目の下のくぼみや影によるクマは、疲れた印象や実年齢以上の老け見えにつながる大きな要因です。
この悩みを解消する手段として注目されるヒアルロン酸注入は、両目で約4万円から10万円程度が一般的な相場となります。
注入量は個人の骨格や症状の深さにより異なりますが、片側0.3ccから1.0cc程度が目安です。
本記事では、目の下にくぼみが生じてヒアルロン酸を検討している方に向けて、適正な価格の見極め方や失敗しないための製剤選び、リスク管理について専門的な視点から詳しく解説します。
安さだけで選ばず、自身の症状に適した治療を選択するための判断基準を提供します。
目の下のヒアルロン酸注入にかかる費用の相場と内訳
目の下のヒアルロン酸注入における費用相場は、製剤のブランドやクリニックの立地、医師の技術料を含めておおよそ5万円から12万円の範囲に収まるケースが大半です。
価格差が生じる主な理由は、使用するヒアルロン酸製剤の原価の違いや、技術料が含まれているかどうか、そして麻酔代やカニューレ(針)代が別途必要になるかという料金体系の違いにあります。
安価な広告価格だけで判断せず、総額でいくらかかるかを事前に把握することが重要です。
製剤ブランドによる価格の違い
ヒアルロン酸製剤には世界中で数多くの種類が存在しますが、厚生労働省の承認を得ている製剤と、未承認の安価な製剤では価格に大きな開きがあります。
アラガン社製の「ジュビダームビスタ」シリーズや、ガルデルマ社製の「レスチレイン」シリーズなどは、品質の高さと持続性において実績があり、比較的価格設定が高めです。
一方で、韓国製などのジェネリック的な位置づけにある製剤は、費用を抑えられる傾向にあります。
目の下の皮膚は非常に薄くデリケートなため、価格の安さよりも組織への馴染みやすさや安全性が担保された製剤を選ぶことが大切です。
技術料や処置料が含まれるか確認する重要性
クリニックによっては、ヒアルロン酸製剤1本(1cc)あたりの価格を表示している場合と、部位ごとの施術料金として設定している場合があります。
例えば「1ccあたり2万円」と記載されていても、別途「手技料」「処置料」として数万円が加算されるケースも少なくありません。
また、目の下の注入は高度な技術を要するため、経験豊富な医師を指名する場合に「指名料」が発生することもあります。
カウンセリング時には、製剤代だけでなく、実際に施術を受けるために必要なすべての項目を含んだ見積もりを確認するようにしましょう。
麻酔代や特殊な針(マイクロカニューレ)のオプション費用
痛みを軽減するための麻酔や、内出血のリスクを抑えるための特殊な針である「マイクロカニューレ」は、基本料金に含まれている場合と、オプションとして別途費用がかかる場合があります。
目の周りは血管が豊富であり、鋭利な針を使用すると内出血のリスクが高まるため、先端が丸いマイクロカニューレの使用を推奨するクリニックが多いです。
これらのオプション費用は数千円から1万円程度かかることが一般的ですので、予算を組む際にはこれらの追加費用も考慮に入れる必要があります。
主な費用項目の目安
| 項目 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ヒアルロン酸製剤(1本) | 40,000円〜90,000円 | ブランドや持続期間による |
| マイクロカニューレ代 | 3,000円〜8,000円 | 内出血予防のための鈍針 |
| 麻酔代(クリーム/テープ) | 3,000円〜5,000円 | 痛みに弱い方は必須 |
目の下のくぼみを埋めるために必要な適正注入量
目の下のくぼみを自然に改善するために必要なヒアルロン酸の注入量は、一般的に片側で0.3ccから0.8cc、両目で約1.0cc前後で収まるケースが多いです。
くぼみが深い場合でも、一度に大量に注入することは避け、段階的に仕上げる方が美しい結果につながります。
過剰な注入は「チンダル現象」や不自然な膨らみを招く原因となるため、不足しているボリュームを補う程度の控えめな量からスタートすることが推奨されます。
