目の下の脂肪取りで「取りすぎた…」後悔しないための失敗回避マニュアル

目の下の脂肪取りで「取りすぎた…」後悔しないための失敗回避マニュアル

目の下のふくらむ「クマ」、鏡を見るたびに憂鬱になりますよね。このクマを解消する「目の下の脂肪取り」は人気の治療ですが、同時に「脂肪を取りすぎた」という失敗の声も耳にします。

もし凹んだり、かえって老けて見えたりしたら…と不安になるのも当然です。

この記事では、目の下の脂肪取りで後悔しないために、なぜ「取りすぎ」の失敗が起こるのか、そしてそれを避けるための具体的な方法を徹底的に解説します。

正しい知識を身につけ、信頼できる医師と出会うことが、あなたの満足いく結果につながります。

目次

目の下の脂肪取りとは?基本的な知識

目の下の脂肪取りは、一般的に「経結膜脱脂法(けいけつまくだっしほう)」と呼ばれる美容外科の手術です。

まぶたの裏側(結膜)を小さく切開し、そこから目の下のふくらみの原因となっている余分な眼窩(がんか)脂肪を取り除く治療法を指します。

皮膚の表面には傷がつかないため、傷跡が顔に残らないという大きなメリットがあります。

目の下の脂肪取りの仕組み

目の下のふくらみは、眼球をクッションのように支えている眼窩脂肪が、加齢などによって前に押し出されてくることで生じます。この突出した脂肪が影を作り、いわゆる「黒クマ」として現れます。

目の下の脂肪取り(経結膜脱脂法)では、この突出した脂肪を適量取り除きます。原因となっているふくらみ自体をなくすことで、目の下の段差がなめらかになり、影が解消されます。

結果として、クマが改善し、目元がスッキリと明るい印象に変わります。

脂肪を除去するだけではなく、必要に応じて脂肪を移動させて凹みに再配置(ハムラ法)することもありますが、この記事では主に脂肪を取り除く「脱脂」について解説します。

なぜ「クマ」はできるのか?

「クマ」と一口に言っても、実はいくつかの種類があり、原因も異なります。目の下の脂肪取りが有効なのは、主に「黒クマ」です。

黒クマは、加齢による皮膚のたるみや、眼窩脂肪の突出によって目の下に段差ができ、その部分が影になって黒く見える状態です。上を向くと影が薄くなるのが特徴です。

他にも、皮膚が薄くて血管が透けて見える「青クマ」(血行不良が原因)や、色素沈着による「茶クマ」(メラニンが原因)があります。

これらは脂肪取りの適応とはならず、それぞれ異なる治療アプローチが必要です。自分のクマがどのタイプなのかを正しく診断してもらうことが、治療の第一歩です。

脂肪取りが適している人

目の下の脂肪取り(経結膜脱脂法)は、特に以下のような特徴を持つ方に適した治療法です。

  • 目の下のふくらみ(目袋)が目立つ
  • ふくらみの下が影になって暗く見える(黒クマ)
  • 年齢とともにふくらみが顕著になってきた

比較的若い方でも、生まれつき眼窩脂肪が多い場合は良い適応となります。

皮膚のたるみが非常に強い場合は、脂肪取りだけではたるんだ皮膚が残ってしまうため、皮膚の切除(下眼瞼除皺術)を同時に検討することもあります。

脂肪取り以外のクマ治療

黒クマの治療は脂肪取りだけではありません。状態によっては、他の治療法が適している場合や、組み合わせて行う場合があります。

例えば、ふくらみ(脂肪)はそれほどでもないが、ふくらみの下の「凹み」が目立つ場合は、ヒアルロン酸や自分の脂肪を注入して凹みを埋める治療が有効なことがあります。

また、青クマや茶クマが混在している場合は、レーザー治療やピーリングなどを併用することもあります。

他のクマ治療との比較

治療法主な対象クマ特徴
目の下の脂肪取り(脱脂)黒クマ(ふくらみ)原因の脂肪を除去。効果の持続性が高い。
ヒアルロン酸注入黒クマ(凹み)・青クマ凹みを埋めて段差を解消。手軽だが吸収される。
レーザー治療青クマ・茶クマ血行促進や色素沈着の改善。複数回の治療が必要。

