鏡を見るたびに気になってしまう目の下の茶色いクマは、疲れて見えるだけでなく実年齢よりも老けた印象を与えてしまう大きな要因です。
コンシーラーやファンデーションで隠そうとしても、夕方にはくすんで浮き出てしまい、根本的な解決には至らず悩んでいる方は少なくありません。
この茶色いクマの正体は、皮膚への刺激や紫外線によって生成されたメラニンが蓄積した「色素沈着」です。適切なケアを行わなければ、年々色が濃くなり範囲も広がってしまう可能性があります。
しかし、諦める必要はありません。
現在の美容医療では、ピコレーザーやトーニングといった進化したレーザー治療によって、肌の奥に溜まったメラニンを細かく粉砕し、透明感のある目元を取り戻すことが可能です。
また、日々のスキンケアや生活習慣を見直すことで、新たな色素沈着を防ぎ、治療効果を高めることもできます。
この記事では、茶色いクマができる原因から、美容皮膚科で行うレーザー治療の具体的な効果や費用感、そして自宅で今日から始められる改善ケアまでを網羅的に解説します。
正しい知識と適切なアプローチで、明るく澄んだ目元を目指しましょう。
茶色いクマの正体である色素沈着の原因とメカニズム
目の下に広がる茶色いクマの主な原因は、皮膚への過度な摩擦や紫外線ダメージによって過剰に生成されたメラニン色素が皮膚内に定着してしまうことです。
これを解消するには、まず自分のクマがどのような種類であるかを正しく見極め、色素沈着を引き起こしている生活習慣の癖に気づくことが重要です。
他のクマとの違いと茶クマの見分け方
目の下のクマには大きく分けて「茶クマ」「青クマ」「黒クマ」の3種類が存在し、それぞれ発生する要因や対処法が異なります。
茶クマは皮膚の色素そのものが変化しているため、顔を上に向けても色が薄くならず、皮膚を優しく引っ張った際に色が皮膚と一緒に動くのが特徴です。
一方で青クマは血行不良が原因であり、黒クマは目の下のたるみや脂肪の突出による影が原因です。
茶クマは、アトピー性皮膚炎や花粉症などで目を頻繁にこする癖がある方や、アイメイクを落とす際に力を入れすぎている方に多く見られます。
自分のクマがどのタイプかを知ることは、無駄なケアを省き、効果的な治療を選択するための第一歩となります。
主なクマの種類と特徴的な見分け方
| クマの種類 | 主な原因 | 見分け方のポイント |
|---|---|---|
| 茶クマ | 色素沈着・摩擦・紫外線 | 皮膚を引っ張ると色が一緒に動く |
| 青クマ | 血行不良・寝不足・冷え | 皮膚を引っ張ると色が薄くなる |
| 黒クマ | たるみ・脂肪・骨格の影 | 上を向くと色が薄くなる |
日々の摩擦が引き起こすメラニン生成
目の周りの皮膚は、ゆで卵の薄皮程度と言われるほど非常に薄くデリケートな構造をしています。
そのため、頬や額などの他の部位では問題にならないようなわずかな刺激であっても、目元にとっては大きなダメージとなり得ます。
洗顔時にゴシゴシと擦ったり、落ちにくいウォータープルーフのマスカラを無理に拭き取ったりする行為は、皮膚に微細な炎症を引き起こします。
皮膚はこの炎症から自らを守ろうとする防御反応としてメラノサイトを活性化させ、メラニン色素を大量に生成します。
通常であれば肌のターンオーバーによってメラニンは排出されますが、慢性的な刺激が続くと排出が追いつかず、真皮層や表皮層に色素が沈着して茶色いクマとして定着してしまいます。
紫外線ダメージとターンオーバーの乱れ
紫外線は茶色いクマを悪化させる強力な外的要因の一つです。顔の中でも目元は立体的な構造上、日焼け止めを塗り忘れたり、塗布量が不十分になったりしやすい部位です。
紫外線を浴びると皮膚の奥でメラニンが生成されるだけでなく、紫外線のダメージによって皮膚の乾燥が進み、肌の生まれ変わりであるターンオーバーの周期が乱れます。
ターンオーバーが遅れると、本来剥がれ落ちるはずの古い角質とともにメラニンが肌内部に留まり続けることになります。