個人の骨格や脂肪の量による注入量の差
必要な注入量は、生まれつきの骨格や眼窩脂肪(がんかしぼう)の突出度合いによって大きく左右されます。
骨格的に眼窩(目の入っている骨のくぼみ)が広い方や、頬の骨が低い方は、くぼみが目立ちやすく、比較的多くの注入量を要することがあります。
一方で、眼窩脂肪が前に出ていることで相対的にその下がくぼんで見える「黒クマ」タイプの方は、単純に埋めるだけでは逆に膨らみが強調されてしまうリスクがあるため、慎重な量の調整が求められます。
医師はお客様の顔立ちを見て、最適な深さと層に注入する量を決定します。
左右差を考慮した微調整の必要性
人間の顔は完全に左右対称ではありません。目の大きさ、頬骨の高さ、皮膚のたるみ具合には左右差があります。
そのため、ヒアルロン酸を注入する際も、左右で同じ量を注入するのではなく、左右のバランスを見ながら微調整を行います。
例えば、右側のくぼみが深い場合は右に0.5cc、左は0.3ccといったように、異なる量を注入することで、仕上がりの対称性を高めます。
0.1cc単位での繊細な調整が可能な医師に依頼することで、より自然な目元を実現できます。
入れすぎによる不自然さを防ぐための基準
目の下へのヒアルロン酸注入で最も避けるべきは「入れすぎ」です。注入直後は麻酔やわずかな腫れの影響でボリュームが増して見えることがあります。
そのため、施術直後の状態で「完全に平らになった」と感じるまで入れてしまうと、後日水分を含んで膨張した際に、目の下がパンパンに膨れ上がって見える可能性があります。
少し物足りないと感じる程度で止めておき、数週間経過を見てから必要であれば追加注入を行う「リタッチ」という方法をとることで、失敗のリスクを大幅に減らすことができます。
くぼみの深さと注入量の目安
| くぼみの程度 | 片側の目安量 | 両側の合計目安 |
|---|---|---|
| 軽度(わずかな影) | 0.2cc 〜 0.4cc | 0.4cc 〜 0.8cc |
| 中度(明確な段差) | 0.4cc 〜 0.7cc | 0.8cc 〜 1.4cc |
| 重度(深い溝がある) | 0.7cc 〜 1.0cc | 1.4cc 〜 2.0cc |
目の下の施術に適したヒアルロン酸製剤の種類と特徴
目の下の皮膚は顔の中で最も薄くデリケートなため、柔らかく馴染みの良い低粘度のヒアルロン酸製剤を使用することが鉄則です。
硬すぎる製剤を使用すると、注入部位がボコボコとしたり、表情を作った際に違和感が生じたりする原因となります。また、皮膚表面近くに注入しても青白く透けにくい性質を持つ製剤を選ぶことも重要です。
目の下の施術には、デリケートな皮膚に馴染みやすいソフトタイプや、長期持続型などの製剤が適しており、それぞれの特性を理解して選択する必要があります。
柔らかさと馴染みやすさを重視した製剤選び
目の下の修正には、組織との親和性が高く、非常に滑らかな質感を持つ製剤が適しています。
粒子が荒く硬いヒアルロン酸は、鼻や顎などの形成には向いていますが、目の下に用いると「ミミズ腫れ」のような不自然な段差を作ってしまいます。
一般的には、皮膚の浅い層にも馴染みやすい「ソフトタイプ」のヒアルロン酸が選択されます。そのため、瞬きや笑顔などの目周りの細かい動きにも自然に追従し、違和感のない仕上がりが可能になります。
長期間持続型と標準型の違い
ヒアルロン酸製剤には、架橋(かきょう)技術の違いにより、体内に吸収されるまでの期間が異なるものがあります。
標準的な製剤では半年から1年程度で吸収されますが、近年の高品質な製剤(例:ジュビダームビスタ ボルベラXCなど)は、1年から1年半以上持続するものも登場しています。
持続期間が長い製剤は初期費用が高くなる傾向にありますが、頻繁に再注入を行う手間やコストを考えると、長期的には経済的である場合も多いです。
ライフスタイルや予算に合わせて選択することが重要です。
厚生労働省承認品の安全性について
