ニキビが治った後に残る「ニキビ跡」は、赤みや色素沈着だけでなく、クレーターのような凹みやしこりとして長く悩みの原因になることがあります。スキンケアや市販薬では改善が難しいケースも多く、医療機関での治療を検討する方が増えています。
そのなかでも注目されているのが炭酸ガスフラクショナルレーザー(CO2フラクショナルレーザー)です。従来の炭酸ガスレーザーを「フラクショナル化」することで、肌全体の再生力を高め、ニキビ跡や毛穴の開き、小じわの改善にも役立ちます。
この記事では、炭酸ガスフラクショナルレーザーの仕組みや効果、施術回数や注意点、さらにニキビ跡の種類別に適した治療法について詳しく解説します。
1.炭酸ガスフラクショナルレーザーとは?
炭酸ガスフラクショナルレーザーの仕組み
炭酸ガスフラクショナルレーザーは、従来の炭酸ガスレーザーを応用した最新の美肌治療です。従来の炭酸ガスレーザーは、ほくろやいぼの除去など「皮膚を削る」目的で使われることが多く、広範囲に施術するとダウンタイムやリスクが大きいという課題がありました。
それに対して炭酸ガスフラクショナルレーザーは、レーザーを肌全体に点状(フラクショナル=部分的)に照射するのが特徴です。皮膚表面に無数の微細な穴を開け、その小さなダメージを修復する過程で肌の再生力が高まり、コラーゲンやエラスチンの生成が促されます。まるで「肌のリセットボタンを押す」ように、古い細胞を入れ替えながら新しい皮膚が作られていくため、時間とともになめらかでハリのある肌へ導かれます。
この「点状照射」という方法のメリットは、レーザーを当てていない周囲の健康な皮膚が回復を助ける点です。皮膚全体を削るわけではないため、従来のレーザーに比べて治癒が早く、日常生活に支障をきたしにくいのが大きな特長といえます。
炭酸ガスフラクショナルレーザーで期待できる効果
炭酸ガスフラクショナルレーザーの魅力は、肌質全体を底上げできることです。特に、ニキビ跡の中でも治療が難しいとされる「クレーター状の凹み」や「肌表面の凹凸」に高い効果を発揮します。レーザーで刺激を受けた真皮層ではコラーゲンが新たに生成され、皮膚が内側から押し上げられるようにして凹みが改善されていきます。
また、毛穴の開き、小じわ、キメの乱れといったトラブルにも対応できるため、「美肌治療」として幅広く活用されています。施術後は肌がふっくらとなめらかになり、化粧ノリの改善やトーンアップ効果を実感できる方も多いです。
さらに、この治療は「肌の入れ替え」を促すイメージに近く、表面的な症状の改善だけでなく、肌の土台を再構築する効果が期待できるのもポイントです。加えて、照射の強さや深さを調整できるため、症状の程度や部位に合わせてオーダーメイドな治療が可能です。浅い層を中心に照射すれば毛穴や小じわ改善に、深い層にアプローチすればクレーター状のニキビ跡改善に効果的と、幅広い悩みに対応できる柔軟性も魅力です。
2.炭酸ガスフラクショナルレーザーでニキビ跡はなくなる?
炭酸ガスフラクショナルレーザーは、長年残ってしまったニキビ跡の改善に有効とされる治療です。ただし「完全になくなる」のではなく、「目立ちにくくなる・肌質がなめらかになる」という効果を期待するのが現実的です。特にクレーター状の凹みに悩んでいる方にとって、数回の治療を通じて徐々になめらかな肌に導ける可能性があります。
炭酸ガスフラクショナルレーザーはニキビ跡を改善する
レーザーによって皮膚に微細な穴を作り、自己治癒力を利用してコラーゲンやエラスチンを再生させるため、肌の奥からふっくらと盛り上がってきます。これにより、凹みやざらつきが改善され、全体のトーンが明るくなる効果も期待できます。
こんなお悩みの方におすすめ
・ニキビ跡のクレーターが気になっている
・毛穴の開きや肌の凹凸を目立たなくしたい
・スキンケアや市販薬では改善しなかった
・肌全体をなめらかに整えたい
このような方にとって、炭酸ガスフラクショナルレーザーは肌質改善とニキビ跡治療を同時に叶える選択肢となります。
3.炭酸ガスフラクショナルレーザーの施術間隔と治療回数
炭酸ガスフラクショナルレーザーは1回の施術でも肌の変化を実感できることがありますが、ニキビ跡のような深い悩みを改善するためには複数回の治療が必要です。効果を最大限に引き出すには、適切な回数と間隔を守って施術を受けることが大切です。
ニキビ跡の治療に必要な回数と施術間隔は?
ニキビ跡の種類や深さによりますが、一般的には 3〜5回程度の施術が推奨されます。施術の間隔は肌の回復を考慮し、4〜6週間に1回が目安です。1回の治療ごとに少しずつ肌が再生されていき、回数を重ねることで凹みが浅くなり、肌表面がなめらかに整っていきます。
効果はいつから出る?持続期間は?