自分のクマの原因と状態に合った治療法を選択することが重要です。

「取りすぎた」失敗とは具体的にどのような状態か

目の下の脂肪取りにおける「取りすぎた」失敗とは、本来残しておくべき脂肪まで過剰に除去してしまった結果、目元に不自然な変化が現れる状態を指します。

目元の印象を良くするために治療を受けたはずが、逆の結果になってしまう深刻な問題です。

目の下が凹んでしまう

最も典型的で分かりやすい「取りすぎ」の症状が、目の下の凹みです。ふくらみがなくなるのは良いことですが、脂肪を取りすぎると、その部分がえぐれたように凹んでしまいます。

特に、涙袋の下あたりが不自然にくぼみ、疲れた印象ややつれた印象を与えてしまいます。

脂肪はクッションの役割も果たしているため、それが過剰になくなると、皮膚が骨に張り付いたような不自然な見た目になることがあります。

かえって老けて見える

目の下が凹むと、その部分が新たな影となり、クマが解消されたとしても別の種類の「影」が出現します。

この凹みによる影は、疲労感や加齢を強く印象づけるため、治療前よりも老けて見えてしまうという皮肉な結果につながります。

また、脂肪を取りすぎると、その上の皮膚が余ってしまい、細かなシワ(ちりめんジワ)が目立つようになることもあります。

ハリのある若々しい目元を求めた結果、シワシワの目元になってしまっては本末転倒です。

クマの色が濃くなったように感じる

脂肪の取りすぎによって目の下が凹むと、その凹んだ部分が影になります。この新しい影が、あたかもクマが再発したかのように、あるいは以前より濃くなったかのように感じることがあります。

また、脂肪がなくなることで皮膚が薄くなり、その下にある筋肉(眼輪筋)や血管が透けて見えるようになることもあります。

この場合、黒クマは解消されても、青クマや紫クマが目立つようになる可能性があります。

将来的に凹みが進行する可能性

治療直後はちょうど良い仕上がりに見えても、注意が必要です。人間の顔は加齢とともに、顔全体の脂肪やコラーゲンが減少し、骨も萎縮していく傾向にあります。

若い頃に脂肪を「取りすぎた」状態で除去してしまうと、加齢による自然な脂肪減少がそれに加わった際、数年後、数十年後に凹みが急激に進行するリスクがあります。

将来の変化まで見越した上で、適切な量の脂肪を残すことが非常に重要です。

なぜ「取りすぎ」の失敗が起こるのか

「取りすぎ」の失敗は、単一の原因ではなく、いくつかの要因が複合的に絡み合って発生します。その多くは、医師の診断技術や手術手技、そして患者との認識合わせの段階に潜んでいます。

医師の診断ミス

失敗の最大の原因の一つは、医師による術前の診断ミスです。目の下の脂肪は、内側・中央・外側の3つのコンパートメント(区画)に分かれています。

どの区画の脂肪がどれだけ突出しているのか、どの程度除去すれば自然な仕上がりになるのかを正確に見極める必要があります。

この見極めを誤り、例えば凹んでいる部分の脂肪まで除去してしまったり、全体的に均一に取るべきところを特定の場所だけ取りすぎたりすると、不自然な凹みが生じます。

患者の骨格、皮膚の厚さ、たるみの程度などを総合的に評価する診断能力が医師には求められます。

医師の技術不足

診断が正しくても、それを実現する手術技術が伴わなければ意味がありません。まぶたの裏側という非常にデリケートで狭い範囲での手術であり、数ミリ単位での精密な操作が必要です。

