歯列矯正で顔がたるむ?「矯正顔」の原因と治療中の対策・改善法

歯列矯正で顔がたるむ?「矯正顔」の原因と治療中の対策・改善法

歯列矯正を始めてから「なんだか顔がたるんだ気がする」「頬がこけて老けた印象になった」と不安を感じたことはありませんか。この悩みはSNSでも「矯正顔」と呼ばれ、多くの方が関心を寄せています。

歯列矯正そのものが直接的に顔のたるみを引き起こすわけではありません。ただし、治療中の噛み合わせの変化や咀嚼量の減少が表情筋に影響を与え、一時的に頬のボリュームが減ったように感じるケースがあります。

この記事では、矯正治療中に起きやすい顔つきの変化の仕組みを丁寧にひもとき、治療中でも取り組める具体的な対策と改善法をお伝えします。

目次

歯列矯正で顔がたるむと感じるのはなぜか|「矯正顔」の正体に迫る

歯列矯正そのものが皮膚をたるませるのではなく、治療に伴う複合的な変化が顔つきの印象を変えていると考えられます。多くの患者さんが感じる「矯正顔」には、明確な原因が複数存在します。

矯正中に頬がこけたように見える仕組み

歯列矯正では、装置の違和感や歯の移動に伴う痛みから、硬いものを避けるようになる方が少なくありません。柔らかい食事が中心になると、咬筋(こうきん)や側頭筋といった咀嚼に関わる筋肉の活動量が減少します。

筋肉は使わなければ徐々にやせ細ります。とくに頬の周辺を支える咬筋が薄くなると、頬骨が目立ち、こけたような印象を受けやすくなるでしょう。これは筋肉量の一時的な減少であり、皮膚のたるみとは異なります。

抜歯矯正が顔の印象を変える理由

小臼歯を抜いてスペースを確保する抜歯矯正では、前歯が後方に引かれるため、口元の突出感が和らぎます。

口元がすっきりした反面、それまで唇を前方から支えていた歯のボリュームが減ることで、ほうれい線が目立ちやすくなったと感じる方もいます。

変化の種類抜歯矯正非抜歯矯正
口元の突出感減少しやすいほぼ変わらない
唇の後退量やや大きい軽微
ほうれい線の印象目立つと感じる場合あり変化が少ない

加齢による変化と矯正時期の重なり

成人の矯正治療は2〜3年にわたることが多く、とくに30代以降では治療期間中に加齢による皮膚の弾力低下やコラーゲンの減少が同時に進行します。治療前後の写真を見比べると、矯正のせいで老けたと錯覚してしまうこともあるかもしれません。

矯正に原因があるように見えても、実際には自然な経年変化が重なっているだけという場合も珍しくありません。

歯列矯正中に顔の軟組織はどう変わるのか|頬・唇・あごのたるみリスク

矯正治療では歯と骨だけでなく、唇・頬・あご周りの軟組織にも影響が及びます。変化の仕組みを知っておくと、過度な心配を防げます。

歯の移動が唇と頬に与える影響

歯が後方に移動すると、歯を覆う唇の支えが弱まります。上下の唇はわずかに後退し、鼻唇角(鼻と上唇がなす角度)が広がる傾向にあります。

この角度の変化は横顔のシルエットに影響するため、本人や周囲が「顔が変わった」と感じる要因の一つになるでしょう。

一方で頬の軟組織は、歯列の変化より咀嚼筋の使い方によって変動する部分が大きいとされています。歯並びの改善自体が頬のたるみを招くとは考えにくいといえます。

咬合高径の変化とフェイスラインへの影響

矯正治療中に奥歯を圧下(歯を骨の中に沈める方向へ移動させること)したり、噛み合わせの高さを調整したりすると、咬合高径(上下の歯が噛み合ったときの顔の高さ)が変わる場合があります。

後方の咬合高径がわずかに増すと、下顔面の長さが伸びたように見え、フェイスラインが間延びした印象を与えることがあります。ただし、こうした変化はミリ単位の微細なものです。

矯正前後で顔が変わったと感じやすい人の特徴

もともと面長で頬の脂肪が少ない方や、咬筋の厚みが薄い方は、矯正中のわずかな変化でも印象が大きく変わりやすいとされています。反対に、頬の丸みがある方は変化が目立ちにくい傾向にあります。

