ボトックス注射は、顔のシワ改善や小顔効果、多汗症治療などさまざまな美容医療の分野で広く活用されている人気の施術です。
メスを使わずに短時間で施術が完了する手軽さから、多くの方が気軽に受けていますが、施術後に「内出血ができてしまった」と心配になる方も少なくありません。
この記事では、ボトックス注射によって起こる内出血の原因から、早く治す方法、そもそも内出血を予防するための対策、そして長引いた場合の対処法までを徹底的に解説します。
初めてボトックス注射を受ける方も、すでに経験がある方も、不安なく美容施術を受けられるよう、ぜひ参考にしてください。
1. ボトックス注射で内出血が起こる原因
ボトックス注射は非常に細い針を使用する施術ですが、皮膚の下には無数の毛細血管が張り巡らされており、どれだけ慎重に行っても内出血のリスクをゼロにすることはできません。
以下では、内出血が起こる主な原因を4つの観点から解説します。
針が毛細血管を傷つける
最も一般的な原因が、注射針が皮膚の下にある毛細血管に誤って当たってしまうことです。ボトックスは主に筋肉層に注入されるため、針を深く差し込む必要があります。
その過程で微細な血管を損傷すると、皮膚の下で出血が起こり、内出血として表面に現れます。
特に皮膚が薄く、毛細血管が密集している部位(目の周りや額など)では、少しの刺激でも内出血が生じやすくなります。
また、同じ部位でも個人差があり、血管の位置や皮膚の状態によって内出血の起こりやすさが異なります。
施術部位によるリスクの違い
ボトックスは顔のさまざまな部位に注入されますが、部位によって内出血のリスクも大きく異なります。
たとえば、額や目尻、眉間などは表情筋が活発に動く部位であり、毛細血管が多く走行しています。そのため、これらの部位は他と比べて内出血が起こる確率が高くなります。
一方、エラやあご下、フェイスラインなどの比較的皮膚に厚みがある部位では、血管を避けて注射しやすいため、内出血のリスクは低めです。
ただし、どの部位であっても医師の技術が伴わないと内出血のリスクは避けられません。
血液の凝固作用の影響
体質や服用している薬によっては、血液の凝固作用が弱くなっている場合があります。
たとえば、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬や抗血小板薬)を服用している方や、ビタミンK不足の方、または自然治癒力が低下している方は、出血が止まりにくく、内出血が広がりやすくなります。
また、施術前後にアルコールを摂取していると血管が拡張し、通常よりも内出血が起こりやすい状態になります。
これらの要素が重なることで、内出血の範囲や色が濃くなることもあるため注意が必要です。
医師の技術と経験
ボトックス注射の成否を左右するのが、施術を担当する医師の技術と経験です。
解剖学的知識に乏しく、血管の走行を意識しないまま針を刺すと、毛細血管を傷つけてしまい、内出血を引き起こす可能性が高まります。
また、針の角度や刺入の深さ、注入スピードなども内出血の発生に大きく関係しています。ま
経験豊富な医師であれば、これらを考慮しながら最小限の刺激で施術を行えるため、内出血のリスクを大幅に軽減できます。
信頼できるクリニックを選ぶことが、トラブル回避の第一歩といえるでしょう。


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【YouTube】Dr.みさえの素敵になり隊「失敗しない!ボトックス施術のコツとポイント」
2. ボトックス注射後の内出血を早く治す方法
万が一、ボトックス注射後に内出血が起こってしまった場合でも、適切な対処をすれば治りを早めることができます。
施術直後から行える対策と、時間経過とともに取り入れるべきケア方法について詳しく解説していきます。
すぐに冷やす(アイシング)
内出血が起こった直後に最も有効なのが、患部を冷やすことです。
冷やすことで血管が収縮し、出血の広がりを抑える効果が期待できます。施術直後に冷却材や保冷パックをガーゼなどに包んで患部に当て、5〜10分程度冷やすと良いでしょう。
