目元のクマやたるみは、顔全体の印象を大きく左右し、疲れた表情や老けた印象を与える大きな要因です。しかし、自己判断で間違ったケアを続けると、デリケートな目元の皮膚に負担をかけ、かえって症状を悪化させるリスクさえあります。
本記事では、青クマ・茶クマ・黒クマといったタイプ別の原因を正しく見極め、それぞれの症状に科学的根拠を持ってアプローチできる有効成分を厳選して解説します。今日から実践できる正しいアイクリームの選び方をマスターし、明るく若々しい目元を取り戻しましょう。
まずは自分の「クマの種類」を正しく見極めることが改善の第一歩です
目元の悩みを解決するためには、自分のクマが「青クマ」「茶クマ」「黒クマ」のどのタイプに該当するかを正確に把握することが重要です。その原因に合わせた成分を選ぶことが、改善への第一歩となります。
クマの種類によって効果的なアプローチが全く異なるため、まずは鏡を使って自分のタイプを診断しましょう。
目尻を横に引っ張った時の変化でタイプを判別する
自分がどのタイプのクマなのか迷ったときは、簡単なセルフチェックを行うことで判別できます。鏡の前で目尻を軽く横に引っ張ってみてください。
クマのタイプ別判定と主な原因
| タイプ | 主な原因 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 青クマ | 血行不良、冷え | 色が薄くなる |
| 茶クマ | 色素沈着、摩擦 | 皮膚と共に動く |
| 黒クマ | たるみ、筋力低下 | 上を向くと薄くなる |
このとき、クマの色が薄くなれば「青クマ」、クマの色が変わらず皮膚と一緒に移動すれば「茶クマ」である可能性が高いと言えます。上を向くと薄くなる場合は「黒クマ」と判断できます。
それぞれのタイプは発生原因が異なるため、対処法も明確に分ける必要があります。
血行不良が主な原因である青クマの特徴
青クマは、目の下の薄い皮膚を通して、滞った静脈血が青黒く透けて見えている状態です。主な原因は、睡眠不足、眼精疲労、冷え性などによる血行不良です。
特にスマートフォンの長時間使用やデスクワークが多い現代人に多く見られます。このタイプは、皮膚の色素沈着ではなく血液の循環に問題があるため、血流を促進するアプローチが必要です。
色素沈着が原因となる茶クマの特徴
茶クマは、メラニン色素が沈着して皮膚そのものが茶色く変色している状態です。目をこする癖、紫外線ダメージ、メイクの洗い残しなどが主な原因となります。
皮膚が薄い目元は摩擦に非常に弱く、日々の小さな刺激の積み重ねが色素沈着を引き起こします。このタイプには、美白ケアと同様のアプローチが求められます。
たるみと影が原因となる黒クマの特徴
黒クマは、加齢による眼輪筋の衰えやコラーゲンの減少により、目の下の脂肪が前に押し出されて膨らみ、その下に影ができている状態です。皮膚の色ではなく「影」が黒く見えているのが特徴です。
むくみがあるとさらに目立ちやすくなります。このタイプは、肌のハリを取り戻すエイジングケアの視点で成分を選ぶことが大切です。
青クマには血行促進作用のある成分を配合したアイクリームを選びましょう
血行不良が原因の青クマには、血液循環をサポートし、目元の巡りを整える成分が配合されたアイクリームを選ぶことが改善への近道です。滞った血液の流れをスムーズにすることで、透けて見える青黒さを軽減できます。
成分表示を確認する際は、以下のような血流にアプローチする成分が入っているかチェックしてください。
青クマ対策におすすめの注目成分リスト
- ビタミンK(血行促進・うっ血改善作用)
- ビタミンE・トコフェロール(末梢血管拡張・抗酸化作用)
- カフェイン(引き締め・水分排出作用)
- グルコシルヘスペリジン(ビタミンP誘導体・血流改善)
ビタミンKは血管にアプローチして巡りを整える
ビタミンKは、血管の健康を保ち、血流をスムーズにする働きがあるため、青クマ対策において非常に重要な成分です。血管を拡張させたり、うっ血を改善したりする効果が期待でき、医療機関でもクマ治療の外用薬として処方されることがあります。
