ニキビが治まっても、クレーター状の凹みや色素沈着が残り、大きな悩みとなる方は少なくありません。スキンケアやピーリングでは改善が難しく、メイクで隠しても影が強調されてしまうこともあります。
そこで注目されているのが、サブシジョン(Subcision)です。皮膚内部で凹みを固定している線維を針で切り離し、肌を内側から再構築することで、従来の治療では届かなかった深部の改善を目指します。
本記事では、サブシジョンの施術内容や効果、ニキビ跡の種類別の治療法、効果を高める併用施術や回数の目安まで解説します。
1. サブシジョンってどんな施術?
クレーター肌やニキビ跡の凹みは、表面だけを見ていても改善が難しい場合が多いです。その理由は、皮膚の奥で線維性の癒着が皮膚を内側に引き込み、表面に凹凸を作ってしまっているからです。
サブシジョンは、この「癒着」を直接解除することで、肌をなめらかに整える根本的な治療法として注目されています。
サブシジョンはどのように行うのか
サブシジョンの施術は、まず医師による診察から始まります。凹みの位置や深さを確認したうえで、局所麻酔を行い、専用の針を皮膚に挿入します。針先を皮下で動かしながら、凹みを引き込んでいる線維を切り離していくのがサブシジョンの基本です。
このとき、皮膚の下で「プチッ」と弾けるような感覚があることもありますが、麻酔によって痛みは最小限に抑えられます。施術時間は範囲によって異なりますが、顔全体で30〜60分ほどが目安です。処置後は止血や冷却を行い、必要に応じて抗生剤や鎮痛剤が処方されます。
施術後すぐに凹みが浅く見えることもありますが、腫れや内出血も影響しているため、完成形ではありません。
本来の効果は数週間から数か月かけてコラーゲンが生成される過程で徐々に現れていきます。
サブシジョンで改善が期待できるお悩み
サブシジョンが特に効果を発揮するのは、ローリング型のニキビ跡と呼ばれる、波状に広がった凹みです。このタイプは線維性の癒着が原因であるため、サブシジョンによって直接解除することで改善が期待できます。
また、ボックス型の広いクレーターや、外傷・手術跡などの陥没にも適応される場合があります。さらに、スキンケアやレーザーを繰り返しても改善しにくかった深い凹凸肌にとって、サブシジョンは有力な選択肢となります。
一方で、縦に鋭く深い「アイスピック型」の瘢痕は、サブシジョン単独では十分な効果が得られにくいため、レーザーやクロスTCAとの併用が必要になることがあります。
サブシジョンは「万能な治療」ではありませんが、適応を正しく見極めて行えば、クレーター肌改善に大きな効果を発揮する施術といえます。
関連記事:サブシジョンとは?効果や必要回数、施術の流れについて徹底解説
2. クレーター・ニキビ跡の種類について
ニキビ跡とひとことで言っても、その形状や原因はさまざまです。症状によって適した治療法も異なるため、自分の肌の状態を正しく理解することが治療成功への第一歩となります。
ここでは代表的なクレーター・ニキビ跡の種類を紹介します。
アイスピック型
アイスピック型は、皮膚に細く深い穴があいたように見えるタイプです。毛穴よりも大きく、鋭い円錐状の凹みが特徴で、深さが真皮や皮下組織にまで及んでいることもあります。
このタイプは瘢痕が硬く深いため、サブシジョン単独では改善が難しく、クロスTCA(高濃度トリクロロ酢酸を使った治療)やレーザーを併用する必要があるケースが多いです。
ローリング型
ローリング型は、皮膚が波打つように緩やかに凹んでいるタイプで、最もサブシジョンの適応とされる症状です。
凹みの原因は皮下の線維性癒着であり、サブシジョンによって線維を切断すると皮膚が持ち上がりやすくなります。軽度から重度まで幅広い症例に見られ、顔全体の印象を大きく左右することがあります。
ボックス型
ボックス型は、四角い箱のように境界がはっきりとした凹みが特徴です。比較的広範囲で深さもあるため、肌表面の陰影が目立ちやすいタイプです。
サブシジョンによる改善が期待できますが、レーザー治療やヒアルロン酸注入を組み合わせることでより効果的な改善につながります。
混合型
混合型は、アイスピック型・ローリング型・ボックス型が複数組み合わさったタイプです。多くの方は単一の形状ではなく、複数のタイプが混在しているため、それぞれに合わせた治療法を組み合わせる必要があります。
混合型の場合、サブシジョンと他治療を併用するプランニングが重要です。
色素沈着型
