ゴルゴラインの治療法を比較|あなたに合う改善・解消法は?

ゴルゴラインの治療法を比較|あなたに合う改善・解消法は?

鏡を見るたびに気になる目頭から頬にかけての斜めのライン、いわゆる「ゴルゴライン」。

この線があるだけで顔全体が疲れ切った印象に見えたり、実年齢よりも老けて見られたりするため、多くの人が解消を望んでいます。

ゴルゴラインは皮膚表面だけの問題ではなく、深層にある脂肪や筋肉、靭帯の構造変化が複雑に絡み合って発生します。そのため、セルフケアだけでは改善が難しいのが現実です。

本記事では、ヒアルロン酸注入や糸リフト、再生医療など、現代の美容医療における主要な治療法を徹底比較し、それぞれのメリットやリスクを解説します。

あなた自身の症状やライフスタイルに適した解決策を見つけ出し、若々しい印象を取り戻すための判断材料として役立ててください。

目次

ゴルゴラインが発生する原因と顔の構造変化

ゴルゴラインは単なるシワではなく、顔の解剖学的な構造の変化によって生じる「溝」であり、その主な要因は表情筋の衰え、皮下脂肪の減少、そして皮膚の弾力低下が複合的に重なることです。

顔には「リガメント」と呼ばれる貝柱のような靭帯が存在し、皮膚と骨をつないでいます。加齢とともに顔の筋肉や脂肪が痩せてくると、皮膚全体が下垂しようとします。

しかし、リガメントがある部分は骨にしっかりと固定されているため動きません。その結果、下がってきた皮膚と動かないリガメントとの間に段差が生じ、これが深い溝となって表面に現れます。

特に頬のあたりにある「大頬骨靭帯」の影響を強く受けるのがゴルゴラインの特徴です。

また、PCやスマートフォンの長時間使用による眼精疲労も無視できない要因です。目の周りの筋肉が常に緊張状態にあると、血行不良を引き起こし、目元の皮膚の弾力を奪います。

さらに、無表情で過ごす時間が長いと表情筋が衰え、頬の脂肪を支えきれなくなります。このように、ゴルゴラインは加齢だけでなく、日々の生活習慣も深く関わっています。

皮膚のたるみと弾力低下による影響

皮膚の真皮層にあるコラーゲンやエラスチンは、肌のハリや弾力を維持する重要な役割を担っています。

しかし、紫外線ダメージや加齢によってこれらの成分が変性・減少すると、皮膚は重力に逆らえなくなります。

特に頬の皮膚は厚みがあり重さもあるため、支えを失うと顕著に下垂します。

皮膚がたるむことで、元々骨格的にくぼみやすい目の下のエリアがさらに強調され、影が濃くなることでゴルゴラインが目立つようになります。

表情筋の衰えとコリの関係

顔の表情を作る筋肉、特に「大頬骨筋」や「小頬骨筋」といった頬を引き上げる筋肉の衰えは、ゴルゴラインの形成に直結します。

これらの筋肉が弱まると、その上にある脂肪パッド(メーラーファット)を高い位置で保持できなくなります。

一方で、目を酷使することで目の周りの眼輪筋が硬く凝り固まると、周辺の血流が滞り、老廃物が蓄積しやすくなります。

筋肉のコリと衰えという相反する要素が同時に進行することで、頬の中央部分にくっきりとしたラインが刻まれてしまうのです。

脂肪の減少と位置の移動

若い頃はふっくらとしていた頬の脂肪も、年齢とともにボリュームが減少します。

顔の脂肪はいくつかの区画に分かれて存在していますが、ゴルゴライン周辺の深部脂肪が萎縮すると、皮膚が余ってしまい、それがたるみとなって現れます。

さらに、重力によって脂肪全体が下方へ移動(下垂)することで、靭帯によって食い止められた部分との境目が深くなります。

痩せ型の人にゴルゴラインができやすいのは、この脂肪の減少による影響をダイレクトに受けやすいためです。

主なゴルゴラインのタイプ

タイプ特徴主な原因
筋肉疲労型夕方になると目立つ、日によって濃さが違う眼精疲労、筋肉のコリ
脂肪減少型痩せている人に多い、頬がこけて見える加齢による脂肪萎縮、急激なダイエット
たるみ進行型常にラインがあり、指で引き上げると消える皮膚の弾力低下、支持組織のゆるみ

