毛穴の詰まりに悩む方にとって、ピーリングは有力な選択肢のひとつとして注目されています。皮膚科や美容クリニックでも、毛穴トラブルにピーリングを勧めるケースは少なくありません。
しかし一方で「ピーリングをしても毛穴がキレイにならなかった」「逆に目立ったような気がする」と感じる人もいます。
この記事では、毛穴詰まりの原因から、ピーリングの効果、肌質に合ったケアの選び方まで、医師監修のもとで詳しく解説していきます。
1. 毛穴詰まりはなぜ起こる?まずは原因を知ろう
毛穴が詰まる原因は一つではありません。生活習慣や肌質、使用しているスキンケアアイテムなど、多くの要素が複雑に絡み合って毛穴のトラブルが起こります。まずはその主な原因を整理しましょう。
皮脂の過剰分泌とターンオーバーの乱れ

肌の表面では、常に皮脂と汗が分泌され、角質層が新しく入れ替わる「ターンオーバー」が行われています。
この働きが正常であれば、毛穴の中に皮脂や古い角質がたまることは少なく、肌は自然と清潔な状態を保てます。
しかし、皮脂が過剰に分泌されていたり、ターンオーバーが乱れて古い角質が残っていたりすると、毛穴の中にそれらが蓄積しやすくなります。
とくに思春期やホルモンバランスの乱れが起こりやすい年代、ストレス過多の生活、脂っこい食事なども皮脂分泌を促す要因となるため注意が必要です。
クレンジング不足や間違った洗顔
毛穴詰まりの一因として見落とされがちなのが、「落としきれていないメイク」や「不十分な洗顔」です。
たとえば、アイメイクや日焼け止め、毛穴をカバーする化粧下地などは皮脂と混ざることで毛穴内部に入り込みやすく、クレンジングや洗顔が不十分なまま放置すると、徐々に毛穴詰まりの原因となります。
逆に、洗顔のしすぎも問題です。何度も洗ったり、洗浄力の強い洗顔料を使うと、肌のバリア機能が損なわれ、かえって皮脂が過剰に分泌される悪循環に陥ることもあります。
スキンケアやメイク習慣も毛穴詰まりに影響
意外と見落とされがちなのが、スキンケアやメイクのアイテム選びです。たとえば、油分の多い保湿クリームやファンデーションが肌に残っていると、酸化して毛穴に蓄積し、黒ずみや角栓の原因になります。
また、「ニキビ用」や「毛穴ケア用」と書かれたアイテムでも、成分によっては肌に刺激を与え、かえって角質の代謝を乱すこともあります。自分の肌質や状態に合った成分を見極めることが大切です。
2. ピーリングは毛穴詰まりに効果があるの?
毛穴の悩みを抱える人がピーリングに関心を寄せるのは、自然な流れです。
ここでは、ピーリングがどのように作用し、どのような効果を期待できるのかを詳しく見ていきましょう。

ピーリングが角質と皮脂にどう働くのか
ピーリングとは、肌の表面に残った古い角質や皮脂、汚れなどを取り除き、ターンオーバーを正常に整える施術やスキンケアのことを指します。
大きく分けて、AHA(アルファヒドロキシ酸)やBHA(ベータヒドロキシ酸)などの酸を使った「ケミカルピーリング」と、スクラブなどで物理的に角質を除去する「物理的ピーリング」があります。
とくにケミカルピーリングは、肌の角質層に浸透し、表面の老廃物を溶かして取り除くため、毛穴の中にたまった皮脂や角栓を柔らかくして排出しやすくする働きがあります。
毛穴詰まりへの具体的な改善効果とは
ピーリングによって古い角質や汚れが取り除かれると、毛穴に詰まっていた角栓が浮き上がり、自然と排出されやすくなります。また、毛穴周囲の肌のキメが整うことで、毛穴そのものの目立ちが緩和されるケースもあります。
さらに、定期的なピーリングによりターンオーバーが正常化すると、毛穴の内部環境が整い、皮脂の過剰分泌も落ち着く可能性があります。
その結果、毛穴詰まりの再発を防ぐ予防効果も期待できます。
「ピーリングは効果ない」と感じるケースとその理由
一方で、「ピーリングをしても毛穴が改善されなかった」と感じる人も少なくありません。その多くは、以下のような原因が考えられます。
・1回の施術で劇的な変化を求めてしまう
・肌状態に合わない強すぎる成分を使ってしまう
・保湿や紫外線対策を怠って逆に肌状態を悪化させてしまう
ピーリングは一度で毛穴詰まりを完全に改善するような即効性のある治療ではなく、あくまで継続的なケアの一環として取り入れることで、その効果が発揮されるものです。
3. 毛穴ケアに向いているピーリングの種類とは?