顔の骨格やもともとの脂肪量によって「矯正顔」のリスクは異なりますので、治療前に担当歯科医師と顔つきの変化について十分に話し合っておくことが大切です。

特徴変化を感じやすい変化を感じにくい
顔型面長・逆三角形丸顔・卵型
頬の脂肪量少ない多い
咬筋の発達薄い厚い

「矯正顔」を防ぐ|歯列矯正中にできるたるみ対策は意外と多い

矯正中のたるみ感を和らげるには、日常生活の中でできるセルフケアが効果的です。特別な器具や高額な施術に頼らなくても、毎日の小さな心がけが顔つきの維持に大きく貢献します。

噛む力を落とさない食事の工夫

装置に負担をかけない範囲で、ある程度噛みごたえのある食品を取り入れることが大切です。たとえば、柔らかく煮た根菜類やかまぼこ、蒸し鶏など、しっかり咀嚼できる食材を毎食1品は加えてみてください。

噛む回数を意識的に増やすだけでも、咬筋への刺激は維持できます。1口あたり20〜30回を目安にゆっくり噛む習慣をつけるとよいでしょう。

表情筋トレーニングで頬のハリを保つ

咀嚼筋だけでなく、頬骨筋や口輪筋などの表情筋を鍛えるトレーニングも有効です。

たとえば「い」と「う」の口を大きく交互に繰り返す運動や、頬を膨らませてから左右に空気を移動させる運動は、特別な道具がなくても取り組めます。

トレーニング名やり方目安回数
「い・う」体操「い」で口角を引き上げ、「う」で唇をすぼめる各10回×3セット
頬風船片頬ずつ空気を入れ5秒キープ左右各5回
舌回し口を閉じて舌を歯茎に沿って回す左右各10回

頬のこけ感をカバーする日々のスキンケア

肌のハリを保つには、保湿と紫外線対策が欠かせません。ヒアルロン酸やセラミドを含む保湿剤で肌の水分量を維持し、外出時は日焼け止めを塗ることでコラーゲンの分解を防ぎましょう。

入浴後のフェイスマッサージも血行促進に役立ちますが、力を入れすぎるとかえって皮膚を伸ばしてしまいます。指の腹でやさしく押すように行ってください。

抜歯矯正で「ほうれい線が深くなった」と感じたときに試したい改善法

抜歯矯正後にほうれい線が気になるようになったという声は珍しくありません。口元の後退によって見え方が変わることが主な原因ですが、日常の工夫で印象を和らげる方法はあります。

ほうれい線は矯正だけのせいではない

ほうれい線は、頬の脂肪が下垂し、頬と口元の間に段差ができることで深くなります。加齢に伴うコラーゲンや皮下脂肪の減少、表情筋の衰えなど、複数の要因が絡み合って目立ちやすくなるものです。

矯正で口元が引っ込んだことによって相対的にほうれい線が強調されるケースはあるものの、矯正が直接しわを刻んでいるわけではありません。

口元のハリを取り戻すセルフケア

口角を引き上げる動きを繰り返す「スマイルトレーニング」は、大頬骨筋を刺激して口元周辺のハリを回復させる効果が期待できます。鏡の前で左右対称に口角を上げ、10秒間キープする運動を1日3回ほど行ってみてください。

同時に、口の中で舌を上あごに押し当てる「舌トレーニング」も有用です。舌の筋力が上がると、口周りの筋肉が連動して引き締まりやすくなります。

矯正担当医に相談すべきタイミング

ほうれい線が急に深くなったと感じたり、矯正中にフェイスラインが大きく変わったように思えたりした場合は、次の通院時に担当歯科医師へ伝えてください。歯の移動方向や咬合高径の微調整で、口元のバランスを修正できる場合もあります。

患者さんの審美的な満足度も治療のゴールの一つです。遠慮せずに率直な感想を共有することが、より良い治療結果につながります。

  • 頬のこけやほうれい線が気になり始めた時期を記録しておく
  • 矯正前の正面・横顔の写真を持参して比較する
  • 食事内容や噛む回数の変化も伝える

矯正治療後に顔のたるみが残った場合の対処法|歯科と美容の両面から考える

矯正が終わっても顔のたるみが気になる場合、それは矯正の後遺症ではなく、治療期間中に進んだ加齢変化や生活習慣の影響が大きいと考えられます。歯科と美容の両面から検討する姿勢が回復への近道になるでしょう。