セルフケアで改善できる範囲と限界

マッサージや表情筋トレーニングなどのセルフケアは、初期の軽度な症状や予防には一定の効果を期待できますが、すでに深く刻まれた構造的なゴルゴラインを完全に消すことは困難です。

皮膚の表面的な乾燥による小ジワであれば、保湿ケアで目立たなくすることは可能です。

しかし、ゴルゴラインの本質は「皮下組織の構造変化」にあるため、化粧品が届く角質層へのアプローチだけでは根本的な解決にはなりません。

また、自己流のマッサージは、やり方を間違えると皮膚に過度な摩擦を与え、色素沈着を引き起こしたり、逆に靭帯を伸ばしてたるみを悪化させたりするリスクがあります。

セルフケアはあくまで「進行を遅らせる」「コンディションを整える」ための手段として捉え、過度な期待を持たずに継続することが大切です。

マッサージの効果と誤った方法のリスク

マッサージによって顔の血行を促進し、溜まった老廃物を流すことは、むくみが原因で影が濃く見えている場合には有効です。

特に耳の下や鎖骨周りのリンパ節を刺激することで、顔全体の巡りが良くなり、一時的にスッキリとした印象になります。

しかし、ゴルゴラインを消そうとして患部を強く擦ったり、グイグイと押し込んだりする行為は避けるべきです。皮膚の繊維組織を傷つけ、たるみを助長する原因となります。

行う際は、オイルやクリームをたっぷりと使い、摩擦が起きないように優しく触れることを意識してください。

表情筋トレーニングの有効性と注意点

表情筋トレーニングは、衰えた筋肉を鍛え直すことで、内側から皮膚を持ち上げる効果を狙います。

特に「頬を高く持ち上げる動き」や「口角を上げる動き」は、メーラーファットを支える筋肉への刺激となります。ただし、これもフォームが非常に重要です。

特定の筋肉だけを過剰に使いすぎると、新たなシワ(表情ジワ)を作ってしまう可能性があります。鏡を見ながら、余計な場所に力が入っていないか確認しつつ行う必要があります。

また、効果が出るまでには数ヶ月単位の継続が必要であり、即効性を求めるものではありません。

化粧品による保湿とハリケアの役割

レチノールやナイアシンアミド、ビタミンC誘導体などを配合したエイジングケア化粧品は、肌のターンオーバーを促し、コラーゲンの生成をサポートします。

その結果、肌表面のハリ感が増し、光の反射が均一になることで、影を目立たなくする視覚的な効果は期待できます。

しかし、これらはあくまで皮膚そのものの質感を向上させるものであり、皮膚の下にある脂肪の減少や靭帯の拘縮といった物理的な凹みを埋める力はありません。

日々のスキンケアは、美容医療の効果を長持ちさせるための土台作りとして重要です。

セルフケアと美容医療の違い

比較項目セルフケア美容医療
効果の即効性ほとんどない(継続が必要)処置直後から実感しやすい
改善の深さ表皮(肌表面)まで真皮、脂肪層、筋膜まで到達
リスク摩擦による色素沈着、シワ悪化内出血、腫れ、左右差など

ヒアルロン酸注入によるボリューム形成

ヒアルロン酸注入は、物理的な凹みを内側から埋めることで平らにし、即効性のある変化をもたらすため、ゴルゴライン治療の中で最も一般的で人気のある選択肢です。

この治療の最大の利点は、施術直後に効果を確認できる点と、ダウンタイムが極めて短いことです。

ゴルゴラインの原因となっている「脂肪が減って凹んだ部分」や「靭帯による引き込みがある部分」に、適切な硬さのヒアルロン酸を注入し、皮膚を持ち上げます。

ただし、単に溝を埋めれば良いというわけではありません。注入する層(深さ)や量を誤ると、笑った時に不自然に盛り上がったり、皮膚が青白く透けて見える「チンダル現象」が起きたりします。

