアレルギー反応を起こす可能性もあるため、過去に麻酔で体調が悪くなった経験がある人は注意が必要です。
例えば、多汗症治療のために局所麻酔を受けた場合、人によっては麻酔後に軽いめまいや吐き気を感じることがあります。そのため、メリットとデメリットを比較し、自分にとって最適な方法を選択することが大切です。
4. ボトックス注射の痛みを和らげる対策
ここでは、ボトックス注射の痛みを和らげる対策として医療機関で行われることと、自分でできることをご紹介します。
医療機関で行われる対策
以下は、ボトックス注射の痛みを和らげる医療機関で行われる対策です。ミサクリニックでは、表面麻酔(麻酔クリーム)を使用しています。
極細の針を使用
ボトックス注射の痛みを軽減するため、多くのクリニックでは極細の針が使用されています。針は太いほど痛みを感じやすく、細いほど痛みが少なくなります。ボトックス注射に使用される針は、一般的な採血で使われる20〜23Gよりもはるかに細い、30G以上の針が使われることが多く、皮膚への刺激が最小限に抑えられます。
このように、針の細さにより注射時の痛みだけでなく、内出血や腫れといった施術後の不快感も軽減されます。痛みに不安がある方は、極細針を採用しているクリニックを選ぶとよいでしょう。
冷却麻酔(クーリング)
施術前に皮膚を冷やして感覚を鈍らせる「冷却麻酔(クーリング)」も、痛みをやわらげる方法のひとつです。冷たい刺激によって神経の働きが一時的に抑えられ、針を刺すときのチクッとした痛みが感じにくくなります。
注射前に氷や専用の冷却装置を使い、数秒〜数十秒程度冷やすだけで効果があります。特に皮膚の薄い額や目尻、神経が集中する唇などの部位では、この方法が効果的です。
冷却には腫れや内出血を抑える働きもあるため、施術後のトラブル予防としても有効です。シンプルですが即効性のある対策として、多くのクリニックで採用されています。
表面麻酔(クリーム・テープ)
痛みをさらに軽減したい場合は、表面麻酔の使用もおすすめです。これは、麻酔成分を含むクリームやテープを皮膚に塗布・貼付することで、神経の反応を鈍らせ、注射時の痛みを感じにくくする方法です。
施術の30分ほど前に塗ることで効果が現れます。たとえば、リドカインを含んだ麻酔クリームを使えば、皮膚表面の感覚が鈍り、針を刺す痛みをほとんど感じなくなることもあります。
特に痛みに敏感な方や、額・目尻・唇といったデリケートな部位の施術に効果的です。施術前の待機時間がやや長くなりますが、痛みに対する安心感を得たい方にはおすすめの方法です。
局所麻酔
痛みに強い不安がある場合は、局所麻酔が選択されることもあります。局所麻酔は、施術する部位に直接麻酔薬を注入し、神経の働きを一時的にブロックすることで痛みを感じなくする方法です。
たとえば、神経が集中している顎や唇にボトックスを注射する際に用いられることがあり、痛みをほぼ完全に取り除くことが可能です。ただし、麻酔自体も注射によって行うため、その際に軽い痛みを伴うことがあります。また、施術後しばらくは麻酔の効果が残り、違和感を覚えることもありますが、痛みに極度に弱い方には安心感のある選択肢といえるでしょう。
笑気麻酔
施術に対する恐怖心が強い場合には、「笑気麻酔(しょうきますい)」が効果的です。これは亜酸化窒素を含むガスを吸入することで、リラックスした状態で施術を受けられる方法です。
意識はあるままで、緊張や不安がやわらぎ、施術中の痛みに対しても過敏に反応しにくくなります。歯科治療などでもよく使用されており、安全性が高く、副作用も比較的少ないとされています。
施術後はすぐに通常の状態に戻れるため、身体への負担も少なく、痛みや不安が強い方に適した方法といえるでしょう。
自分でできる痛み対策
以下は、ボトックス注射の痛みを和らげる自分でできる対策です。
施術前にリラックスする
ボトックス注射の痛みをやわらげるためには、施術前に心身をリラックスさせることが大切です。
緊張していると、体がこわばって痛みを強く感じやすくなります。特に注射に対して苦手意識がある場合は、実際以上に痛みを感じてしまうこともあります。気持ちを落ち着けることで、過敏な反応を抑え、より快適に施術を受けることができます。