効果は施術後すぐに現れるのではなく、2〜3週間かけてコラーゲンが再生されていく過程で少しずつ実感できます。目に見える改善は2回目以降から感じる方が多く、最終的な仕上がりは数か月をかけて進んでいきます。
持続期間については、肌が再生された部分は半永久的に改善されますが、加齢や生活習慣による新たな悩みは出てくるため、定期的なメンテナンスを取り入れると効果を維持しやすくなります。
4.ニキビ跡の種類別、原因とそれぞれの治療方法
ニキビ跡と一口にいっても、赤みが残るものから色素沈着、深い凹みや盛り上がりまで、その種類や原因はさまざまです。種類ごとに適した治療を選ぶことが、効率的かつ効果的に改善していくための重要なポイントとなります。
炎症の跡
赤みが残っているタイプのニキビ跡は、炎症が治まった後も毛細血管の拡張や血流の影響で赤く見えてしまう状態です。放置しても時間とともに薄くなるケースはありますが、数か月から年単位で改善に時間がかかる場合も少なくありません。
そこで有効なのがピコトーニングやピーリングです。これらの施術はターンオーバーを整え、血流や炎症後の赤みを早期に改善してくれるため、肌の回復をスピードアップさせることができます。
関連記事:ピーリングの種類と効果|肌悩み別に選び方を紹介
色素沈着
茶色や黒っぽく残るタイプの跡は、炎症後に生成されたメラニンが沈着してしまうことが原因です。とくに紫外線を浴びることで色素沈着が悪化することがあるため、早めのケアが重要です。
治療にはピコトーニングやケミカルピーリングが有効で、メラニンを徐々に分解し、明るく透明感のある肌へ導いてくれます。複数回の治療を重ねることで、沈着した色素が徐々に薄くなり、均一な肌トーンに近づけることが可能です。
関連記事:ピーリングの効果|シミやくすみにどうアプローチ?
クレーター
皮膚の深層まで炎症が及び、真皮層のコラーゲンが破壊されることで凹みが残るタイプです。自然に治ることはほとんどなく、美容医療でのアプローチが不可欠です。特に効果的なのが炭酸ガスフラクショナルレーザーで、皮膚に微細な穴を開けることで再生を促し、コラーゲンの生成を活性化します。
中等度以上のクレーターでは、サブシジョン(皮下の癒着をはがす治療)を組み合わせることで、より高い改善効果が得られます。長期的な治療計画を立てることで、肌質全体が大きく変化していくことが期待できます。
関連記事:クレーター肌・ニキビ跡におすすめのサブシジョン
しこり
炎症後に線維化が進み、硬いしこりとして皮膚の下に残ってしまうことがあります。一般的なスキンケアでは改善が難しいため、ステロイド注射で炎症を抑える治療が行われます。
状態によってはフラクショナルレーザーを組み合わせて線維化した組織を緩和させることで、より良い改善を目指すこともあります。
ケロイド
赤く盛り上がり、かゆみや痛みを伴うことがあるのがケロイドです。これは炎症後に過剰なコラーゲン生成が起き、皮膚が厚く硬くなることで生じます。
ケロイドはレーザー単独治療ではかえって悪化する可能性があるため、ステロイド注射や外用薬を中心に治療します。症状の進行を抑えつつ、必要に応じて他の施術を慎重に併用していきます。
5.ニキビ跡に効果的な美容施術
ニキビ跡は種類によって原因や状態が異なるため、ひとつの施術だけで完全に改善することは難しいケースが少なくありません。そのため、複数の施術を組み合わせる「併用治療」が注目されています。
ニキビ跡には美容施術の併用が効果的?
ニキビ跡の改善には、肌の再生力を高める施術 と 症状に直接アプローチする施術 を組み合わせるのが有効です。例えば、凹凸が目立つクレーター状の跡には、炭酸ガスフラクショナルレーザーで真皮層を刺激しながら、サブシジョンで皮下の癒着をはがすことで、よりなめらかな肌質改善が期待できます。
赤みや色素沈着が中心の場合には、ピコトーニングやピーリングを追加することで、ターンオーバーを整え、全体的な肌トーンを均一にする効果が得られます。
併用治療のメリットは、ひとつの施術ではアプローチしきれない部分を補えることです。単独では改善が緩やかな場合でも、複数の治療を計画的に行うことで、より早く・高いレベルでの改善が見込めます。また、患者さんの肌質やライフスタイルに合わせて調整できるため、無理のないペースで治療を継続できる点も大きな利点です。
6.まとめ
炭酸ガスフラクショナルレーザーは、ニキビ跡治療において高い効果が期待できる施術のひとつです。微細なレーザーを皮膚に照射することで、肌の再生を促し、凹凸や色素沈着を徐々に改善していきます。特にクレータータイプのニキビ跡には有効で、サブシジョンやピコトーニング、ピーリングといった施術を組み合わせることで、より総合的な改善が可能です。
ただし、ニキビ跡の種類や肌質によって適した治療法は異なります。赤みや色素沈着にはレーザーやピーリング、凹みには炭酸ガスレーザーやサブシジョンといったように、個々に合ったアプローチが必要です。さらに、1回で劇的に改善することは難しく、複数回の治療と時間をかけたスキンケアが欠かせません。
後悔しない治療のためには、信頼できる医師に相談し、自分の肌状態に合った施術プランを立てることが大切です。適切な治療を組み合わせることで、なめらかで均一な肌を取り戻し、自信を持って過ごせる未来につなげることができるでしょう。
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