毛穴詰まりの改善を目指すうえでは、肌質や悩みに合ったピーリング剤を選ぶことが欠かせません。
ここでは、代表的な成分ごとに特徴を見ていきましょう。
サリチル酸|脂性肌・黒ずみにおすすめ
サリチル酸はBHA(ベータヒドロキシ酸)に分類される成分で、脂溶性のため皮脂になじみやすく、毛穴の奥に溜まった皮脂や角栓を溶かして除去する力に優れています。
とくに脂性肌や黒ずみが気になる人、ニキビができやすい肌に適しています。
クリニックではサリチル酸マクロゴールという皮膚刺激の少ない安定型サリチル酸を使うケースが多く、安全性と効果のバランスが取れています。
関連記事:サリチル酸ピーリングの効果とは?メリットや肌悩み別の選び方も解説
グリコール酸・乳酸|くすみ・ざらつきケアに
グリコール酸や乳酸はAHA(アルファヒドロキシ酸)に分類され、水溶性で比較的浅い層の角質を優しく除去する作用があります。乾燥肌や敏感肌にも使いやすく、肌のくすみやざらつきが気になる方、毛穴周囲の肌質改善を目指す方に向いています。
これらの成分は、自宅用のスキンケアアイテムにも多く含まれており、比較的取り入れやすい点もメリットです。
AHA・BHAの違いと肌質別の選び方
AHAとBHAは、どちらも角質を除去する働きを持ちますが、その作用の深さや得意分野に違いがあります。
脂性肌でニキビや黒ずみが気になる場合はBHA、乾燥やくすみ、肌のトーンを明るくしたい場合にはAHAが向いています。
肌状態を見ながら、刺激が強すぎない濃度から少しずつ始めていくことが、肌トラブルを避けるコツです。
4. ピーリングで毛穴が悪化することはある?
「ピーリングを始めたら、かえって毛穴が目立ってきた気がする」「皮むけやヒリつきが起きて不安になった」という声を聞くことがあります。ピーリングは角質に作用する分、肌への負担がゼロとは言えません。
とくに使い方を誤ると、期待する効果どころか逆効果となるリスクもあるため注意が必要です。
やりすぎによる刺激や乾燥に注意
ピーリングは回数を重ねればよい、というものではありません。
過剰なピーリングは角質を過度に取り去ってしまい、肌のバリア機能が低下します。バリア機能が損なわれると、わずかな刺激にも敏感に反応しやすくなり、赤み・乾燥・かゆみなどのトラブルが生じやすくなります。
また、角質が薄くなりすぎると紫外線の影響をダイレクトに受けるようになり、色素沈着やシミの原因になることもあります。「毎日使える」と記載されたアイテムであっても、肌の様子を見ながら頻度を調整することが重要です。