脂肪を均一に、計画通りに適量だけを取り除く技術が不足していると、思った以上に取れてしまったり、左右で取る量が変わってしまったりします。

また、手術中に出血が多いと視野が悪くなり、正確な脂肪量のコントロールが難しくなることも、技術不足に関連する問題です。

カウンセリングでの認識のズレ

患者側が「できるだけスッキリさせたい」と強く希望し、医師がその希望を鵜呑みにしてしまった結果、客観的に見れば「取りすぎ」の状態になってしまうケースもあります。

逆に、医師は「自然な変化」を目指して控えめに取ったつもりが、患者にとっては「まだふくらみが残っている」と感じることもあります。

カウンセリングの場で、患者の希望と、医師が可能と判断する「医学的に適切な仕上がり」との間に、どれだけ認識のズレをなくせるかが重要です。

仕上がりのイメージを共有できていないと、どちらかにとっての「失敗」につながります。

左右差の調整が難しい

人間の顔は元々左右非対称であり、目の下の脂肪のつき方や骨格にも左右差があるのが普通です。手術では、この左右差を考慮しながら、両方のバランスが取れるように脂肪を除去する必要があります。

元々の左右差を正確に把握せず、単純に同じ量の脂肪を取ってしまうと、術後に左右差がより強調されてしまうことがあります。片方だけが凹んで見えるなど、アンバランスな仕上がりも「失敗」の一形態です。

失敗しないためのクリニック・医師選びのポイント

目の下の脂肪取りの成否は、担当する医師の技術と診断力に大きく依存します。したがって、「取りすぎ」などの失敗を避けるためには、信頼できるクリニックと医師を選ぶことが最も重要です。

症例数の多さだけで選ばない

「症例数○万件」といった宣伝文句は魅力的に見えますが、数だけで判断するのは危険です。大切なのは、その「質」です。

クリニックのウェブサイトやSNSで公開されている症例写真を確認しましょう。

その際、単に数が多 いかではなく、自分と似た年齢や目元のタイプの症例が豊富か、そしてその仕上がりが自分の好み(自然な変化か、しっかりした変化か)と合っているかを確認することが重要です。

不自然に加工された写真ばかりでないかもチェックポイントです。

形成外科専門医や美容外科専門医の資格

医師の技術力を客観的に測る一つの目安として「専門医資格」があります。

美容医療は、極端に言えば医師免許さえあれば誰でも行えますが、専門医資格は、その分野で一定のトレーニングを受け、試験に合格した医師にのみ与えられます。

特に「日本形成外科学会認定形成外科専門医」は、体の表面の異常や変形を治療するプロフェッショナルであり、目の周りの複雑な解剖を熟知しています。

この資格を持ち、さらに美容外科の経験が豊富な医師は、信頼できる可能性が高いと言えます。

医師の資格に関する目安

資格名認定団体概要
形成外科専門医日本形成外科学会体の表面の形態と機能の改善に関する広範な知識と技術を持つ。
美容外科専門医(JSAPS)日本美容外科学会(JSAPS)形成外科専門医であることが前提条件の、美容外科分野の専門医。
美容外科専門医(JSAS)日本美容外科学会(JSAS)美容外科の臨床経験と知識に関する独自の基準を持つ専門医。

