鏡を見るたびに気になる、目の下のクマ。「疲れてる?」「寝不足?」と聞かれることも多く、コンシーラーで隠すのも限界…。そんな深いお悩みを抱えている方も少なくないでしょう。
目の下のクマは、実年齢よりも老けて見えたり、暗い印象を与えたりするため、多くの方が改善したいと願っています。
この記事では、メスを使わない「切らないクマ取り治療」として注目されている注射治療、特にヒアルロン酸注射と再生注射(PRP・幹細胞)に焦点を当てます。
それぞれの治療がどのような効果をもたらすのか、費用はどれくらいか、そして知っておくべきデメリットやリスクについて、詳しく解説します。
あなたのクマの悩みを解消するヒントが見つかるかもしれません。
目の下のクマなぜできる?原因と種類を解説
目の下のクマは、単なる寝不足や疲れだけが原因とは限りません。クマにはいくつかの種類があり、それぞれ原因や見た目の特徴が異なります。
自分のクマがどのタイプなのかを知ることが、適切なクマ取り治療を選ぶための第一歩です。間違ったケアを続けると、かえってクマが目立ってしまうこともあるため注意が必要です。
疲れて見える「クマ」の正体
一般的に「クマ」と呼ばれるものは、目の下の皮膚の色が暗く見えたり、影によってくぼんで見えたりする状態を指します。
目の周りの皮膚は非常に薄く、体調の変化や加齢による影響が現れやすいデリケートな部分です。睡眠不足や疲労、ストレスなどで血行が悪くなると、血液の色が透けて見えやすくなります。
また、年齢とともに皮膚のハリが失われたり、脂肪のつき方が変化したりすることも、クマが目立つ大きな原因となります。
クマの種類①:青クマ(血管性)
青クマは、目の下の皮膚が青黒く見える状態です。主な原因は血行不良です。
目の周りには毛細血管が多く集まっていますが、睡眠不足、長時間のデスクワークによる目の疲れ、ストレス、体の冷えなどによって血流が滞ると、血管が拡張し、その色が薄い皮膚を通して透けて見えてしまいます。
特に色白の方や皮膚が薄い方に目立ちやすい傾向があります。生活習慣の見直しや、目元を温めるなどのケアで改善が期待できる場合もあります。
クマの種類②:茶クマ(色素沈着性)
茶クマは、目の下が茶色くくすんで見える状態です。これは主にメラニン色素の沈着が原因です。
目をこする癖、落ちにくいアイメイクによるクレンジング時の摩擦、紫外線ダメージの蓄積などが、皮膚に刺激を与え、メラニンの生成を促します。
また、アトピー性皮膚炎や花粉症などで目元にかゆみが出やすい方も、無意識にこすってしまい茶クマになりやすいと言えます。
美白成分の入ったスキンケアや、摩擦を避ける生活習慣が改善のポイントです。
クマの種類③:黒クマ(影クマ)
黒クマは、目の下が黒っぽく影のように見える状態です。これは皮膚の色素沈着ではなく、加齢などによる顔の構造的な変化が原因で生じる「影」です。
年齢とともに皮膚のコラーゲンやエラスチンが減少し、ハリや弾力が失われると、目の下の皮膚がたるみます。
また、目の下の脂肪(眼窩脂肪)が前に突き出してきたり、逆に頬の脂肪が減少してくぼんだりすることで、段差が生じ、そこに影ができて黒クマとして認識されます。
このタイプのクマは、セルフケアでの改善が難しく、美容医療の介入が効果的な場合が多いです。
クマの種類別特徴まとめ
| クマの種類 | 主な原因 | 見た目の特徴 |
|---|---|---|
| 青クマ | 血行不良(疲れ・寝不足・冷え等) | 青黒く、皮膚を引っ張ると薄くなる |
| 茶クマ | 色素沈着(摩擦・紫外線等) | 茶色くくすんでいる、皮膚を引っ張っても動かない |
| 黒クマ | たるみ・くぼみ(加齢等) | 影のように黒い、上を向くと薄くなる |
クマ取り注射治療とは?切らない方法の基礎知識
クマ取り注射治療は、メスを使わずに注射器を用いて薬剤を注入することで、目の下のクマを改善する美容医療です。
手術に対する抵抗感がある方や、ダウンタイムを長く取れない方にとって、魅力的な選択肢となっています。
使用する薬剤によってアプローチの方法が異なり、主にヒアルロン酸や自身の血液を利用したPRP(再生注射)などがあります。
注射治療が注目される理由
最大の理由は、その「手軽さ」にあると言えるでしょう。切開を伴う手術と比較して、施術時間が短く、体への負担が少ない点が挙げられます。