ただし、長時間の冷却は逆効果になる場合があるため、冷やす時間は断続的に行い、適度に休憩を挟むことが大切です。
また、直接氷を当てると肌にダメージを与える可能性があるため、必ず布越しに冷やすよう注意しましょう。
圧迫を加えて血流を抑える
出血を抑えるもう一つの方法が、患部への軽い圧迫です。
注射部位を指先で軽く押さえることで、毛細血管からの出血を最小限にとどめることができます。これは施術直後、まだ内出血の痕が目に見えて出ていない段階で行うのが効果的です。
ただし、強く押しすぎると逆に皮膚や筋肉を刺激して炎症を引き起こすリスクもあるため、あくまで「軽く押さえる」ことを意識しましょう。
クリニックによっては、施術後にスタッフが圧迫処置をしてくれる場合もあります。
ビタミンK配合クリームの使用
ビタミンKは止血や血管の健康に関わる栄養素として知られており、内出血を早く治すためのサポート成分としても注目されています。
ドラッグストアや通販で販売されている「ビタミンK配合クリーム」は、内出血部分に優しく塗ることで回復を促進するとされています。
特に、目立つ部位(顔、首など)に内出血ができた場合、日々のスキンケアとあわせて使用することで、色の変化が徐々に改善していくケースがあります。
ただし、肌に合わない場合もあるため、初めて使用する際はパッチテストを行うと安心です。
温めて血行を促進(48時間以降)
施術直後は冷却が基本ですが、48時間が経過し、出血が止まった後には逆に「温める」ことが効果的になります。
温熱によって血行が促進されると、体内の老廃物や血液成分が排出されやすくなり、内出血の色素沈着が早く解消されます。
具体的には、ホットタオルを患部に優しく当てたり、ぬるめのお湯で入浴することで血流を良くすることができます。
ただし、温めすぎると刺激となる場合があるため、あくまでも「心地よい」と感じる範囲で行うことが大切です。
ビタミンC・B群を摂取する
内出血の早期回復を促すには、体内からのサポートも欠かせません。
特にビタミンCやビタミンB群は、毛細血管の強化や皮膚の修復に関与しており、食事やサプリメントから意識的に摂取することが勧められます。
ビタミンCは柑橘類、キウイ、ブロッコリー、パプリカなどに豊富に含まれており、コラーゲン生成を助ける働きもあります。
ビタミンB群は、豚肉や卵、豆類、バナナなどに含まれており、皮膚代謝を促進してくれます。ビタミンB群は、豚肉や卵、豆類、バナナなどに含まれており、皮膚代謝を促進してくれます。
バランスの取れた食事を心がけることが、内出血の回復にも直結します。

コンシーラーやメイクでカバーする
仕事や外出など、どうしても内出血を隠したい場面では、コンシーラーなどのメイクアイテムを使ってカバーするのも一つの手です。
黄色味がかったコンシーラーは紫色の内出血を中和しやすく、ナチュラルに仕上がるためおすすめです。
ただし、注射部位がまだ腫れていたり痛みがある場合には、メイクによる刺激で悪化する可能性もあるため、状態をよく見極めて使用することが重要です。
また、メイクを落とす際にもゴシゴシとこすらず、優しくクレンジングを行うよう心がけましょう。

3. ボトックス注射による内出血を予防するためのポイント
内出血ができてしまってから対処することも大切ですが、そもそも内出血を起こさないようにする「予防策」を知っておくことはさらに重要です。
施術前、施術中、施術後のそれぞれの段階で注意すべきポイントを詳しく解説します。
(関連記事「ボトックス注射のリスクと注意点:失敗しないための完全ガイド」はこちら)
施術前に気をつけること
ボトックス注射を受ける前には、体内の状態を整えておくことが内出血予防に直結します。
特に血管の収縮や拡張、血液の粘度に影響を与えるような生活習慣や成分には注意が必要です。
血液をサラサラにする成分を控える
内出血の大きな要因の一つに、血液の凝固能力の低下があります。
普段から「血液をサラサラにする」働きがあるとされる食品やサプリメント、薬を摂っている方は、施術の数日前から控えるようにしましょう。