医師のデザイン力と技術力が仕上がりを左右します。

施術の仕組みと使用する製剤

施術では、極細の針やカニューレ(先端が丸い針)を使用して、皮下組織や骨膜上などの深い層にヒアルロン酸を注入します。

ゴルゴラインの部位は皮膚が比較的厚く、表情によってよく動く場所であるため、ある程度の硬さと弾力性を持った製剤が選ばれます。

柔らかすぎる製剤ではすぐに流れてしまい、硬すぎる製剤では触った時の違和感につながります。

最近では、組織との馴染みが良く、自然なボリュームを出せる高品質な製剤が多く開発されており、より自然な仕上がりが可能になっています。

メリットとデメリットの比較

メリットは、手軽さと修正のしやすさです。万が一仕上がりに満足できなかった場合、「ヒアルロニダーゼ」という酵素を使って溶かすことが可能です。

これは外科手術にはない大きな安心材料です。一方、デメリットは効果が永続的ではないことです。製剤の種類や個人差によりますが、半年から1年半程度で徐々に体内に吸収されていきます。

そのため、状態を維持するには定期的なメンテナンス注入が必要です。また、血管閉塞などの重篤な副作用のリスクもゼロではないため、解剖学に精通した医師を選ぶことが重要です。

ダウンタイムと日常生活への影響

ヒアルロン酸注入のダウンタイムは非常に軽く、ほとんどの場合、施術直後からメイクをして帰宅できます。

針を刺した箇所にわずかな赤みや、数日間の軽い腫れが生じることがありますが、マスクなどで隠せる範囲内であることが大半です。内出血が起きた場合でも、1週間から2週間程度で消失します。

ただし、施術当日は激しい運動やサウナ、長時間の入浴など、血流が良くなる行為は腫れを強める可能性があるため避ける必要があります。

仕事や学校への影響を最小限に抑えたい人にとって、非常に適した治療法です。

ヒアルロン酸治療の概要

項目内容
施術時間10分〜20分程度
持続期間6ヶ月〜1年半(製剤による)
費用の目安数万円〜10万円前後(量による)

糸リフト(スレッドリフト)による引き上げ

糸リフトは、トゲ(コグ)のついた特殊な医療用糸を皮下に挿入し、重力で下がった脂肪や皮膚を物理的に元の位置へと引き上げる治療法です。

ゴルゴラインが「たるみ」によって強調されている場合、単に溝を埋めるだけでは根本的な解決にならないことがあります。

糸リフトは、下垂したメーラーファット(頬の脂肪)を直接キャッチして引き上げるため、顔の重心を高くし、立体的で若々しい輪郭を取り戻す効果があります。

糸が皮下組織を刺激することでコラーゲンの生成が促され、肌のハリや艶が向上する「肌質改善効果」も副次的に期待できます。

ただし、ゴルゴライン単独の治療として行われることよりも、ヒアルロン酸注入と組み合わせて行われるケースが多いです。

糸の種類とリフトアップのメカニズム

使用される糸には、体内で溶ける糸(吸収糸)と溶けない糸(非吸収糸)がありますが、現在は安全性の観点から溶ける糸が主流です。

素材にはPDO(ポリジオキサノン)やPCL(ポリカプロラクトン)などが使われ、それぞれ柔軟性や持続期間が異なります。糸についたコグが組織に引っかかり、土台から持ち上げることでたるみを改善します。