また、多くの場合、施術直後からメイクが可能であったり、日常生活への制限が少なかったりするため、忙しい現代女性のライフスタイルにも合っています。
メスを使わないため、傷跡が残る心配がないことも、精神的なハードルを下げています。
注射治療でアプローチできるクマの種類
注射治療は、特に「黒クマ(影クマ)」の改善に高い効果を発揮します。ヒアルロン酸などを注入して皮膚のくぼみや段差を物理的に持ち上げることで、影を解消します。
また、「青クマ」に対しても、皮膚に厚みを持たせることで血管が透けて見えるのを軽減する効果が期待できます。
再生注射(PRPなど)の場合は、肌組織そのものの再生を促すため、皮膚のハリや色調の改善を通じて、複合的なクマの悩みに対応できる可能性があります。
ただし、「茶クマ」の主な原因である色素沈着に対しては、注射治療単体での直接的な改善は難しく、他の治療(レーザーやピーリングなど)との併用が推奨されることが多いです。
切る治療(脱脂など)との違い
切る治療の代表例である「経結膜脱脂術」は、まぶたの裏側から切開し、クマの原因となる余分な眼窩脂肪を取り除く手術です。
脂肪の膨らみが主な原因である黒クマに対しては、根本的な解決が期待でき、効果も半永久的とされています。一方、注射治療は、くぼみを埋めたり、皮膚の質感を改善したりするアプローチです。
効果の持続期間は薬剤によって異なり、永久的なものではありませんが、ダウンタイムが短く、修正が容易(ヒアルロン酸の場合)といったメリットがあります。
注射治療と切る治療(経結膜脱脂)の比較
| 項目 | 注射治療(ヒアルロン酸など) | 切る治療(経結膜脱脂) |
|---|---|---|
| アプローチ | くぼみを埋める・皮膚の質を改善 | 原因となる脂肪を除去・再配置 |
| 適応 | 黒クマ(くぼみ主体)・青クマ | 黒クマ(膨らみ主体) |
| ダウンタイム | 短い(数日〜1週間程度) | 比較的長い(1〜2週間程度) |
| 持続性 | 薬剤による(数ヶ月〜数年) | 半永久的(根本治療) |
| 傷跡 | 注射痕のみ(ほぼ残らない) | まぶたの裏側(表面からは見えない) |
注射治療の基本的な流れ
一般的な注射治療の流れを紹介します。まず、医師によるカウンセリングで、クマの状態や肌質、悩み、希望する仕上がりを詳しく相談します。ここで適した治療法が提案されます。
治療が決まったら、洗顔し、必要に応じて目元に麻酔クリームを塗布します(麻酔なし、または注入剤に麻酔が含まれている場合もあります)。
その後、医師がクマの状態を見ながら、極細の針やカニューレ(先端の丸い針)を使い、目的の層に薬剤を慎重に注入していきます。
施術時間は10分〜30分程度が目安です。施術後は、軽いクーリングなどを行い、状態を確認して終了です。当日からメイクが可能な場合が多いですが、詳細はクリニックの指示に従ってください。
ヒアルロン酸注射によるクマ取り治療
ヒアルロン酸注射は、クマ取り治療の中でも特にポピュラーな方法の一つです。
もともと体内に存在するヒアルロン酸を成分とした製剤を注入し、主に黒クマの原因となる目の下のくぼみや段差を解消します。
比較的短時間で効果を実感しやすいため、初めて美容医療を受ける方にも選ばれています。
ヒアルロン酸が黒クマに効く仕組み
黒クマは、加齢などによって目の下の脂肪が減ったり、皮膚がたるんだりすることで生じる「くぼみ」や「段差」が影となって現れます。
ヒアルロン酸注射は、このくぼんだ部分にジェル状のヒアルロン酸製剤を注入し、皮膚を内側から持ち上げることで、段差を滑らかにします。
光が均一に当たるようになり、影が解消されることで、黒クマが目立たなくなります。物理的にボリュームを補う治療法です。
治療の効果と持続期間
ヒアルロン酸注射の大きな魅力は、注入直後から変化を実感しやすい点です。くぼみが持ち上がることで、その場でクマが浅くなったように感じられます。
ただし、注入直後は多少の腫れを含む場合があるため、最終的な仕上がりは1〜2週間ほど様子を見ます。
効果の持続期間は、使用するヒアルロン酸製剤の種類や、個人の体質(代謝の速さなど)によって異なりますが、一般的には半年〜1年程度が目安とされています。
ヒアルロン酸は時間とともに体内に吸収されていくため、効果を維持するには定期的な再注入が必要です。
ヒアルロン酸注入のメリット
