頬のこけには「脂肪注入」が向いている?ヒアルロン酸との違いと定着率

頬のこけには「脂肪注入」が向いている?ヒアルロン酸との違いと定着率

頬のこけは、実年齢よりも老けた印象を与えやすい悩みの一つです。「疲れてる?」と聞かれるたびに気持ちが沈む方も少なくないでしょう。

脂肪注入は、自分の体から採取した脂肪を頬に注入してボリュームを回復させる治療法で、自然な仕上がりと長期的な効果が期待できます。一方でヒアルロン酸注入との違いや、注入した脂肪がどのくらい定着するのかは気になるところです。

この記事では、頬の脂肪注入に関する疑問を一つずつ丁寧に解説していきます。治療選択の参考にしていただければ幸いです。

目次

頬のこけが気になったら押さえておきたい脂肪注入の基本

頬のこけを改善する方法として、脂肪注入は自分自身の組織を活用するため、異物反応が起きにくく、仕上がりが自然です。まずは、頬がこける原因と脂肪注入の仕組みを整理しておきましょう。

頬がこける原因は加齢だけではない

頬のこけは、加齢による脂肪の萎縮や骨の吸収だけが原因ではありません。急激なダイエットや体質、遺伝的な骨格の特徴なども影響します。

顔の脂肪は複数の区画(コンパートメント)に分かれており、加齢とともに各区画の脂肪量が不均一に減少します。とくに頬の深部にある脂肪パッドが薄くなると、頬全体がくぼんだように見えやすくなります。

20代でも頬がこけて見える方はいらっしゃいます。「年齢のせいだから仕方ない」と諦める前に、自分の頬のこけがどのタイプに当たるのかを把握することが大切です。

脂肪注入(脂肪移植)で頬のボリュームを取り戻せる

脂肪注入とは、おなかや太ももなどから少量の脂肪を吸引し、遠心分離などで不純物を除去したうえで、頬に細かく注入する治療法です。自家組織を使うため、アレルギー反応のリスクが極めて低いとされています。

注入された脂肪の一部は体内に吸収されますが、残った脂肪は血管から栄養を受けて生着し、長期間にわたってボリュームを維持します。頬に自然なふくらみが戻ることで、顔全体の印象が若々しく変わるケースも多いでしょう。

脂肪注入に用いられる主な手技の比較

手技の種類特徴適した部位
マクロファット大きな粒子で注入しボリュームを補う頬・こめかみ
マイクロファット細かい粒子で滑らかに仕上げる目元・口元
ナノファット幹細胞を多く含み肌質改善に向く肌表面・小じわ

自分の脂肪を使うからこそ得られるメリットがある

脂肪注入の大きな利点は、自家組織であるため体への親和性が高いことです。合成フィラーのように体内で分解されて完全に消失することがなく、生着した脂肪は半永久的に残ります。

さらに、脂肪組織に含まれる幹細胞が注入先の皮膚や組織を活性化させ、肌のハリやツヤが改善されたという報告もあります。ボリュームの補充と肌質の改善を同時に目指せる点は、他の注入治療にはない魅力といえるでしょう。

脂肪注入とヒアルロン酸注入、頬への効果はどう違う?

頬のボリュームを補う治療には脂肪注入とヒアルロン酸注入の2つが代表的ですが、効果の持続期間や仕上がりの質感、修正のしやすさなど、いくつかの点で明確な違いがあります。

持続期間に大きな差が出る

ヒアルロン酸は体内に自然に存在する成分を人工的にゲル化した製剤であり、時間の経過とともに分解・吸収されます。一般的な持続期間は6か月から2年程度で、定期的な再注入が必要です。

対して脂肪注入では、生着した脂肪は自分の体の一部として定着するため、効果が数年以上持続する可能性があります。

ただし、注入した脂肪のすべてが生き残るわけではなく、一定量は吸収されるため、仕上がりを安定させるために複数回の施術を行う場合もあります。

仕上がりの質感と自然さが違う

脂肪注入は柔らかく自然な質感が得られやすいとされています。頬を触ったときの手触りも、元の組織に近い柔らかさを保てるのが特徴です。

ヒアルロン酸はゲル状の製剤であるため、注入部位によってはやや硬さを感じるときがあります。ただし製剤の粘度は複数のタイプがあり、部位に合った製剤を選べば十分に自然な仕上がりが期待できます。

万が一のときに修正しやすいのはヒアルロン酸

ヒアルロン酸には「ヒアルロニダーゼ」という分解酵素が存在し、仕上がりに納得がいかない場合や左右差が出た場合に、注入部位の製剤を溶かして修正できます。この修正の容易さは、ヒアルロン酸の大きな強みです。