年齢を重ねると茶クマが目立ちやすくなるのは、長年の紫外線ダメージの蓄積に加え、加齢によってターンオーバーの速度が自然と低下してしまうことが関係しています。
色素沈着を改善するレーザー治療の種類と効果
セルフケアでは改善が難しい定着してしまった茶色いクマには、医療用レーザーを用いた治療が非常に有効です。
レーザーは特定の波長の光を照射することで、周囲の正常な組織を傷つけることなく、ターゲットとなるメラニン色素のみを熱エネルギーや衝撃波で破壊します。
ピコレーザーによるメラニン粉砕
近年、色素沈着の治療において主流となりつつあるのがピコレーザーです。
従来のレーザーがナノ秒(10億分の1秒)というパルス幅で照射していたのに対し、ピコレーザーはさらに短いピコ秒(1兆分の1秒)単位で照射を行うことができます。
この極めて短い照射時間のおかげで、熱による肌へのダメージを最小限に抑えながら、光音響効果という衝撃波によってメラニン色素を微粒子レベルまで細かく粉砕することが可能になりました。
粉々に砕かれたメラニンは、体内のマクロファージという掃除屋の細胞によって貪食され、リンパ管を通ってスムーズに体外へ排出されます。
茶色いクマの色味を効率よく薄くできるため、多くのクリニックで推奨されています。
ピコレーザーと従来型レーザーの違い
| 項目 | ピコレーザー | 従来のQスイッチレーザー |
|---|---|---|
| パルス幅 | ピコ秒(1兆分の1秒) | ナノ秒(10億分の1秒) |
| 作用機序 | 衝撃波でメラニンを粉砕 | 熱作用でメラニンを破壊 |
| 肌への熱ダメージ | 極めて少ない | 発生しやすい |
レーザートーニングの穏やかな効果
レーザートーニングは、低出力のレーザーを広範囲に均一に照射する方法です。一度の照射で全ての色素を破壊するのではなく、回数を重ねるごとに少しずつメラニンを減らしていくアプローチをとります。
強いパワーで照射すると逆に色素が濃くなってしまう恐れがある肝斑(かんぱん)が混在している茶クマの場合、このトーニング治療が適しています。
肌への刺激が非常にマイルドであるため、痛みやダウンタイムがほとんどなく、治療直後からメイクをして帰宅できる点が大きなメリットです。
徐々に肌のトーンが明るくなり、透明感が出てくるのを実感できるでしょう。
ダウンタイムと痛みへの不安解消
目の下というデリケートな部分への照射となるため、痛みや治療後の経過を心配される方は多いですが、近年のレーザー機器は痛みが大幅に軽減されています。
ピコレーザーやトーニングの照射中は、輪ゴムで軽く弾かれたようなパチパチとした感覚や、温かいシャワーを浴びているような熱感を感じる程度です。
痛みに弱い方には麻酔クリームを使用することで、ほぼ無痛状態で施術を受けることも可能です。治療後の肌はほんのりと赤みが出る程度で、数時間から1日程度で治まることが大半です。
かさぶたができることも稀であるため、日常生活に支障をきたすことなく治療を継続することができます。
治療直後の経過と過ごし方
| 経過目安 | 皮膚の状態 | 注意点 |
|---|---|---|
| 直後~数時間 | 軽い赤みやほてり | 冷却し、激しい運動は控える |
| 翌日~数日 | 赤みは消失、乾燥しやすい | 保湿を徹底し、摩擦を避ける |
| 1週間後 | 肌のトーンアップを実感 | 紫外線対策を継続する |
治療にかかる費用相場と必要な回数
茶色いクマのレーザー治療は、基本的に公的医療保険が適用されない自由診療となります。
そのため、クリニックによって価格設定は異なりますが、事前に相場や必要な回数を把握しておくことで、無理のない予算計画を立てることができます。
1回あたりの料金とコース設定
レーザートーニングやピコトーニングの1回あたりの料金相場は、全顔で1万円から2万円程度、目の下のみの部分照射であれば5千円から1万5千円程度が一般的です。
