糸リフトは、切らずにフェイスラインやほうれい線のたるみを改善できる人気の施術です。しかし、施術後に「ひきつれ」を感じ、不安になる方も少なくありません。口を動かしたときに皮膚が引っ張られるように感じたり、鏡を見たときに不自然な凹凸が出たりすると「失敗なのでは?」と心配になるのも当然です。
実際には、糸リフト後のひきつれは多くのケースで一時的な症状であり、時間の経過とともに自然に解消されることがほとんどです。ただし、原因によっては長引いたり悪化したりする場合もあるため、正しい知識と適切な対処が必要になります。
この記事では、糸リフトでひきつれが起こる原因や治るまでの期間、悪化を防ぐための注意点、そして治らない場合の対処法まで詳しく解説していきます。さらに、ひきつれ以外の副作用やリスクについても触れ、安心して施術を受けるための準備ポイントもご紹介します。
1. 糸リフトで「ひきつれ」が起こる原因とは?
「ひきつれ」とは、皮膚や筋肉が不自然に引っ張られたような感覚や見た目のことで、施術直後や数日後に発生することがあります。原因は一つではなく、施術の技術や設計、患者の肌状態など、複数の要素が複雑に絡み合っています。
糸の挿入位置や深さが適切でない
糸リフトの効果をしっかり出すためには、糸の挿入位置と深さの設定が非常に重要です。
皮膚の浅い層に糸を入れてしまうと、皮膚表面に糸が浮き出たり、突っ張ったような感覚が出やすくなります。また、深すぎる位置に糸を入れると、引き上げたい層に力が伝わらず、かえって局所的に不自然な動きが生じることがあります。
特に、顔面の解剖を正確に理解せずに施術が行われた場合、動きの多い表情筋と干渉してしまい、笑顔や会話時にひきつれ感が強く出ることもあります。挿入の深度や角度がわずかにずれるだけでも、仕上がりには大きな差が出るため、経験豊富な施術者を選ぶことが重要です。
引き上げる力や本数のバランスの問題
リフト効果を強調しようとするあまり、糸での引き上げが過剰になると、顔の一部だけが不自然に持ち上がって見えることがあります。とくに、頬の中央部やフェイスラインは引き上げの力がダイレクトに反映される部位のため、施術直後に「やりすぎた」と感じる原因になりやすいポイントです。
また、左右で使用する糸の本数や配置にバランスの違いがあると、片側だけにひきつれが出ることもあります。
糸の本数が多すぎても不自然になりやすく、少なすぎるとリフト効果が不十分になるため、患者様ごとの骨格・たるみの程度に応じた設計が欠かせません。
関連記事:糸リフトは何本がベスト?目的別の必要本数や費用も解説
皮膚の厚みや顔の骨格との相性による影響
皮膚の厚さや弾力性、脂肪の量、骨格の出っ張り具合などによっても、ひきつれの出やすさは変わってきます。
たとえば皮膚が薄く脂肪の少ない方では、糸の引き上げが表面にダイレクトに反映されるため、強いリフトをかけると凹凸や引きつれ感が目立ちやすくなります。
一方、骨格に左右差や凹凸がある場合、左右の皮膚の引き具合に差が出てしまい、動きや見た目の不自然さにつながることがあります。こうした個人差に応じて糸の種類や配置を調整できるかどうかが、自然な仕上がりを左右するカギとなります。

2. ひきつれはいつまで続く?自然に治るの?