日本国内では、厚生労働省が品質、有効性、安全性を審査し承認したヒアルロン酸製剤が存在します。
これらの承認品は、厳しい管理下で製造・輸送されており、アレルギー反応や感染症のリスクが極めて低く抑えられています。
未承認の並行輸入品は安価であることが多いですが、輸送時の温度管理が不十分であったり、品質のばらつきがあったりするリスクも否定できません。
目の下という繊細な部位に異物を注入する以上、安全性が公的に認められた製剤を使用しているクリニックを選ぶことが賢明です。
代表的な製剤ブランドの比較
| 製剤名(メーカー) | 特徴・硬さ | 持続期間の目安 |
|---|---|---|
| ジュビダームビスタ ボルベラ(アラガン) | 非常に柔らかく馴染みが良い | 約12ヶ月〜18ヶ月 |
| レスチレイン リド(ガルデルマ) | 適度なリフト力がある | 約6ヶ月〜12ヶ月 |
| ニューラミス(メディトックス) | 比較的安価で滑らか | 約6ヶ月〜9ヶ月 |
ヒアルロン酸注入で改善できる目の下の悩みと効果
ヒアルロン酸注入は、主に「影クマ(黒クマ)」と呼ばれる、構造的な段差によって生じる影を薄くするのに極めて有効です。
物理的にくぼんでいる部分を内側から持ち上げることで、フラットな状態に近づけ、光の当たり方を変えることでクマを目立たなくさせます。
また、副次的な効果として、肌にハリをもたらし小じわを目立たなくさせる作用も期待できます。すべての目の下の悩みがヒアルロン酸だけで解決するわけではないため、適用を見極めることが重要です。
影クマ(黒クマ)の解消メカニズム
影クマの正体は、眼窩脂肪の突出とその下にある靭帯による食い込みが生み出す「段差」です。この段差部分にヒアルロン酸を注入し、谷間を埋めることで、高低差をなくします。
段差がなくなれば、上からの照明によってできていた影が消失し、目元が明るく見えます。
メイクやコンシーラーでは隠しきれない凹凸によるクマに対して、物理的なアプローチで即効性のある変化をもたらすのがヒアルロン酸注入の最大の強みです。
涙袋形成との同時施術による相乗効果
目の下のくぼみ治療と同時に、涙袋(下まつげの際の膨らみ)へのヒアルロン酸注入を行うことで、目元全体の印象をより若々しく華やかにすることができます。
くぼみが改善されてフラットになった土台の上に、涙袋という適度なメリハリを作ることで、間延びした印象を引き締め、目の縦幅を大きく見せる効果が生まれます。
ただし、両方を同時に行う場合は、注入位置が近接するため、製剤が混ざり合わないよう、層を変えて注入するなどの高度な技術が必要です。
色素沈着による茶クマや血行不良の青クマへの効果の限界
ヒアルロン酸はあくまで「形」を整える治療であり、「色」を消す治療ではありません。
したがって、皮膚自体が茶色く沈着している「茶クマ」や、皮膚の下の静脈が透けて見える「青クマ」に対しては、ヒアルロン酸注入だけでは根本的な改善は困難です。
ただし、くぼみが埋まることで皮膚がわずかに伸展し、結果として青クマが多少薄く見えることはあります。
基本的には、茶クマには美白治療、青クマには血流改善や皮膚の厚みを出す治療が適しており、ヒアルロン酸はあくまで構造上の凹凸改善に特化しています。
知っておくべきリスクと副作用、ダウンタイム
手軽な施術として人気のあるヒアルロン酸注入ですが、医療行為である以上、リスクや副作用は必ず存在します。特に目の下は皮膚が薄く血管が多いため、内出血や腫れが生じやすい部位です。
また、製剤の選択ミスや注入層の誤りによって、青白く透けて見えるチンダル現象や、しこりが残るケースもあります。
これらのリスクを事前に理解し、万が一トラブルが起きた際に溶解注射などの対処が可能かどうかを確認しておくことが大切です。
施術直後の腫れと内出血の経過
注入直後は、針を刺した刺激や製剤の水分吸収性により、多少の腫れや赤みが生じることがあります。これは生体の正常な反応であり、通常は2日から3日をピークに、1週間程度で落ち着いていきます。
内出血が起きた場合は、青紫色から黄色へと変化しながら消失するまでに1週間から2週間程度かかることがあります。