ヒアルロン酸注入のメリットは、まず施術の手軽さとダウンタイムの短さが挙げられます。
施術時間は10〜15分程度と短く、注射による内出血や腫れが出た場合でも、数日〜1週間程度で落ち着くことがほとんどです。
また、万が一、仕上がりがイメージと異なったり、凸凹になったりした場合でも、「ヒアルロニダーゼ」という溶解酵素を注射することで、注入したヒアルロン酸を溶かして修正することが可能です。
この「修正が可能である」という点は、患者にとって大きな安心材料となります。
ヒアルロン酸注射の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 適したクマ | 黒クマ(くぼみ・段差) |
| 施術時間 | 約10分〜15分 |
| ダウンタイム | 数日〜1週間程度(内出血・腫れ) |
| 持続期間 | 約半年〜1年程度(製剤・個人差あり) |
| 修正 | 溶解酵素(ヒアルロニダーゼ)で可能 |
考えられるデメリットとリスク
手軽な治療法ですが、デメリットやリスクも理解しておく必要があります。まず、効果は永久的ではないため、継続的な治療が必要です。
また、注入技術が非常に重要であり、経験の浅い医師が担当すると、注入量が多すぎて不自然に膨らんだり、表面が凸凹になったりする可能性があります。
目の下は皮膚が薄いため、注入量が浅すぎるとヒアルロン酸が透けて青っぽく見える「チンダル現象」が起こることもあります。
さらに、極めてまれですが、血管内に注入されてしまうと、血流障害や、最悪の場合、失明などの重大な合併症を引き起こすリスクもゼロではありません。
これらのリスクを最小限にするためにも、解剖学を熟知し、経験豊富な医師を選ぶことが極めて重要です。
再生注射(PRP・幹細胞)によるクマ取り治療
再生注射は、自分自身の血液や脂肪から抽出した「成長因子」や「幹細胞」の力を利用して、肌組織の再生を促す治療法です。
ヒアルロン酸のように物理的にボリュームを出すのとは異なり、肌そのものの若返りを図ることで、クマの改善を目指します。PRP(多血小板血漿)療法や、脂肪由来幹細胞治療などがこれにあたります。
再生注射とは?(PRP療法・幹細胞治療)
PRP療法は、自身の血液を採取し、遠心分離機にかけて血小板を濃縮した「PRP(多血小板血漿)」を抽出します。
このPRPには、コラーゲン生成を促したり、組織の修復を助けたりする「成長因子」が豊富に含まれています。これをクマの気になる部分に注入することで、皮膚の再生を促します。
一方、幹細胞治療は、自身の脂肪などから「幹細胞」を採取・培養し、注入する方法です。
幹細胞は、ダメージを受けた組織の修復や、コラーゲンの産生促進、血管の新生などを促す能力があり、より根本的な肌質の改善が期待されます。
肌組織の再生を促す効果
再生注射の最大の特徴は、異物を入れるのではなく、自身の組織の力で肌を若返らせる点です。注入された成長因子や幹細胞が働くことで、皮膚のコラーゲンやエラスチンの生成が促進されます。
その結果、皮膚にハリと厚みが生まれ、小じわが改善されます。皮膚がしっかりすることで、血管が透けて見える青クマや、たるみによる黒クマの改善が期待できます。
また、肌の色調(トーン)が明るくなる効果も報告されており、茶クマの改善にもつながる可能性があります。
効果はヒアルロン酸のように直後から現れるわけではなく、数週間から数ヶ月かけてゆっくりと組織が再生していくため、自然な変化を望む方に適しています。
再生注射のメリット
最大のメリットは、自身の血液や細胞を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが極めて低いことです。ヒアルロン酸のような異物に対する不安がある方でも受けやすい治療と言えます。
また、肌組織そのものが再生するため、仕上がりが非常に自然で、効果の持続期間もヒアルロン酸より長い傾向にあります(PRPで1年以上、幹細胞治療ではさらに長期的な効果が期待されることもあります)。
くぼみを埋めるだけでなく、肌のハリ、小じわ、色調など、目元の複合的な悩みに同時にアプローチできる点も大きな強みです。
再生注射(PRP)の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 適したクマ | 青クマ、黒クマ(軽度)、肌のハリ低下 |