多くのクリニックでは、単発での支払いのほかに、5回や10回といったセットコースを用意しており、コース契約をすることで1回あたりの単価が割安になる料金体系をとっています。
初回限定のトライアル価格を設定しているクリニックも多いため、まずはカウンセリングと低価格での施術を受けてみて、肌への反応や通いやすさを確認してからコース契約を検討するのも賢い方法です。
効果を実感するまでの回数目安
色素沈着の深さや濃さには個人差があるため、必要な治療回数は一概には言えませんが、茶色いクマを薄くするためには複数回の通院が必要です。
レーザートーニングの場合、一般的には5回から10回程度の照射を繰り返すことで満足のいく効果が得られることが多いです。
2週間から1ヶ月に1回のペースで通院するのが理想的で、最初の数回は肌のキメが整うなどの変化を感じ、5回目以降から徐々に茶色い色味が薄らいでいくのを実感できるでしょう。
即効性を求めるのではなく、肌質を根本から改善していく積み重ねの治療であることを理解しておく必要があります。
トータルコストを抑えるポイント
最終的にかかる費用を抑えるためには、表面的な価格の安さだけで選ばない視点が大切です。一見安価に見えても、出力が低すぎて回数がかさんでしまっては結果的に高額になります。
また、初診料や再診料、麻酔代、薬代などが施術代に含まれているか、別途請求されるかも確認すべきポイントです。モニター制度を利用することで通常価格よりも安く施術を受けられる場合もあります。
さらに、自宅でのケアを徹底して色素沈着の進行を防ぐことも、治療回数を最小限に抑えるための重要な節約術と言えます。
レーザー以外の医療的アプローチ
レーザー治療に抵抗がある方や、レーザーとの併用で相乗効果を狙いたい方には、外用薬やピーリング、内服薬といった他の医療的アプローチも有効な選択肢となります。
これらは自宅で継続できるものも多く、色素沈着の改善を内側と外側の両面からサポートします。
ハイドロキノンとトレチノイン療法
皮膚科で処方される代表的な美白剤に「ハイドロキノン」と「トレチノイン」があります。
ハイドロキノンは「肌の漂白剤」とも呼ばれ、メラニンを作る酵素の働きを阻害し、メラノサイトそのものの数を減らす強力な美白作用を持っています。
一方、トレチノインはビタミンA誘導体の一種で、肌のターンオーバーを強力に促進し、沈着したメラニンを古い角質とともに外へ押し出す働きがあります。
この2つを併用することで、今あるシミを排出しつつ、新たなシミを作らせないというダブルの効果が期待できます。
ただし、作用が強いため赤みや皮剥けといった反応が出ることがあり、医師の指導のもとで使用することが必要です。
主な医療用外用薬の成分と働き
| 成分名 | 主な作用 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| ハイドロキノン | メラニン生成の抑制 | 新しい色素沈着を防ぐ・漂白作用 |
| トレチノイン | ターンオーバー促進 | メラニンの排出・皮膚の再生 |
| ビタミンC誘導体 | 抗酸化作用・還元作用 | メラニンの色を薄くする |
ケミカルピーリングによる角質ケア
ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を皮膚に塗布して古い角質を溶かし、新しい皮膚の再生を促す治療法です。
茶色いクマの原因となっているメラニンを含んだ古い角質を強制的に取り除くことができるため、肌のくすみが解消され、ワントーン明るい目元へ導きます。
また、薬剤の刺激によって真皮層のコラーゲン生成が促されるため、肌にハリが生まれ、小じわの改善も期待できます。
レーザー治療と交互に行うことで、レーザーの光が肌の奥まで届きやすくなり、治療効率が向上するというメリットもあります。
内服薬によるインナーケア
体の内側から色素沈着に働きかける内服薬の服用も、治療の基本となります。主にトラネキサム酸、ビタミンC、ビタミンEなどが処方されます。