矯正後に変わった顔つきはどこまで戻せるのか

咀嚼筋の萎縮によるボリューム感の低下であれば、矯正後に通常の食事に戻り、噛む力を取り戻すことで数か月かけて改善が見込めます。実際に、装置を外してから半年ほどで「顔つきが元に戻ってきた」と感じる方は少なくありません。

一方で、皮膚そのもののたるみやコラーゲンの減少が主因である場合、セルフケアだけでは限界があるかもしれません。

表情筋リハビリの具体的な進め方

矯正装置を外した直後は、顎関節や筋肉が治療前とは異なるバランスになっています。急に硬いものを噛むのではなく、段階的に噛みごたえのある食品を増やしていくのが安全です。

並行して、前述の「い・う」体操や頬風船トレーニングを1日2回ずつ継続してください。筋肉量の回復には少なくとも4〜8週間はかかりますので、焦らず取り組むことが大切です。

時期食事の硬さトレーニング内容
装置除去直後〜2週間やわらかめ「い・う」体操のみ
2週間〜1か月普通の硬さ頬風船・舌回し追加
1か月以降硬めの食品も可全トレーニング実施

専門医への相談を迷わないでほしい

セルフケアを数か月続けてもたるみの改善が見られない場合は、形成外科や皮膚科の専門医に一度相談してみてください。肌の状態や骨格に合わせた治療の提案を受けられます。

歯列矯正を行った歯科医師と連携を取ってもらうと、口腔内の状態を踏まえた総合的なアドバイスが得られるはずです。

年代別に見る歯列矯正と顔のたるみの関係|20代と40代では何が違うのか

歯列矯正による顔つきの変化は、年齢によって感じ方や出やすさが異なります。20代の方と40代以降の方では、肌や骨格のコンディションがまったく違うため、同じ治療でも受ける影響に差が出るのは当然です。

20代〜30代の矯正では「たるみ」より「こけ」に注意

若い年代では肌の弾力がまだ十分に残っているため、皮膚のたるみは起きにくい傾向にあります。むしろ問題になりやすいのは、頬のボリューム感の低下による「こけた印象」です。

皮下脂肪が少ないスリムな体型の方は、矯正中の咀嚼量減少がダイレクトに頬のラインに反映されやすいため、意識的にバランスのよい食事と表情筋トレーニングを心がけてください。

40代以降は加齢変化との見極めが大切になる

40代以降では、コラーゲンの産生量が低下し、皮膚のターンオーバーも遅くなっています。そのため、矯正中に起きた微細な変化が加齢の進行と重なって、より目立ちやすくなるのが特徴です。

矯正によるものなのか、加齢によるものなのかを自分だけで判断するのは難しいでしょう。治療中は定期的に写真を撮っておくと、担当歯科医師との相談材料として役立ちます。

  • 毎月同じ角度・同じ照明で正面と横顔を撮影する
  • 体重の増減も記録しておく
  • 気になる変化はメモして次回の通院時に伝える

年代を問わず共通する「たるみ予防」の基本

年齢に関係なく、紫外線対策、十分な睡眠、バランスのとれた食事は顔のたるみ予防の土台です。とくにタンパク質の摂取は、肌のコラーゲン合成だけでなく、咀嚼筋をはじめとする筋肉の維持にも関わります。

矯正中は食事制限が生じがちですが、栄養バランスを意識した献立を心がけると、顔つきの変化を穏やかに抑えることが期待できます。

矯正中の顔のたるみが心配なら治療前に確認したい3つのポイント

治療を始める前の段階で確認すべきことを押さえておけば、「矯正顔」への不安は大きく軽減されます。カウンセリングの際に以下の内容を担当歯科医師と共有してください。

確認ポイント具体的な質問例
抜歯の有無と本数「抜歯した場合、口元の印象はどう変わりますか」
治療期間と噛み合わせの変化「咬合高径に影響はありますか」
顔つきの変化の見通し「私の骨格では顔のたるみリスクはどの程度ですか」

