しわやたるみ、ボリュームロスなど、年齢による肌の変化を手軽に改善できる方法として注目されているのがヒアルロン酸注射です。
ただし製剤の種類は非常に多く、効果の持続期間や適応部位、仕上がりの質感は製剤ごとに異なります。
この記事では、代表的な9種類のヒアルロン酸製剤を取り上げ、それぞれの特徴や価格、厚労省の承認状況などをわかりやすく比較します。
これから注射を検討する方に向けて、美容皮膚科の視点から実用的な情報を解説します。
1. ヒアルロン酸注射とは
ヒアルロン酸とは

ヒアルロン酸とは、私たちの体内に本来存在している保湿成分の一種で、高い保水力を持ち、皮膚・関節・眼球などの組織に多く含まれています。
1gで約6Lもの水分を保持できるとも言われており、その保水能力は美容や医療の分野で重宝されています。
加齢とともに体内のヒアルロン酸量は減少し、肌のハリや弾力が失われていきます。
そこで外部からヒアルロン酸を補う目的で開発されたのが、注入型のヒアルロン酸製剤です。
特に美容医療では、しわやたるみの改善、フェイスラインの補正、唇や涙袋の形成など、多彩な目的で使用されています。
ヒアルロン酸注入治療の効果
ヒアルロン酸注射は、以下のようなさまざまな美容効果をもたらします。
・しわの改善(ほうれい線、マリオネットラインなど)
・たるみの補正とリフトアップ
・輪郭形成(あごやフェイスラインの整形)
・ボリュームアップ(こめかみ・頬・唇・涙袋など)
・肌質改善(水光注射やスキンブースターとしての活用)
注入直後から効果が現れる即効性も魅力で、手術のようなダウンタイムがほとんどない点も、人気を集めている理由のひとつです。
ヒアルロン酸は時間とともに体内に吸収されるため、定期的なメンテナンスは必要ですが、自然な変化でバレにくく、美容初心者にも選ばれやすい治療法です。
ヒアルロン酸注射をする部位
ヒアルロン酸注射は、顔のほぼすべての部位に使用することが可能ですが、製剤の硬さや性質によって適応が異なります。
たとえば、柔らかい製剤は皮膚が薄い部分(涙袋や唇など)に、硬めの製剤は深いしわや骨格補正(あご・フェイスラインなど)に用いられることが一般的です。
主な注入部位には以下が挙げられます。
・額や眉間(浅いしわへの補正)
・目の下(クマや凹みへのアプローチ)
・頬(ボリューム補正や若返り効果)
・フェイスライン(輪郭を整える)
・唇(ボリュームアップ、輪郭形成)
・あご(Eライン形成や横顔のバランス調整)
適した製剤を選ぶことで、ナチュラルで立体的な仕上がりを得られ、過度なボリューム感や不自然な表情を避けることが可能です。

ヒアルロン酸注射はこんな症状の人におすすめ
ヒアルロン酸注射は、「年齢による変化が気になってきたけれど、手術には抵抗がある」という方に特におすすめです。
また、以下のような悩みを抱えている方にも有効です。
・ほうれい線やマリオネットラインが目立ってきた
・頬がこけて老けて見える
・目の下のクマや凹みが疲れた印象を与える
・鼻やあごの形を自然に整えたい
・唇をふっくらさせたい
・肌のハリや潤いが低下していると感じる
ヒアルロン酸注射は、ダウンタイムや副作用のリスクが比較的少ないうえ、治療時間も短いため、忙しい方でも気軽に取り入れやすい施術です。
2. 代表的なヒアルロン酸製剤の9種類を比較

ヒアルロン酸製剤は、使用される部位や目的によって特性が大きく異なります。
ここでは、現在日本の美容医療で特に使用頻度の高い9種類の製剤について、それぞれの特徴、効果、向いている部位、持続期間、費用感などを詳しく解説します。
1. ボリューマXC(Voluma XC)
ボリューマXCは、アラガン社が製造する「ジュビダームビスタ」シリーズの中でも、特に硬さと弾力性に優れた製剤です。
顔の深部にボリュームを与える用途で使用され、骨格の補正にも適しています。
特徴:硬めのゲル構造で、フェイスラインやあご形成に最適
横に広がらず、シャープなラインを出しやすい
厚労省承認製剤で、安全性が高い
向いている部位:あご、頬骨、こめかみ、フェイスラインなど
持続期間:約18〜24か月
費用感:1本あたり8〜10万円前後(クリニックにより異なる)
2. ボリフトXC(Volift XC)
ボリフトXCは、やや柔らかめの質感を持ちつつ、しっかりとしたボリュームアップ効果を発揮する製剤です。
