顔のたるみ改善・解消へ!効果的な化粧品の選び方と使い方ガイド

顔のたるみ改善・解消へ!効果的な化粧品の選び方と使い方ガイド

フェイスラインや頬に現れる顔のたるみは、加齢現象だけが原因ではありません。

紫外線ダメージや乾燥など、複数の要因が絡み合って発生していて、日々のスキンケアが改善の鍵となります。

この記事では、顔のたるみがなぜ起こるのかという根本的な原因から、改善を目指すための化粧品選び、そしてその効果を最大限に引き出す使い方までを専門的な視点から詳しく解説します。

ご自身の肌と向き合い、ハリのある毎日を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。

目次

顔のたるみはなぜ起こる?その原因を徹底解説

顔のたるみは、単に老化現象という言葉だけでは片付けられません。

皮膚の内部で起こっている変化や、日々の生活習慣が複雑に絡み合って現れます。

加齢によるコラーゲン・エラスチンの減少

肌のハリや弾力は、皮膚の真皮層に存在するコラーゲンとエラスチンという線維状のタンパク質によって支えられています。

コラーゲンは肌の構造をしっかりと保つ役割を、エラスチンは肌に弾力を与えるバネのような役割を担います。

しかし、加齢とともにこれらの生成能力は低下し、質も変化していきます。

この肌の土台が弱くなると皮膚が重力に抗えなくなり、たるみとして現れます。

肌のハリを支える主要なタンパク質

成分名主な役割加齢による変化
コラーゲン肌の構造を支える(ハリ)量が減少し、硬くなる
エラスチン肌に弾力を与える(弾力)量が減少し、変性する

紫外線の影響と光老化

たるみの最大の外的要因ともいえるのが紫外線です。

紫外線のなかでもUV-A波は、皮膚の深い部分である真皮層にまで到達し、コラーゲンやエラスチンを破壊する酵素を活性化させます。

紫外線による肌の老化を「光老化」と呼び、肌の老化の8割は紫外線によるものと言われています。

長年にわたって紫外線を浴び続けると肌の弾力が著しく失われ、深いシワやたるみを引き起こすのです。

日々の紫外線対策の積み重ねが、将来の肌を大きく左右します。

表情筋の衰えと生活習慣

皮膚を支えているのは、土台となる骨や真皮層だけではありません。その下にある表情筋も重要な役割を果たしています。

普段あまり使わない筋肉は年齢とともに衰え、皮膚や脂肪を支える力が弱まります。

また、長時間スマートフォンを見続けることによる下向きの姿勢や、猫背、頬杖をつく癖なども、たるみを助長する要因です。

乾燥が招くハリの低下

肌の表面である角質層の水分が不足する「乾燥」も、たるみの遠因です。

肌が乾燥するとキメが乱れて小じわができやすくなるだけでなく、肌全体のハリが失われた印象を与えます。

さらに、乾燥した肌は外部からの刺激を受けやすくなるため、さまざまな肌トラブルを引き起こし、結果的にたるみやすい状態を招いてしまいます。

たるみ対策化粧品の基本成分

たるみ改善を目指す化粧品には、肌のハリや弾力をサポートし、うるおいを与えるための様々な有効成分が配合されています。

成分の働きを理解し、自分の肌に必要なものを選びましょう。

ハリ・弾力をサポートする成分

真皮層のコラーゲンやエラスチンに働きかけ、肌の内側からハリ感を高めるのを目指す成分です。

継続的な使用で、肌の弾力をサポートします。

ハリ・弾力ケア成分

成分カテゴリー代表的な成分名期待できる働き
ビタミンA類レチノール、パルミチン酸レチノール肌のターンオーバーを促し、ハリを与える
ペプチド類アセチルヘキサペプチド-8などコラーゲン生成をサポートし、弾力を与える
ビタミンC誘導体リン酸アスコルビルMgなどコラーゲンの生成を助け、抗酸化作用を持つ