脂肪注入の場合、生着した脂肪を取り除くには吸引などの外科的処置が必要となるため、修正のハードルがやや高くなります。そのため、脂肪注入を行う際は、仕上がりのイメージを医師としっかり共有しておくことが大切です。

脂肪注入とヒアルロン酸注入の比較

比較項目脂肪注入ヒアルロン酸
持続期間数年〜半永久的6か月〜2年程度
質感柔らかく自然製剤により異なる
修正の容易さ外科的処置が必要分解酵素で溶解可能
ダウンタイム1〜2週間程度数日程度
施術時間1〜2時間程度15〜30分程度

頬の脂肪注入で気になる定着率は平均どれくらいなのか

脂肪注入の定着率は約40〜60%が一つの目安であり、施術の技術や患者自身のコンディションによって変動します。定着率を高めるための工夫についても知っておくと安心です。

研究データが示す脂肪注入の平均的な定着率

顔面への脂肪注入の定着率を調べた複数の研究によると、注入した脂肪のうち平均して約47%が残存したと報告されています。定着率は26%から83%まで幅広く、施術者の技術や脂肪の処理方法、注入部位によって大きく異なります。

別の研究では、顔面の脂肪移植において患者満足度が91%と高い水準に達しており、客観的な定着率だけでなく、見た目の改善度も評価のポイントになっています。定着率の数字だけで結果の良し悪しを判断するのは難しい部分もあるでしょう。

定着率を左右する3つの要因

脂肪の定着率に影響を与える要因として、まず挙げられるのが採取方法と処理方法の違いです。遠心分離やフィルトレーション(ろ過)など、脂肪の精製方法によって生存率に差が出ます。

次に、注入技術です。少量ずつ複数の層に分けて注入する「マイクロドロップレット法」は、脂肪細胞が血管から栄養を受けやすくなるため、生着率の向上に寄与します。

注入量を一度に多くしすぎると、脂肪の中心部まで血流が行き届かず壊死してしまうリスクが高まります。

3つ目は患者側の要因で、喫煙習慣や血流の状態、全身の栄養状態などが定着率に影響を及ぼすとされています。

脂肪の処理方法と定着率の傾向

処理方法定着率の傾向特徴
遠心分離法比較的高い不純物除去に優れる
フィルトレーション法やや高い脂肪細胞を傷めにくい
静置法(デカンテーション)やや低い傾向処理が簡便

定着率を高めるために患者側ができること

術前・術後の過ごし方によって、脂肪の定着率は変わる可能性があります。とくに喫煙は血管を収縮させ、移植した脂肪への血流を妨げるため、術前4週間からの禁煙が推奨されます。

術後は注入部位への過度な圧迫や刺激を避け、十分な栄養と睡眠を確保することが大切です。激しい運動やサウナなど、血行が急激に変動する行動も術後2〜3週間は控えたほうがよいでしょう。

頬への脂肪注入の手術の流れとダウンタイムの過ごし方

脂肪注入は日帰りで行える施術ですが、脂肪の採取と注入の2つの工程があるため、ヒアルロン酸注入と比べると施術時間は長くなります。術後の過ごし方も結果に影響するため、流れを把握しておくと安心です。

カウンセリングから施術完了までの全体像

まず、カウンセリングで頬のこけの程度や患者の希望する仕上がりを確認し、注入量や採取部位を決定します。採取部位としては、おなかや太ももの内側が一般的です。

施術当日は局所麻酔や静脈麻酔を使用し、まず採取部位から脂肪を吸引します。採取した脂肪を遠心分離やフィルトレーションで精製し、細いカニューレ(注入管)を使って頬に少量ずつ注入していきます。施術時間は1〜2時間程度です。

術後のダウンタイムはどのくらい続くのか

術後は採取部位と注入部位の両方に腫れや内出血が生じます。頬の腫れは通常1〜2週間で落ち着きますが、完全に仕上がりが安定するまでには2〜3か月かかるケースもあります。

採取部位の痛みは数日で軽減するのが一般的です。デスクワークであれば3〜5日後から復帰できるケースが多いでしょう。人前に出る仕事をしている方は、腫れが引くまで1〜2週間の休みを確保しておくと安心かもしれません。

日常生活に戻るまでの過ごし方で気をつけたいこと

術後は注入部位を強くこすったり、うつ伏せで寝たりすることを避けてください。頬への圧迫は、せっかく注入した脂肪の形状を崩したり定着を妨げたりする原因になります。

シャワーは翌日から可能な場合が多いですが、入浴やサウナは1〜2週間ほど控えるよう指示されるのが一般的です。飲酒も腫れを悪化させるため、術後1週間程度は控えたほうがよいでしょう。