自然な表情を損なわず、しわ改善に特化しています。
特徴:柔らかさと形状維持力のバランスに優れる
ほうれい線やマリオネットラインなど、動きのある部位にもなじみやすい
厚労省承認済
向いている部位:ほうれい線、マリオネットライン、口元、頬
持続期間:約12〜24か月
費用感:1本あたり7〜9万円程度(クリニックにより異なる)
3. ボルベラXC(Volbella XC)
ボルベラXCは、非常に柔らかく繊細な部位への注入に適した製剤です。
唇や涙袋など、皮膚が薄く動きの多い箇所に使用されます。
特徴:とろみのあるテクスチャーで、表情に馴染む
輪郭をぼかしながら自然な立体感を演出
厚労省承認済
向いている部位:唇、涙袋、目の下のクマ、目周り
持続期間:約6〜12か月
費用感:1本あたり6〜8万円程度(クリニックにより異なる)
4. ボラックスXC(Volux XC)
ボラックスXCは、ジュビダームシリーズの中でも最も硬度の高い製剤で、顔の下部の輪郭形成に特化しています。
特にあごやフェイスラインをシャープに整える目的で使われます。
特徴:高い支柱性(プロジェクション)と持続性
顔の輪郭をくっきりさせるのに最適
厚労省承認済
向いている部位:あご、フェイスライン、Eライン形成
持続期間:約18〜24か月
費用感: 1本あたり8〜10万円程度(クリニックにより異なる)
5. ボライトXC(Volite XC)
ボライトXCは、肌のハリや潤いを向上させる「スキンブースター」として使用される製剤です。
ボリューム形成ではなく、肌質改善が目的です。
特徴:非常に柔らかく、浅層への注入に適している
ツヤ・潤い・キメの改善に効果的
厚労省承認済
向いている部位:顔全体、首、手の甲など
持続期間:約6〜9か月
費用感:1回あたり5〜7万円程度(複数本使用が一般的)
6. レスチレンリド(Restylane Lidocaine)
スウェーデン発祥のレスチレンシリーズの中でも、標準的な製剤がレスチレンリドです。
粘度と弾力のバランスに優れており、多用途に使える汎用タイプです。
特徴:なじみやすく、自然な仕上がり
表情の動きにも強い
Lidocaine(麻酔成分)入りで注入時の痛みが少ない
向いている部位:口周り、涙袋、軽度のほうれい線
持続期間:約6〜12か月
費用感:1本あたり6〜8万円程度(クリニックにより異なる)
7. レスチレンリフトリド(Restylane Lyft Lidocaine)
「リフト」の名の通り、より深層に注入してボリュームを出すタイプの製剤です。
特にリフトアップや骨格補正に向いています。
特徴:高い支柱性とボリューム力
中〜深層の注入で立体感を出す
長持ちしやすい
向いている部位:頬、こめかみ、あご
持続期間:約12〜18か月
費用感:1本あたり7〜9万円程度(クリニックにより異なる)
8. クレヴィエルコントア(Cleviel Contour)
クレヴィエルは韓国製の高濃度・高密度ヒアルロン酸製剤で、特にシャープな輪郭形成に特化しています。
硬度が非常に高いため、注入時には技術が必要です。
特徴:高濃度(50mg/mL)で強い立体感を演出
あご形成や鼻筋形成に人気
横に広がりにくい
向いている部位:あご、鼻筋(ノーズシャドウ形成)
持続期間:約12〜15か月
費用感:1本あたり5〜7万円程度(比較的コストパフォーマンスが良い)
9. テオシアル・ピュアセンス リデンシティⅡ(Teosyal RedensityⅡ)
スイスのテオキサン社が製造する製剤で、特に目元専用に開発された希少なヒアルロン酸です。
青クマ・凹み・小じわに対して非常に自然な仕上がりを実現します。
特徴:極めて滑らかで皮膚が薄い部分でも浮きにくい
美容成分(アミノ酸、抗酸化物質など)を配合
青クマの治療に適している
向いている部位: 目の下(青クマ、凹み、皮膚の薄さによる影)
持続期間:約6〜9か月
費用感:1本あたり6〜8万円程度(クリニックにより異なる)
3. ヒアルロン酸製剤の種類選びのポイント
多種多様なヒアルロン酸製剤が存在する中で、「自分にはどの製剤が合っているのか」「失敗したくないけど、どう選べばいいのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。
適切な製剤を選ぶことで、より自然で満足度の高い仕上がりが得られます。