糸が溶けて吸収された後も、糸の周囲に形成されたコラーゲンの繊維組織が支えとなるため、一定期間リフトアップ効果が持続します。

適している人の特徴と限界

糸リフトは、顔全体のたるみが顕著で、皮膚にある程度の厚みがある人に適しています。

逆に、皮膚が極端に薄い人や、皮下脂肪が極端に少ない人の場合、糸の凹凸が表面に見えてしまったり、引き上げ効果が実感しにくかったりすることがあります。

また、ゴルゴラインの原因が「靭帯の強い引き込み」である場合、糸で引き上げるだけでは線が消えないこともあります。

その場合は、癒着している靭帯を剥離する処置や、ボリュームを補う注入治療との併用が必要になります。

施術の流れと痛みへの配慮

施術は局所麻酔を使用して行われます。クリニックによっては笑気麻酔や静脈麻酔を併用し、痛みや不安を軽減する工夫をしています。

こめかみや髪の生え際などの目立たない箇所から針を挿入し、糸を通していきます。施術時間は30分程度です。

術後は口を大きく開けた時の引きつれ感や痛みが1週間程度続くことがありますが、徐々に馴染んでいきます。顔に傷跡を残さずに強力なリフトアップが可能である点が魅力です。

糸リフトが向いているケース

  • 頬の脂肪が下がり、ブルドッグ顔になりかけている
  • ゴルゴラインだけでなく、ほうれい線も気になる
  • ヒアルロン酸などの注入治療だけでは改善しなかった
  • 切開手術(フェイスリフト)まではしたくない
  • 自然な引き上げと同時に肌のハリも欲しい

再生医療(脂肪注入・PRP)による根本改善

自分の細胞や組織を利用して皮膚の再生を促したり、ボリュームを補ったりする再生医療は、異物を入れることに抵抗がある人や、長期間の持続性を求める人に選ばれています。

この分野で代表的なのが「脂肪注入」と「PRP皮膚再生療法」です。脂肪注入は、自身のお腹や太ももから採取した脂肪を加工し、ゴルゴラインの凹みに注入する方法です。

ヒアルロン酸と異なり、定着した脂肪は自分の組織として生き続けるため、効果は半永久的です。

一方、PRP療法は自身の血液に含まれる血小板の働きを利用し、成長因子を放出させることで皮膚の組織を修復・再生させます。

これらは徐々に効果が現れるため、周囲にバレにくく、極めて自然な若返りが可能です。

定着率を高める脂肪注入の技術

従来の脂肪注入では、不純物が多く含まれていたため定着率が悪く、しこりができるリスクがありました。

しかし現在は、採取した脂肪から不純物を除去し、濃縮した良質な脂肪(コンデンスリッチファットなど)を使用することで、高い定着率を実現しています。

また、一度に大量に注入するのではなく、微量を層状に重ねて注入する技術により、滑らかで自然な仕上がりが可能です。

自分の組織であるためアレルギー反応のリスクがなく、肌質自体も柔らかく改善されます。

自己血液を使うPRP療法の効果

PRP(多血小板血漿)療法は、採血した血液を遠心分離機にかけ、血小板を高濃度に濃縮した成分を気になる部分に注入します。

血小板には傷を治す働きがあり、これを応用して老化した皮膚組織を活性化させます。コラーゲンやエラスチンの生成が促されることで、皮膚に厚みと弾力が戻り、ゴルゴラインの溝がふっくらと持ち上がります。

即効性はありませんが、1ヶ月から数ヶ月かけて徐々に改善していくため、「急に顔が変わった」と思われたくない人に適しています。

リスクとダウンタイムの違い

脂肪注入は、脂肪を採取する部位(太ももなど)の吸引手術が必要になるため、顔だけでなく採取部のダウンタイム(内出血や筋肉痛のような痛み)が発生します。

また、注入した脂肪がすべて定着するわけではないため、完成形の予測に高い専門性が必要です。

PRP療法は採血と注入のみで終わるため体への負担は少ないですが、効果の現れ方に個人差があり、深いゴルゴラインには単独では効果が弱い場合があります。

成長因子を添加した「FGF注入」などは、組織が増殖しすぎて膨らみすぎるリスクも指摘されているため、慎重な判断が必要です。

ヒアルロン酸注入と脂肪注入の比較

比較項目ヒアルロン酸注入脂肪注入
材料人工製剤(ゲル状)自己組織(自家脂肪)
アレルギー極めて稀だが可能性ありなし
持続性一時的(吸収される)半永久的(定着後)
体の負担注射のみで軽い脂肪吸引が必要

