年齢とともに現れるたるみやシワ。フェイスラインのもたつきやほうれい線が気になり、「何かケアを始めたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。最近では、切らずにできるたるみ治療が増え、「サーマジェン」と「ヒアルロン酸」は代表的な選択肢として注目されています。
しかし、「どちらが向いているのか」「併用できるのか」など、分かりづらい点も多いのが現実です。
本記事では、両者の違いや効果、併用の可否、料金相場までをわかりやすく解説し、自分に合った治療選びの参考になる情報をお届けします。
1. サーマジェンとヒアルロン酸、それぞれの特徴とは?
たるみやシワの治療として広く使われるサーマジェンとヒアルロン酸。どちらも「年齢肌の改善」という共通の目的はありますが、施術方法や作用の仕方はまったく異なります。
まずはそれぞれの特徴を整理し、基礎知識をしっかりと押さえておきましょう。
サーマジェンとは?高周波によるたるみ治療の仕組み

サーマジェンは、高周波(RF:Radio Frequency)を用いて真皮や皮下組織に熱エネルギーを加えることにより、肌の引き締めとコラーゲン再生を促す施術です。皮膚表面を傷つけることなく、熱を肌の深部に届けることで、たるんだ組織を引き締め、弾力のあるハリ肌へと導きます。
照射時の痛みやダウンタイムが少なく、顔全体のフェイスラインや頬、口元、あご下などのたるみに対して、ナチュラルな若返り効果が期待できます。特に加齢による皮膚のゆるみに悩む方にとって、切らずにリフトアップできる選択肢として人気が高まっています。
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ヒアルロン酸とは?ボリューム補填とシワ改善の基本
ヒアルロン酸は、もともと体内に存在する保水成分であり、肌にハリや潤いをもたらす物質として知られています。
美容医療では、そのヒアルロン酸を注射で皮下に注入することによって、シワを内側から持ち上げたり、加齢で失われたボリュームを補ったりする治療が行われます。
たとえば、ほうれい線やマリオネットライン、頬のこけ、こめかみや額のへこみなどに注入することで、立体感のある若々しい輪郭に整えることができます。1回の施術で即効性があるのも大きな特徴で、「直後から変化を感じたい」という方に選ばれる理由のひとつです。
製剤の種類や硬さによって適応部位が異なるため、目的や肌質に合わせて使い分けることで、自然で美しい仕上がりが実現します。
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施術の目的と作用部位の違いを理解しよう
サーマジェンとヒアルロン酸のもっとも大きな違いは、「作用するメカニズム」と「改善したい症状の種類」にあります。
サーマジェンは、肌の内部からコラーゲンを再構築し、全体的な引き締めやたるみの改善を目的とした治療です。
いわば“土台”にアプローチし、肌のハリや質感を底上げする施術といえます。
一方、ヒアルロン酸は「減ったところに足す」ことを目的としており、ボリュームの減少によるシワやへこみに対して、ダイレクトな補正が可能です。
こちらは“構造”を整える施術であり、骨格や輪郭を微調整しながら、顔全体の立体感を整えることができます。
どちらもたるみ・老化の兆候にアプローチしますが、「土台から引き締めて改善するのがサーマジェン」、「減った部分に直接注入して整えるのがヒアルロン酸」というように、治療の目的が根本的に異なるのです。
2. サーマジェンとヒアルロン酸の効果を比較
たるみやシワに悩む方にとっては、施術によって得られる「効果の質」と「持続性」は何よりも重要なポイントです。サーマジェンとヒアルロン酸は、アプローチの仕方が大きく異なる分、それぞれの効果の現れ方にも違いがあります。
この章では、「たるみ改善への有効性」「即効性と持続性のバランス」「年齢や肌質による適応性」といった観点から、両施術の効果を比較していきます。
たるみ改善にはどちらが効果的?
