顔や体にできる「ほくろ」は、小さなものであれば個性として魅力になる一方で、大きさや位置によってはコンプレックスに感じる方も少なくありません。とくに顔の目立つ部分にあるほくろは、人の視線が気になったり、メイクで隠しきれずに悩みの種になることもあります。
美容医療では、外科的な切除や電気メス、そしてレーザー治療など、ほくろを除去するためのさまざまな方法があります。その中でも「炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)」は、出血が少なく仕上がりが自然で、美容目的でも選ばれることが多い治療法です。
この記事では、ほくろの原因や種類、除去方法の違い、炭酸ガスレーザーの仕組みと効果、施術後のリスクや注意点まで詳しく解説します。
1.ほくろ(色素性母斑)の原因とは
ほくろは医学的には「色素性母斑」と呼ばれ、皮膚の中に存在するメラノサイト(色素細胞)が局所的に集まってできた良性の腫瘍です。メラニン色素が増えることで黒や茶色に見え、さらに細胞の増殖や皮膚の厚みによって盛り上がった形になることもあります。
多くのほくろは生まれつきではなく、成長や加齢、紫外線、ホルモンバランスの変化などをきっかけに出現します。特に顔や首、腕といった日焼けしやすい部位にできやすく、遺伝的な要素も関与しているといわれています。
ほくろの種類
ほくろにはいくつかの種類があります。平らで皮膚表面と同じ高さにあるもの、盛り上がったドーム状のもの、毛が生えるタイプなどが代表的です。小さいうちはシミと区別がつきにくいこともありますが、色調や形状を観察することで医師はほくろかどうかを見極めます。
良性のほくろが大半ですが、まれに悪性黒色腫(メラノーマ)など悪性腫瘍の可能性があるものもあるため、短期間で急に大きくなったり、形がいびつなものは医師による診察が必要です。
ほくろ、シミ、イボの違い
ほくろはメラノサイトが集まった「細胞のかたまり」であるのに対し、シミは紫外線や加齢などにより表皮にメラニン色素が沈着した状態です。シミは基本的に平らで、レーザー治療ではメラニン色素に反応する種類のレーザーが用いられます。
一方、イボはヒトパピローマウイルス(HPV)による感染や加齢に伴う皮膚の角化によって生じるもので、ザラついた盛り上がりが特徴です。見た目は似ていても原因が異なるため、治療法も異なります。炭酸ガスレーザーはほくろだけでなく、一部のイボや盛り上がったシミにも効果的に作用します。
2.ほくろはどうやって取るの?
ほくろを除去する方法にはいくつか種類があり、目的やほくろの大きさ・深さによって選択されます。美容目的で行う場合は「できるだけ傷跡を目立たせない」ことが重視されますが、医学的に悪性の可能性がある場合は「確実に取り切る」ことが優先されます。ここでは代表的な治療法を解説します。
外科的治療
外科的切除は、メスを使ってほくろを切り取る方法です。病理検査を行う必要がある場合や、深く根を張った大きなほくろに適しています。
切除した部分は縫合するため、線状の傷跡が残る可能性がありますが、再発リスクが低く、確実に取り除けるのがメリットです。特に悪性腫瘍の可能性を否定できない場合には、外科的切除が第一選択となります。
電気メス
電気メスは、高周波電流を用いてほくろを焼灼しながら除去する方法です。出血を抑えながら治療できるため、比較的小さなほくろや盛り上がったタイプに用いられます。ただし、焼灼の深さをコントロールする必要があり、場合によっては傷跡や色素沈着が残ることがあります。
レーザー治療
レーザー治療は、炭酸ガスレーザーをはじめとした「組織を蒸散・削るレーザー」を使ってほくろを取り除く方法です。メスを使わないため出血が少なく、縫合の必要もないケースが多いのが特徴です。
仕上がりがきれいでダウンタイムも比較的短いため、美容目的で選ばれることが多い治療です。ただし、深いほくろでは1回で完全に除去できず、複数回の施術が必要になる場合もあります。
3.炭酸ガスレーザーの仕組みとは?ほくろはなくなる?
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)は、皮膚に含まれる水分に反応する特殊なレーザーを用いた治療法です。レーザーが照射されると、ターゲットとなる皮膚の水分が瞬時に蒸発し、その部分の組織が削り取られるように除去されます。この仕組みにより、ほくろやイボなど盛り上がった皮膚病変をピンポイントで取り除くことが可能になります。
従来の外科的な切除と異なり、レーザーは照射と同時に血管を凝固させる作用もあるため、出血を抑えながら治療ができるのが大きな特徴です。縫合を必要としないケースが多く、仕上がりも自然で傷跡が目立ちにくいのがメリットといえるでしょう。
ただし、ほくろの根が皮膚の奥深くまで入り込んでいる場合は、1回の施術で完全に除去するのが難しいこともあります。その場合は数か月おいて再度レーザーを行うか、外科的切除を検討することになります。炭酸ガスレーザーは、サイズが小さく浅いほくろには特に高い効果を発揮し、治療後はほとんど跡が残らないケースも少なくありません。美容目的で「なるべく自然にほくろを取りたい」と考える方にとって、有力な治療選択肢といえるでしょう。
4.炭酸ガスレーザーはどんなほくろにも効果的?
