肌のザラつきやくすみ、毛穴詰まり、ニキビ、小ジワやハリの低下など、多くの人が抱える肌悩み。
その一因として注目されているのが「ターンオーバーの乱れ」です。
古い角質が肌に残ると、毛穴が詰まり、くすみの原因となり、スキンケアの効果も十分に得られません。そんなときに有効なのが「ピーリング」です。
この記事では、医療機関で受けられるピーリングの種類や効果、市販品との違い、施術前に知っておきたい注意点まで詳しく解説します。自分の肌に合ったピーリングを見つける参考にしてください。
1. ピーリングとは?
ピーリングの目的と働き

ピーリングとは、肌表面の古い角質や毛穴に詰まった汚れを取り除くスキンケアの一種です。主に酸性の薬剤を使い、肌表面の角質細胞の結合をゆるめて剥離させることで、肌のターンオーバー(新陳代謝)を促します。
ターンオーバーは、約28日周期で肌の奥から新しい細胞が生まれ、表面に押し上げられ、最終的には垢となって自然に剥がれ落ちる仕組みです。しかし、加齢やストレス、乾燥、紫外線などの影響でこのサイクルが乱れると、古い角質が剥がれずに肌に蓄積してしまいます。
その結果、肌のごわつきやくすみ、ニキビ、毛穴の詰まり、化粧ノリの悪さなどさまざまなトラブルにつながります。ピーリングによって不要な角質を除去することで、肌は生まれ変わったように明るく滑らかになり、美容成分の浸透も高まります。
角質除去が肌に与える影響
角質層の厚みや状態は、肌の印象を大きく左右します。ピーリングによって古い角質が除去されると、肌のトーンが均一になり、透明感が増すだけでなく、滑らかで柔らかい手触りになります。また、毛穴の詰まりや黒ずみも軽減されやすくなります。
さらに、ピーリングには皮脂分泌を抑える作用もあるため、ニキビの原因となるアクネ菌の繁殖を防ぎ、炎症を抑える効果も期待できます。
小ジワやハリ不足といったエイジングサインに対しても、ターンオーバーの正常化によるコラーゲン生成の促進を通じて、肌のハリや弾力をサポートする可能性があります。
ただし、過度なピーリングは肌のバリア機能を低下させ、乾燥や敏感肌を引き起こすこともあるため、肌状態に応じた頻度と種類の選択が重要です。
2. ピーリングの主な種類と特徴
ピーリングと一口にいっても、その成分や作用の深さによって種類はさまざまです。
美容皮膚科で使用されるケミカルピーリング剤は、目的に応じて使い分ける必要があります。ここでは代表的なピーリング剤の特徴と効果を紹介します。

サリチル酸(サリチル酸マクロゴール)
サリチル酸は脂溶性の酸で、皮脂に溶け込みやすい性質を持つため、毛穴の詰まりや黒ずみ、ニキビの治療によく用いられます。
ただし、単体での使用では刺激が強く、赤みや乾燥を招くリスクがあるため、医療現場では「サリチル酸マクロゴール」という特殊な基剤と組み合わせた製剤が主流となっています。
このマクロゴールによってサリチル酸の浸透がコントロールされ、肌への刺激を抑えつつ高いピーリング効果が得られるようになっています。角栓の除去や毛穴の引き締め、ニキビ予防に向いており、比較的幅広い肌タイプに対応可能です。
関連記事:サリチル酸ピーリングの効果とは?メリットや肌悩み別の選び方も解説
マッサージピール(PRX-T33など)
マッサージピールとは、TCAを主成分としながらも、過酸化水素(H₂O₂)とコウジ酸などを組み合わせ、皮膚表面を剥がすことなくコラーゲン生成を促す、革新的なピーリング剤です。代表的な製品に「PRX-T33」があります。
肌表面にはダメージを与えず、真皮層で線維芽細胞を刺激するため、ハリ感アップや毛穴の引き締め、美白効果が期待できます。術後の赤みや皮むけがほとんどなく、ダウンタイムが取れない人でも受けやすいのがメリットです。
グリコール酸
グリコール酸はAHA(アルファヒドロキシ酸)の一種で、サトウキビや果物由来の成分として知られています。
水溶性で分子が非常に小さいため、角質層への浸透が早く、表皮の浅い層に働きかけるのが特徴です。
古い角質の除去や、肌のざらつき、くすみの改善に適しており、ターンオーバーの乱れによって起きた軽度のトラブルに対しても効果が期待できます。