たるみ治療において重要なのは、「どの層のたるみにアプローチできるか」という点です。
サーマジェンは、真皮層〜皮下組織に熱を加えることでコラーゲン線維を収縮させ、その後数週間〜数ヶ月かけて新しいコラーゲン生成を促すことで、肌を引き締めていく施術です。
特に、加齢によって皮膚全体のハリが失われ、顔全体が下がってきたような「面」でのたるみに対して効果を発揮します。フェイスラインのもたつき、頬の下垂、口元のたるみなどにおいては、自然なリフトアップが期待できる治療法といえるでしょう。
対してヒアルロン酸は、たるんだ部位そのものを持ち上げる力はありませんが、「たるみの原因となるボリュームロスを補う」ことで、間接的にたるみを改善するアプローチです。
こめかみや頬骨の下、あご下のボリュームを足すことで顔の重心を上げ、フェイスラインを整えるという、立体的な補正が得意分野となります。つまり、たるみそのものを引き締めるわけではないものの、構造的なサポートによりたるみを軽減させるという位置づけです。
そのため、皮膚が弛緩している場合はサーマジェン、骨格的な凹みやボリューム減少によるたるみ感にはヒアルロン酸、というように目的に応じて使い分けるのが基本的な考え方になります。
即効性と持続性の違いを整理する
「すぐに効果を感じたい」「でも長持ちしてほしい」——たるみ治療を検討する際、多くの方がこの2つを求めますが、実際には施術ごとに即効性と持続性の特性が異なります。
ヒアルロン酸注入は、施術直後から変化を実感できる即効性が魅力です。シワの改善や輪郭の補正がすぐに目に見えてわかるため、短期間で見た目を整えたい方に向いています。効果の持続は6〜12ヶ月が一般的です。
一方、サーマジェンは高周波による肌の引き締め施術で、数週間かけて徐々に効果が現れ、コラーゲンの再生が進むことで1〜2ヶ月後にピークを迎えます。持続期間は3〜6ヶ月程度で、自然なリフトアップが特徴です。
即効性を求めるならヒアルロン酸、肌質改善も重視するならサーマジェンと、目的別に選ぶのが失敗しないコツです。
年齢や肌質によって向き不向きはある?
サーマジェンとヒアルロン酸は、年齢や肌質、骨格によって適応が異なります。
比較的皮膚の弾力が残っている30〜40代で、軽度〜中等度のたるみに悩む方にはサーマジェンが効果的です。コラーゲン再生が活発な年代では、高周波による引き締め効果も出やすく、自然なリフトアップが期待できます。ただし、皮膚が薄い・脂肪が少ない・乾燥が強い方は、設定を慎重に調整する必要があります。
一方、40代以降で骨格の凹みやボリューム不足による老け見えが目立つ場合は、ヒアルロン酸による構造的な補正が適しています。頬のこけやこめかみのへこみによって疲れた印象が出ている方には、特に有効です。
どちらが適しているかは年齢・肌質・顔立ちにより大きく異なるため、自己判断ではなく、専門医によるカウンセリングで最適な治療を選びましょう。
3. サーマジェンでヒアルロン酸が溶けるって本当?
