近年、肌のエイジングケアとして注目されている「スネコス」と「リジュラン」。
どちらも注入治療によって肌の再生を促し、しわ・たるみ・ハリ不足といった老化サインにアプローチする美容注射です。
しかし、成分・効果・適応部位などに違いがあり、目的に応じて選び方を誤ると、期待した効果を得られないこともあります。
この記事では、美容皮膚科医の視点から、スネコスとリジュランの構造的な違いやそれぞれの得意分野、施術の持続性や適応症例などを詳しく比較解説します。
初めての方はもちろん、どちらを選ぶべきか悩んでいる方にとっても、納得できる選択の手助けとなる情報をお届けします。
1. スネコスとリジュランの違いとは?
それぞれの治療の概要を解説
スネコスとリジュランはいずれも「肌の再生を促す」ことを目的とした注入治療ですが、アプローチの仕方が大きく異なります。
スネコスは、非架橋ヒアルロン酸にアミノ酸を組み合わせた製剤で、細胞外マトリックス(ECM)を再構築する働きがあります。
つまり、コラーゲンやエラスチンの生成を促しながら、肌の内側からハリや弾力を回復させる治療です。
一方、リジュランはサーモンDNA由来のポリヌクレオチド(PN)を主成分とし、細胞の自己再生能力を高めて肌質を改善する再生治療です。
両者ともに「肌本来の力を引き出す」点では共通していますが、スネコスは主に構造再生、リジュランは細胞の回復促進という、目的とするメカニズムに明確な違いがあります。
美容注射としての目的の違い
スネコスは肌の構造を立て直すことを目的としており、特に「肌のハリが失われた」「細かいしわが目立ってきた」といった加齢初期の症状に向いています。
肌に必要なアミノ酸群がバランスよく配合されており、それによりコラーゲン・エラスチンの合成が促進され、肌の厚みや弾力が自然に回復していきます。
一方、リジュランの目的は、炎症ダメージや加齢により弱った「皮膚細胞そのものの回復」を促すことです。
特に、目元の小じわ、乾燥による赤み、肌荒れが起こりやすい敏感肌に対して、皮膚の再生を内側から促す効果が期待されます。
つまり、スネコスは構造(骨組み)を立て直す治療、リジュランは細胞(土壌)を活性化させる治療という役割の違いがあります。
適応部位と悩みの種類の違い
スネコスが特に効果を発揮しやすい部位は「目の下」「口周り」「額」「首」など、皮膚が薄く、細かなシワが出やすいエリアです。
また、フェイスラインのもたつきに対しても、肌密度の改善という観点からアプローチすることができます。
リジュランの得意とする部位は、「目元」「頬」「額」など、ダメージや乾燥によって肌質が不安定になりやすい部分です。
とくに、赤みや乾燥が目立つ敏感な肌質の方には、肌全体のバリア機能回復という面で大きな効果を発揮します。
悩みの傾向としては、スネコスは「しわ・ハリ不足・たるみの初期症状」、リジュランは「赤み・薄さ・刺激に弱い肌の再生」へ向いていると言えるでしょう。

2. 成分の違いから見るスネコスとリジュラン
スネコスの成分
スネコスの主成分は「非架橋ヒアルロン酸」と6種類のアミノ酸(グリシン・プロリン・リジン・バリン・アラニン・ロイシン)です。
これらは体内に自然に存在する成分であり、副作用が非常に少なく、自然なコラーゲン生成を促すことができます。
特筆すべきは、「非架橋型」であるという点です。
多くのヒアルロン酸製剤は、ゲル状に固めるために「架橋」という処理が施されていますが、スネコスではあえてその架橋を行わず、肌に注入した後すみやかに広がり、細胞の活動をサポートする働きが期待できます。
アミノ酸との相乗効果により、コラーゲンだけでなくエラスチンの生成も促進され、肌のハリ感や弾力性の回復に貢献します。
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リジュランの成分
リジュランの主成分は「ポリヌクレオチド(PN)」、または「ポリデオキシヌクレオチド(PDRN)」と呼ばれる、サーモンDNA由来の生体分子です。
この成分は、細胞の増殖を促す成長因子のような働きをもち、皮膚の再生能力を高める役割を果たします。
サーモンDNAは人間のDNA構造と類似性が高く、アレルギー反応が少ないことも利点のひとつ。
さらに、炎症抑制作用や保湿力の向上作用も報告されており、肌の赤みや乾燥に悩む方にも適しています。
一言でいえば、スネコスは「肌構造を再構築する注射」、リジュランは「細胞そのものを再活性化させる注射」と言えるでしょう。
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3. 効果の違い:どんな人にどちらが向いている?