カウンセリングの質

手術の成功はカウンセリングで決まると言っても過言ではありません。流れ作業のように短時間で終わらせるクリニックは要注意です。

信頼できる医師は、患者の悩みや希望を丁寧にヒアリングし、その上で患者の目元の状態を正確に診察します。

そして、なぜその治療法を勧めるのか、どのような仕上がりを目指すのか、そして起こり得るリスクや副作用は何かを、専門用語を多用せず分かりやすく説明してくれます。

患者の質問や不安に真摯に答えてくれるかどうかも見極めましょう。

アフターフォロー体制

手術は終わったら終わり、ではありません。術後の経過観察や、万が一トラブルが起きた際の対応(アフターフォロー)がしっかりしているかも重要な確認項目です。

術後に不安なことがあった際、すぐに医師の診察を受けられるか、追加の費用は発生するのかなど、保証内容や緊急時の連絡体制を事前に確認しておきましょう。

アフターフォロー体制が整っているクリニックは、それだけ手術の結果に責任を持っている証拠とも言えます。

目の下の脂肪取りダウンタイムの真実

目の下の脂肪取り(経結膜脱脂法)は、皮膚を切開しないため比較的ダウンタイムが短いとされていますが、ゼロではありません。

手術を検討する上で、ダウンタイムの期間や症状について正しく理解しておくことは、術後の不安を軽減するために重要です。

ダウンタイムの一般的な期間

ダウンタイムの期間には個人差が非常に大きいですが、一般的な目安としては、大きな腫れや内出血が目立つ期間が約1週間から2週間程度です。

その後、むくみのような腫れが徐々に引いていき、完全に組織が落ち着いて仕上がり(完成)となるまでには、約1か月から3か月程度かかると考えておくと良いでしょう。

治療直後は凹んで見えても、腫れが引くにつれて馴染んでくることもあります。

主な症状と経過

ダウンタイム中には、いくつかの症状が現れます。最も一般的なものは「腫れ」と「内出血」です。

腫れは手術直後から現れ、術後2〜3日目をピークに徐々に引いていきます。内出血(アザ)は、出た場合、最初は赤紫色ですが、徐々に黄色っぽく変化しながら1〜2週間かけて吸収されていきます。

その他、軽い痛み、目やに、ゴロゴロ感、涙が出やすいといった症状も一時的に現れることがあります。

ダウンタイム中の主な症状

症状出現時期(目安)対処法
腫れ術直後〜2週間術後数日間の冷却。頭を高くして寝る。
内出血術後数日〜2週間自然に吸収されるのを待つ。メイクでカバー可能。
痛み術後数日間処方された痛み止めを服用する。

ダウンタイム中の過ごし方

ダウンタイムをできるだけ短く、順調に経過させるためには、術後の過ごし方が重要です。

  • 治療当日から数日間(医師の指示に従う)は、目元を保冷剤などで優しく冷やす
  • 寝る時は、枕を高くするなどして頭を心臓より高い位置に保つ(腫れ予防)
  • 血行が良くなる活動(長時間の入浴、サウナ、激しい運動、飲酒)を術後1週間程度は避ける

これらの点に注意することで、腫れや内出血の悪化を防ぐことができます。

仕事や外出はいつから可能か

仕事復帰のタイミングは、職業やダウンタイムの許容度によって異なります。

デスクワークであれば、早ければ術後2〜3日から復帰する人もいますが、腫れや内出血が目立つ可能性があるため、大事をとって1週間程度の休みを取得するのが理想的です。

内出血はメガネやコンシーラーなどのメイクである程度カバーできます。接客業など、人前に出る仕事の場合は、内出血が完全に消えるまで(約2週間)を見越しておくと安心です。

「取りすぎ」失敗を避けるためのカウンセリング術

医師選びと並んで重要なのが、カウンセリングでのコミュニケーションです。

患者側が自分の希望を正確に伝え、医師の診断や提案を正しく理解することが、「取りすぎ」などの認識のズレによる失敗を防ぐ鍵となります。

自分の希望を具体的に伝える

「とにかくクマをなくしたい」「スッキリさせたい」といった抽象的な表現だけでは、医師との間にイメージのギャップが生まれやすくなります。

例えば、「ふくらみは取りたいが、涙袋はしっかり残したい」「凹まないか心配なので、少しふくらみが残るくらいの自然な仕上がりがいい」「この症例写真のようなイメージが理想だ」など、できるだけ具体的に自分の希望を伝えましょう。

逆に、どのような状態を「失敗」と考えるか(例:凹むのが一番嫌だ)を伝えておくことも有効です。

医師の診断内容をよく聞く

医師があなたの目元をどのように診断し、どのような治療計画を立てているのか、その根拠をしっかり聞きましょう。

「あなたの場合は、内側の脂肪が多いので、そこを重点的に取ります」「皮膚のたるみが少しあるので、脂肪を全部取るとシワが目立つ可能性があります。だから少し控えめに取ります」など、なぜその量の脂肪を取る(あるいは残す)のか、その理由を説明してもらい、納得できるかどうかが重要です。

症例写真を見せてもらう

自分の理想とする仕上がりを伝える上で、症例写真は非常に有効なツールです。クリニックに用意されている症例写真(できれば複数の角度から撮影したものや、術後経過がわかるもの)を見せてもらいましょう。