| 施術時間 | 約45分〜60分(採血・遠心分離含む) |
| ダウンタイム | 数日〜1週間程度(内出血・腫れ) |
| 持続期間 | 約1年〜(個人差・治療法による) |
| 特徴 | 自己組織使用、アレルギーリスク低い、自然な仕上がり |
考えられるデメリットとリスク
再生注射は、ヒアルロン酸のように即効性がなく、効果の現れ方には個人差が大きいという点があります。
組織が再生するまでに時間がかかり、1回の治療では満足のいく結果が得られず、複数回の治療が必要になる場合もあります。
また、採血や脂肪採取といった、薬剤を注入する以外の処置が必要になるため、ヒアルロン酸注射よりも手間や時間がかかります。費用もヒアルロン酸より高額になる傾向があります。
さらに、PRP治療では、注入後に「しこり」ができてしまうリスクも報告されています。これは、成長因子の働きが過剰になったり、注入技術に問題があったりする場合に起こり得ます。
幹細胞治療は、さらに高度な技術と設備が必要となるため、提供できるクリニックが限られます。
クマ取り注射治療の値段相場とクリニック選び
クマ取り注射治療を受けるにあたり、費用は非常に気になる点です。治療の値段は、使用する薬剤や注入量、クリニックの方針によって大きく異なります。
また、満足のいく結果を得るためには、単に値段が安いという理由だけでなく、技術力があり信頼できるクリニックを選ぶことが何よりも重要です。
クマ取り治療は自由診療であり、公的医療保険は適用されません。
治療別の費用目安
クマ取り注射治療の費用は、クリニックや地域、使用する製剤の量によって幅があります。あくまで一般的な目安として参考にしてください。
ヒアルロン酸注射は、使用する製剤の種類(品質や持続期間)や注入量(cc単位)によって料金が変わることが一般的です。
再生注射(PRP)は、採血や血液の処理(遠心分離)といった工程が含まれるため、ヒアルロン酸よりも高額になる傾向があります。
幹細胞治療は、さらに培養などの工程が必要となり、高額な治療となります。
クマ取り注射の費用相場(目安)
| 治療法 | 費用相場(両目・1回あたり) | 備考 |
|---|---|---|
| ヒアルロン酸注射 | 5万円〜15万円 | 製剤の種類・注入量による |
| 再生注射(PRP療法) | 10万円〜30万円 | 採血・分離費用含む |
| 再生注射(幹細胞治療) | 30万円〜 | 脂肪採取・培養費用含む |
なぜクリニックによって値段が違うのか
値段の違いは、いくつかの要因によって生じます。まず、使用する「薬剤の品質」です。特にヒアルロン酸は、厚生労働省の承認を受けている安全性の高い製剤から、未承認の安価な製剤まで様々です。
一般的に、高品質で持続期間の長い製剤ほど高価になります。次に、「医師の技術料」です。
目の下の注射は非常に繊細な技術を要するため、経験豊富で高い技術を持つ医師の施術料は高く設定されることがあります。
その他、クリニックの立地や設備、アフターフォローの手厚さなども、治療費に反映される要因となります。
信頼できるクリニック選びのポイント
安さだけでクリニックを選ぶと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。以下の点を参考に、慎重にクリニックを選びましょう。
まず、クマ取り治療、特に目の下への注入実績が豊富かどうかを確認します。
クリニックのウェブサイトで症例写真を見るのも参考になりますが、加工されている可能性も考慮し、複数のクリニックを比較することが大切です。
また、カウンセリングで医師が直接、丁寧に診察し、あなたのクマの原因を正確に診断してくれるかどうかも重要です。
メリットだけでなく、デメリットやリスク、費用についてもしっかりと説明してくれるクリニックを選びましょう。
クリニック選びで確認したい点
- クマ取り治療、目の下への注入実績は豊富か
- 医師が直接カウンセリングを行うか
- メリットだけでなく、リスクやデメリットも説明するか
- 料金体系が明確で、追加費用の説明があるか
- アフターフォローや緊急時の対応体制は整っているか
カウンセリングで確認すべきこと
カウンセリングは、医師と直接話せる貴重な機会です。疑問や不安はすべて解消しておくようにしましょう。
具体的には、
- 私のクマの種類は何ですか?