うるおいを補給・維持する成分

肌の水分量を高め、乾燥によるハリの低下を防ぐことは、たるみケアの基本です。

高い保湿力を持つ成分で、角質層をみずみずしく保ちましょう。

  • セラミド
  • ヒアルロン酸
  • コラーゲン
  • アミノ酸

肌を引き締める成分

一時的に肌表面にハリを与え、毛穴を目立ちにくくするなど、肌を引き締める効果が期待できる成分もあります。

すっきりとした印象を目指すのに役立ちます。

引き締め効果が期待できる成分

成分名主な働き
カフェイン肌を引き締め、すっきりさせる
ハマメリスエキス収れん作用で肌を整える

たるみタイプ別の化粧品選びのポイント

たるみの現れ方は人それぞれです。ご自身の肌状態に合わせた化粧品を選ぶと、より効果的なケアができます。

【乾燥・小じわタイプ】保湿重視の選び方

肌の乾燥が進み、目元や口元に細かいシワが目立つタイプの方は、まず徹底した保湿が重要です。

セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンなど高保湿成分を豊富に含む化粧品を選び、肌の水分保持能力を高めましょう。

うるおいで満たされると肌にふっくらとしたハリが生まれ、乾燥によるたるみ感が和らぎます。

【脂肪下垂タイプ】引き締め成分に注目

頬の位置が下がってきたり、フェイスラインがぼやけてきたりする脂肪下垂タイプの方は、保湿ケアに加えて肌を引き締める成分を取り入れるのがおすすめです。

レチノールやビタミンC誘導体、ペプチド類など、肌のハリをサポートする成分が配合された美容液などを活用しましょう。

たるみのタイプと推奨されるケア成分

たるみタイプ特徴推奨される成分
乾燥・小じわタイプ肌全体のカサつき、細かいシワセラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン
脂肪下垂タイプ頬の下がり、フェイスラインの乱れレチノール、ビタミンC誘導体、ペプチド類
筋肉の衰えタイプ全体的なハリのなさ、表情の乏しさDMAE、ペプチド類(+表情筋トレーニング)

【筋肉の衰えタイプ】表情筋ケアとの併用

全体的にハリがなく、疲れた印象に見られがちな方は、表情筋の衰えが原因かもしれません。

化粧品でのケアと並行して、意識的に表情筋を動かすトレーニングや、美顔器を使ったケアを取り入れるのも一つの方法です。

化粧品では、肌にハリを与える成分を選ぶと良いでしょう。

たるみ改善効果を高める化粧品の使い方

せっかく選んだ化粧品も、使い方が正しくなければその効果を十分に発揮できません。毎日のスキンケアを丁寧に行い、肌に成分を届けましょう。

化粧水|たっぷりの水分補給

洗顔後の肌は、水分が蒸発しやすく無防備な状態です。すぐに化粧水を使い、角質層に十分な水分を補給します。

一度にたくさんつけるのではなく少量ずつ数回に分けて、手のひらで優しく押し込むようにハンドプレスするのがポイントです。

この一手間が、次に使う美容液の浸透を高めます。

美容液|成分を的確に届ける

たるみケアの核となるのが美容液です。レチノールやペプチドといった有効成分が高濃度で配合されているものが多く、悩みに直接働きかけます。

化粧水で肌を整えた後、適量を手に取り、顔全体から首筋にかけて丁寧になじませましょう。

特に気になる部分には、重ねづけするのも効果的です。

基本のスキンケアステップと役割

ステップ主な役割ポイント
化粧水水分補給、肌を整える優しくハンドプレスで浸透させる
美容液有効成分を集中補給気になる部分に重ねづけ
乳液・クリーム水分と油分を補い、蓋をする顔全体を包み込むように塗る

クリーム・乳液|うるおいを閉じ込める

化粧水や美容液で与えた水分や有効成分が逃げないように、油分を含む乳液やクリームで蓋をします。

肌の乾燥具合に合わせて使用量やアイテムを調整しましょう。乾燥が気になる場合はクリーム、べたつきが気になる場合は乳液、といった使い分けも大切です。

正しい塗り方とリフトアップマッサージ

化粧品を塗る際は、肌を摩擦しないように注意が必要です。

指の腹を使い、顔の中心から外側へ、下から上へと向かって優しくなじませます。この動きは、リンパの流れを意識した軽いマッサージにもなり、リフトアップ効果をサポートします。