美容医療に関心がある方のあいだでよく話題になるのが、「サーマジェンをすると、以前に注入したヒアルロン酸が溶けてしまうのでは?」という疑問です。実際に「照射後にボリュームが減った気がする」という声が聞かれることもありますが、これは果たして本当なのでしょうか。

高周波エネルギーがヒアルロン酸に与える影響
サーマジェンは、高周波(RF)によって皮膚深部を約40〜45℃に加熱し、コラーゲン線維を収縮・再生させる施術です。真皮層から皮下脂肪層にかけて働きかけ、たるみ改善やハリ感アップを目指します。
一方で、ヒアルロン酸は熱にある程度の耐性がありますが、注入の深さや部位によっては、RF照射の熱で分解が早まる可能性があります。特に浅い層に注入された場合、熱の影響を受けやすいとされています。
ただし、医療用ヒアルロン酸は安定性が高く、軽度の加温で急激に溶けることは基本的にありません。
ただ、注入直後にサーマジェンを照射したり、出力が強すぎたりすると分解が早まるリスクもあるため、施術タイミングと設定には注意が必要です。
「溶ける」と言われる理由と実際のリスク
「サーマジェンでヒアルロン酸が溶ける」と言われる背景には、施術後の見た目の変化があります。ヒアルロン酸でふっくらしていた部位が、引き締めによってやや凹んで見えると、「溶けた」と誤解されることがあります。
また、実際に高周波の熱がヒアルロン酸に影響し、分子構造が緩んだり、分解・吸収が促進される可能性も指摘されています。特に非架橋タイプや浅層への注入は熱の影響を受けやすい傾向があります。
ただし、すべてのケースでヒアルロン酸が分解されるわけではなく、照射設定や施術の順番を適切に調整することでリスクを抑えることが可能です。不適切な施術を避けるためにも、経験豊富な医師による判断が不可欠です。
ヒアルロン酸注入済みの方が注意すべきポイント
すでにヒアルロン酸を注入している場合は、照射前に施術歴(部位・製剤・注入量)を医師と共有することが重要です。注入直後の部位は照射を避ける、または出力を下げる対応が取られる場合があります。
施術の順番は「サーマジェン→ヒアルロン酸」がおすすめで、熱による分解リスクを避けつつ、たるみ改善とボリューム補正を両立できます。
また、製剤の種類にも注目が必要です。高架橋タイプや深層注入向けのヒアルロン酸は熱の影響を受けにくい一方、涙袋や小ジワ用の柔らかい製剤は影響を受けやすいため、慎重な判断が求められます。
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4. サーマジェンとヒアルロン酸は併用できる?
美容医療では、1つの施術に頼るのではなく、複数を組み合わせて理想に近づける「コンビネーション治療」が一般的になっています。なかでもよくある疑問が「サーマジェンとヒアルロン酸は併用できるのか?」という点です。
結論として、併用は可能ですが、最大限の効果を得るためには、施術の順番・タイミング・肌状態に応じた調整が欠かせません。この章では、サーマジェンとヒアルロン酸を併用する際の重要なポイントを詳しく解説します。
併用は可能?施術順序と間隔の考え方
サーマジェンとヒアルロン酸の併用は、「先にサーマジェン、後にヒアルロン酸」が基本です。これは、サーマジェンの高周波が先に注入されたヒアルロン酸に影響し、吸収を早めてしまうリスクがあるためです。
ヒアルロン酸を先に入れると、数週間で減ってしまったり、左右差の原因になることもあります。まずサーマジェンで皮膚を引き締めた上で、不足部分にヒアルロン酸を加えることで、自然で無駄のない仕上がりが可能になります。
注入のタイミングは、当日でも可能な場合がありますが、肌の安定を考慮して数日〜1週間あけるのが理想的。特に敏感肌の方は、医師と相談しながらスケジュールを調整しましょう。
併用のメリットとリスクを正しく理解する
サーマジェンとヒアルロン酸の併用最大のメリットは、たるみとボリューム不足の両方に立体的にアプローチできる点です。サーマジェンでフェイスラインを引き締め、残った凹みにはヒアルロン酸を注入することで、自然で若々しい仕上がりが得られます。
さらに、引き締まった肌にヒアルロン酸を注入することで、定着が良くなり仕上がりも安定しやすくなるという利点もあります。
ただし、施術の順番やタイミングを誤ると、ヒアルロン酸が分解されてしまったり、仕上がりにズレが生じることもあります。効果を最大限に引き出すには、順序・量・部位を的確に判断できる医師の施術が不可欠です。
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併用がおすすめされる症例とは?