- なぜこの治療法が適しているのですか?
- 使用する薬剤の名前と特徴を教えてください
- 考えられるリスクや副作用、ダウンタイムは具体的にどのようなものですか?
- 費用は総額でいくらですか?(麻酔代、針代などすべて含む)
- もし仕上がりに満足できなかった場合、修正は可能ですか?
といった点は、必ず確認しておきたい項目です。
クマ取り注射のデメリットとダウンタイム詳細
切らないクマ取り注射治療は、手軽さが魅力である一方、デメリットやダウンタイムが全くないわけではありません。
治療を受ける前には、どのようなことが起こり得るのかを正確に理解し、適切に対処することが大切です。特に目の周りはデリケートなため、症状が出やすい部分でもあります。
治療後に起こり得る一般的な症状
注射治療後に最も一般的に見られるのは、注射針を刺したことによる「内出血」と「腫れ」です。目の周りは毛細血管が多いため、どれだけ慎重に注入しても、内出血を完全に避けるのは難しい場合があります。
内出血は、最初は青紫色や赤っぽく現れますが、時間とともに黄色っぽく変化し、次第に吸収されていきます。
腫れは、注入した薬剤の量や麻酔の影響で、施術直後から数日間、目元がむくんだように感じることがあります。その他、軽い痛みや、つっぱり感、違和感などを覚えることもあります。
ダウンタイム中の主な症状と期間
| 症状 | 出現の可能性 | 回復までの目安 |
|---|---|---|
| 内出血 | やや高い | 1〜2週間 |
| 腫れ・むくみ | 高い | 3日〜1週間 |
| 痛み・違和感 | 低い | 1〜3日 |
ダウンタイムの期間と過ごし方
ダウンタイムの期間は、個人差や注入量にもよりますが、内出血や腫れが目立たなくなるまで、およそ1週間〜2週間程度を見ておくとよいでしょう。内出血はコンシーラーなどで隠すことができます。
ダウンタイム中は、症状を悪化させないよう、いくつかの点に注意して過ごす必要があります。
施術当日は、血行が良くなると腫れや内出血が強くなる可能性があるため、長時間の入浴やサウナ、激しい運動、飲酒は避けるように指示されることが一般的です。
また、目元を強くこすったり、マッサージしたりするのも、注入した薬剤が移動したり、炎症を強めたりする原因になるため、少なくとも数週間は避けるべきです。
寝るときは枕を高くすると、むくみや腫れの軽減に役立つ場合があります。
ダウンタイム中の注意点
- 施術当日の激しい運動、長時間の入浴、サウナ、飲酒を避ける
- 施術部位を強くこすったり、マッサージしたりしない
- 十分な睡眠をとり、塩分の多い食事を控える
- 紫外線対策をしっかり行う
失敗を避けるための注意点
注射治療における「失敗」とは、期待した効果が得られないことや、不自然な仕上がりになってしまうことを指します。
例えば、ヒアルロン酸の注入量が多すぎて目元が膨らみすぎたり、左右差が生じたり、表面が凸凹になったりするケースです。
また、皮膚の浅い層に注入しすぎて、ヒアルロン酸が青白く透けて見える「チンダル現象」も失敗例の一つです。再生注射(PRP)では、しこりができてしまうリスクがあります。
これらの失敗を避けるためには、前述の通り、目の下の解剖学を熟知し、注入技術の高い経験豊富な医師を選ぶことが最も重要です。
また、自身の希望を正確に医師に伝え、過度な注入を望まないことも大切です。
期待できる効果と限界
クマ取り注射治療は、多くの人にとって満足のいく結果をもたらす可能性がありますが、万能ではありません。その限界も理解しておく必要があります。
注射治療は、主に「くぼみ」や「軽度のたるみ」による黒クマ、血行不良や皮膚の薄さによる青クマには効果が期待できます。
しかし、脂肪の膨らみが非常に強い黒クマ(いわゆる「目袋」が大きく目立つ状態)の場合、注射でくぼみを埋めるだけでは根本的な解決にならず、逆に膨らみが強調されてしまう可能性もあります。