スネコスの効果
スネコスは、注入された部位でコラーゲンやエラスチンの生成を促進し、肌のハリや弾力を内側から高めていきます。
そのため、効果が現れるまでに少し時間がかかるものの、自然な形で「若返った印象」を作ることができます。
特に、目の下の小じわやたるみに対する効果が高く、メスを使わずに印象を若々しくしたい方にとっては非常に魅力的な選択肢です。
さらに、肌の質感改善(毛穴の引き締めやツヤ感アップ)にも期待が持てるため、年齢肌の予防的ケアとしても注目されています。
関連記事:スネコスの効果とは?肌への変化や持続期間を徹底解説!
リジュランの効果
リジュランは、主に肌細胞の修復と再生を目的としており、赤みや炎症、乾燥による肌トラブルに対して効果を発揮します。
とくに、外的刺激(紫外線・摩擦)で弱った肌、レーザー後のリカバリー、肌荒れしやすい体質の方に適しています。注入後、肌の内側からふっくらとしたボリューム感が出て、キメの整ったしっとりとした肌質へと変化していきます。
また、目元などの繊細な部位にも安全に使用できることから、敏感肌・アトピー素因のある方でも受けやすい点が評価されています。
関連記事:発売から10年経っても最前線で使用される製剤、リジュランとは?
4. 持続期間と治療回数の違い
スネコスの持続期間
スネコスは1回の施術で目に見える変化を実感するというよりも、回数を重ねることで肌の構造を整えていく「育てる治療」です。
一般的には初回から1ヶ月ごとに4回程度の施術が推奨され、その後は3~6ヶ月おきにメンテナンス施術を行うことで効果を維持します。
効果の持続期間は個人差はありますが、ベースが整ってくると肌の状態が安定し、年齢に応じた変化にも耐えやすくなるという利点があります。
リジュランの持続期間
リジュランも初回は2~3週間ごとの施術を3~4回続けることが一般的です。
その後は、肌状態に応じて1〜3ヶ月に1回のメンテナンスを行うことで、肌質改善効果が長期的に持続します。
リジュランは肌細胞のターンオーバー周期と連動するように反応するため、継続的な施術によって「回復力が高まった肌」を定着させていく形になります。
とくに肌荒れしやすい方は、年に1回〜2回の集中ケアとして活用するのも有効です。
5. ダウンタイムと副作用の違い
スネコスのダウンタイムと副作用
スネコス注射は非架橋ヒアルロン酸を使用しており、ゲル状のボリュームを作らないため、自然な仕上がりとともにダウンタイムも比較的軽度です。
注入直後に針跡や軽い腫れ、赤みが出ることはありますが、ほとんどが当日〜翌日には落ち着くレベルです。
稀に内出血を伴うケースもありますが、アイスパックで冷却したり、メイクでカバーできる程度であることがほとんどです。
腫れが目立ちにくいため、目元の繊細な部位にも安心して使えるという点が特徴です。
副作用としては、注射部位の腫脹、熱感、かゆみ、まれにアレルギー反応が報告されていますが、基本的には体内に存在する成分とアミノ酸で構成されているため、安全性は高いといえます。
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リジュランのダウンタイムと副作用
リジュラン注射はスネコスに比べてやや粘性があり、注入後に皮膚表面に「ぷつぷつ」とした膨らみが一時的に生じることがあります。
特に目元や頬など皮膚が薄い部位では、この反応が目立ちやすい傾向がありますが、数時間~1日程度で自然に吸収されていきます。
ダウンタイムは1~3日程度で、内出血が出ることもありますが、日常生活に支障をきたすほどではありません。
施術後すぐに予定がある場合は、あらかじめアイメイクやコンシーラーでの対応を検討しておくと安心です。
副作用としては、注入部位の赤み・腫れ・熱感のほか、非常にまれに注射によるしこりや感染が報告されていますが、事前に信頼できるクリニックでカウンセリングを受けておくことで、リスクを最小限に抑えることができます。
6. 価格の違いと費用相場
スネコスの料金相場
スネコスは製剤の種類によって価格が異なります。
代表的な「スネコス200」は目元や口元などに適しており、1回あたりの料金は約3〜5万円前後が相場です。
推奨される4回セットでは12〜18万円程度になるクリニックが多く、メンテナンス施術では1回3万円前後となります。
また、より弾力・引き締め効果の高い「スネコス1200」は、広範囲の部位に適しており、1回5〜7万円程度が相場となっています。
施術を継続することで肌質そのものの改善を図る治療であるため、一定の期間・回数を見越した費用計画を立てることがポイントです。
リジュランの料金相場
リジュランは「リジュランi(アイ)」「リジュランヒーラー」などの種類があり、部位や濃度によって料金に幅があります。
目元専用の「リジュランi」は1回3〜4万円、顔全体への注入では5〜7万円前後が相場です。
3回セットで10万円台後半〜20万円前後のプランを用意しているクリニックも多く、特にダメージ肌を回復させたい方には継続的な施術が推奨されます。
どちらも「価格に比例して効果が高まる」というより、「適切な施術回数・部位選定」が結果に直結するため、費用対効果を正しく把握したうえで施術に臨むことが大切です。
7. 使用される場面・部位別のおすすめ比較
目の下のクマ・小じわにはどちらが最適?