市販のアイクリームを選ぶ際も、ビタミンK(またはその誘導体)が含まれているかを確認すると良いでしょう。
ビタミンE誘導体で毛細血管の血行を促す
ビタミンE(トコフェロール)は、末梢血管を拡張し、血行を促進する作用があります。抗酸化作用も持ち合わせているため、肌の老化を防ぎながら巡りを良くする効果が期待できます。
化粧品成分表示では「トコフェロール」や「酢酸トコフェロール」と記載されていることが多いので、これらを探してみてください。
カフェインや植物エキスですっきり引き締める
カフェインには血管を収縮させる作用や、余分な水分を排出する作用があるため、むくみを伴う青クマに効果的です。また、ボタンエキスやイチョウ葉エキスなどの植物成分も、血行促進作用を持つものが多く存在します。
朝のケアに取り入れることで、目元をすっきりと目覚めさせることができます。
茶クマには美白有効成分と保湿成分で透明感を取り戻すケアが重要です
色素沈着が原因である茶クマには、メラニンの生成を抑え、排出を促す美白有効成分を取り入れることが必要です。同時に、乾燥によるターンオーバーの乱れを防ぐため、高保湿成分で肌を保護することも忘れてはいけません。
ビタミンC誘導体でメラニンを還元し排出を促す
ビタミンC誘導体は、メラニンの生成を抑えるだけでなく、すでにできてしまったメラニンを還元して色を薄くする働きがあります。さらに、コラーゲンの生成を助ける作用もあるため、目元のハリ不足も同時にケアできる優れた成分です。
刺激が少ないタイプのものを選ぶことで、デリケートな目元にも安心して使用できます。
トラネキサム酸で炎症を抑えて色素沈着を防ぐ
トラネキサム酸は、メラノサイトの活性化因子であるプラスミンの働きを阻害し、メラニンの生成を抑制する美白有効成分です。抗炎症作用もあるため、目をこすることによって生じる微細な炎症を鎮め、新たな色素沈着のリスクを減らすことができます。
摩擦による茶クマに特に適しています。
茶クマ改善に役立つ成分とその働き
| 成分名 | 主な働き | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| ビタミンC誘導体 | メラニン還元 | 色素の淡色化 |
| トラネキサム酸 | メラニン抑制 | 摩擦の黒ずみ予防 |
| プラセンタ | 代謝促進 | くすみ改善 |
プラセンタエキスでターンオーバーを正常化する
プラセンタエキスには、アミノ酸やミネラルが豊富に含まれており、肌の代謝(ターンオーバー)を促進する働きがあります。色素沈着してしまった古い角質がスムーズに剥がれ落ちるようサポートすることで、明るい目元へと導きます。
保湿力も高いため、乾燥によるくすみ対策としても有効です。これらの成分を組み合わせることで、より効果的なケアが可能になります。
黒クマ・たるみには真皮のコラーゲンを増やしハリを出す成分が必要です
黒クマの正体である「たるみ」や「影」を改善するには、肌の土台である真皮層にアプローチすることが大切です。コラーゲンやエラスチンの生成を促してハリを取り戻す成分を選びましょう。
表面的な保湿だけでなく、肌内部の弾力を高める成分を積極的に取り入れることが重要です。
レチノールでコラーゲン産生を促進し厚みを持たせる
レチノール(ビタミンA)は、真皮の線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンやエラスチンの生成を強力に促進します。その結果、加齢とともに薄くなった目元の皮膚に厚みとハリをもたらし、たるみによる影を目立たなくさせます。
ただし、効果が高い反面、A反応と呼ばれる刺激が出ることがあるため、低濃度から慎重に使い始めることが大切です。
たるみ・黒クマにアプローチする強力な成分
| 成分名 | 特徴 | おすすめのタイプ |
|---|---|---|
| レチノール | 高いハリ形成力 | 深い悩みがある人 |
| ナイアシンアミド | 穏やかな作用 | 敏感肌の人 |