たとえば、施術前に深呼吸をしたり、落ち着ける音楽を聴いたりするのがおすすめです。また、カフェインの摂取を控えるのも有効です。カフェインは神経を刺激して不安や緊張を高めるため、施術前は避けるとよいでしょう。
痛みに対する恐怖心を軽減
ボトックス注射に限らず、痛みを強く感じる原因のひとつが「先の見えない不安」です。施術の流れを事前に把握しておくことで、心構えができ、痛みに対する恐怖心を和らげることができます。
たとえば、クリニックの公式サイトやカウンセリングで、注射の手順や施術にかかる時間、痛みが出やすい部位などを確認しておくと、具体的なイメージが持てて安心につながります。
また、口コミや体験談を参考にするのも効果的です。実際に施術を受けた人の声から「一瞬で終わった」「想像より痛くなかった」といった前向きな情報を得られることで、不安がやわらぎ、気持ちに余裕が生まれるでしょう。
施術前に余計な緊張を抱えないよう準備しておくことで、痛みへの耐性も高まり、よりスムーズに施術を受けられます。
生理中や体調不良時は避ける
ボトックス注射の痛みを軽減するためには、コンディションの良い日に施術を受けることも大切なポイントです。
生理中やその前後、体調がすぐれないときは、ホルモンバランスや自律神経の影響で痛みに敏感になりやすくなります。特に生理前や生理中は、痛みを感じやすくなる物質(プロスタグランジン)が多く分泌されるため、普段なら気にならない程度の刺激でも強く感じることがあります。
また、風邪気味のときや寝不足が続いているときも、痛みに対する耐性が低下しやすく、倦怠感や頭痛といった不調が出やすくなるため注意が必要です。施術は、できるだけ体調が安定しているタイミングで受けることで、痛みだけでなくダウンタイムも軽く抑えることができるでしょう。
5. ボトックス注射後の注意点とアフターケア
ここでは、ボトックス注射後の注意点とアフターケアを見ていきましょう。
施術直後の注意点
ボトックス注射の効果をしっかり定着させるためには、施術後の過ごし方にも注意が必要です。特に以下の点は、施術当日に避けておきましょう。
- 注射部位をこすらない
- 施術後4〜6時間は横にならない
- 飲酒や激しい運動を控える
ボトックスは、注入された部位の筋肉の働きを一時的に抑える薬剤です。施術直後に強くこすったり触ったりすると、薬剤が他の部位に広がってしまい、思わぬ場所に作用する可能性があります。
また、すぐに横になることで血流が変化し、薬剤が不均一に広がってしまうこともあります。アルコールや激しい運動も血行を促進し、内出血や腫れのリスクが高まるため、施術当日は安静に過ごすのが理想です。
たとえば、顔のマッサージや入浴、サウナなども避けたほうが安心です。ちょっとした行動が仕上がりに影響することもあるため、丁寧なアフターケアを心がけましょう。
痛みや腫れが続く場合の対処法
施術後、軽い腫れや赤みが出ることは珍しくありませんが、通常は数時間〜1日程度で落ち着きます。もし痛みや腫れが気になる場合は、冷たいタオルや保冷剤でやさしく冷やすのがおすすめです。冷やすことで血管が収縮し、炎症や痛みを抑える効果があります。ただし、直接氷を肌に当てると刺激になるため、布などで包んで使いましょう。
それでも数日たっても症状が続く、または痛みが強くなっていくような場合は、自己判断せずクリニックへ相談することが大切です。まれにアレルギー反応や感染の可能性もあるため、不安な場合は早めの対応が安心につながります。
関連記事:ボトックス注射のリスクと注意点:失敗しないための完全ガイド
6. まとめ|痛みに配慮して快適な施術を
ボトックス注射は、痛みに不安のある方でも比較的受けやすい施術です。個人差はあるものの、多くの方が「軽いチクッとした痛み」と感じる程度で済んでいます。麻酔は基本的に必要ありませんが、不安がある場合は表面麻酔や冷却などの対策を取り入れることで、より安心して施術を受けられます。
痛みを軽減する方法を知っておくことや、施術後のケアを正しく行うことは、仕上がりや満足度にも大きく影響します。ご自身の体調や感覚に合わせた方法を選び、無理のない範囲で施術に臨みましょう。
ボトックス注射を検討されている方は、まずはミサクリニックの無料カウンセリングでお気軽にご相談ください。丁寧な対応と的確なアドバイスで、不安を和らげるお手伝いをいたします。