炭酸ガスレーザーは、美容皮膚科で行われるほくろ除去治療の中でも代表的な方法のひとつです。小さく浅いほくろや盛り上がったタイプには特に効果が高く、仕上がりが自然で傷跡も目立ちにくいのが特徴です。
ただし、すべてのほくろに適応できるわけではなく、大きさや深さ、種類によっては外科的切除が必要になる場合もあります。ここでは炭酸ガスレーザーが得意とするほくろのタイプや治療の特長について解説します。
盛り上がったほくろやイボに効く
炭酸ガスレーザーは、皮膚の水分に反応して組織を蒸散させるため、盛り上がったほくろやイボの除去に適しています。出血が少なく、施術後の回復も比較的スムーズです。
ほくろの大きさによっては1回で治療が完結する
直径が数ミリ程度の小さなほくろであれば、1回の施術で取り切れることが多いです。施術時間も数分程度と短く、ダウンタイムも比較的軽いため、忙しい方でも受けやすい治療です。
ただし、大きさが5ミリ以上ある場合や根が深い場合は、複数回の施術が必要になることもあります。
周囲の皮膚へのダメージが少ない
炭酸ガスレーザーは照射範囲を細かくコントロールできるため、ターゲットのほくろ部分だけにエネルギーを集中させることが可能です。そのため、周囲の正常な皮膚へのダメージが最小限に抑えられ、治りも早く、仕上がりも自然です。外科的切除に比べて縫合の必要がないため、より目立ちにくい跡で済むケースが多いのもメリットです。
5.炭酸ガスレーザーのほくろ除去後のリスクや注意点
炭酸ガスレーザーは、従来の切開や電気メスに比べて傷跡が目立ちにくく、美容的な満足度が高い治療ですが、施術後の肌は非常にデリケートな状態になっています。
安全かつきれいな仕上がりを得るためには、リスクを正しく理解し、適切なアフターケアを行うことが欠かせません。
軽いやけど状態になるので、保護をする
レーザーによってほくろを蒸散させた直後の皮膚は、表面が欠損し、軽いやけどのような状態になっています。この段階では細菌感染のリスクが高いため、医師の指示に従って抗生剤入りの軟膏を塗布したり、ガーゼや医療用テープで覆って保護することが重要です。
保護を怠ると、感染や炎症後色素沈着を引き起こし、仕上がりに影響を及ぼす可能性があります。
かさぶたができても無理にはがさない
施術後数日から1週間ほどで患部にかさぶたが形成されます。これは皮膚が再生している過程で自然な反応です。かさぶたを無理にはがすと、色素沈着や瘢痕につながり、治療効果を損なう原因になります。洗顔やスキンケアの際は患部を強くこすらず、自然に剥がれ落ちるまで待つことが大切です。
6.ほくろ除去に関するよくある質問
炭酸ガスレーザーによるほくろ除去は多くの方に選ばれている治療ですが、初めて受ける方は施術中の痛みやダウンタイム、仕上がりについて不安を感じることもあります。ここではよくある質問に答えていきます。
Q.痛みはどのくらいありますか
施術の際には局所麻酔や麻酔クリームを使用するため、痛みはほとんど感じません。レーザー照射中は軽い熱感やチリチリとした刺激を覚える程度です。施術後にヒリヒリ感が残る場合もありますが、数日で落ち着くことが多いです。
Q.ダウンタイムはありますか
治療部位は軽いやけど状態になるため、赤みやかさぶたが数日から1週間ほど続きます。かさぶたが剥がれた後は新しい皮膚が露出するため、数週間は赤みが残ることもあります。ただし、メスによる切開に比べるとダウンタイムは短く、日常生活に支障をきたしにくい治療です。
Q.いつからメイクできますか
治療部位を清潔に保ちつつ、かさぶたが取れるまではメイクを控えるのが基本です。かさぶたが自然に剥がれた後であれば、ファンデーションなどでカバー可能になります。一般的には1〜2週間程度でメイクができるようになりますが、部位や個人差によって異なるため、医師の指示に従うことが大切です。
Q.再発しませんか
炭酸ガスレーザーはほくろの組織を蒸散させて除去しますが、根が深い場合は取り切れずに再発することがあります。特に大きなほくろでは複数回の施術が必要になることもあります。再発のリスクをできる限り減らすためには、経験豊富な医師による施術を受けることが重要です。
7.まとめ
ほくろは多くの場合、良性の皮膚変化ですが、位置や大きさによっては見た目の悩みや日常生活の不便さにつながることがあります。ほくろ除去には外科的切除、電気メス、レーザー治療といった方法がありますが、美容目的で自然な仕上がりを重視する方に選ばれているのが炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)です。
炭酸ガスレーザーは、水分に反応するレーザーで組織を蒸散させる仕組みを持ち、出血が少なく、周囲の皮膚へのダメージを最小限に抑えながらほくろを除去できるのが大きな特徴です。小さなほくろや盛り上がったタイプであれば、1回の施術で治療が完結することも珍しくありません。
一方で、施術後は軽いやけどのような状態になり、かさぶたや赤みが数日〜1週間程度続きます。無理に触れたり剥がしたりすると跡が残るリスクがあるため、適切なアフターケアが欠かせません。また、大きなほくろや根が深いタイプでは再発の可能性もあるため、必要に応じて再治療や外科的切除を検討することもあります。総じて、炭酸ガスレーザーは「なるべく自然に」「傷跡を目立たせずに」ほくろを取りたい方におすすめの治療法です。自分に合った方法を選ぶためには、信頼できる医師に相談し、リスクや仕上がりの見込みについて十分に理解した上で治療に臨むことが大切です。
ほくろやイボのご相談はMiSA CLINIC六本木本院で!カウンセリングのご予約はこちらから。