矯正方法ごとの顔への影響を比べてみる

ワイヤー矯正とマウスピース矯正では、歯の移動のさせ方に違いはあるものの、最終的な歯並びのゴールが同じであれば顔への影響に大きな差は出にくいとされています。

ただし、マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べて痛みが軽いことが多く、食事中は外せるため、咀嚼量が減りにくいという利点があります。咬筋の維持という観点では、マウスピース矯正のほうがたるみを感じにくいかもしれません。

カウンセリングで遠慮せず審美面の希望を伝える

歯列矯正は噛み合わせの改善だけでなく、見た目の改善を目的に始める方も多い治療です。にもかかわらず「顔の見た目の話をしていいのだろうか」と遠慮してしまう方がいます。

治療のゴールには機能面と審美面の両方が含まれます。「口元をすっきりさせたいけど、頬がこけるのは避けたい」といった具体的な要望を伝えると、治療計画にも反映してもらえる可能性が高まります。

矯正前の顔写真を複数枚残しておく

治療前の記録は、変化を客観的に把握するための貴重な資料です。正面・左右の横顔・斜め45度の角度で、自然光のもとで撮影しておきましょう。

笑った表情と真顔の両方を撮っておくと、表情筋の状態も含めた比較がしやすくなります。治療中も3か月ごとに同じ条件で撮影すれば、微細な変化を見逃しにくくなるでしょう。

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よくある質問

歯列矯正の抜歯によってほうれい線は深くなりますか?

抜歯矯正では前歯を後方へ移動させるため、口元の突出感が減り、相対的にほうれい線が目立ちやすくなることがあります。ただし、矯正によって新たなしわが刻まれるわけではありません。

ほうれい線の深さには加齢による皮膚の弾力低下や皮下脂肪の減少が大きく関わっています。矯正治療が直接の原因となるケースは少なく、治療中のセルフケアで印象を和らげることも十分可能です。

歯列矯正中に頬がこけた場合、装置を外せば元に戻りますか?

頬のこけ感が咀嚼筋の活動量低下によるものであれば、矯正装置を外して通常の食事に戻ることで、数か月ほどで改善が見込めます。噛む力が回復すると、咬筋のボリュームも徐々に戻ってくるでしょう。

一方で、体重の減少や加齢による脂肪の減少が原因の場合は、装置を外しただけでは十分に回復しないことも考えられます。食事内容の見直しや表情筋トレーニングを並行して行いましょう。

歯列矯正中に行う表情筋トレーニングで顔のたるみは予防できますか?

表情筋トレーニングは、頬や口周りの筋肉を刺激してハリを維持する効果が報告されています。矯正中はとくに咀嚼量が減りやすいため、意識的に表情筋を動かすことでボリューム感の低下を緩やかに抑えられるでしょう。

ただし、トレーニングだけで加齢による皮膚のたるみをすべて防ぐのは難しいため、保湿ケアや紫外線対策と組み合わせて取り組むのが効果的です。

歯列矯正で顔がたるむリスクが高い人にはどのような特徴がありますか?

面長で頬の皮下脂肪が少ない方や、もともと咬筋が薄い方は、矯正治療中の変化が顔つきに反映されやすいとされています。スリムな体型で顔の脂肪が少ない方も同様の傾向があるでしょう。

また、40代以降で皮膚の弾力が低下している場合は、若い年代に比べてたるみを感じやすくなります。こうした特徴に心当たりがある方は、治療前のカウンセリングで審美面の不安をしっかり伝えておくと安心です。

歯列矯正のマウスピース型とワイヤー型では顔のたるみ度合いに差がありますか?

最終的な歯の移動量が同じであれば、マウスピース矯正とワイヤー矯正で顔のたるみに大きな差は出にくいと考えられています。ただし、マウスピース矯正は食事中に装置を外せるため、咀嚼量を維持しやすいという利点があります。

咬筋の活動量が保たれれば頬のボリューム感も維持されやすいため、「噛む力の低下によるこけ感」を防ぎたい方にはマウスピース矯正が向いている場合もあるでしょう。担当歯科医師と相談のうえ、ご自身に合った方法を選んでください。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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