| 各種ペプチド | 細胞活性化 | 複合悩みがある人 |
ナイアシンアミドでシワ改善とバリア機能強化を狙う
ナイアシンアミドは、シワ改善の有効成分として承認されており、真皮のコラーゲン生成を促す働きがあります。レチノールに比べて刺激が穏やかであるため、敏感肌の方でも使いやすいのが特徴です。
セラミドの合成を助けて肌のバリア機能を高める効果もあるため、乾燥による小ジワ対策も同時に行えます。
ペプチド成分で肌の再生力を底上げする
ペプチドはアミノ酸が結合した成分で、細胞にメッセージを送る役割を果たします。特に「シンエイク」や「アルジルリン」などの機能性ペプチドは、表情筋の緊張を和らげたり、皮膚の修復を促したりする効果が期待できます。
肌の弾力を底上げし、ふっくらとした目元を目指すために取り入れたい成分です。
成分だけでなくテクスチャーや容器の形状も継続には重要な要素です
アイクリームは毎日継続してこそ効果を発揮するため、使用感や容器の使いやすさも選定の重要なポイントになります。成分が優れていても、使い心地が悪ければ続きません。
自分のライフスタイルや好みに合った形状を選ぶことで、ストレスなくケアを続けることができます。
こっくりとしたクリームタイプは保湿持続力が高い
油分を多く含んだクリームタイプは、肌への密着度が高く、水分の蒸発を防ぐエモリエント効果に優れています。特に乾燥が気になる夜のケアや、秋冬のシーズンに適しています。
目元の皮膚をしっかり保護してくれるため、物理的な刺激からも守ることができます。
ジェルタイプは水分補給に優れメイク前にも使いやすい
水分が多くさっぱりとしたジェルタイプは、浸透が早くベタつきにくいのが特徴です。朝のメイク前でもヨレにくく、日中の乾燥対策としてメイクの上から使えるものもあります。
むくみが気になる時に、冷やして使うことでリフレッシュ効果も得られます。
テクスチャーと容器形状による選び方ガイド
| タイプ | メリット | おすすめシーン |
|---|---|---|
| クリーム | 密着力が高い | 夜の集中ケア |
| ジェル・美容液 | 浸透が早い | 朝のメイク前 |
| アプリケーター付 | マッサージ機能 | 血行不良の青クマ |
アプリケーター付き容器ならマッサージ効果も得られる
先端に金属やセラミックのボールがついたアプリケーター一体型の容器は、クリームを塗りながらマッサージを行える利点があります。ひんやりとした感触で目元をクールダウンさせたり、適度な圧で血行を促したりすることができます。
手を汚さずにケアできる点も忙しい方にとって大きなメリットです。
効果を最大化するためには正しい塗り方を習得することが大切です
どんなに高価で優れた成分が入ったアイクリームでも、塗り方を間違えると効果が半減してしまいます。そればかりか、摩擦によって新たなトラブルを引き起こしかねません。
目元の皮膚はティッシュペーパー1枚分ほどの薄さしかないため、極めて優しく丁寧に扱う必要があります。
薬指を使って力の入りすぎを防ぐ
アイクリームを塗る際は、人差し指や中指ではなく、最も力が入りにくい「薬指」を使うのが鉄則です。他の指では無意識のうちに力が入りすぎてしまい、繊細な目元の皮膚を引っ張ってしまいます。
薬指の腹を使い、フェザータッチで優しくなじませる意識を持つことが重要です。
点置きしてから優しくなじませる
いきなり塗り広げるのではなく、目の下、目尻、まぶたの上など数カ所にクリームを点置きします。そこから薬指でトントンと軽く叩き込むようにしてなじませていきます。
決して横にこすったり、皮膚を引っ張ったりしてはいけません。スタンプを押すようなイメージで浸透させましょう。
目元への負担を最小限にするためのポイント
- 力加減は「肌が動かない程度」のソフトタッチを徹底する
- 内側から外側へ向かって、リンパの流れを意識してなじませる
- シワが気になる部分は、片手で皮膚を軽く広げて溝に埋め込む
- 使用量は少なすぎると摩擦の原因になるため、規定量を守る
スキンケアの最後か乳液の前かを確認する