色素沈着型は、ニキビの炎症後に皮膚に色素が残ってしまったタイプです。肌表面が凹んでいるわけではなく、茶色や赤みが残るのが特徴です。
サブシジョンの適応ではありませんが、ピーリングやレーザー、内服薬や外用薬で改善を図ることが可能です。

3. クレーター・ニキビ跡の種類ごとに適している治療方法
ニキビ跡の凹みは種類によって原因や構造が異なるため、最適な治療法も変わってきます。ここでは、代表的な治療法とそれぞれの適応について整理します。
サブシジョン
サブシジョンは、特にローリング型やボックス型のニキビ跡に適しています。これらのタイプは皮膚の奥で線維が癒着し、皮膚を下へ引き込んでいるため、針でその線維を切り離すことで凹みが改善されやすくなります。
施術後にはコラーゲンが生成されるため、時間の経過とともにさらに肌質の改善が期待できます。
ただし、アイスピック型のような鋭く深い瘢痕ではサブシジョン単独では効果が限定的なため、他治療との併用が必要です。
レーザー治療(フラクショナルレーザー・ピコトーニング)
レーザー治療は、肌表面の入れ替えや真皮層のコラーゲン生成を促す方法です。アイスピック型やボックス型の浅めの凹みに有効で、皮膚の再生を促すことで徐々に凹凸を改善します。
フラクショナルレーザーは皮膚に微細な穴をあけて再生を促進し、ピコトーニングはメラニンや色素沈着を改善する作用があるため、赤みや茶色い色素沈着を伴うニキビ跡にも適しています。
サブシジョン後にレーザーを併用することで、凹凸と色味の両方を改善できるのもメリットです。
ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸は皮膚の内側からボリュームを補う作用があり、凹みの浅いボックス型やローリング型の改善に適しています。サブシジョンで癒着を解除した直後にヒアルロン酸を注入すると、凹みが持ち上がりやすく、即効性を感じられる場合があります。
ただし、ヒアルロン酸は時間の経過とともに吸収されるため、定期的なメンテナンスが必要です。
長期的にはサブシジョンやレーザーと組み合わせることで、より自然で持続的な改善効果が得られます。
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4. サブシジョンの効果を高める併用治療は?
サブシジョンは単独でも大きな効果が期待できる治療ですが、凹みのタイプや深さによっては、他の施術を組み合わせることでより高い改善効果が得られることがあります。
併用治療は、それぞれの弱点を補い合い、総合的な肌質改善を目指せる点が特徴です。
ヒアルロン酸注入との組み合わせ
サブシジョンで線維を切り離した直後は、皮膚の下に空間ができています。このタイミングでヒアルロン酸を注入すると、凹みが効率よく持ち上がり、より自然な仕上がりを得やすくなります。
ヒアルロン酸の即効性と、サブシジョン後のコラーゲン生成による長期的な改善が合わさることで、短期・長期の両面で効果を感じられるのがメリットです。
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フラクショナルレーザーとの併用
サブシジョンは深部の癒着を解除するのに優れていますが、肌表面の凹凸や質感の改善にはレーザー治療が効果的です。フラクショナルレーザーを併用することで、肌表面の入れ替えと真皮層の再生が同時に促進され、全体的な肌質改善が期待できます。
サブシジョンとレーザーを段階的に組み合わせることで、凹凸の改善と毛穴・キメの整えを並行して行うことが可能です。
スネコス・リジュランなど再生医療との併用
近年注目されているスネコスやリジュランは、皮膚の再生を促す注入療法です。サブシジョンで癒着を解除した部位にこれらを併用することで、コラーゲンやエラスチンの生成がさらに活性化し、治療効果を高められます。
特に肌のハリや質感の改善に優れており、凹みの改善に加えて若々しい肌質を目指す方に適しています。
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ピーリングや光治療との組み合わせ
サブシジョン後にピーリングや光治療(IPLなど)を取り入れることで、色素沈着や赤みの改善が期待できます。
ニキビ跡は凹みだけでなく、色ムラや炎症後の色素沈着も大きな悩みとなるため、これらを同時にケアすることで総合的な美肌治療につながります。