糸リフト後に感じる「ひきつれ」の多くは、一時的なものです。皮膚や筋肉が糸に適応していく過程で生じる自然な反応であり、時間の経過とともに軽快するケースが大半を占めます。
ここでは、術後経過における症状の持続期間や、受診の目安について解説します。
術後〜1週間程度は一時的な症状の可能性あり
施術直後〜数日間は、糸による物理的な刺激や軽度の炎症反応によって、皮膚に違和感や引きつれ感が出やすい時期です。これは「糸がしっかり固定された証拠」であると同時に、体が新たな状態に順応しているサインでもあります。
この段階では、表情を作ったときに突っ張り感を覚えることもありますが、多くの場合、3〜7日ほどで徐々に和らいできます。見た目にも引きつれが目立つようであっても、時間とともに自然に馴染む可能性が高いため、焦って自己判断で触ったり押したりすることは避けましょう。
1ヶ月以上続く場合は医師への相談が推奨される
一方で、施術から3〜4週間が経過してもひきつれの感覚が強く残っている場合や、表情に明らかな左右差・違和感が見られる場合には、何らかの調整が必要な可能性もあります。
たとえば、糸の片側だけが過剰に引き上がっていたり、過剰な皮下固定によって皮膚が過度に緊張していたりするケースでは、時間の経過だけでは改善しにくいこともあります。そのため、施術を受けたクリニックに経過を報告し、医師の診察を受けることが推奨されます。
ごく稀ではありますが、糸が筋肉層に干渉していたり、線維化によって固定が強くなりすぎてしまったりしている場合には、追加治療が検討されることもあります。長期的に残る違和感は放置せず、必ず医療機関に相談することが大切です。
3. ひきつれが悪化・長引くのを防ぐための注意点
糸リフト後のひきつれは、ほとんどが一時的な症状ですが、日常生活の過ごし方によっては悪化したり長引いたりすることがあります。特に施術直後は糸がまだ組織になじんでいないため、負担をかけないようにすることが大切です。
ここでは、ひきつれを悪化させないための具体的な注意点を解説します。
口を大きく開けたり表情を強調しすぎない
術後しばらくの間は、大きな笑顔やあくび、頬を動かすような表情は、糸の固定部位に負担をかけやすくなります。
糸は挿入後すぐに完全に組織に馴染むわけではなく、安定するまでにある程度の時間が必要です。
とくに、食事中の咀嚼や会話の際に強い表情を繰り返してしまうと、引きつれ感が強く出たり、片側に負担が集中することもあります。
術後1週間程度は、できるだけ穏やかな表情で過ごし、顔に余計な力が加わらないよう意識しましょう。
マッサージや強い刺激は避ける
糸リフト後の顔には、内出血や軽い腫れが出やすく、皮膚がデリケートな状態になっています。そのため、マッサージや美顔器、エステなどでの外的刺激は厳禁です。とくに、引っ張る・押し込むといった物理的な刺激は、糸の位置ずれやひきつれの原因になり得ます。
自己流のスキンケアで強くこすってしまうだけでも、違和感を悪化させる恐れがあるため、洗顔やクレンジングの際も極力やさしく行いましょう。医師からの明確な許可が出るまでは、刺激を与えないことが最善の対応です。
入浴・飲酒など血行促進行動を控える
糸リフト直後は、血行が促進されるような行為も避けたほうが無難です。たとえば、長時間の入浴やサウナ、激しい運動、アルコール摂取は、腫れやむくみを悪化させ、ひきつれ感の回復を遅らせる可能性があります。
これらの行動は、術後2〜3日間は特に注意が必要で、できれば術後1週間ほどは控えるのが理想です。血流が急激に高まることで、施術部位に炎症反応が強く出る場合があるため、生活リズムを安定させ、身体に負担をかけない過ごし方を意識しましょう。
4. ひきつれが治らない・気になる場合の対処法
多くのひきつれは自然に治まりますが、なかには気になって仕方がない、あるいは長引いてしまうケースもあります。
そのような場合にどう対処すべきかを知っておくと、余計な不安を抱かずに済みます。
焦って自己処置をしてしまうと、状態を悪化させてしまうリスクがあるため、慎重に対応しましょう。
まずは経過観察、日常生活で悪化させないことが基本
術後すぐにひきつれを感じた場合、まずは慌てず様子を見ることが大切です。通常の組織反応であり、体が糸の存在に適応する過程で起こっている可能性が高いため、数日から1週間ほどはとにかく刺激を与えず、静かに過ごすことが回復への近道になります。
ひきつれの部位を必要以上に気にして触ったり、鏡で過剰にチェックする習慣は、精神的な不安にもつながります。
経過が落ち着くまでの間は、むやみに意識しすぎず、日常生活のなかで悪化させるような行動(顔の運動、長時間の入浴など)を避けることが基本です。
挿入部付近を触らないようにする
気になるからといって糸の挿入部付近を頻繁に触るのは厳禁です。指で押したり、マッサージを試みたりすると、糸の位置がずれて仕上がりに影響を与えたり、炎症や感染のリスクを高めることにつながります。
違和感があっても「触らない」ことが、症状を悪化させないための最も基本的な対策です。
自己判断せず、施術を受けたクリニックで相談する
ひきつれが気になるとき、最も大切なのは「自己判断しないこと」です。インターネットの情報を参考にして自分でマッサージしたり、他院で無理に修正を受けることは、状態を悪化させるリスクがあります。