この間はコンシーラーやメイクでカバーすることが可能ですが、大切なイベントの直前に施術を受けることは避け、余裕を持ったスケジュールで予約することが推奨されます。
チンダル現象と皮膚の凸凹リスク
チンダル現象とは、皮膚の浅い層にヒアルロン酸を注入しすぎた結果、光が散乱して注入部位が青白く透けて見えてしまう現象です。
特に色白の方や皮膚が薄い方で起こりやすく、一度なると自然治癒には長い時間を要します。また、一箇所に固まって注入されると、笑った時などにしこりとして浮き出たり、不自然な凸凹が生じたりします。
これらを防ぐためには、深い層(骨膜上など)を中心に注入し、表面への注入は極力控えるなどのテクニックが必要です。
血管閉塞などの重篤な合併症の可能性
極めて稀ではありますが、誤って血管内にヒアルロン酸が注入されたり、周囲の血管を圧迫したりすることで血流障害が起きる「血管閉塞」という重篤な合併症のリスクがあります。
目の周りには眼動脈につながる重要な血管が存在するため、解剖学を熟知した医師による施術が必要です。
万が一、施術中や施術後に激しい痛みや皮膚の変色が見られた場合は、直ちにヒアルロン酸を溶かす酵素(ヒアルロニダーゼ)を注入するなどの緊急処置が必要となります。
リスク管理体制が整っているクリニックを選ぶことは、自分の身を守るために非常に重要です。
主な副作用と回復までの期間
| 症状 | 発生頻度 | 回復までの目安 |
|---|---|---|
| 内出血(青あざ) | 人によるが出やすい | 1週間 〜 2週間 |
| 腫れ・むくみ | ほぼ全員に軽度発生 | 3日 〜 7日 |
| 違和感・異物感 | 一時的に感じる | 数日 〜 1週間 |
ヒアルロン酸注入と他の治療法との比較
目の下のくぼみやクマ治療には、ヒアルロン酸注入以外にも、自身の脂肪を移植する「脂肪注入」や、再生医療の一種である「PRP療法」、余分な脂肪を取り除き移動させる外科手術「脱脂術+裏ハムラ法」など、複数の選択肢があります。
ヒアルロン酸は手軽さや即効性、ダウンタイムの短さで優れていますが、効果が永続的ではないという点があります。
一方、外科手術は根本治療となり効果が長持ちしますが、費用が高額でダウンタイムも長くなります。自身の優先順位に合わせて治療法を選択することが大切です。
脂肪注入との違いとメリット・デメリット
脂肪注入は、太ももなどから採取した自分の脂肪を目の下に移植する方法です。最大のメリットは、生着すれば効果が半永久的に続くことと、アレルギー反応のリスクがないことです。
また、脂肪に含まれる幹細胞の働きにより肌質改善効果も期待できます。
しかし、脂肪採取部位のダウンタイムが必要であることや、注入した脂肪が定着する量に個人差があること、しこりができた場合の修正が困難であることなどがデメリットとして挙げられます。
ヒアルロン酸は気に入らなければ溶かして元に戻せるという「可逆性」が大きな安心材料となります。
再生医療(PRP・FGF)との比較
PRP(多血小板血漿)療法やFGF(線維芽細胞増殖因子)注入は、自身の治癒力を利用してコラーゲンなどを増やし、皮膚に厚みを持たせる治療法です。
自然な変化で長期間の効果が期待できますが、効果が現れるまでに数週間から数ヶ月かかり、即効性はありません。
また、FGFに関しては、組織が予期せず増殖しすぎて膨らみすぎてしまうリスクがあり、そのコントロールが難しいとされています。即効性があり、仕上がりの形状をコントロールしやすい点ではヒアルロン酸に分があります。
外科手術(脱脂術・ハムラ法)を検討すべきケース
目の下の膨らみ(眼窩脂肪)が非常に大きく、その下が深くくぼんでいるような「激しい段差」がある場合、ヒアルロン酸注入だけではカバーしきれないことがあります。
膨らみを埋めるために大量のヒアルロン酸が必要となり、結果として目が小さく見えたり、顔全体がむくんで見えたりするためです。