特に、自分と年齢や目元のタイプ(ふくらみの程度、皮膚の質など)が似ている人の症例をリクエストし、その仕上がりについて医師と意見交換することが大切です。

「この人のようになりたい」または「この人のようにはなりたくない」と示すことで、イメージの共有が格段に進みます。

リスクや副作用の説明

良いカウンセリングは、治療の良い面だけでなく、起こり得るリスク、副作用、限界についてもしっかり説明します。

「取りすぎ」のリスクはもちろん、ダウンタイムの症状(腫れ、内出血)、左右差、感染、しこり、凹み、シワの悪化など、考えられるネガティブな可能性についても質問しましょう。

これらの説明を曖 昧にしたり、極端に「絶対大丈夫」と断言したりする医師は、少し慎重に判断した方が良いかもしれません。

カウンセリング確認項目

分類確認すべき項目ポイント
診断自分のクマのタイプは?脂肪取りが適しているか確認。
治療法具体的な手術方法は?(脱脂のみか、他も必要か)なぜその方法がベストなのか理由を聞く。
リスク「取りすぎ」のリスクは?凹んだ場合の対処は?リスク説明の丁寧さ、誠実さを見る。

もし「取りすぎた」と感じたら?対処法と修正治療

万が一、治療後に「取りすぎたかもしれない」「凹んでしまった」と感じた場合、まずは慌てずに対処することが重要です。

治療直後はまだ腫れやむくみが残っており、本当の仕上がりではありません。

まずは担当医に相談

術後1か月未満の段階で「凹んでいる」と感じても、それはまだダウンタイムの途中の可能性があります。腫れが引く過程で一時的に凹んだように見えることもあります。

不安に感じたら、まずは手術を担当した医師に相談しましょう。自己判断で「失敗だ」と決めつけず、現在の状態が正常な経過の範囲内なのか、それとも異常なのかを診察してもらうことが第一です。

多くのクリニックでは、術後の検診は無料で対応しています。

修正治療の選択肢

組織が完全に落ち着く術後3か月から6か月が経過しても、客観的に見て明らかな凹みが残ってしまった場合、修正治療を検討することになります。

「取りすぎ」による凹みの修正は、「足りないものを補う」治療が基本となります。

最も一般的なのは、患者自身の太ももやお腹から採取した脂肪を加工して凹んだ部分に注入する「脂肪注入(コンデンスリッチファット、ナノリッチファットなど)」です。

また、より手軽な方法としてヒアルロン酸を注入することもありますが、ヒアルロン酸は時間とともに吸収されてしまう点や、目の下はチンダル現象(青白く透ける)のリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

修正治療の種類と特徴

修正治療メリットデメリット
脂肪注入自分の組織なのでアレルギーの心配が少ない。定着すれば効果は半永久的。脂肪を採取する傷が別途必要。定着率に個人差がある。
ヒアルロン酸注入手軽(注射のみ)でダウンタイムが短い。万が一の際は溶解できる。時間とともに吸収される。青白く透けるリスク(チンダル現象)。

修正治療のタイミング

「取りすぎた」と感じても、すぐに修正治療を受けることはできません。手術でダメージを受けた組織が完全に治癒し、硬さ(瘢痕)が取れて柔らかくなるのを待つ必要があります。