基本的には、施術を受けたクリニックに経過を報告し、必要に応じて診察を受けるのが最善の対応です。施術の記録や使用した糸の種類、本数、挿入方向などを把握しているのは、担当したクリニックの医師です。
信頼できる医師と早めにコミュニケーションを取ることで、適切なアドバイスや補正を受けることができるでしょう。
5. ひきつれ以外にも出やすい糸リフトのダウンタイム症状・リスク
糸リフトは比較的安全性の高い施術ですが、ひきつれ以外にも施術後に起こりやすいダウンタイム症状やリスクがあります。
多くは一時的で自然に改善しますが、正しく理解しておくことで不要な不安を抱かずに済み、また適切な対策を取ることができます。
内出血や腫れ・むくみの症状
糸を挿入する際に細かな血管が刺激されることで、内出血が起こることがあります。特に目元や頬の皮膚が薄い部分では、青紫色の斑点が目立つこともありますが、1〜2週間ほどで自然に吸収されていきます。
また、腫れやむくみも一時的に現れることがあり、特に翌日〜3日目頃にピークを迎えることが多いです。冷やしすぎると逆に血流が悪化することがあるため、必要以上のアイシングは控え、体を温めすぎない程度に日常生活を送るのが理想です。
関連記事:糸リフトの腫れはひどい?ダウンタイムと対処法を解説
皮膚表面の凹凸や盛り上がり
糸が皮膚の浅層に入っていると、皮膚表面に軽い盛り上がりや凹凸が出ることがあります。これも通常は数日〜2週間程度で組織になじみ、自然と目立たなくなっていきます。
ただし、極端な凹凸や長期的な膨らみが続く場合は、糸の位置ずれや結び目の固定部位が原因となっている可能性があるため、診察を受けることが望ましいでしょう。
表情の左右差や感覚の違和感
糸の引き上げによって、施術直後には一時的に表情の左右差が出ることがあります。
また、施術部位に軽いしびれや鈍さを感じることもありますが、これは皮膚の感覚神経が一時的に刺激されたことで起こるもので、通常は数週間で改善します。
このような症状が見られても、術後すぐに判断せず、経過を見ながら落ち着くのを待つことが大切です。もし1ヶ月以上たっても改善が見られない場合は、医師に相談し、必要に応じた処置を検討してもらいましょう。
6. ひきつれを起こさないためにできる施術前の準備
糸リフトによるひきつれは施術後に一時的に起こることもありますが、事前の準備をしっかり行うことでリスクを大幅に減らすことが可能です。
とくに、施術を受ける前に医師と十分なカウンセリングを行い、糸の選択やクリニック選びを慎重に行うことが、自然で満足度の高い仕上がりにつながります。
カウンセリングで骨格や皮膚の状態を評価してもらう
糸リフトは、骨格やたるみの程度、皮膚の厚みなどに応じて個別に設計されるべき施術です。そのため、施術前には顔全体の構造を丁寧に評価してもらうことが欠かせません。
特に、頬骨の高さや顔の左右差がある方は、糸のかかり方によって引きつれが出やすくなるため、医師がそのリスクを見極めて、糸の本数や引き上げ方を細かく調整する必要があります。
施術そのものよりも、事前のカウンセリングを重視してくれるクリニックの方が、仕上がりの満足度が高まる傾向にあるため、自分の顔をしっかり診てもらえる環境を選ぶことが重要です。
糸の本数・素材・挿入位置を丁寧に相談する
使用する糸の素材や本数も、ひきつれのリスクに深く関わります。
たとえば、PLLA素材はリフト力が強い反面、過剰に使うと皮膚が硬く引っ張られる感覚が残りやすくなります。PDO素材は柔らかくなじみやすいものの、やや持続性に劣ることもあります。
どの素材を、どの層に、何本使うかといった設計意図を丁寧に説明してくれる医師であれば、納得感を持って施術に臨めるでしょう。本数の提案があった場合も、その理由や全体のバランスについてきちんと確認する姿勢が大切です。
関連記事:糸リフトの種類とは?効果や違いも徹底比較
経験豊富な医師と症例数の多いクリニックを選ぶ
糸リフトはシンプルに見えても、角度や深さ、皮膚の状態に応じた繊細な判断が求められる施術です。
こうした技術的要素は医師の経験値に大きく左右されるため、症例数が多く、日常的に糸リフトを行っている医師を選ぶことが、ひきつれのリスクを減らすうえでも非常に有効です。
万が一の際に他院修正の経験がある医師であれば、トラブル時の対応力にも安心感があります。症例写真だけでなく、カウンセリング時の説明の丁寧さなども含めて、総合的に信頼できるクリニックを選ぶことが、美容医療における最善の備えといえるでしょう。
7. まとめ
糸リフトは、フェイスラインのたるみを改善し、自然な若返りが目指せる人気の施術ですが、「ひきつれ」と呼ばれる一時的な違和感が出ることもあります。これは糸の位置や引き上げの強さ、骨格・皮膚の状態など複数の要因が関係しており、多くは1ヶ月以内に自然に解消しますが、長引く場合は適切な対応が必要です。
予防や軽減には、術後のケアに加えて、事前のカウンセリングや医師選びが非常に重要です。自分の顔の特徴に合った設計を提案してもらえるよう、納得いくまで相談できる環境を整えることが、後悔のない美容医療につながります。
不安がある方こそ、正しい知識をもとに信頼できる医師と出会うことで、安心して理想の変化を目指すことができるでしょう。
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