サーマジェンとヒアルロン酸の併用が特に効果的なのは、たるみとボリュームロスが同時に進行しているケースです。中年層で頬のこけやフェイスラインのへこみが気になる方には、サーマジェンで引き締め、ヒアルロン酸で凹みを補うことで自然な若返りが期待できます。
また、目の下のたるみや影クマに悩む方にも、サーマジェン+ヒアルロン酸(またはベビーコラーゲン)の併用が有効です。さらに、顔の左右差や輪郭の非対称が気になる方にも、引き締めとボリューム調整を組み合わせることで、全体のバランスが整いやすくなります。
このように併用は単独施術では得られない相乗効果を生み出しますが、効果を最大限にするには、施術の順番・部位・量を的確に判断できる医師の技術が不可欠です。
5. サーマジェン・ヒアルロン酸の料金目安とコスパ
美容医療においては、効果と同じくらい「費用面」も重要な判断材料になります。とくに複数回の施術や、継続が前提となる治療の場合、「一回あたりの料金」だけでなく「効果の持続性」や「満足度」に対するコストパフォーマンスも考慮しなければなりません。
ここでは、サーマジェンとヒアルロン酸の一般的な料金相場や部位ごとの価格、そして“効果×価格”の視点から、どのように選ぶとコスパが高くなるのかを解説します。

サーマジェンの料金と部位ごとの違い
サーマジェンの施術費用は、照射部位や照射範囲によって異なりますが、顔全体でおよそ3万〜6万円前後が一般的な相場です。フェイスラインや頬の一部のみといった「部分照射」の場合は、2万円台から施術可能なクリニックもあります。
首やあご下などのオプション部位を加えると、1回あたりの総額は8万円程度になることもありますが、施術直後からリフト感が実感できるうえに、数ヶ月の持続が見込める点をふまえると、比較的費用対効果の高い施術といえるでしょう。
また、初回限定価格や複数回セット割を設けているクリニックもあり、3回セットで15万円前後といったプランで通いやすくなる場合もあります。継続的なリフトアップや肌質改善を目指す方には、コース利用も現実的な選択肢です。
ヒアルロン酸の注入量別の価格感
ヒアルロン酸の料金は、製剤の種類・注入量・部位によって大きく異なります。一般的には1ccあたり4〜8万円程度が相場で、複数部位(こめかみ・頬・あごなど)に注入する場合は10万円以上になることもあります。
ボリューム形成に使われる高架橋製剤(ジュビダームボリューマ・ボラックスなど)はやや高価ですが、持続力が長く、輪郭補正に適しています。
一方、涙袋や口元など動きの多い部位には柔らかい製剤が用いられ、比較的価格も控えめです。
また、医師の技術料やデザイン力によって仕上がりに差が出るため、価格だけでなく仕上がりの質にも注目することが大切です。
効果×価格で考えるコスパ重視の選び方
「サーマジェンとヒアルロン酸、どちらがお得か」を判断するには、単純な価格比較ではなく、目的に合った効果が得られるかが重要です。
若年層で深いシワやボリュームロスが少ない場合は、サーマジェンだけでもナチュラルな引き締め効果が期待でき、数万円で得られる変化としてはコスパも優れています。
一方、40代以降でボリュームダウンが進んでいる方や即効性を重視する場合には、ヒアルロン酸による構造的な補正が効果的です。見た目の変化がはっきり実感できることは、高い満足感にもつながります。
また、併用することで仕上がりの完成度がさらに高まることもあるため、「予算内で何を一番重視したいか」を明確にし、それに合った選択をすることが後悔しないための鍵となります。
6. まとめ
サーマジェンとヒアルロン酸は、どちらも加齢によるたるみやシワにアプローチする有効な施術ですが、その作用の仕方や目的は大きく異なります。
サーマジェンは高周波によって肌を内側から引き締め、自然なリフトアップを叶えるのに対し、ヒアルロン酸は減ったボリュームを補うことで立体的な若返りを実現します。
両者は併用も可能であり、正しい順番とタイミングを守ることで、たるみとボリュームロスの両方に同時にアプローチすることができます。
それぞれの効果やコストパフォーマンスを理解し、自分の肌悩みや目的に合った施術を選ぶことが、美容医療で満足のいく結果を得るための第一歩です。