トラネキサム酸はメラノサイトの活性化因子であるプラスミンの働きを抑え、炎症性の色素沈着を鎮める効果があります。
ビタミンCはメラニンの生成を抑えるとともに、できてしまった黒色メラニンを無色化する還元作用を持ちます。
これらの内服薬は即効性はありませんが、数ヶ月単位で継続して服用することで、体質からシミができにくい状態へと整えていきます。
自宅でできる色素沈着の改善・予防ケア
クリニックでの治療がいかに優れていても、日々の生活で新たなダメージを与え続けていては、茶色いクマは解消されません。
自宅でのスキンケア習慣を見直し、色素沈着の原因となる要素を徹底的に排除することが、美しい目元を維持するために不可欠です。
徹底した「こすらない」ケアの実践
茶色いクマを改善するために最も重要なのは、物理的な刺激を極限まで減らすことです。
洗顔料を泡立てる際は、手が直接肌に触れないほどの弾力のある濃密な泡を作り、泡のクッションで汚れを吸着させるように洗います。
クレンジング剤は、肌への摩擦が少ない油脂系のオイルやクリームタイプを選び、たっぷりの量を使って優しく馴染ませます。
タオルで水分を拭き取る際も、ゴシゴシと擦るのではなく、タオルを肌に押し当てて水分を吸収させるようにします。
スキンケア製品を塗布する際も、薬指を使って力の入りすぎを防ぎ、優しくプレスするように浸透させることが大切です。
目元専用の紫外線対策
目元の皮膚は薄く、紫外線の影響をダイレクトに受けてしまいます。日焼け止めは顔全体に塗った後、さらに目元に重ね塗りをして防御効果を高めます。
しかし、日焼け止めだけでは汗や摩擦で落ちてしまうこともあるため、物理的な遮断も組み合わせることが有効です。
UVカット機能のついたサングラスや眼鏡、つばの広い帽子を活用し、直接日光が目元に当たらない工夫をします。
最近では、飲む日焼け止めなどのサプリメントも市販されており、塗り直しが難しい状況でも内側からケアすることができます。
曇りの日や室内であっても紫外線は降り注いでいるため、365日対策を怠らない意識が必要です。
紫外線対策に役立つアイテム選び
- UVカット率99%以上のサングラス(目元を覆う大きめのレンズ)
- SPF30以上・PA+++以上の低刺激な日焼け止め
美白有効成分配合のアイクリーム活用
自宅でのケアには、厚生労働省が認可した美白有効成分が含まれているアイクリームを取り入れましょう。
ビタミンC誘導体、アルブチン、トラネキサム酸、プラセンタエキス、カモミラETなどは、メラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぐ効果が認められています。
また、乾燥は肌のバリア機能を低下させ、外部刺激を受けやすくしてしまうため、セラミドやヒアルロン酸などの高保湿成分が配合されていることも重要です。
アイクリームを塗る際は、目頭から目尻に向かって優しく伸ばし、最後にこめかみを軽くプッシュしてリンパの流れを促すと、血行も良くなり相乗効果が期待できます。
生活習慣の見直しで肌の再生力を高める
肌は体の一部であり、食べたものや睡眠の質によってその状態は大きく左右されます。不規則な生活習慣はターンオーバーを乱し、メラニンの排出を滞らせる原因となります。
健康的なライフスタイルを送ることは、茶色いクマの改善だけでなく、全身の美しさにも繋がります。
質の高い睡眠と成長ホルモン
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、日中に受けた紫外線や摩擦による細胞のダメージを修復し、皮膚の再生を促す重要な役割を担っています。
特に、入眠直後の3時間に深い眠りにつくことで、成長ホルモンの分泌が最大化されます。
就寝前のスマートフォンの使用はブルーライトによって脳を覚醒させ、睡眠の質を低下させるため控えることが望ましいです。
自分に合った枕を使う、アロマを焚くなどしてリラックスできる環境を整え、十分な睡眠時間を確保することで、ターンオーバーが正常化し、色素沈着の改善スピードが早まります。
