糸リフトは、たるんだフェイスラインや中顔面を物理的に引き上げることで、若々しい印象へ導く人気の美容医療の一つです。しかし、施術後に「頬がこけたように見える」といったお悩みの声があるのも事実です。
この記事では、糸リフトによる頬コケがなぜ起こるのか、起こった場合の対処法、事前に防ぐためのポイント、さらには糸リフトが向かないケースと代替施術の選択肢まで、専門的な視点から詳しく解説します。
1. 糸リフトで頬コケすることはあるの?

糸リフトによって頬がこけたように感じるケースは、実際に一定数存在します。とくに、術前の顔立ちに丸みやふくらみがあり、ボリューム感を残したい方にとっては、「引き締まりすぎて不自然」と感じることがあるかもしれません。
ただし、これはすべての糸リフトに共通して起きる現象ではなく、「施術設計」や「もともとの顔の構造」、「年齢や肌の状態」など、複合的な要因が関係しています。
医師の技術や経験によっても結果は大きく左右されるため、慎重な判断と丁寧なカウンセリングが欠かせません。
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2. 頬コケが起こる4つの主な原因
頬の脂肪が少ないまま引き上げるとボリュームが失われやすい
頬は、皮下脂肪が豊かで丸みを帯びた部位のため、顔全体の若々しさや柔らかい印象をつくる鍵となります。
しかし、加齢やダイエットなどで脂肪が減っている状態で糸を挿入し、皮膚だけを上方に引き上げると、かえって頬の丸みが失われてしまうことがあります。
本来、リフトアップは「たるみの解消」を目的としていますが、ボリュームの支えがない状態で糸を強く引くと、「皮膚が張って見えるだけ」で、逆に頬が削げて見えてしまう結果にもなりかねません。
糸の挿入位置・本数・角度が不適切なケース
糸リフトは、糸をどの層に、どの角度で、どのような本数で挿入するかによって、効果も副反応も大きく異なります。たとえば、皮膚の浅い層に糸を入れてしまうと、表面に凹みや引きつれが出やすくなり、結果的に頬が不自然に引っ張られて見えることもあります。
また、糸の本数が極端に少ない場合、十分な引き上げが得られずに「中途半端にへこんで見える」ことがある一方、逆に過剰な本数で過度に引き上げた場合も、ボリュームのバランスが崩れて頬コケの印象を与えてしまう可能性があります。
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施術デザインが過剰または不自然な場合
「もっとリフトアップしたい」「頬のたるみを完全になくしたい」といった患者様の希望を叶えようとするあまり、過度な引き上げを行うと、表情との調和が取れず、頬がこけたように見える原因となることがあります。
また、「若返り」を求めすぎるあまり、自然なボリューム感を犠牲にしてしまうと、本来の立体感が失われ、顔全体が平面的に見えてしまうリスクもあります。
施術の目的は単なる「たるみの消去」ではなく、「バランスの取れた輪郭の再構築」であることを忘れてはいけません。
年齢・肌質・骨格による相性の問題
糸リフトの適応は、患者様の年齢や肌質、そして骨格との相性によって大きく異なります。
とくに、もともと皮膚が薄い方や骨格がシャープな方、加齢によって脂肪萎縮が進行している方は、糸による引き上げの影響を受けやすく、頬コケが目立ちやすい傾向にあります。
そのため、施術の可否や糸の種類・本数などは、単に年齢だけではなく、肌の厚みや皮下組織の状態まで総合的に評価したうえで設計されるべきです。
3. 糸リフト後に頬コケが気になるときの対処法
ヒアルロン酸注入などでボリュームを補う方法

糸リフト後に頬がこけたように見える場合、ヒアルロン酸を適切な層に注入して、ボリュームを補うことでバランスを整える治療が有効です。
特に中顔面のくぼみやフェイスラインの痩せ感を補正することで、自然な立体感を取り戻すことができます。
注意すべきは、「糸が入っているエリアに無理に注入しないこと」。糸とヒアルロン酸が干渉しないよう、注入層やタイミングに配慮した設計が必要です。
経験豊富な医師であれば、術後の状態を見ながら最適な注入方法を提案してくれます。
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自己流マッサージは悪化リスクもあるため注意
糸リフト後に頬コケが気になるからといって、自己流のマッサージや顔の揉みほぐしを行うのは危険です。
糸がまだ定着していないうちに強い刺激を加えると、糸のずれや引きつれを引き起こすだけでなく、逆にへこみが目立ってしまうケースもあります。
また、血流やリンパの流れを整えるつもりが、かえって炎症や浮腫を招くこともあるため、施術後しばらくは自己判断のケアは避け、医師の指示に従うことが大切です。
頬コケが一時的かどうか見極めるポイントは?