このようなケースでは、原因となっている眼窩脂肪を取り除く「脱脂術」や、脂肪をくぼんだ部分に移動させる「ハムラ法」といった外科手術が第一選択となります。
まずは外科手術の適応があるかどうかを診断してもらうことも重要です。
治療法ごとの比較まとめ
| 治療法 | 費用相場 | 効果の持続 |
|---|---|---|
| ヒアルロン酸注入 | 5万〜12万円 | 半年〜1年半(一時的) |
| 脂肪注入 | 30万〜50万円 | 半永久的(定着後) |
| 脱脂術・ハムラ法 | 30万〜60万円 | 長期間(ほぼ永続) |
信頼できるクリニックと医師の選び方
目の下のヒアルロン酸注入は、「注入するだけ」の単純な作業ではなく、ミリ単位の深さや位置の調整が求められる芸術的かつ医学的な処置です。
そのため、結果の良し悪しは医師の技量とセンスに大きく依存します。安易に「家から近い」「値段が安い」という理由だけで選ぶと、不自然な仕上がりや合併症に悩まされる可能性があります。
ホームページやSNSの症例写真をチェックするだけでなく、実際にカウンセリングに足を運び、解剖学的な根拠に基づいた説明をしてくれる医師を選ぶことが成功への近道です。
症例写真の確認ポイント
クリニックのウェブサイトやSNSに掲載されている症例写真を見る際は、「自分と似たような目の形の症例」を探すことが重要です。また、正面からの写真だけでなく、斜めや横からの写真も確認しましょう。
目の下の膨らみや平坦さは、角度によって見え方が大きく異なるからです。さらに、施術直後の写真だけでなく、1ヶ月後などの経過写真があれば、腫れが引いた後の真の仕上がりを確認することができます。
極端に加工された画像に惑わされず、肌の質感までわかるリアルな症例を参考にしてください。
カウンセリングでの質問事項と医師の対応
優れた医師は、ヒアルロン酸注入のメリットだけでなく、デメリットや限界についても正直に説明してくれます。
カウンセリングでは、「私の目の形の場合、ヒアルロン酸でどこまで改善できるか」「リスクとして何が考えられるか」「もし失敗した場合の修正は可能か」などを具体的に質問してみてください。
こちらの質問に対して曖昧な回答をしたり、契約を急かしたりする医師は避けた方が無難です。
しっかりと時間をかけて診察し、一人ひとりの骨格に合わせたオーダーメイドの治療計画を提案してくれる医師を信頼しましょう。
明朗会計とアフターケア体制の有無
美容医療では、広告の価格と実際の見積もりが大きく異なるトラブルが少なくありません。
カウンセリング後に提示された見積もりが、事前に想定していた予算と合致しているか、不明瞭な追加料金が含まれていないかを確認してください。
また、万が一仕上がりに左右差が出たり、しこりが残ったりした場合の保証制度や、無料で診察してくれるアフターケア体制が整っているかどうかも重要なチェックポイントです。
安心して施術を受けるために、契約書や同意書の内容をよく読み、納得した上でサインするようにしましょう。
- ヒアルロン酸溶解注射の用意があるか
- 医師が形成外科専門医などの資格を持っているか
施術当日の流れとアフターケアの注意点
施術当日は、緊張せずにリラックスして臨むことが大切です。クリニックに到着してから帰宅するまでの所要時間は、カウンセリングを含めても1時間から1時間半程度が一般的です。
実際の注入時間は10分から20分程度と非常に短いものですが、事前のデザインや冷却、麻酔に時間をかけることで痛みを最小限に抑えます。
来院から帰宅後までの具体的な流れや、ダウンタイム中の過ごし方における注意点を事前に把握しておくことで、安心して施術に臨むことができます。
カウンセリングから注入までの手順
まず、医師による最終的な診察とデザインが行われます。座った状態と寝た状態の両方で目の下のくぼみを確認し、ペンで注入する位置にマーキングを行います。
その後、必要に応じて麻酔クリームを塗布し、効果が出るまで20分ほど待ちます。施術室に移動し、消毒を行った後、少しずつヒアルロン酸を注入していきます。
鏡で途中経過を確認しながら進めてくれるクリニックであれば、希望の仕上がりをその場で医師と共有できるため安心です。