具体的には、EPAやDHAを含む魚油系サプリメント、ビタミンE、高容量のにんにくサプリ、納豆や青魚、アスピリンなどが該当します。血液が固まりにくい状態では、わずかな針の刺激でも出血が止まりにくくなります。
自己判断で服薬を中止するのではなく、事前に必ず医師やクリニックに相談しておくことが望ましいです。
特に持病などで処方薬を飲んでいる場合は、安全を最優先に考えましょう。
施術前後の飲酒を避ける
アルコールは血管を拡張させる作用があり、ボトックス注射との相性はあまり良くありません。
特に施術直前・直後の飲酒は、血管が広がった状態で針を刺すことになり、出血や内出血を引き起こしやすくなります。
理想的には、施術の24時間前後はアルコールを控えることが勧められています。
(関連記事「ボトックス注射後のお酒はNG?」はこちら)
また、ボトックスの効果が安定するまでの数日間も控えることで、内出血だけでなく、効果の定着にも良い影響を与えます。
水分を適度に摂取する
脱水状態にあると、血液が濃くなり流れが悪くなるため、内出血が起きた際に回復が遅くなる傾向があります。
施術前日はカフェインやアルコールなどの利尿作用のある飲料を控え、清涼水やハーブティーなどでしっかりと水分を補給しておくと良いでしょう。
ただし、一度に大量の水を摂取する必要はなく、こまめに少しずつ飲むのがポイントです。体内環境を整えることで、術後のダウンタイムも短くなる可能性があります。
施術中の注意点
施術そのものは医師に任せることになりますが、施術を受ける側にもできることはあります。特に医師とのコミュニケーションやクリニック選びが重要です。
信頼できるクリニック・医師を選ぶ
ボトックス注射は比較的簡単な施術と思われがちですが、実は高度な解剖学的知識と経験が求められます。
内出血のリスクを最小限に抑えるためにも、医師がしっかりと血管の走行や筋肉の構造を理解して施術してくれることが大切です。
口コミや症例写真、医師の経歴などを事前にチェックし、信頼できるクリニックを選ぶようにしましょう。
特に初めて施術を受ける方は、不安な点や気になることを遠慮せずに質問できる環境かどうかも確認しておくと安心です。
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痛みや違和感を伝える
施術中に痛みや違和感を感じた場合には、我慢せずに医師や看護師に伝えましょう。
痛みがあるということは、血管や神経などに近づいているサインである可能性があります。医師は患者の反応を見ながら針の深さや角度を調整することができます。
静かに受け身でいるよりも、声をかけることで内出血や他のリスクを回避できる可能性が高まります。
施術後の過ごし方
ボトックス注射後の過ごし方によって、内出血の程度や持続期間が大きく変わることがあります。施術を受けた当日から数日は、特に注意深く過ごすことが求められます。
激しい運動や入浴を避ける
施術後すぐに激しい運動をすると、体温が上昇し血行が促進されてしまいます。これは内出血のリスクを高める要因になるため、少なくとも24〜48時間はハードなトレーニングやサウナ、長時間の入浴は避けるのが無難です。
シャワー程度であれば問題ありませんが、湯船につかる場合はぬるめのお湯で短時間にとどめるようにしましょう。血流のコントロールが内出血予防のカギとなります。

顔を強くこすらない
クレンジングや洗顔、タオルドライの際に顔を強くこすると、注射部位に刺激が加わり、内出血を悪化させる原因となります。
特に注射当日は、メイクやクレンジングの工程を最小限にし、肌への摩擦を避けるようにしましょう。
マッサージやエステも一定期間控えることが望ましく、施術部位の圧迫や刺激は極力避けることが内出血を未然に防ぐポイントです。
就寝時の姿勢に注意
ボトックス注射の後は、就寝時の姿勢にも気を配る必要があります。
特にうつ伏せ寝は顔に圧力がかかるため、注射部位に内出血が起こりやすくなります。
可能であれば仰向けのまま眠るよう心がけ、枕の高さや寝返りのしやすさなども工夫してみましょう。
また、高めの枕を使用して頭部をやや高くすることで、むくみや血流の停滞を防ぎ、内出血の予防にもつながります。
4. ボトックス注射後の内出血が長引く場合は?