この章では、選び方の6つの重要な視点を解説します。
硬さの違い
ヒアルロン酸は製剤ごとに「硬さ」「粘性」「弾性」が異なり、注入後のなじみ方や仕上がりに大きく影響します。
あごやフェイスラインのように骨格を支える部位には、硬く支柱性の高いボリューマXCやクレヴィエルが適しており、唇や涙袋のように皮膚が薄く動きの多い部位には、柔らかく滑らかなボルベラXCやリデンシティⅡが向いています。
製剤の選択は「部位」と「目的」に応じて使い分ける必要があり、単に持続性や濃度だけで選ぶと不自然な仕上がりになることがあるため注意が必要です。


値段で決める
ヒアルロン酸注射の価格は、1本あたり5万〜10万円程度が相場ですが、製剤の種類によって差があります。
高密度で支柱性のある製剤や特定部位専用のものはやや高価ですが、自然な仕上がりを重視した比較的安価な製剤(レスチレンリドやボライトXCなど)もあります。
ただし、価格だけで選ぶのは避けるべきで、目的や部位に合わないと仕上がりや持続性に満足できないことも。費用対効果に加え、適応部位との相性を重視しましょう。
適応部位で選定する
ヒアルロン酸製剤には、それぞれ「得意な部位」があり、特徴を理解せずに選ぶと違和感やトラブルの原因になります。
たとえば、フェイスラインの輪郭形成にはボリューマXCやボラックスXC、クレヴィエルなどの高硬度製剤が適しており、目元の青クマ改善にはボルベラXCやリデンシティⅡといった柔らかい製剤が自然です。
施術前には、注入部位と目的を医師に伝え、最適な製剤を選んでもらうことが重要です。
長持ちするかどうか
ヒアルロン酸注射の持続期間は6〜24か月ほどで、製剤の種類や濃度、粒子の大きさ、架橋技術によって異なります。
ボリューマXCやボラックスXCのような高硬度製剤は18〜24か月と長持ちしますが、目元や唇に使う柔らかい製剤は分解が早く、半年〜1年で再注入が必要なこともあります。
長持ちを重視するのも一つの考え方ですが、部位ごとに求められる柔軟性や自然さも考慮して選ぶことが大切です。
厚労省が認可しているかどうか
厚生労働省が承認するヒアルロン酸製剤は、品質や安全性、効果の審査をクリアした信頼性の高い製品です。
代表例としては、アラガン社の「ジュビダームビスタ」シリーズ(ボリューマ、ボリフト、ボルベラなど)があります。
未承認製剤でも海外で実績のあるものは一定の安全性がありますが、承認製剤の方が施術者の経験が豊富で、安心感も高まります。
初めての方は、承認の有無を確認するのがおすすめです。
製薬会社を確認する
ヒアルロン酸製剤の品質は、製造元の技術力や成分管理にも左右されます。
たとえば、アラガン社(アメリカ)、ガルデルマ社(スウェーデン)、テオキサン社(スイス)、アモーレパシフィック(韓国)などが信頼性の高いメーカーとして知られています。
同じ「ヒアルロン酸」でも、分子の大きさ、架橋技術、麻酔成分の有無などが製品ごとに異なるため、クリニック選びの際には「どこの製薬会社の製剤を使っているか」も確認しておくと安心です。
特に韓国製のヒアルロン酸製剤は価格が抑えられている反面、粗悪なコピー品も流通しているため、実績のある正規品を扱うクリニックかどうかを見極める必要があります。
【YouTube】Dr.みさえの素敵になり隊「ヒアルロン酸の種類を美容皮膚科医が解説【リフトアップ・ほうれい線・クマの改善】」
4. まとめ
ヒアルロン酸注射は、即効性と自然な仕上がりを両立できる手軽な美容施術として人気がありますが、製剤の種類によって効果や持続性に差が出るのも事実です。
製剤ごとに硬さや適応部位、価格帯が異なり、自分の悩みに合った選択が大切です。
たとえば輪郭形成にはボリューマXCやクレヴィエル、肌質改善にはボライトXCやリデンシティⅡが適しています。
価格や持続期間だけでなく、安全性や医師の技術、厚労省の承認の有無なども重要な判断材料です。
施術の成否は製剤選びだけでなく、誰が施術するかにも大きく左右されます。
気になるクリニックでカウンセリングを受け、納得のいく説明が得られるか確認しましょう。信頼できる医師との出会いが、満足度の高い結果につながります。
ヒアルロン酸の例症例多数◎
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