合わない成分や使い方で赤み・皮むけが出る場合も
市販のピーリング剤には、AHAやBHAの濃度が高めに設定されているものや、複数の酸が配合されたタイプもあります。これらは即効性がある反面、肌質によっては刺激となる場合があり、赤み・かゆみ・皮むけといった症状が現れることもあります。
また、摩擦を伴う使用法や、ピーリング後すぐに刺激の強い美容液やレチノールなどを重ねると、炎症を引き起こすこともあるため要注意です。
毛穴が「目立つ」と感じるのは一時的な反応のことも
ピーリング後に「毛穴が開いたように感じる」という方もいますが、これは角質や汚れが取れたことで毛穴の中身がなくなり、内側の空洞が一時的に露出して目立つだけのことも多いです。
数日かけて肌がふっくら整ってくると、次第に毛穴は目立ちにくくなっていく傾向にあります。
大切なのは、焦って追加のピーリングや強いスキンケアを重ねないこと。肌が自ら回復する力を信じて、保湿とUVケアを丁寧に行うことが回復の近道です。
5. クリニックと自宅ピーリングの違いと選び方
毛穴ケアとしてピーリングを検討する際、「クリニックで受けるべきか?」「市販アイテムで十分か?」という迷いを抱く方も少なくありません。それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った選択をすることが大切です。
医療機関でのピーリングの特徴とメリット
美容皮膚科などの医療機関で行われるピーリングは、医師の診察のもと、肌質や目的に合わせた薬剤と濃度で行われます。たとえば、サリチル酸マクロゴール、グリコール酸、TCA(トリクロロ酢酸)などが代表的です。
医療機関でのピーリングには以下のようなメリットがあります。
・目的に合った薬剤を的確に選んでもらえる
・高濃度でも安全な環境で施術を受けられる
・肌トラブルが起きた場合の対応も迅速
また、レーザーやイオン導入、保湿マスクなどを併用してトータルケアが受けられる点も、ホームケアとの大きな違いです。
市販アイテムでケアする場合の注意点
市販のピーリングアイテムには、トナー・ジェル・拭き取りタイプ・洗い流すパックなど様々な形状があります。
日常的な角質ケアとして取り入れやすい反面、使い方を誤ると肌トラブルにつながるリスクもあります。
特に注意したいのは以下の点です。
・成分表を確認し、アルコールや香料が強すぎるものは避ける
・使用後は必ず保湿とUVケアを徹底する
・毎日使用するのではなく、週1〜2回からスタートする
「効果がある=強い薬剤」というわけではないため、敏感肌の方やピーリング初心者は、まずは低刺激のAHAや乳酸を使ったアイテムから試すのが無難です。
自分に合った選び方をするための判断基準
自宅用かクリニックかを選ぶ際には、自分の肌悩みの「深さ」と「優先度」を基準に考えてみてください。
たとえば、毛穴の詰まりが軽度でスキンケアの一環としてピーリングを取り入れたい場合は、自宅用のアイテムから始めてもよいでしょう。一方、黒ずみや開きが目立ち、長年の蓄積がある場合は、まずはクリニックでの診断と施術を受ける方が早く・安全に効果を実感できる可能性があります。
「市販で効果が出なかったから医療に切り替える」のではなく、最初から目的や肌状態に応じて適切な選択をすることが、結果的に肌を守る近道になります。
関連記事:ピーリングの効果と種類を徹底解説|肌悩み別の選び方も紹介
6. 毛穴詰まりを繰り返さないためのケアのポイント
一時的に毛穴の詰まりを解消できたとしても、生活習慣やスキンケアを見直さない限り、再発してしまう可能性は高いです。ピーリングの効果をより持続させ、詰まりにくい肌を維持するためには、日常のケアがカギを握ります。
日々の洗顔・保湿・紫外線対策の見直し

毛穴詰まりを防ぐうえで基本となるのは、やはり「落とす・潤す・守る」の3つのステップです。
メイクや日焼け止めをしっかり落とすクレンジング、過不足のない洗顔、肌に合った保湿、そして紫外線をカットするための日焼け止めは、すべてが連動して毛穴の健康を保ちます。
肌が乾燥すると皮脂分泌が増え、結果として毛穴が詰まりやすくなるため、「脂性肌=保湿不要」とは考えず、適度な水分と油分のバランスを意識することが大切です。
ピーリング後のアフターケアで効果を高める
ピーリング後は、肌が一時的に敏感で乾燥しやすくなっています。以下のようなケアを意識しましょう。
・アルコールフリーで低刺激の化粧水・乳液を使う
・ビタミンCやセラミド、ヒアルロン酸などの整肌成分を補う
・ピーリング直後は摩擦やマッサージを避ける
また、紫外線を受けることで色素沈着が起きやすくなるため、外出時は必ずSPF入りの日焼け止めを使用し、帽子や日傘も活用することが勧められます。
ピーリングの頻度と肌状態のバランスがカギ
ピーリングの適切な頻度は、肌質や使用している製品によって異なります。
一般的には以下のような目安が参考になります。
・クリニックのケミカルピーリング:月に1回程度
・自宅用AHA/BHAアイテム:週1〜2回からスタート
赤みや乾燥が出たら無理に続けず、いったんお休みする判断も必要です。「肌がなめらかになるから」と続けすぎると、逆にバリア機能が低下し、毛穴トラブルを招くことがあります。
肌と対話しながら、無理のないペースで継続することが、最も効果的な毛穴ケアと言えるでしょう。
7. まとめ
毛穴詰まりに悩む多くの方にとって、ピーリングは非常に有効なケア方法のひとつです。古い角質や皮脂汚れを除去し、肌のターンオーバーを整えることで、詰まりにくく、毛穴の目立ちにくい肌環境を整えることができます。
ただし、やりすぎや誤った使い方はかえって逆効果となることもあるため、肌の状態に応じた方法と頻度を見極めることが何より重要です。クリニックでの施術とホームケア、どちらにもメリットはありますが、悩みの程度や求める効果に応じて、最適な方法を選ぶことが美肌への近道となります。
正しいピーリングケアを習慣にし、肌本来の美しさを引き出していきましょう。
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