術後すぐに感じる「頬のへこみ」や「張り感」は、腫れや内出血による一時的なものの可能性もあります。
とくに、術後1週間以内であれば、むくみや腫れによって局所的にボリュームが失われたように見えることがあり、時間の経過とともに自然に回復していくケースもあります。
ただし、1ヶ月以上経っても改善が見られない場合や、明らかに顔のバランスが崩れていると感じる場合は、早めに担当医に相談することをおすすめします。必要に応じて、修正施術や注入による補正が検討されることもあります。
4. 頬コケを予防するためにできること
施術前に脂肪量や骨格を正確に評価してもらう
糸リフトによる頬コケを防ぐためには、まず施術前の診察と評価が極めて重要です。とくに注目すべきは、頬周辺の脂肪量・皮膚の厚み・骨格の立体感など、顔全体の構造バランスです。
これらを医師が正しく見極めずに「とにかくたるみを引き上げれば良い」という安易な方針で施術が進むと、術後に顔が痩けた印象になってしまうリスクが高まります。患者様自身も「どんな仕上がりが理想か」を明確に言語化し、医師との認識のすり合わせを丁寧に行うことが求められます。
糸の種類・本数・角度など施術設計の重要性
糸リフトに使用される糸は、素材や太さ、形状(バーブの有無や方向)によって特性が異なります。柔軟性に優れ、自然な仕上がりが期待できるものもあれば、引き上げ力を重視するやや硬めの糸もあります。
頬にボリュームが少ない方や、肌が薄く骨感が出やすい方には、「引き上げすぎず、ふんわりとしたリフト感が出る設計」が望ましいです。
そのためには、単に“糸を入れる”のではなく、「どの層に・何本・どんな角度で」入れるかという施術の組み立てが極めて重要です。無計画なデザインは、後のトラブルに直結します。
経験豊富な医師・クリニック選びがポイント
糸リフトの結果に大きな差が出る要素の一つが、施術を行う医師の経験とセンスです。
頬コケを予防するには、単に技術があるだけでなく、「その人にとって何が自然か」「どの程度の変化が適切か」といった“見極め力”が不可欠です。
また、カウンセリング時に「頬コケのリスクがあること」「術後に補正が可能なこと」なども含めて正直に説明してくれるクリニックは信頼できる証ともいえます。
SNSや広告だけに頼らず、実際の症例写真や医師の説明内容を重視して選ぶようにしましょう。
5. 糸リフトが向かない人と代替施術の考え方
元々脂肪が少ない方や皮膚が薄い方は注意
生まれつき頬の脂肪が少ない方や、30代以降で脂肪萎縮が顕著になっている方は、糸リフトによってより痩せた印象になってしまうことがあります。
加えて、皮膚が薄く骨格がくっきりしているタイプの方は、糸の挿入部が浮き出たり、皮膚表面の凹凸が目立ちやすくなるため注意が必要です。
こうした方には、無理に引き上げを行うのではなく、まずは顔のボリュームバランスを整えるアプローチが適していることもあります。
ボリューム補填なら脂肪注入やヒアルロン酸も選択肢
頬のこけ感や立体感の不足が主な悩みである場合、糸リフトよりも脂肪注入やヒアルロン酸注入といったボリューム補填系の施術の方が効果的です。
ヒアルロン酸はダウンタイムも少なく、自然な丸みを出しやすい施術であり、必要な量だけ微調整できる点も大きな利点です。一方、脂肪注入はより長期的なボリューム維持を目的とする際に適していますが、注入技術や脂肪の定着率に左右されるため、こちらも医師選びが結果に直結します。
引き締め目的ならハイフなどの非侵襲施術も検討
「顔のたるみを改善したいけれど、痩けた印象にはなりたくない」「糸の異物感が心配」という方には、ハイフ(HIFU)やサーマジェンなどの非侵襲系のたるみ治療も有力な選択肢となります。
これらの施術は皮膚の土台であるSMAS層に熱エネルギーを与えることで引き締め効果をもたらし、糸のように「強引に引っ張る」のではなく、肌全体を「じわじわと引き締めていく」アプローチです。
仕上がりも自然で、頬のボリューム感をキープしながらたるみを改善したい方におすすめです。
6. まとめ
糸リフトは、美容医療において即効性と高い満足度をもたらす人気施術の一つですが、施術の設計や個々の顔立ちによっては「頬がこけたように見える」と感じるリスクもあるのが現実です。
重要なのは、「糸で引き上げる=必ず若返る」ではなく、「今の自分の顔にとって、どのようなリフトデザインが自然か」を見極めること。脂肪のボリューム・肌質・骨格との相性を見ながら、必要に応じてヒアルロン酸などの補完施術を取り入れることで、よりナチュラルで美しい仕上がりを目指すことができます。
頬コケのリスクを避けたい方は、施術を焦らず、信頼できる医師にしっかりと相談したうえで、自分に合った選択肢を見つけてください。
美容医療は「変える」ものではなく、「本来の美しさを引き出す」ための手段であることを忘れずに。
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