施術直後のメイクと日常生活の制限
ヒアルロン酸注入の大きな利点は、ダウンタイムが少ないことです。
注入直後からメイクが可能とされている場合も多いですが、針穴からの感染を防ぐため、施術当日は針を刺した部分へのメイクは避けることが望ましいです。
洗顔やシャワーは当日から可能ですが、血行が良くなると内出血や腫れが悪化する恐れがあるため、当日の長時間の入浴、激しい運動、飲酒は控えてください。
また、注入部位を強くマッサージしたり、エステで顔を圧迫したりすることは、注入したヒアルロン酸が移動・変形する原因となるため、定着するまでの約2週間は避けるようにしましょう。
効果を長持ちさせるためのポイント
注入したヒアルロン酸をできるだけ長く維持するためには、患部への刺激を避けることが基本です。目の周りを頻繁にこする癖がある方は、製剤の吸収が早まる可能性があります。
また、肌の保湿を心掛けることで、ヒアルロン酸の保水能力が発揮されやすくなり、肌のハリを維持しやすくなります。
定期的なメンテナンス注入を行う場合、完全に吸収されて元に戻ってしまう前に追加注入を行うことで、少ない量で形状をキープでき、トータルのコストパフォーマンスが良くなる傾向があります。
施術後の過ごし方チェックリスト
| タイミング | 推奨される行動 | 避けるべき行動 |
|---|---|---|
| 施術当日 | 軽いシャワー、患部を避けたスキンケア | 飲酒、激しい運動、長風呂 |
| 翌日〜3日目 | 通常通りの生活、メイクで隠す | 患部を強く押す、うつ伏せ寝 |
| 1週間〜2週間 | 保湿ケアの徹底 | フェイシャルエステ、顔のマッサージ |
目の下のヒアルロン酸注入に関するよくある質問
- 痛みに弱いのですが、施術は痛いですか?
-
ヒアルロン酸注入には針を使用するため、チクッとした痛みや、製剤が入ってくる際の圧迫感を感じることがあります。
しかし、多くのクリニックでは、事前に麻酔クリームや麻酔テープを使用したり、冷却アイシングを行ったりして痛みを緩和する処置をとります。
また、ヒアルロン酸製剤自体に麻酔成分(リドカイン)が含まれているものを使用すれば、注入中の痛みは大幅に軽減されます。痛みに不安がある場合は、遠慮なく医師に相談してください。
- 片目だけ治療することはできますか?
-
はい、可能です。目の下のくぼみやクマには左右差があることが一般的ですので、状態によっては片目だけ注入を行うケースもあります。
ただし、多くの製剤は1本(1cc)単位での購入となるクリニックが多いため、片目だけに少量使用した場合でも、残った製剤を保管できるか、あるいは廃棄となるかによって費用対効果が変わってきます。
残った製剤を後日のリタッチに使用できるクリニックを選ぶと無駄がありません。
- 一度入れたヒアルロン酸を修正したり消したりできますか?
-
はい、ヒアルロン酸は「ヒアルロニダーゼ」という分解酵素を注入することで、数時間から1日程度で溶かして元に戻すことが可能です。
これがヒアルロン酸注入の最大のメリットの一つであり、万が一仕上がりが気に入らなかった場合や、凸凹になってしまった場合でも修正がききます。
ただし、分解酵素の注入には別途費用がかかる場合がほとんどですし、アレルギー反応のリスクもゼロではないため、最初から修正の必要がないように慎重に施術を受けることが大切です。
- 注入後、どれくらいで普通の人と会えますか?
-
施術直後から人に会うことは可能ですが、直後は針穴の赤みや、麻酔によるわずかな腫れが見られる場合があります。また、体質によっては内出血が出ることもあります。
内出血が出なければ、翌日にはメイクをすればほとんど分からない状態になります。
大事な用事や写真を撮る機会がある場合は、万が一の内出血や腫れを考慮して、1週間から2週間ほど日程を空けて施術を受けることを強くお勧めします。
以上
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