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5. クレーター肌やニキビ跡に必要な施術回数の目安
サブシジョンは一度の施術で効果を感じられることもありますが、基本的には複数回の治療を重ねることで満足度が高まる施術です。これは、ニキビ跡の深さや範囲、皮膚の回復力によって改善の進み方が大きく異なるためです。
軽度のクレーターや浅い凹みであれば、1〜2回の施術で「凹みが浅くなった」「メイクのノリが良くなった」と変化を実感できる方もいます。
しかし、長年にわたって形成された深いクレーター肌の場合、1回で大きな改善を求めるのは難しく、3〜5回程度の施術が推奨されることが多いです。
また、施術の間隔も重要です。サブシジョン後はコラーゲンが生成され、皮膚が再構築されるまでに時間がかかります。そのため、2〜3か月ほどの間隔を空けて次の施術を行うのが理想的です。
短期間で繰り返しても十分な効果は得られず、かえって回復を妨げる可能性があります。
さらに、重度のニキビ跡を改善したい場合は、サブシジョン単独ではなくレーザーや注入治療との併用を前提に、1年以上の長期的な治療プランを立てるケースも少なくありません。
サブシジョンは「即効性」よりも「積み重ねによる改善」が特徴の施術であり、焦らず継続することが理想的な結果を得るポイントです。
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6. サブシジョンの効果を引き出すためのポイント
サブシジョンは凹凸肌を根本的に改善できる治療のひとつですが、施術を受けるだけでは十分な効果が得られないこともあります。より満足度の高い結果を目指すには、適切な治療計画と生活習慣の見直しが不可欠です。
ここでは、サブシジョンの効果を最大限に高めるための具体的なポイントを解説します。
適切な治療回数と間隔を守ること
サブシジョンは1回の施術で改善を実感できることもありますが、基本的には複数回の治療を重ねる必要があります。深いクレーターや重度のニキビ跡ほど回数が必要であり、一般的には3〜5回程度が目安です。
また、施術と施術の間には2〜3か月の間隔を空け、皮膚の回復とコラーゲン生成を待つことが大切です。
焦って短期間で繰り返すと、逆に効果が出にくくなることもあるため注意しましょう。
アフターケアと生活習慣の徹底
サブシジョン後の皮膚は刺激に弱くなっており、紫外線を浴びると色素沈着のリスクが高まります。外出時は必ず日焼け止めを使用し、帽子や日傘で物理的に紫外線を避ける工夫も必要です。
また、十分な保湿で肌のバリア機能を守り、炎症を抑えることも回復を早めるポイントです。
さらに、生活習慣も治療効果に直結します。睡眠不足やストレス、喫煙はコラーゲン生成を妨げ、効果を半減させてしまう要因となります。
規則正しい生活と栄養バランスの取れた食事を意識することで、肌の再生力を高められます。
他の治療との併用で相乗効果を得る
サブシジョンは深部の癒着を解除する治療ですが、肌表面の凹凸や色素沈着に対しては他の施術を併用することでさらに効果が高まります。
フラクショナルレーザーによる肌再生、ヒアルロン酸によるボリューム補填、スネコスやリジュランによる再生医療などを組み合わせると、凹み改善と美肌効果を同時に目指すことが可能です。
サブシジョンは単独でも優れた効果を持ちますが、「適切な回数」「丁寧なアフターケア」「他治療との組み合わせ」を意識することで、治療後の満足度は大きく変わります。
7. まとめ
サブシジョンは、クレーター肌やニキビ跡の凹凸を内側から改善する根本治療です。皮膚の奥で癒着を切り離し、コラーゲン生成を促すことで、時間の経過とともに肌質をなめらかに整えます。
特にローリング型やボックス型に適しており、従来のケアで改善が難しかった方に有効です。
一方で、アイスピック型のような深い瘢痕にはレーザーやクロスTCAとの併用が必要であり、効果を実感するには複数回の施術と適切なアフターケアが欠かせません。紫外線対策や生活習慣の見直しを徹底することで、治療効果を長く保てます。
さらに、レーザーやヒアルロン酸、スネコス・リジュランなどの再生医療と組み合わせれば、凹み改善だけでなく全体的な肌質の向上も期待できます。
信頼できる医師と相談しながら、焦らず継続的に取り組むことが、後悔のない治療への近道です。
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