このような場合は、脱脂手術などの外科的なアプローチが適していることもあります。また、色素沈着が主な原因の茶クマに対しては、注射治療の直接的な効果は限定的です。
自分のクマがどのタイプで、注射治療でどれくらいの改善が見込めるのか、カウンセリングで現実的な期待値を医師とすり合わせておくことが重要です。
注射以外のクマ取り治療法
目の下のクマ治療は、注射だけではありません。クマの種類や原因、肌の状態、ダウンタイムの許容範囲などに応じて、様々な治療法が選択されます。
注射治療が適していないと判断された場合や、他のアプローチも検討したい場合のために、代表的な注射以外の治療法についても知っておきましょう。
レーザー治療
レーザー治療は、主に「茶クマ」や「青クマ」の改善に用いられます。
茶クマに対しては、メラニン色素に反応するレーザー(ピコレーザーやQスイッチYAGレーザーなど)を照射し、色素沈着を徐々に薄くしていきます。
複数回の治療が必要です。青クマに対しては、血管内のヘモグロビンに反応するレーザー(ロングパルスYAGレーザーなど)を用いて、透けて見える血管を収縮させたり、血行を促進させたりすることで、色調の改善を図ります。
レーザー治療は、肌のコラーゲン生成を促し、ハリを出す効果が期待できるものもあり、黒クマの予防や軽度の改善につながる場合もあります。
HIFU(ハイフ)治療
HIFU(高密度焦点式超音波)は、超音波の熱エネルギーを皮膚の深い層(SMAS筋膜など)にピンポイントで照射し、組織を収縮させることでたるみを引き締める治療法です。
「切らないリフトアップ」とも呼ばれ、顔全体のたるみ治療に用いられますが、目元のたるみ(黒クマ)に対しても効果が期待できます。
皮膚のコラーゲン生成も促進するため、肌のハリ感アップにもつながります。ダウンタイムがほとんどないのが特徴ですが、効果の現れ方はマイルドで、数ヶ月かけて徐々に引き締まっていきます。
脂肪の膨らみではなく、皮膚のゆるみによる軽度の黒クマに適しています。
切開を伴う外科手術(経結膜脱脂など)
目の下の脂肪(眼窩脂肪)の膨らみが顕著で、黒クマの原因となっている場合、最も根本的な治療法となるのが外科手術です。
「経結膜脱脂術」は、まぶたの裏側(結膜)を小さく切開し、そこから余分な脂肪を取り除く方法です。皮膚表面に傷がつかないため、抜糸も不要で、ダウンタイムも比較的短めです。
脂肪の膨らみとくぼみが混在している場合は、取り除いた脂肪をくぼんだ部分に移動させる「脱脂リポトランスファー(脂肪再配置)」という手法も用いられます。
これらの手術は、効果が半永久的である一方、注射治療に比べてダウンタイムが長く、費用も高額になります。
また、脂肪を取りすぎると逆(ぎゃく)にくぼんでしまうリスクもあるため、医師の技術力が非常に重要です。
セルフケアでできること
美容医療に頼る前に、あるいは治療後の状態を維持するために、日々のセルフケアも大切です。
青クマに対しては、目元を温める(ホットタオルなど)、目元のマッサージ(こすらず優しく指圧する程度)、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動などで血行を促進することが有効です。
茶クマ対策としては、紫外線対策(日焼け止め、サングラス、帽子)を徹底し、アイメイクは専用リムーバーで優しく落とし、絶対にこすらないことが重要です。
美白成分(ビタミンC誘導体、トラネキサム酸など)を含むアイクリームの使用も良いでしょう。
黒クマ(たるみ)の予防としては、保湿ケアをしっかり行い、表情筋を鍛えるエクササイズを取り入れるのも一つです。
ただし、セルフケアで改善できるのはごく軽度なものや予防に限られ、すでに目立っているクマ、特に黒クマをセルフケアだけで完全に解消するのは難しいことも理解しておきましょう。
Q&A
ここでは、クマ取り注射治療に関して、多くの方が疑問に思う点や不安に感じる点について、Q&A形式で解説します。治療を検討する際の参考にしてください。
- 治療は痛いですか?