強い力でこするのは、たるみを悪化させる原因になるため絶対にやめましょう。

  • 顔の中心から外側へ
  • 下から上へ引き上げるように
  • 力を入れすぎない

化粧品の効果を実感するために知っておきたいこと

たるみケア化粧品を使い始めても、すぐに変化が現れるわけではありません。

効果を正しく判断し、ケアを継続するためには、いくつかのポイントを知っておくことが大切です。

効果が出るまでの期間の目安

肌の細胞が新しく生まれ変わる周期(ターンオーバー)は、一般的に約28日と言われていますが、年齢とともにその周期は長くなります。

そのため、化粧品の効果を実感するには、最低でも3ヶ月程度は継続した使用が推奨されます。

特にハリや弾力に関わる真皮層の変化には、さらに時間が必要です。焦らず、じっくりと肌の変化を観察しましょう。

継続して使用する重要性

たるみケアは、一朝一夕で成るものではありません。毎日コツコツとケアを続けると、肌の状態が少しずつ良い方向へ向かいます。

高価な化粧品を時々使うよりも、自分の肌に合っていて無理なく続けられる価格帯の化粧品を毎日使い続けるほうが、結果的に高い効果を期待できます。

肌に合わない場合のサイン

新しい化粧品を使い始めた際に、赤みやかゆみ、ヒリヒリ感や発疹などが出たときは、その化粧品が肌に合っていない可能性があります。

すぐに使用を中止し、症状が改善しない場合は皮膚科専門医に相談してください。無理して使い続けると、肌の状態を悪化させる恐れがあります。

たるみ予防のために今日からできる生活習慣

化粧品による外側からのケアと同時に、内側からのケア、つまり生活習慣の見直しもたるみ予防には重要です。健康的な生活が、健やかな肌を作ります。

紫外線対策の徹底

光老化を防ぐために、紫外線対策は年間を通して行いましょう。

日焼け止めを毎日塗るのはもちろん、帽子や日傘、サングラスなどを活用して物理的に紫外線を浴びない工夫も大切です。

特に紫外線の強い時間帯(午前10時~午後2時)の外出は、できるだけ避けるように心がけます。

  • 日焼け止めの使用
  • 帽子や日傘の活用
  • 長袖の着用

バランスの取れた食事

美しい肌は、健康な体から作られます。

肌の材料となるタンパク質や、コラーゲンの生成を助けるビタミンC、抗酸化作用のあるビタミンEなどを積極的に摂取しましょう。

美肌をサポートする栄養素

栄養素主な働き多く含まれる食品
タンパク質肌や筋肉の材料となる肉、魚、卵、大豆製品
ビタミンCコラーゲン生成を助けるパプリカ、ブロッコリー、キウイ
ビタミンE強い抗酸化作用を持つナッツ類、アボカド、植物油

良質な睡眠の確保

睡眠中には、肌の修復や再生を促す成長ホルモンが分泌されます。

なかでも入眠後の最初の3時間は「肌のゴールデンタイム」とも呼ばれ、この時間に深く眠ることが重要です。

睡眠時間を十分に確保し、質の高い眠りを心がけると、肌の再生能力を高めます。

正しい姿勢を意識する

猫背や下を向く姿勢は、首のシワや顔のたるみに繋がります。

普段から背筋を伸ばし、顎を引いた正しい姿勢を意識することが大切です。

特にデスクワークやスマートフォン操作中は姿勢が崩れやすいため、定期的に休憩を取り、ストレッチを行うなどして体をほぐしましょう。

化粧品だけでは届かない「SMAS筋膜」のたるみ

多くのたるみケア化粧品を試しても、期待したほどの効果が得られないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それは、たるみの原因が化粧品では働きかけられない、もっと深い層にあるからかもしれません。

ここでは、美容医療の現場で重要視される「SMAS筋膜」の観点から、化粧品ケアの限界と、その先の選択肢について解説します。

皮膚の構造とたるみの深い関係

私たちの顔の皮膚は、表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」という層で構成されています。そして、そのさらに下には表情筋があります。