一般的には、前回の術後から最低でも6か月は期間を空けることが推奨されます。焦って修正を急ぐと、組織が不安定なため、かえって状態を悪化させるリスクがあります。

修正治療の難易度

一度手術した部位の修正治療は、初回の治療よりも格段に難易度が上がります。

組織が硬くなっていたり、癒着(組織同士がくっつくこと)が起きていたりするため、解剖学的な構造が分かりにくくなっているからです。

特に脂肪注入は、入れすぎてしまうと今度はその脂肪を取ることが非常に困難になるため、極めて繊細な技術が求められます。

修正治療こそ、目の下の解剖と初回手術の状態を熟知した、経験豊富な医師に任せる必要があります。

治療後の経過とアフターケア

手術が無事に終わった後、どのような経過をたどるのか、そしてダウンタイムを悪化させないために何ができるのかを知っておくことも、不安の解消につながります。

治療直後から1週間の経過

治療直後は麻酔の影響もあり、腫れや違和感があります。処方された薬(痛み止め、抗生剤、点眼薬など)を医師の指示通りに使用します。

術後2〜3日が腫れと内出血のピークとなることが多いです。この時期は、保冷剤などで目元を冷やし、安静に過ごすことが重要です。

内出血が出た場合は、コンタクトレンズの使用を控える期間が長くなることもあります。

1週間後から1か月後の経過

術後1週間を過ぎると、大きな腫れや内出血はかなり落ち着いてきます。この時期に抜糸(経皮膚的に行った場合)や術後検診があることが多いです。

しかし、まだ内出血の黄ばみが残っていたり、むくみのような腫れぼったさが残っていたりします。また、傷口が治る過程で一時的に硬さ(瘢痕)を感じることもあります。

ここからさらに1〜3か月かけて、組織が柔らかくなり、なじんでいき、最終的な仕上がりに近づいていきます。

治療後の一般的な経過目安

時期目元の状態過ごし方
術後〜3日腫れ、内出血のピーク。痛みやゴロゴロ感。冷却、安静。頭を高くして寝る。
術後1週間大きな腫れが引いてくる。内出血が黄色く変化。軽いメイク、シャワー可能に。激しい運動は避ける。
術後1か月むくみもほぼ解消。ほぼ完成に近い状態。ほぼ制限なし。違和感があれば医師に相談。

ダウンタイムを長引かせないための注意点

ダウンタイムを必要以上に長引かせないためには、術後のセルフケアが重要です。基本は「血行を促進しすぎない」ことです。

血流が良くなると、腫れや内出血が悪化する原因になります。医師から許可が出るまでは、長時間の入浴、サウナ、飲酒、激しい運動は避けましょう。また、塩分の多い食事はむくみの原因になるため、控えるのが賢明です。

喫煙は血流を悪化させ、傷の治りを遅らせるため、この機会に控えるか、禁煙することが強く推奨されます。

ダウンタイム中の推奨ケアとNG行動

分類具体例理由
推奨ケア冷却(術後数日)、頭を高くして寝る腫れや炎症を抑えるため。
NG行動飲酒、激しい運動、長時間の入浴、喫煙血行を促進しすぎたり、傷の治りを妨げたりするため。

よくある質問

最後に、目の下の脂肪取りに関して、患者さんから多く寄せられる質問とその回答をまとめます。

痛みはどの程度ありますか?

手術中は点眼麻酔と局所麻酔を併用するため、手術中に強い痛みを感じることはほとんどありません。麻酔の注射の際にチクッとした痛みを感じる程度です。

術後は、麻酔が切れると鈍い痛みや圧迫感を感じることがありますが、処方される痛み止めで十分コントロールできる範囲がほとんどです。

傷跡は残りますか?

経結膜脱脂法の場合、まぶたの裏側(結膜)を小さく切開するため、顔の表面(皮膚)には一切傷跡が残りません。これがこの手術の大きなメリットの一つです。

結膜の傷は縫合しないか、吸収される糸で縫うため、抜糸の必要もありません。

脂肪取りをしたら、将来シワが増えませんか?

適度な量の脂肪を取り除いた場合、それが直接的な原因でシワが増えることは考えにくいです。

しかし、「取りすぎ」てしまうと、皮膚が余ってしまい、ちりめんジワが目立つようになるリスクはあります。

また、元々皮膚のたるみが強い方が脂肪だけを取ると、たるみが強調されてシワに見えることもあります。このため、適応の見極めが重要です。

効果は半永久的ですか?

一度取り除いた脂肪細胞は再生しないため、ふくらみが元に戻る(再発する)ことは基本的にはありません。その意味で、効果は半永久的と言えます。

ただし、取り残した脂肪が加齢とともに前に出てくる可能性や、顔全体の加齢による変化(たるみやコラーゲンの減少)は止めることはできないため、将来的に別の悩みが出てくる可能性はあります。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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