比較的マイルドな作用のため、ピーリング初心者にも導入しやすい成分です。
乳酸(ラクトピール)
乳酸もグリコール酸と同じくAHAの一種でありながら、保湿作用が高く、刺激が少ないのが特長です。肌の水分保持機能をサポートしながら穏やかに角質を除去するため、乾燥肌や敏感肌の方にも使いやすいピーリング剤です。
美白作用にも優れており、色ムラやくすみの改善を目的としたピーリングに用いられることが多く、肌の透明感を高めたい方に向いています。
トリクロロ酢酸(TCA)
トリクロロ酢酸(TCA)は作用が深く、真皮層にまで届く中程度〜強めのピーリング剤です。
強い再生力を促すため、ニキビ跡の凹凸や小ジワ、浅い傷跡、毛穴の開きなどに対して効果が期待できます。
一方で、赤みや皮むけといったダウンタイムがあることから、使用には医師の管理が必要不可欠です。肌質や目的を慎重に見極めながら使用する、高度な治療用ピーリングのひとつです。
レチノールピール
レチノール(ビタミンA誘導体)を高濃度で使用するピーリングは、一般的に「レチノールピール」と呼ばれます。
皮脂分泌の抑制作用とターンオーバー促進作用があるため、ニキビや皮脂トラブルの改善に効果が高いとされます。
また、コラーゲン生成を活性化させる働きもあるため、小ジワやたるみ、毛穴の開きといった加齢による肌変化に対しても有効です。乾燥や赤みなどの副反応が出やすいため、医師の指導のもとで使用するのが安心です。
3. その他のピーリング(ミラノリピール・ウーバーピールなど)
従来のピーリングよりも低刺激で高い効果を目指せる製剤として、ミラノリピールやウーバーピールなどの新世代ピーリングが登場しています。いずれも複数の有効成分を組み合わせ、さまざまな肌悩みに対応できるのが特長です。
ミラノリピールはTCA(トリクロロ酢酸)をベースに、乳酸・グリコール酸・サリチル酸などのピーリング成分に加えて、アミノ酸やビタミン、保湿成分を配合。
肌表面を剥がすことなく深部に働きかけることで、ハリや透明感を引き出します。顔だけでなく、首やデコルテ、背中、肘・膝などの色素沈着にも効果があり、ボディのトーンケアにも活用されています。
ウーバーピールは、乳酸・マンデル酸・アゼライン酸・ナイアシンアミドなどを配合した低刺激処方で、ニキビ・赤み・色素沈着といった多様な悩みに対応。敏感肌の方にも比較的使いやすいピーリングとして位置づけられています。
これらの製剤は、角質除去にとどまらず「再生」「美白」「抗炎症」「保湿」といった多面的な効果を持ち、よりパーソナライズされたスキンケアを実現する選択肢として注目されています。
関連記事:ピーリングの効果と種類を徹底解説|肌悩み別の選び方も紹介
4. 【肌悩み別】あなたに合ったピーリングの選び方
数多くのピーリング剤がある中で、どの施術を選べばよいのか迷ってしまう方も少なくありません。ピーリングは肌質や悩みによって向き・不向きがあるため、目的に応じた選択が大切です。
毛穴詰まり・黒ずみを解消したい方

毛穴に皮脂が詰まりやすく、黒ずみや開きが気になる方には、脂溶性の成分である「サリチル酸マクロゴール」がおすすめです。皮脂に溶け込み、毛穴の奥に詰まった汚れや角栓を溶かし出す効果があるため、鼻周りやあごのざらつきが改善しやすくなります。
また、グリコール酸もターンオーバーを整えることで角質肥厚を抑え、毛穴の目立ちにくい肌へと導きます。毛穴の詰まりがニキビの原因となっている場合には、ピーリングとあわせて抗菌・抗炎症効果のある治療も検討するとよいでしょう。
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シミ・くすみを明るく見せたい方
肌全体のくすみや、紫外線によるシミ・色素沈着が気になる方には、美白成分を含んだピーリングがおすすめです。特に「乳酸(ラクトピール)」は保湿しながら透明感を引き出す作用があり、乾燥肌にもやさしく使えます。
さらに、ミラノリピールやマッサージピールのように、美白成分(コウジ酸など)を配合したピーリングは、表皮のメラニン排出を助けながら肌トーンを均一に整えるため、美白ケアとして非常に効果的です。