機器治療(HIFUなど)による切らないアプローチ

メスを使わず、注射も苦手という人には、HIFU(ハイフ)や高周波(RF)などの照射系治療が選択肢となります。これらは熱エネルギーを利用して組織を引き締める治療法です。

HIFU(高密度焦点式超音波)は、皮膚の表面を傷つけずに、深層にあるSMAS筋膜(表在性筋膜)に熱エネルギーをピンポイントで届けます。

熱を受けた筋膜が収縮することで、顔全体がキュッと引き締まり、リフトアップ効果が得られます。また、創傷治癒過程でコラーゲンが増生されるため、皮膚の密度が高まります。

ゴルゴラインそのものを直接埋めるわけではありませんが、頬のたるみを引き締めることで、結果的にラインを目立たなくする効果があります。

熱エネルギーで引き締める原理

肉を焼くと縮むのと同様に、タンパク質でできている人間の組織も熱を加えると収縮します。機器治療はこの原理を応用しています。

HIFUは虫眼鏡で光を集めるように超音波を一点に集中させ、ターゲット層に熱凝固点を作ります。高周波(RF)はより広範囲に熱を加え、脂肪層の引き締めや真皮層の活性化を行います。

ゴルゴライン周辺の脂肪が下垂して重くなっている場合、これらの機器でタイトニングを行うことで、頬の位置が高くなり、影が薄くなることが期待できます。

痛みの程度と通院頻度

痛みは機種や出力設定によって異なりますが、「骨に響くような痛み」や「熱いチクチク感」を感じることがあります。

最近の機種は痛みが軽減されていますが、痛みに弱い人は麻酔クリームを使用することも可能です。効果のピークは施術後1〜3ヶ月後で、半年から1年程度持続します。

そのため、年に1〜2回のペースで継続的に受けることが推奨されます。ダウンタイムはほとんどなく、直後からメイクが可能ですが、稀に筋肉痛のような鈍痛や赤みが残ることがあります。

軽度な症状と予防への適性

機器治療は、深い溝となって定着してしまった重度のゴルゴラインを完全に消す力はありません。あくまで「たるみの改善」による副次的な効果を狙うものです。

そのため、まだラインが薄い20代・30代の初期症状や、将来的なたるみを予防したいという目的に非常に適しています。

また、ヒアルロン酸注入や糸リフトと組み合わせることで、より高い相乗効果を発揮します。まずは機器治療から始めて、変化を見ながら他の治療を検討するという段階的なアプローチも有効です。

照射系治療のメリット

  • 皮膚を切ったり針を刺したりする必要がない
  • ダウンタイムがほぼゼロで、他人にバレにくい
  • 顔全体の引き締めと小顔効果が同時に得られる
  • 定期的なメンテナンスとして取り入れやすい
  • コラーゲン生成により肌のハリ・ツヤがアップする

失敗しない治療法の選び方と優先順位

ゴルゴライン治療には多くの選択肢がありますが、「自分にとって何が最優先か」を明確にすることが、満足のいく結果を得るための鍵です。

まずは鏡を見て、自分のゴルゴラインが「指で引っ張ると消える(たるみ型)」のか、「頬が痩せて凹んでいる(ボリューム不足型)」のかを確認してください。

たるみが強いなら糸リフトやHIFU、凹みが強いならヒアルロン酸や脂肪注入が第一選択となります。

多くの場合、これらが混在しているため、複数の治療を組み合わせる「コンビネーション治療」が提案されることもあります。また、予算やダウンタイムの許容範囲も重要な決定要因です。