  • 術後2〜3週間は激しい運動を避ける
  • 注入部位を強くマッサージしない
  • 禁煙を継続する(少なくとも術後4週間)
  • 処方された薬は指示どおりに服用する

脂肪注入で頬のこけを改善するときのリスクと注意点

脂肪注入は比較的安全性の高い施術ですが、どんな医療行為にもリスクはあります。合併症の発生率は約2%程度と報告されており、事前にリスクを正しく把握しておくと安全な施術につながります。

知っておくべき代表的な副作用

脂肪注入後に起こりうる副作用として、腫れ・内出血・痛みが挙げられます。これらは術後の正常な反応であり、多くの場合は1〜2週間で自然に改善します。

まれに、注入部位にしこり(脂肪壊死)や左右非対称が生じる場合もあります。

しこりは注入した脂肪の一部が血流を得られずに壊死した結果できるもので、小さなものは自然に吸収されることもありますが、大きい場合は追加処置が必要になるケースもあります。

左右差やしこりが出たときの対処法

頬は左右の脂肪の定着率が均一にならないことがあり、仕上がりにわずかな左右差が出る場合があります。軽度の左右差は、追加注入によって修正できるケースが多いでしょう。

しこりが気になるときは、まず経過観察を行い、改善が見られなければ吸引や切除といった処置を検討します。自己判断でしこりを強く押したりマッサージしたりすると炎症を起こす場合があるため、必ず担当医に相談してください。

脂肪注入後に起こりうる主な合併症

合併症頻度対処法
左右非対称やや多い追加注入で修正
しこり(脂肪壊死)少ない経過観察・吸引処置
感染まれ抗生物質による治療
長引く腫れ少ない圧迫や冷却で緩和

安全に施術を受けるための事前準備

施術前のカウンセリングでは、持病やアレルギー、服用中の薬について正確に申告してください。血液をサラサラにする薬(抗凝固薬など)を服用している方は、術前に休薬が必要になる場合があります。

また、施術当日の体調が万全であることも大切です。風邪をひいていたり、極度に疲労していたりすると、術後の回復が遅れる可能性があります。心配なことがあれば遠慮なく医師に伝えましょう。

頬への脂肪注入で納得のいく結果を得るためのクリニック選び

脂肪注入の仕上がりは、医師の技術と経験に大きく左右されます。信頼できるクリニックを選ぶことが、満足のいく結果への近道です。

医師の経験と症例数を確認する

脂肪注入は注入量や注入層の判断に熟練した技術を要する施術です。担当医がこれまでにどのくらいの症例を手がけてきたか、また頬への脂肪注入の経験が豊富かどうかを確認してください。

症例写真が公開されている場合は、術前・術後の変化を比較して仕上がりの自然さや左右のバランスをチェックするとよいでしょう。写真の撮影条件(照明・角度)が統一されているかどうかも、信頼性の判断材料になります。

カウンセリングで聞いておくべき質問

カウンセリングでは、脂肪の採取部位や処理方法、予想される定着率、リスクについて具体的な説明を受けてください。「仕上がりのイメージを写真で共有したい」と伝えると、医師との認識のずれを防ぎやすくなります。

複数回の施術が必要になる可能性があるかどうかも、事前に確認しておくと安心です。追加注入にかかる費用や施術間隔についても質問しておきましょう。

術後のフォロー体制を確かめておく

施術後のアフターケアが充実しているクリニックを選ぶことも重要です。定期的な経過観察の予約が組まれているか、万が一トラブルが起きた場合の対応体制が整っているかを確認してください。

術後に不安を感じたとき、電話やメールで気軽に相談できる窓口があるかどうかも、クリニック選びのポイントになるでしょう。遠方から通院する場合は、通院回数の目安もあわせて聞いておくと計画が立てやすくなります。

  • 日本形成外科学会や日本美容外科学会の専門医資格の有無
  • 施術前後の写真が充実しているか
  • 脂肪の処理方法について明確な説明があるか
  • 術後の検診スケジュールが設定されているか

頬の脂肪注入を受ける前に知っておきたい費用と回数の目安

脂肪注入の費用はクリニックや施術範囲によって差がありますが、一般的な相場を知っておくと、予算計画を立てやすくなります。ヒアルロン酸注入との長期的なコスト比較も参考にしてください。

脂肪注入にかかる費用の相場

頬への脂肪注入は自由診療であり、費用はクリニックによって異なります。一般的には1回の施術で20万〜50万円程度が目安となりますが、脂肪の採取部位や注入量、使用する技術によって変動します。

初回カウンセリングの費用や麻酔代、術後の検診費用が施術費に含まれているかどうかも確認しておくと、想定外の出費を避けられます。

脂肪注入とヒアルロン酸の長期的な費用比較

項目脂肪注入ヒアルロン酸
1回あたりの費用20万〜50万円5万〜15万円
効果の持続数年〜半永久的6か月〜2年
5年間の想定費用20万〜80万円25万〜150万円