-
注射針を刺すチクッとした痛みや、薬剤が注入される際の鈍い圧迫感を感じることがあります。
痛みの感じ方には個人差がありますが、目の下は皮膚が薄くデリケートなため、他の部位より敏感に感じる方もいます。
多くのクリニックでは、痛みを最小限にするため、麻酔クリームを塗布したり、極細の注射針や先端の丸いカニューレを使用したり、注入する薬剤自体に麻酔成分が含まれているものを使ったりする工夫をしています。
不安が強い場合は、カウンセリングで痛みの対策について詳しく相談してください。
- メイクはいつからできますか?
-
多くの場合、施術当日からメイクが可能です。
ただし、注射針を刺した箇所は非常に小さな傷になっているため、その部分を避けてメイクをするか、施術後数時間〜24時間程度は患部へのメイクを控えるよう指示されることもあります。
また、内出血が出た場合、コンシーラーでカバーすることも可能です。施術当日は、メイク落としの際に目元を強くこすらないよう、いつも以上に優しく洗顔することを心がけてください。
詳細は、施術を受けるクリニックの指示に必ず従ってください。
- 治療後すぐに効果を実感できますか?
-
治療法によって異なります。ヒアルロン酸注射の場合は、くぼんだ部分が物理的に持ち上がるため、施術直後からクマが浅くなったことを実感しやすいです。
ただし、直後は麻酔や注入による腫れが若干あるため、最終的な仕上がりは1〜2週間後が目安です。
一方、再生注射(PRPや幹細胞治療)の場合は、自身の肌組織が再生するのを待つ治療法です。そのため、効果はすぐには現れず、数週間から数ヶ月かけて徐々にハリや色調が改善していきます。
即効性を求めるか、自然な変化を望むかで、適した治療法が変わってきます。
- 効果はどれくらい持続しますか?
-
これも治療法や使用する薬剤、そして個人の体質によって大きく異なります。ヒアルロン酸注射の場合、一般的には半年〜1年程度で体内に吸収されていきます。
比較的硬さがあり長持ちする製剤を選ぶと、持続期間が長くなる傾向があります。
再生注射(PRP)の場合は、一度再生した組織がすぐになくなるわけではないため、ヒアルロン酸より長く、1年以上の持続が期待できるとされています。
ただし、どちらの治療も加齢による変化は進行するため、永久的なものではありません。
効果を維持するためには、定期的なメンテナンスや追加の治療が必要になることを理解しておきましょう。
- 左右のバランスが悪くなることはありませんか?
-
人間の顔はもともと完全な左右対称ではなく、クマの出方にも左右差があることがほとんどです。
経験豊富な医師は、その左右差を考慮しながら、注入量や注入する位置をミリ単位で調整し、できるだけバランスの取れた自然な仕上がりを目指します。
しかし、非常にまれですが、注入技術の問題や、施術後の腫れの引き方の違いなどによって、一時的に左右差が目立ってしまう可能性もゼロではありません。
特にヒアルロン酸の場合、もし仕上がりに明らかな左右差が生じても、溶解酵素で調整することが可能です。
再生注射の場合は調整が難しいため、より慎重な注入が求められます。信頼できる医師に任せることが重要です。
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