安いからといって安易に飛びつかず、長期的なコストパフォーマンスやリスクまで考慮して判断することが大切です。

医師の技術とカウンセリングの重要性

ゴルゴラインの治療は、医師の解剖学的知識と美的センスが問われる難易度の高い施術の一つです。注入する位置が数ミリずれるだけで、効果が出なかったり、不自然な顔つきになったりします。

クリニックを選ぶ際は、単に料金の安さで選ぶのではなく、症例写真を確認し、自分と似た骨格や症状の人がどのように改善したかをチェックしてください。

カウンセリングでは、メリットだけでなくデメリットやリスクについても明確に説明してくれる医師を選ぶことが、失敗を防ぐための必須条件です。

予算と持続期間のバランス

美容医療は自由診療であり、治療法によって費用は大きく異なります。

ヒアルロン酸は初期費用が比較的安く済みますが、維持するには定期的な注入が必要となり、長期的な総額は高くなる可能性があります。

脂肪注入や再生医療は初期費用が高額ですが、定着すれば一生モノの効果が得られるため、長い目で見ればコストパフォーマンスが良いとも言えます。

現在の財布事情だけでなく、今後メンテナンスにどれだけの費用と時間をかけられるかをシミュレーションし、無理のない計画を立てることが重要です。

リスク管理とアフターフォロー体制

どの治療法にも必ずリスクが存在します。内出血や腫れといった一時的なものから、感染や左右差、しこりといったトラブルまで様々です。

万が一トラブルが起きた際に、迅速かつ誠実に対応してくれるクリニックであるかどうかが重要です。保証制度の有無や、夜間の連絡体制、再診料の規定などを事前に確認しておきましょう。

また、納得がいかないまま当日に契約を迫るようなクリニックは避け、一度持ち帰って冷静に検討する勇気を持つことも、自分の顔を守るためには必要です。

主な治療法の比較まとめ

治療法即効性ダウンタイム
ヒアルロン酸注入非常に高いほぼなし(数日の腫れ)
糸リフト高い数日〜1週間(痛み・腫れ)
脂肪注入中程度(完成まで数ヶ月)1〜2週間(採取部含む)
HIFU(照射)低い(直後〜数ヶ月後)ほぼなし

Q&A

ゴルゴラインの悩みを持つ方から寄せられることの多い疑問について、専門的な視点を交えて回答します。

片方の頬だけにゴルゴラインができることはありますか?

はい、片方だけにできることや、左右で深さが異なることは頻繁にあります。これは、噛み合わせの癖、寝る時の向き(横向き寝など)、表情筋の使い方の左右差などが影響しています。

片方だけにある場合でも、治療は左右のバランスを見ながら行い、対称に見えるように調整することが一般的です。

若い頃からゴルゴラインがある場合はどうすればいいですか?

10代や20代前半からある場合、加齢によるたるみではなく、生まれつきの骨格や靭帯の構造が強く影響している可能性が高いです。

このタイプはマッサージやHIFUなどの引き締め治療では改善が難しく、凹みを物理的に埋めるヒアルロン酸注入や脂肪注入が有効な解決策となります。

早めに相談することで、加齢による悪化を防ぐことも可能です。

一度消えたゴルゴラインが再発することはありますか?

はい、残念ながら老化現象を完全に止めることはできないため、時間の経過とともに再発する可能性はあります。

ヒアルロン酸は吸収されますし、糸リフトも引き上げ効果が徐々に薄れます。

脂肪注入は定着すれば長持ちしますが、加齢による新たな皮膚のたるみが出てくれば、再び影ができることもあります。

定期的なメンテナンスや、複数の治療を組み合わせることで、良い状態を長くキープすることが可能です。

治療後に笑顔が不自然になることはありますか?

適切な位置と量で治療が行われれば、不自然になることはほとんどありません。

しかし、ヒアルロン酸を過剰に注入しすぎると、笑った時に頬が盛り上がりすぎて目が小さく見えたり、パンパンな印象になったりすることがあります。

これを避けるためには、真顔の状態だけでなく、笑った時の表情の動きも計算に入れてデザインできる熟練した医師に担当してもらうことが重要です。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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