複数回の施術が必要になるケースとは

脂肪注入は1回の施術で満足のいく結果が得られることもありますが、定着率を考慮して初回はやや多めに注入し、数か月後の経過を見て追加注入を行うケースも珍しくありません。

研究データによれば、複数回の施術を受けた患者のほうが最終的な定着率が高い傾向にあります。ある報告では、5回以上の施術を受けた患者群の定着率は約73%に達したのに対し、1〜2回の施術では約45〜50%にとどまりました。

長期的なコストで考えるとどちらがお得か

ヒアルロン酸は1回あたりの費用は脂肪注入より安価ですが、効果を維持するためには定期的な再注入が必要です。5年・10年という長いスパンで見ると、脂肪注入のほうがトータルコストを抑えられる可能性があります。

ただし、費用だけで施術を選ぶのは得策ではありません。ダウンタイムの長さ、修正のしやすさ、希望する仕上がりなどを総合的に考え、ご自身の生活スタイルに合った治療法を選択することが大切でしょう。

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よくある質問

頬への脂肪注入は何歳から受けられますか?

頬への脂肪注入に厳密な年齢制限はありませんが、一般的には20歳以上の成人が対象となります。頬のこけは加齢だけでなく体質や骨格が原因で生じる場合もあるため、若い方でも施術を受けるケースはあります。

ただし、成長期が完了していない方の場合は骨格や脂肪分布が変化する可能性があるため、施術の適応については医師と十分に相談してください。カウンセリングでは、頬のこけの原因が脂肪注入で改善できるものかどうかを見極めることが大切です。

頬の脂肪注入で使用する脂肪はどの部位から採取しますか?

脂肪の採取部位としては、おなかや太ももの内側が選ばれることが多いです。これらの部位は比較的脂肪が採取しやすく、傷跡も目立ちにくいとされています。

採取部位は患者の体型や脂肪のつき方によって異なるため、担当医と相談のうえで決定します。採取部位にも数日間は軽い痛みや内出血が生じますが、日常生活に大きな支障をきたすことは少ないでしょう。

頬の脂肪注入の効果はどのくらい持続しますか?

頬に注入した脂肪のうち、生着した脂肪は自分の体の一部として長期間にわたり維持されます。一般的には、施術後3か月ほどで吸収される分が落ち着き、残った脂肪はそのまま数年以上持続するとされています。

ただし、加齢による顔全体の脂肪減少や体重の大幅な変動があれば、注入部位のボリュームにも影響が出る可能性があります。長期的に効果を維持したい場合は、経過を見ながら必要に応じて追加注入を検討するとよいでしょう。

頬の脂肪注入とヒアルロン酸注入はどちらが痛いですか?

痛みの感じ方には個人差がありますが、施術中はどちらも局所麻酔を使用するため、強い痛みを感じることは少ないです。脂肪注入は脂肪の採取と注入の2か所で処置を行うため、ヒアルロン酸注入よりも術後の不快感がやや長引く傾向があります。

ヒアルロン酸注入は注射のみで完了するため、施術中のチクッとした痛みが主で、術後の痛みはほとんど気にならない程度です。痛みに敏感な方は、事前に医師にその旨を伝えれば、麻酔の方法を調整してもらえることもあります。

頬の脂肪注入後にやってはいけないことはありますか?

頬の脂肪注入後は、注入部位を強く押したりマッサージしたりするのは避けてください。注入した脂肪の位置がずれたり、定着を妨げたりする原因になります。

また、術後2〜3週間は激しい運動やサウナ、長時間の入浴を控えることが推奨されます。喫煙は血流を低下させ、脂肪の生着率を下げるため、術前から術後にかけて禁煙を続けることが望ましいでしょう。飲酒も術後1週間程度は控えたほうがよいと考えられます。

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この記事を書いた人

Dr.寺井美佐栄のアバター Dr.寺井美佐栄 ミサクリニック 六本木本院 院長

日本抗加齢医学会認定専門医。日本美容皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本産業衛生学会専門医。
複数の大手美容皮膚科で10年以上の院長経験を経て、2022年9月にMiSA Clinic(ミサクリニック)を開業。YouTube等でも発信してきた、メスを使わずに”ナチュラルなキレイ”を引き出す技術には定評があり、ありがたいことに「SNSを見ました!」という方や、紹介・口コミ経由でたくさんのご相談を頂いてきました。皆様と共に、MiSA Clinicスタッフ一同、共に年を重ね、末永くお付き合いできる関係を目指して参ります。

資格
アラガン社ボトックスビスタ認定医
アラガン社ヒアルロン酸注入認定医

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