製品によって使用する順番が異なります。一般的には、化粧水や美容液で肌を整えた後、乳液やクリームの前に使うものが多い傾向にあります。
一方で、油分が多いこっくりとしたタイプはスキンケアの最後に使う場合もあります。パッケージの使用方法を必ず確認し、正しい順序で使うことで成分の浸透を妨げないようにしましょう。
アイクリームの効果を底上げする生活習慣の見直しも重要です
外側からのケアであるアイクリームに加え、内側からのケアとして生活習慣を見直すことも重要です。そうすることで、クマやたるみの改善スピードを早めることができます。
目元の悩みは、日々の疲労や栄養状態がダイレクトに反映されるため、根本的な原因を取り除く努力も並行して行いましょう。
質の高い睡眠で成長ホルモンの分泌を促す
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌の修復やターンオーバーに欠かせない要素です。睡眠不足は血行不良による青クマを悪化させるだけでなく、コラーゲンの生成を妨げてたるみの原因にもなります。
就寝前のスマートフォンの使用を控え、リラックスした状態で深い眠りにつく工夫をしましょう。
眼輪筋を鍛えるエクササイズを取り入れる
目の周りを囲む眼輪筋が衰えると、眼窩脂肪を支えきれなくなり、黒クマやたるみが発生します。目をギュッと強く閉じてからパッと大きく見開く動作や、視線を上下左右に動かすエクササイズを日常的に行ってみてください。
筋肉の衰えを防ぎ、目元にハリを与えることができます。ただし、やりすぎはシワの原因になるので適度に行いましょう。
鉄分やタンパク質を積極的に摂取する
皮膚や血液を作る材料となる栄養素をしっかり摂ることも大切です。特に女性は鉄分不足になりやすく、これが青クマの原因になっていることがあります。
目元の健康を支える栄養素と食材例
| 栄養素 | 効果 | 食材 |
|---|---|---|
| 鉄分 | 貧血予防 | レバー、赤身肉 |
| タンパク質 | 皮膚の材料 | 肉、魚、卵 |
| ビタミンA | 粘膜保護 | うなぎ、人参 |
また、タンパク質はコラーゲンの原料となるため、ハリのある肌を作るために欠かせません。バランスの取れた食事を心がけ、内側から輝く目元を作りましょう。
Q&A
- アイクリームは朝と夜のどちらに使うべきですか?
-
基本的には朝と夜の両方使うことを推奨します。朝は日中の乾燥や紫外線、メイクの負担から守るために使用しましょう。
夜は日中に受けたダメージを修復し保湿するために使用します。ただし、レチノールなどの光に敏感な成分が含まれている場合は、夜のみの使用にしてください。
朝使用する場合は、必ず日焼け止めを併用しましょう。
- 効果を実感できるまでどれくらいの期間が必要ですか?
-
肌のターンオーバーは約28日周期ですが、年齢とともに遅くなります。保湿効果は数日で実感できることもありますが、根本的な変化を感じるには時間がかかります。
クマやたるみ、シワの改善といった効果を得るには、少なくとも2〜3ヶ月は継続する必要があります。即効性を求めすぎず、じっくりとケアを続けることが大切です。
- アイクリームを塗るとメイクが崩れやすくなりませんか?
-
油分の多いクリームを塗った直後にメイクをすると、ヨレや崩れの原因になることがあります。朝はジェルタイプなど浸透の早いものを選ぶのが一つの方法です。
または、クリームを塗った後に少し時間を置き、ティッシュで軽く押さえて余分な油分をオフしてからメイクを始めましょう。そうすることで、崩れを防ぐことができます。
- 若い頃からアイクリームを使う必要はありますか?
-
20代前半であっても、目元へのダメージは日々蓄積しています。スマートフォンの使用による眼精疲労や、メイクによる摩擦、乾燥などが主な要因です。
早いうちから予防として保湿や血行促進のケアを取り入れましょう。そうすることで、将来的な深いシワや頑固なクマの発生を遅らせることができます。
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