色素沈着改善に役立つ栄養素
食事からは、メラニンの生成を抑えたり、肌の代謝を助けたりする栄養素を積極的に摂取します。
ビタミンCは抗酸化作用が高く美白ケアの基本となる栄養素ですが、体内に留めておける時間が短いため、こまめに摂取することが大切です。
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、血行を促進して肌のターンオーバーを助けます。また、タンパク質は皮膚を作る材料となるため、肉や魚、大豆製品などをバランスよく食べる必要があります。
加工食品や糖質の多い食事は肌の糖化を招き、くすみの原因となるため注意が必要です。
肌の再生を助ける栄養素と食材
| 栄養素 | 主な働き | 多く含まれる食材 |
|---|---|---|
| ビタミンA | 皮膚粘膜の健康維持 | レバー、うなぎ、人参、ほうれん草 |
| ビタミンC | メラニン抑制・抗酸化 | 赤パプリカ、ブロッコリー、キウイ |
| ビタミンE | 血行促進・細胞活性化 | アーモンド、アボカド、かぼちゃ |
眼精疲労の蓄積を防ぐ
現代人はパソコンやスマートフォンの長時間使用により、慢性的な眼精疲労を抱えています。目が疲れると無意識に目元をこすってしまったり、目周りの血流が悪化してターンオーバーが阻害されたりします。
1時間に1回は遠くを見る、ホットアイマスクで目元を温めるなどして、目の周りの筋肉の緊張をほぐす習慣をつけましょう。
また、コンタクトレンズの使用は目が乾きやすく、着脱時にまぶたを引っ張ることで負担がかかるため、帰宅後は早めに眼鏡に替えるなど、目元を休ませる時間を設けることも色素沈着予防に繋がります。
治療におけるリスクと副作用への理解
レーザー治療は安全性が高い施術ですが、医療行為である以上、リスクや副作用が完全にゼロではありません。
事前に起こりうる反応やリスクを知っておくことで、万が一の際にも冷静に対処でき、医師とも適切なコミュニケーションが取れるようになります。
炎症後色素沈着(戻りジミ)の可能性
レーザー照射後に、一時的にシミが濃くなったように見える現象を「炎症後色素沈着(PIH)」と呼びます。
これはレーザーの熱エネルギーによって皮膚が軽い炎症を起こし、一時的にメラニンが生成される反応です。
多くの場合、治療の失敗ではなく一時的な経過であり、3ヶ月から半年程度で自然に消失していきます。
しかし、この期間に紫外線を浴びたり摩擦を与えたりすると、シミが定着してしまうリスクがあります。
医師の指示に従って内服薬や外用薬を併用し、刺激を与えないように過ごすことが、早期回復の鍵となります。
白斑(色抜け)のリスク
非常に稀ではありますが、過度に強い出力でレーザーを照射しすぎたり、短い期間で頻回に治療を行いすぎたりすると、メラノサイトが破壊されすぎて皮膚の色が白く抜けてしまう「白斑(はくはん)」という症状が出ることがあります。
一度白斑になってしまうと、元の肌色に戻すことは非常に困難です。
早く治したいからといって無理な出力での照射を希望せず、肌の状態を見極めながら適切な出力と間隔で治療を進めてくれる医師の判断に従うことが、安全に治療を終えるために重要です。
再発を防ぐための継続ケア
レーザー治療で一度茶色いクマが綺麗になっても、以前と同じように目をこする癖や紫外線対策を怠る生活に戻ってしまえば、再び色素沈着が発生してしまいます。
茶色いクマの治療は「治したら終わり」ではなく、その後の「維持」が重要です。治療を通して身につけた正しいスキンケアや生活習慣を継続することが、再発を防ぐ唯一の方法です。
また、定期的にメンテナンスとして軽いレーザートーニングを受けたり、イオン導入などでビタミンを補給したりすることで、透明感のある目元を長く保つことができます。
信頼できるクリニック選びのチェックポイント
茶色いクマの治療を成功させるためには、技術力が高く信頼できるクリニックを選ぶことが非常に重要です。