目の下のクマや細かな小じわへのアプローチには、スネコスが特に人気です。
非架橋ヒアルロン酸が自然に広がるため、不自然なボリューム感を出すことなく目元をなめらかに整えることができます。
一方で、肌のハリが著しく低下し、赤みや乾燥を伴うクマの場合は、リジュランが有効です。肌再生の促進により、肌質そのものを整えていくアプローチが可能です。
関連記事:スネコスでクマ改善はできる?注射の効果を徹底解説!
ほうれい線やフェイスラインの引き締めには?
フェイスラインの引き締めや、ほうれい線に対してはスネコス1200が有効です。
深い層にアプローチし、肌を内側からふっくらさせてシワを目立ちにくくする働きがあります。
リジュランは、たるみに直接作用するというより、肌表面の修復・弾力性の回復を目的とするため、引き締め目的ではスネコスの方が適している場合が多いです。
首や手の甲への適用の違い
年齢が現れやすい首元や手の甲は、スネコスとリジュランの両方が活躍する部位です。
スネコスは皮膚の厚みを自然に回復させ、リジュランは表皮の修復と保湿力の向上により、くすみやシワを改善します。
どちらかに偏るのではなく、肌状態や患者様のライフスタイルに応じて柔軟に使い分けると良いでしょう。
8. スネコスとリジュランの組み合わせ治療
両者を併用するクリニックもある
最近では、スネコスとリジュランを併用する「コンビネーション治療」を導入するクリニックも増えています。
スネコスでコラーゲンやエラスチンの生成を促しながら、リジュランで肌の再生とバリア機能を高めることで、相乗的な効果が期待できます。
目元はスネコス、頬やフェイスラインにはリジュランなど、部位によって製剤を使い分けることで、より立体的でナチュラルな若返りが可能です。
それぞれの得意分野を活かすアプローチ
スネコスは「肌構造の強化」、リジュランは「肌再生と鎮静」というそれぞれの得意分野があり、施術を分けて考えるよりも、重ねて考える方が自然な変化を得られることがあります。
特に40代以降の肌では、単一製剤によるケアでは物足りなさを感じることもあり、複数製剤を組み合わせることで多角的な肌悩みに対応できる点が強みです。
治療例から見る併用の効果
実際の臨床では、目元にスネコスを2~3回注入した後、リジュランで肌全体の回復を促す治療法が一定の評価を得ています。
また、スネコスによるハリの改善と、リジュランによる毛穴引き締めの併用により、肌のツヤ感やメイクのノリが格段に向上したというケースも多数報告されています。
これらの治療例からも分かるように、製剤同士の特性を理解し、丁寧に設計された併用治療は、美容医療における今後のスタンダードとも言えるでしょう。

治療名:スネコス
料金:¥156,750/3回
リスク・合併症:内出血、腫れ、アレルギー
9. まとめ
スネコスとリジュランは、いずれも注入によって肌の内部から若返りを促す再生系の美容注射です。
一見似ているようでいて、そのアプローチ方法や得意とする症状には明確な違いがあります。
スネコスは、アミノ酸と非架橋ヒアルロン酸により、ハリ・弾力を回復させる構造的な若返りに適しており、目元の小じわや肌のハリ不足を改善したい方に向いています。
一方でリジュランは、ポリヌクレオチドによる肌細胞の修復に長けており、赤み・乾燥・肌荒れなどのトラブル肌に効果的です。
それぞれ単独でも高い効果が得られますが、併用することで互いの弱点を補い、より立体的な美肌を目指すことができます。
自身の肌悩みに合った治療選びの参考として、カウンセリングでは両製剤の特性についてじっくり相談することをおすすめします。