内出血ができたとしても、多くの場合は自然に吸収されていきます。
しかし、思っていたよりも治るのに時間がかかると、「このまま治らなかったらどうしよう」と不安になる方もいらっしゃいます。
どのくらいで治るのが普通?
一般的に、ボトックス注射による内出血は軽度であれば3日〜1週間ほどで自然に消えるといわれています。
内出血の色も時間とともに変化し、初期は赤紫色から始まり、数日かけて黄色や茶色っぽくなりながら徐々に薄くなっていきます。
ただし、注射を打った部位や内出血の深さ、個人の体質などによって治るまでのスピードには差があります。
たとえば、目の周囲のように皮膚が薄い場所では色が目立ちやすく、治りにくい印象を受けることもあります。
一方で、内出血が皮下深くにある場合、外から見える変色が少なくても触れると痛みやしこりのような感覚が残るケースもあります。
こうした場合も、自然治癒によって時間とともに解消することがほとんどです。
1週間以上続く場合の対処法
内出血の色が1週間以上続く場合には、自己ケアに加えて医師に相談してみるのが安心です。
特に、患部が熱を持っていたり腫れが強い場合には、炎症が起きている可能性もあるため、早めの受診が勧められます。
また、体質的に内出血が治りにくい人の場合、ビタミンKやビタミンCの内服、あるいは外用薬の処方を受けることで改善が見られることもあります。市販薬で対応する場合も、用法用量を守って正しく使用しましょう。
なお、色素沈着が心配な場合には、日焼け対策も重要になります。紫外線を浴びることで内出血部分のメラニン生成が促され、シミのように残るリスクもゼロではありません。
外出時は帽子や日傘、UVカットのスキンケアなどでしっかり対策しましょう。
病院を受診すべきケース
通常の内出血は自然に治るため、過度な心配は不要ですが、以下のようなケースに該当する場合は、速やかに医療機関を受診してください。
・内出血が2週間以上経っても改善しない
・内出血に加えて強い腫れや痛みがある
・発熱や全身倦怠感などの全身症状が出ている
・しこりや硬い感触が長く残っている
・患部が黒ずんで壊死のような兆候がある
これらの症状は、内出血だけではなく感染症や血管損傷、異物反応など他の合併症が起きている可能性も否定できません。
自己判断せず、なるべく施術を受けたクリニックに連絡し、適切な対応を受けましょう。
5. まとめ|ボトックス注射の内出血を最小限に抑えよう
ボトックス注射は、美容医療の中でも手軽に受けられる施術のひとつですが、内出血という副作用が起こることもある点は理解しておく必要があります。
原因は主に針による毛細血管の損傷であり、施術部位や医師の技術、体質などさまざまな要因が関係しています。
内出血が起こってしまっても、多くは数日〜1週間程度で自然に改善します。
アイシングやビタミンの摂取、メイクでのカバーなどを上手に活用しながら、ダウンタイムを少しでも快適に過ごす工夫を取り入れていきましょう。
また、内出血を未然に防ぐための行動も非常に重要です。
施術前の飲酒や薬の服用、当日の過ごし方や就寝時の姿勢にいたるまで、ちょっとした工夫が大きな違いを生みます。
そして何より大切なのは、信頼できる医師・クリニックを選ぶこと。経験と知識に裏打ちされた適切な注射技術は、トラブルの予防に直結します。
「少しでも内出血のリスクを抑えたい」「安心してボトックス注射を受けたい」と考えている方は、この記事で紹介したポイントを実践し、安心・安全な美容医療ライフを送ってください。