広告の価格や知名度だけで選ぶのではなく、実際にカウンセリングに足を運び、医師の診断力や提案内容を確認する必要があります。
経験豊富な医師の診断力
クマの治療は、それが茶クマなのか、青クマや黒クマとの混合タイプなのかを正確に診断することから始まります。
誤った診断のもとで治療を行っても効果が出ないばかりか、症状を悪化させる可能性もあります。
症例数が多く、クマ治療に特化した経験を持つ医師であれば、肌の状態やライフスタイルを総合的に判断し、レーザーの種類や出力、内服薬の組み合わせなど、一人ひとりに適したオーダーメイドの治療計画を提案してくれます。
ホームページなどで医師の経歴や得意分野、実際の症例写真などを確認しておくと安心です。
丁寧なカウンセリングと説明
カウンセリングの時間を十分に確保し、治療のメリットだけでなく、リスクや副作用、ダウンタイム、トータルでかかる費用について包み隠さず説明してくれるクリニックは信頼できます。
また、こちらの悩みや希望に真摯に耳を傾け、無理な勧誘を行わないことも重要なポイントです。疑問点や不安なことがあれば遠慮なく質問し、納得できる回答が得られるかを確認しましょう。
医師との相性やスタッフの対応の良さも、通院を続ける上では大切な要素となります。
クリニック選びで確認すべき項目
| チェック項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 診断の正確さ | クマの種類を明確に説明してくれるか |
| リスク説明 | メリットだけでなくデメリットも話すか |
| 料金体系 | 追加費用の有無や総額が明確か |
| アフターケア | 万が一のトラブル時の対応体制はあるか |
アフターケア体制の充実度
治療後の肌は敏感になっているため、予期せぬトラブルが起こる可能性も否定できません。万が一、強い赤みが出たり痛みが続いたりした場合に、すぐに診察を受けられる体制が整っているかを確認します。
再診料が無料であったり、トラブル時の処置や薬の処方が保証に含まれていたりするクリニックであれば、安心して治療を受けることができます。
LINEやメールで気軽に相談できる窓口があるかどうかも、治療中の不安を解消する上で役立つポイントです。
よくある質問
- 治療中の痛みはどの程度ですか?
-
最近のレーザー機器は痛みが抑えられていますが、輪ゴムで弾かれたようなパチッとした刺激を感じることがあります。
痛みの感じ方には個人差がありますが、多くのクリニックでは麻酔クリームを使用することで、痛みを大幅に軽減することが可能です。不安な場合は事前に相談することをお勧めします。
- 施術後すぐにメイクはできますか?
-
レーザートーニングやピコトーニングなどのマイルドな治療であれば、施術直後からメイクをして帰宅することが可能です。
ただし、肌が敏感になっているため、摩擦の少ないパウダーファンデーションなどを使用し、メイクをする際や落とす際は普段以上に優しく触れるように注意してください。
- 1回の治療で完全に消えますか?
-
残念ながら、色素沈着による茶色いクマを1回のレーザー治療で完全に消すことは難しいです。
肌への負担を抑えながら徐々にメラニンを分解していくため、個人差はありますが5回以上の治療が必要になるケースが一般的です。回数を重ねるごとに徐々に薄くなっていく変化を実感いただけます。
- 治療によって逆にクマが濃くなることはありますか?
-
稀に、レーザーの刺激によって一時的に色素が濃くなる「炎症後色素沈着」が起こることがあります。これは肌の防御反応であり、適切なアフターケアや時間の経過とともに薄くなっていきます。
医師の診断のもと、適切な出力で照射を行い、ハイドロキノンなどの外用薬を併用することでリスクを最小限に抑えることができます。
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