ニキビ・ニキビ跡が気になる方
ニキビができやすい脂性肌の方、または炎症が治まった後の赤みや色素沈着が残ってしまっている方には、「サリチル酸」「ウーバーピール」「レチノールピール」などが向いています。
皮脂抑制効果や殺菌作用のある成分を含んだピーリングは、毛穴を清潔に保ち、ニキビの再発を防ぐのに役立ちます。とくにレチノールはターンオーバーを加速し、色素沈着の排出を促すだけでなく、凹凸改善や皮膚再生の面でもメリットがあります。
エイジングサイン(小ジワ・ハリ不足)が気になる方
加齢に伴う小ジワやたるみ、肌のハリの低下が気になる方には、「マッサージピール」や「レチノールピール」「TCA(中濃度以上)」といった、真皮に働きかけるピーリングが適しています。
特にマッサージピールは、真皮層の線維芽細胞にアプローチしてコラーゲン生成を促進するため、肌の内側からふっくらとしたハリ感が蘇ります。また、レチノールは長期的な使用により皮膚構造の改善が期待でき、加齢による毛穴のたるみや質感の粗さも改善しやすくなります。
5. クリニックと市販のピーリングの違い
ピーリングと聞くと、市販のスキンケア用品を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、医療機関で受けられるピーリングと、ドラッグストアや通販で手に入る市販品とでは、その効果や安全性に大きな違いがあります。
成分濃度と使用できる薬剤が異なる
まず大きな違いは、使用できる成分の「濃度」と「種類」です。医療機関では、医師の管理のもと高濃度の酸を使用することが認められており、表皮のターンオーバーをよりしっかりと促すことができます。
一方、市販品はあくまで「化粧品」または「医薬部外品」に分類されるため、肌への刺激や副作用のリスクを考慮して濃度が大きく制限されています。
市販のピーリングジェルやローションは、日常的なお手入れとして穏やかな角質ケアには役立ちますが、医療用ピーリングのような明確な肌質改善効果を得るには限界があります。

施術の深さと作用する層が違う
クリニックで行うピーリングは、目的に応じて作用する深さを調整できる点も特長です。表皮の浅い部分だけに働きかけるものから、真皮に届いてコラーゲンの再構築を促すものまで、治療レベルの施術が可能です。
これに対し、市販のピーリングは基本的に角質層(表皮の最も外側)までしか作用せず、肌の構造そのものに変化を与えることはできません。
そのため、エイジングケアや色素沈着など、肌の深部に原因がある悩みに対しては十分な効果が期待できない場合があります。
専門的な診断とアフターケアの有無
クリニックでのピーリングでは、施術前に医師が肌の状態を診察し、悩みに応じた薬剤や濃度を選定します。赤みや乾燥などの副作用が出た場合も、医療の視点から適切に対処できる体制が整っており、安全性が確保されています。
また、施術後には肌の状態に応じた保湿ケアや日焼け止めの指導など、アフターケアが行われるため、治療効果を最大限に引き出すことができます。
一方、市販のピーリングは自己判断で使用することが多く、肌の状態に合わない製品を選んでしまうと、逆にトラブルを招くリスクがあります。とくに敏感肌やトラブル肌の方は注意が必要です。
目的や肌悩みに合わせた選び方を考える
市販のピーリングは、軽いくすみやざらつきの改善など、日々のスキンケアとして取り入れるには便利なアイテムです。ただし、明確な肌悩み(ニキビ・毛穴・小ジワ・色素沈着など)を改善したい場合は、医師による診断と専門的な治療を受けることで、より確実な結果が得られます。
クリニックと市販品、それぞれのメリット・デメリットを理解し、目的に応じた使い分けを意識することが、美肌への近道といえるでしょう。
6. ピーリング施術を選ぶ前に確認したい注意点
ピーリングは多くの肌トラブルに有効な治療法ですが、肌状態や生活習慣によっては注意が必要なケースもあります。安全に施術を受け、望ましい効果を得るためには、いくつかのポイントを事前に理解しておくことが大切です。
肌が敏感な時期や肌荒れ中は避ける