化粧品が浸透できるのは、基本的に最も外側にある「表皮」の角質層までです。

一部の成分は真皮に働きかけるものもありますが、その影響は限定的です。

皮膚の層と化粧品が届く範囲

皮膚の層役割化粧品の効果
表皮外的刺激からの保護、水分保持保湿、ターンオーバー補助など(主に届く範囲)
真皮ハリ・弾力の維持一部成分が働きかけるが、影響は限定的
皮下組織(脂肪層)衝撃の吸収、保温ほぼ届かない

SMAS筋膜とは何か

たるみを語る上で重要なのが、皮下組織と筋肉の間にあるSMAS(スマス)筋膜という薄い膜状の組織です。

SMASは「Superficial Musculo-Aponeurotic System」の略で、日本語では表在性筋膜群と訳されます。

このSMAS筋膜は皮膚全体を覆い、表情筋と連動して皮膚を支える「土台のネット」のような役割を担っています。

しかし、このSMAS筋膜も加齢によってコラーゲンが減少し、ゆるんできます。

SMAS筋膜がゆるむと、その上にある皮下脂肪や皮膚を支えきれなくなり、顔全体の大きな構造的なたるみを引き起こすのです。

化粧品の効果の限界点

SMAS筋膜は皮膚の深い層に存在するため、化粧品を塗るだけでは、このSMAS筋膜に直接働きかけられません。

これが、セルフケアだけでは改善が難しい、本格的なたるみの正体です。

化粧品はあくまで皮膚の表面的な質感や乾燥小じわ、ハリ感の向上を目的とするものであり、SMAS筋膜のゆるみという構造的な問題を解決するものではない、という点を理解しておきましょう。

クリニック治療という選択肢

では、SMAS筋膜のゆるみにはどう対処すればよいのでしょうか。ここで選択肢となるのが、美容クリニックでの専門的なたるみ治療です。

HIFU(ハイフ)のような超音波治療や、高周波(RF)治療は、皮膚の表面から深いSMAS筋膜層に熱エネルギーを届け、ゆるんだ組織を引き締めるのが目的です。

これらの治療は、化粧品では不可能な領域に直接働きかけ、たるみの根本原因に働きかけられます。

よくある質問

さいごに、たるみや化粧品に関して、患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。

高価な化粧品ほど効果がありますか?

価格の高い製品であればそれだけ効果も実感しやすいような気がしてしまいますが、価格と効果は必ずしも比例しません。

高価な化粧品には、希少な成分や先進的な技術が使われているものが多いですが、最も重要なのは「自分の肌に合っているか」そして「継続して使用できるか」です。

成分や使用感を確認し、ご自身が納得できるものを選ぶことが大切です。

化粧品でたるみは完全に消えますか?

化粧品は肌の乾燥を防ぎ、ハリを与えて、たるみを目立ちにくくする効果が期待できます。

しかし、SMAS筋膜のゆるみなど、皮膚の深い層で起こっている構造的なたるみを完全に解消するのは困難です。

より根本的な改善を目指す場合は、HIFU(ハイフ)などのクリニックでの治療を検討することをおすすめします。

どのくらいの期間で効果を実感できますか?

肌の乾燥改善やハリ感の向上といった変化は、比較的早く感じられる場合もあります。

しかし、たるみそのものの改善を実感するには、肌のターンオーバーの周期を考慮し、最低でも3ヶ月以上の継続使用を目安にしてください。

焦らず、楽しみながら長期的な視点でケアを続けていきましょう。

クリニックでの治療と併用は可能ですか?

たるみ改善の化粧品とクリニックの治療は可能です。むしろ、併用すると相乗効果が期待できます。

クリニックでの治療で土台となるSMAS筋膜を引き締め、日々のスキンケアで肌表面のコンディションを整えると、より高いレベルでのたるみ改善と維持を目指せます。

治療後の肌はデリケートになっている場合があるため、どのような化粧品を使えばよいか、医師やスタッフに相談すると良いでしょう。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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