ピーリングは肌表面の角質を剥離するため、健康な皮膚でも一時的に乾燥や赤みを生じることがあります。
もともとバリア機能が低下している敏感肌や、炎症を伴う肌荒れ(湿疹・かぶれ・アトピーなど)がある状態で施術を行うと、刺激によって症状が悪化する恐れがあります。
たとえば、日焼け直後や季節の変わり目で肌が不安定になっている時期も、ピーリングは控えるのが賢明です。
施術前に医師の診察を受け、その日の肌状態を正確に判断してもらうことで、トラブルのリスクを最小限に抑えることができます。
紫外線対策ができない時期は控える
ピーリング後の肌は、角質層が一時的に薄くなることで紫外線に対して敏感になります。そのため、日焼けによる色素沈着やシミが生じやすくなります。
海や山、屋外イベントなど、強い紫外線を浴びる機会が多い時期や、日焼け止めをしっかり塗るのが難しい環境が続く場合は、ピーリング施術を延期するのが安全です。
特にTCAやマッサージピール、レチノールピールなどの中〜深層に働きかけるピーリングは、紫外線ダメージとの相性が悪いため、秋冬〜春先など比較的紫外線の少ない時期に行うのがおすすめです。

ピーリング後はしっかり保湿を行う
ピーリングを受けた後は、角質層が一時的に薄くなっており、水分の蒸発が進みやすい状態です。
肌が乾燥すると、赤みやかゆみ、小ジワの目立ちなどのトラブルが起きやすくなるため、施術後は保湿ケアを丁寧に行うことが必須です。
ヒアルロン酸やセラミドを含んだ保湿剤を用いて、肌のバリア機能をサポートしましょう。とくに皮むけやほてり感が出た場合は、無理に触らず、冷却や保湿を徹底することで、肌の回復がスムーズになります。
頻度を守り、やりすぎを避ける
ピーリングは、回数を重ねることで肌質改善につながる施術ですが、やりすぎは逆効果です。頻繁に角質を除去しすぎると、肌のバリア機能が低下し、敏感肌や慢性的な乾燥肌を招いてしまうことがあります。
一般的には2〜4週間に1回程度が目安とされていますが、使用する薬剤や肌の状態によって適切な頻度は異なります。自己判断で市販品を毎日のように使うことは避け、専門家の指導のもとで正しい間隔を守ることが大切です。
関連記事:ピーリングの頻度はどれくらいが適切?やりすぎのリスクも解説
使用成分と肌質の相性を確認する
ピーリングに使われる成分にはさまざまな種類があり、肌質によって向き不向きがあります。たとえば、脂性肌で毛穴詰まりが気になる方にはサリチル酸系が効果的ですが、乾燥肌や敏感肌の方には刺激が強すぎる場合があります。
一方、乳酸やマッサージピールのように保湿成分や抗炎症成分を含むピーリングは、比較的マイルドな使用感で肌への負担が少ない傾向にあります。
施術前にはカウンセリングで肌のタイプや悩みをしっかり伝え、自分に合った製剤を選んでもらうようにしましょう。
併用施術の順番と間隔を調整する
美容医療では、ピーリングを他の施術と組み合わせて行うことがありますが、その際には順番やタイミングに注意が必要です。
たとえば、レーザー治療や高周波治療、ヒアルロン酸注入、ボトックスなどを併用する場合、肌に過度な刺激を与えないよう、前後の間隔を空けることが推奨されます。
同日に複数の施術を希望する場合は、必ず医師に相談し、安全かつ効果的な順番で施術を組み立ててもらうようにしましょう。肌のコンディションや回復力に合わせて計画を立てることで、トラブルを防ぎながら美肌効果を最大化できます。
7. まとめ
ピーリングは、古い角質を除去し、肌のターンオーバーを整えることで、くすみ・毛穴・ニキビ・小ジワなど幅広い肌悩みに対応できる治療です。
薬剤の種類によって作用の深さや効果が異なり、肌質や目的に合わせた選択が大切です。
医療機関で行うピーリングは、高濃度かつ効果的な薬剤を使用できる一方で、肌状態や時期によっては注意が必要です。施術後の保湿や紫外線対策も欠かせません。
セルフケアでは限界を感じる肌悩みも、専門的な診断と適切な施術によって改善が期待できます。まずは美容皮膚科での相談から始めてみてはいかがでしょうか。
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